企画記事
名作「Stardew Valley」は本日でリリース10周年。今なお多くのファンが増え続けるのは,ゆるいだけではない“大人のライフシム”だから?
その名は「Stardew Valley」(PC / PS4 / Xbox Series X|S / Nintendo Switch / iOS / Android),ConcernedApeことゲーム開発者のエリック・バロン氏がたった1人で完成させた農業ライフシミュレーションゲームだ。プレイヤーは自分の分身である牧場主を操り,スターデューバレーと呼ばれる片田舎で生活していく。
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個人開発作品でありながら(ただしバージョン1.3以降は,協力者が参加しているとのこと)大ヒットし,ライフシムにおける定番タイトルの1つとなった本作は,リリースから10年経つ現在も根強い人気を誇っている。
累計販売本数は2024年時点で全世界4100万本以上とのことで,文字通りインディーゲームの金字塔と言っていいだろう。
そんな本作について,筆者はその名前や農場を舞台にしたライフシムであることは知っていても,実際にプレイしたことはなかった。たまたま巡り合わせが悪かったこともあるが,Stardew Valleyが強い影響を受けたとされている「牧場物語」のプレイ経験があったことも大きいかもしれない。
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そこでこの10周年を機に,本作をプレイすることにした。筆者のように「気になってはいたが,手に取る機会がなかった」という人も少なくないと思うので,その魅力をお届けできたらと思う。このコンテンツ過多の時代に10年愛され続ける作品がどんなものなのか,じっくり見ていこう。
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ちなみに,見た目の雰囲気から,本作を「ほのぼのスローライフ」なゲームだと想像している人は多いと思う。だが個人的な意見としては,それは本作の一面でしかないと感じていて,しっかりと大量のコンテンツを満喫し尽くそうとすると,普通に(ゲーム内の主人公が)深夜まで働き続ける「ギリギリ多忙ライフ」といった状況にもなってしまう。後ほど実例を紹介するが,それぐらい「中身が詰まっている」タイトルだ。
現代社会に疲れた? よろしい,ならば田舎暮らしだ
本作はプレイヤーの分身である主人公が,とある手紙を開けることから始まる。彼はJoJaという大手企業で働いていたが,無機質な職場で効率のみを優先する日々に心をすり減らし,限界が近づいていた。そこで思い出したのが,かつて祖父から「心の輝きを失ったとき,これを読むんだ」と言って渡された,一通の手紙であった。
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そこには,祖父もかつてそういった状況に陥り,人とのつながりや自然との関係性を求め,新天地での生活を始めたことが記されていた。手紙に同封されていた権利書を手に,気がつけば都会の喧噪を遠く離れた道を進むバスに乗り込んでいた主人公。こうして祖父の遺産(荒れ果てた土地と小さな家)を引き継いだ主人公の,自然と冒険に満ちたスターデューバレーでの生活が始まった……というのが,導入部の流れだ。
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本作は農場を舞台としたライフシムではあるが,農業を強制されるわけではなく,別の生業で生活していってもいい。後述するように小規模〜中規模なクエストは存在するが,強大な敵を倒すような大目標を与えられるわけではないので,日々をどう過ごすかは完全にプレイヤーに任されている。
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スターデューバレーには現実と同じように四季が存在しており,1か月ごとに春から夏,夏から秋へと季節が移り変わっていく。1か月は季節に関係なく28日間なので,この世界の1年は4か月,112日だ。
時間はメニューを開いているときやNPCと会話しているときなど,特定のタイミングを除いてリアルタイムで進んでいく。活動できるのは朝6時から深夜2時までで,その時間を過ぎると強制的に気を失って翌日に目を覚ます。つまり不眠不休で働き続けることは不可能だ。
なお,ゲーム内の1時間は実測(現実世界)で40秒強,1日は13〜14分といったところなので,1か月はだいたい6時間,1年はだいたい1日という計算になる。これをどう感じるかは人によると思うが,筆者個人の感想としては「ゲーム内の1日は短く感じるものの,1か月は十分な時間があり,1年間はかなり長い」といった印象だ。
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主人公のステータスには,一般的なゲームでのHPにあたる体力と,スタミナにあたるエナジーがある。日常の生活だと体力は基本減らないが,場所によって出現する敵の攻撃などで減ることがあり,エナジーは道具の使用で徐々に減っていく(時間経過での減少や回復はない)。どちらも基本的にゼロになると,意識を失って別の場所で目を覚ますことになるので,無制限に何でもできるわけではない。
とくにエナジーはちょっと無理をして働くと簡単になくなってしまうので,主な回復手段になる料理の入手が難しい序盤は,ある程度行動をセーブするといいだろう。のんびり田舎暮らしだろうと何だろうと,身体が資本なのだ。
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前述したように,本作では農業をはじめとした多数のアクティビティを仕事として生計を立てていく。専用の能力値が用意されているものもあり,活動を繰り返すと経験値を獲得できて,より作業の効率が上がったり,新たなスキルを覚えたりする。つまり本作にはRPG要素もあるのだ。
仕事には収入面にも違いがあり,単体でも十分なものから,ほかの活動の補助的な位置づけのものまで幅広い。主なものを説明していこう。
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●季節に合わせて多種多様な作物を育てる農業
ゲーム開始直後にタネをもらえるなど,初期費用が不要なため,多くの人が最初に手につけるであろう仕事が農業だ。具体的には,荒れ果てた土地を斧やツルハシで整地し,クワで土を耕し,作物のタネを播いて(苗を植えて),ジョウロで水を与える。その後は作物が勝手に成長していくので,適切なタイミングで収穫すればいい。
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仕上げに自宅のそばに設置されている出荷箱に作物を放り込めば,翌日には代金が手元に入ってくる。作物にグレードが存在し,基本的に高品質なほど高く売れるのは現実と同じだ。グレードは事前に肥料を撒いたり,農業のスキルを高めたりすることでも上がっていく。
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農業では最初の労力,つまり整地や地面にクワを入れる手間が大きくなるが,逆にそれ以降は水さえ与えれば勝手に作物が育っていくのがメリットだ。水やりだけは毎日必要だが,雨が降れば不要だし,スプリンクラーという自動化手段もある。「ながら」や(ほかのアクティビティとの)「同時並行」で進められるのも特徴と言えるだろう。
育てる作物によって生育期間も数日から数十日とかなり違うので,収穫頻度の低さを単価でカバーし,かつ作業量を減らすといった工夫も可能だ。
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ただし,季節を跨ぐと大半の作物が枯れてしまうことには注意したい。例えばメロンやラディッシュのような夏の作物はその月しか育たず,翌月(秋)になると成長度に関係なく即座に枯れてしまう。つまり1シーズンごとにリセットされるのが,農業の特性なのだ。
とはいえ,露地栽培なら環境の影響を受けるのは当然のこと。春はカリフラワー,秋はカボチャといったように,シーズンに合わせた作物を選ぶのも農業の楽しさだ。シーズンが切り替わる月初が忙しくなる一方,月末と作物がほぼ育たない冬は暇になりやすいので,1年を通して考えると活動にメリハリが生まれる。
もちろん,2シーズンにわたって育てられるトウモロコシや小麦のような作物もあるので,それらも組み合わせて効率的な農業を追求するのもいいだろう。
筆者は畑を華やかにするために,手に入れられるタネや苗は全部植えてみる手法で農業を楽しんだ。結果,作物の収穫時期がかなりばらけ,暇になることがなく楽しかった。
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●動物との触れ合いが収入につながる畜産
農業シムとして考えると,畑仕事とともに大きな柱になると思われるのが,家畜を育てて牛乳や卵などの畜産物を得る畜産(酪農)だ。主にニワトリなどの小型の家畜を育てる小屋と,牛などの大型家畜の居住場所となる家畜小屋を建築可能で,季節に関係なく,基本的に毎日または隔日で,何らかの生産物を得られる。農業と違って日による収入の変動が少なめなのも,メリットの一つだろう。
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作業手順としては農業より単純で,家畜を近くの牧場で購入したら,小屋に住まわせて毎日撫でてやり,餌を与えるだけ。小屋を開け放てば勝手に外に出て牧草を食べるし,雨や雪などで外に出ないときは,干し草を与えればよい。卵などの畜産物にもグレードが存在しており,動物と仲がよくなるほどより良い物になっていく。
適切に世話をしていれば動物との関係は悪くならないので,畜産物は農作物に比べてグレード(=販売価格)が安定するのもメリットだ。さらに小型の小屋で飼えるニワトリやアヒルは,卵をふ卵器に入れて待つだけで数を増やせるので,生産規模を拡張しやすい。
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デメリットとしては,小屋の建築費や家畜自体の購入費など,初期投資がかさむことや,相手が動物なので季節や気候に関係なく世話が必要になることが挙げられる。農作物は植えた後なら,雨さえ降れば(あるいはスプリンクラーがあれば)水やりも不要と,完全ノータッチで済む日すらあることを考えると,ここは違いとなってくるだろう。
とはいえ施設のアップグレードやオプションの購入で,餌やりや生産物の回収もいずれ自動化できるので,どちらが合うかは好みの問題になるかもしれない。
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●クラフト,加工,料理で生活の質アップ
本作では,小屋などの建築を近くに住む建築家(大工)に頼むことになるが,それ以外の小規模な器具や道具には,自分でクラフトするものが多い。それ自体では生業にはなり得ないのだが,素材の効果や価値を高める効果があるので,おろそかにはできない仕事だ。
例えば収穫した農作物はそのまま出荷もできるが,保存ジャーに入れてピクルスにしたり,醸造ダルに入れて発酵させたりして,さらに価値を高められる。
現実世界でも,農場や牧場にはお土産として自家製ジャムやチーズを売っているところがあるが,アレと同じというわけだ。
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それらの加工に使う器具も,基本はクラフトで作成する。どこでも拾える木材や石に加え,高度な物は金属の延べ棒などが必要になるが,一度作ってしまえば手持ちの斧やツルハシと同じように使っても壊れることはない。原材料の生産量を抑えて全量加工にしてもいいし,手間や時間の関係から一部の加工にとどめてもよい。プレイヤーの経営的な判断になるだろう。
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なお素材の加工という点では,料理もこれに近い。これは自宅を1段階アップグレードすると可能になるクラフトで,特定の素材(農作物や釣りなどで入手する魚介類)を組み合わせて,体力やエナジーの回復に使ったり,特定のスキルを一時的に高める料理を作れたりする。
前述のように道具を使う(≒農作業などを行う)とかなりの勢いでエナジーが減っていくため,終日働くにはその回復手段が必須になる。自宅のアップグレードには結構な資金が必要だが,料理を覚えれば生活の幅が広がり,生産効率も向上するのだ。
ただし,料理にはレシピのアンロックが必須で,材料はそう簡単に揃うものではないし,効果についてもわざわざ食材を用意する手間に見合わない印象が強い。自分で育てた作物や森に落ちている食材を利用すればコストは下げられるが,基本的に価値を上げて販売するための加工とは異なり,自分用のお手製ポーションと考えるほうがいいのではないだろうか。
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●自分の腕と運が物を言う釣り
町の南にあるビーチに行くことでアンロックされるのが,本作で大きな存在感を誇る釣りだ。この手のゲームでよく見るようにミニゲームになっており,魚が食いついた後に画面のゲージを最大までためることで釣り上げられる。
魚は農作物と同じように,そのままでも,燻製などに加工したうえで出荷していもいい。釣果にもよるが収益も馬鹿にならず,高級魚を何匹もゲットできれば,農業より儲かることもある。前述の料理に使うことも可能だ。
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本作の釣りは現実と同じように環境の変化を大きく受けるのが特徴で,季節,時間,天候,場所(湖や川,海)によって釣れる魚が変わるうえ,ミニゲームの難度もまったく違ったものになる。食いつきを左右する餌の有無も選べるし,ミニゲームの難度を変える漁具も複数用意されているなど,かなり本格的だ。レトロスタイルの見下ろし画面なので魚影こそないが,正直“釣りバカ”を目指すのも悪くないと思えるほどしっかり作りこまれている。
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ただしミニゲームは,かかった魚によっては極めて難しくなり,ゴミを釣り上げて時間を無駄にする可能性もある。このあたりはある意味リアルではあるが,収穫物を逃がす心配がない農業や畜産に比べると,ギャンブル性が強い仕事ということになるだろう。
●縁の下の力持ちな採取&採掘
上でも少し触れたが,本作では農作物だけでなく,自然の恵みも収穫できる。フィールドには季節に応じた果物や花が点在しており,これを採ればアイテムになる。物にもよるがそのまま消費(食べること)もできるし,調理や加工も可能だが,価格自体は低いので出荷(資金稼ぎ)にはあまり向かない。
なお,木を伐採して木材を入手したり,岩を砕いて石を入手したりするのも採取の重要な役割で,これがないと基本的なアイテムを作ることはもちろん,家のアップグレードや農業施設の建築もままならない。
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木材や石を除くと,重要度が高い採取物はあまり多くないのだが,何せ元手がタダなのだから,やっておいて損はないだろう。たくさん入手できる季節の花は,プレゼントとして多くの人に喜ばれるし,手元にあっても腐るわけではない。将来のパートナーとの付き合いは,拾った花をあげることからスタートするかもしれない。
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ちなみに鉄などの貴重な鉱物を入手する採掘も採取の一種なのだが,こちらは初期状態だと地上にほとんど露出しておらず,基本的に鍛冶屋から買うしかない素材になっている。では貧乏な序盤ではどうするのか……という話になるが,これが次で触れる冒険に大きく関わってくる。
●ダンジョンに挑め! 本格的な冒険&探索
前述のように,鉱物は地上ではかなり手に入りにくく,探すべきは当然地下になる。スターデューバレーの北にはうってつけの鉱山が存在するので,そこで鉱物を含む岩を壊せば,鉄でも金でも入手できるだろう。
しかしここはただの鉱山ではない。実はモンスターがうろついていて,要するにダンジョンなのだ。地上近くにいるのはスライムやコウモリなので,大きな脅威になはならないが,深く潜れば潜るほど,耐久力や攻撃力が高く,飛び道具を使うようなモンスターが増えてくる。そしてこの探索中に体力がゼロになれば,死にはしないものの,一部のアイテムをロストしてしまう“本格仕様”だ。
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さらに注意しなければならないのは,鉱山内でも時間が刻一刻と過ぎていくこと。前述のように午前2時には強制的に1日が終わるが,これはダンジョン内でも同じだ。つまり帰る時間を計算して活動しないと,時間切れと同時に昏睡してしまう。
とはいえ鉱山内は5階刻みで進行度が保存されるし,帰るだけなら登りのハシゴを利用すれば一気に入口まで戻れる。それに戦闘をこなしていけばスキルも上がるので,結果的に探索も進めやすくなる。さらに,ダンジョンで敵が落とすアイテムは冒険者ギルドで売却可能なので,そちらでも稼げるはずだ。
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本作の世界設定は,PCやインターネットを利用できるなど現代ベースなのだが,ファンタジー要素も含んでいるので,異世界転生せずとも午前は農機具を,午後は剣を振り回すといった生活を楽しめる。本作の鉱山は,マイペースで進められる農業や畜産の日々に,スパイス的な緊張感を与えてくれる存在と言えそうだ。
どのように暮らし,住人とどう付き合うかはプレイヤー次第
以上のようにアクティビティは多々あるが,どれをどれだけ生活に組み込んでいくかは,プレイヤーに任されている。ひたすら農業だけにいそしんで,その日の作業が終われば即寝てしまってもいいし,農業を序盤の金策と割り切って,軌道に乗ったら畜産に絞るのも悪くない。もちろんそこまで尖ったプレイをする必要はなく,広く浅く手を出すのも,気が向いたものだけやるのもいい。
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本作には,さまざま活動を始める「きっかけ」が複数用意されている。分かりやすいのは「お手伝い募集」と呼ばれる期限が2日間のクエスト群で,高頻度で町の掲示板に「○○が欲しい」「××を倒せ」といった要望が出される。
それを引き受けて完了すれば報酬が得られるうえ,発注者の好感度も得られて,地元住民の信頼も積み重なっていく。
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仲良くなった住人からは定期的にアイテムのお裾分けがあったり,料理のレシピをもらえたりするので,疎遠になる理由はない。友好度が高まれば一部のキャラクターと交際や結婚もできるので,それを望むなら,なおさら積極的にクエストを受けるといいだろう。
そういった損得や感情を抜きにしても,友好度はイベント発生の引き金にもなっているので,長く付き合うほどに住民たちの知られざる一面を知ることになる。イベント自体は高頻度で起こるものではないので,意図せず見られると結構嬉しい。
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なおクエストには,期限が設けられていない「ストーリークエスト」もあり,こちらは報酬が若干豪華だったり,特殊な要素がアンロックされたりするようだ。
ちなみに,クエストをクリアしなくても,直接アイテムをプレゼントすれば住民の好感度は上げられるので,友好度を手っ取り早く上げたい場合にはこちらを併用するといい。ただし住人ごとに好みは異なるので,花などの無難なものを選んだり,情報収集をして趣向を掴んだりすると効率的だ。
また,アクティビティのきっかけになるもう1つの要素が「バンドル」だ。これは廃墟となった公民館を建て直すイベントなのだが,必要なのは木材や労働力ではなく,特定のアイテムになっている。
具体的には季節の農作物や採取品,家畜の生産物,さまざまな魚,モンスターのドロップ品,金属の延べ棒や現金そのものなどで,非常に幅広い。当然ながら特定の仕事やアクティビティをこなすだけではクリアはおぼつかず,このバンドルをこなしていくだけでも,大半のコンテンツに手を出すことになるはずだ。
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苦労するだけあって報酬も豪華で,消耗品や加工機器などが入手できるし,1つの項目をコンプリートすると,新たな移動可能エリアがアンロックされたり,ファストトラベルのようなものが使えるようになったりもする。中期的な達成目標として最適なものになっているのだ。
短期的な目標としては先述のクエストがあるので,「何をしていいのか分からない」という状態になりにくいのは好印象だ。
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また,季節に応じた多数のイベントが開催されるのも見逃せない。春なら男女が踊るフラワーダンス,夏なら水辺で熱戦が繰り広げられるマス釣り大会,秋なら特産品の品評会も兼ねたスターデューバレーまつり,寒い冬には氷まつり……といった感じだ。
参加は基本的に任意だが,イベント期間中は町にある店が閉まってしまうし,住民のさまざまな反応を見るのも楽しいので,一度参加してみるといいだろう。出店で普段見ないアイテムが販売されたりするので,それだけでも損はないはずだ。
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スローなだけではない,大人のライフシム
ここまで紹介してきたように,本作には行動の“誘導”はあるが“強制”はなく,(当たり前のことではあるが)1日の行動はプレイヤーが何をするかで決まる。
目の前に作物が植えられていたらそれを世話したくなるだろうが,放置しても大きな問題は起こりにくい。たとえ水やりを忘れても,デメリットは「作物が成長しない」(収穫が遅れる,またはシーズンを跨いで枯れる)だけにとどまり,放置がほかの要素に悪影響を与えることはない。家畜の場合も同様で,世話をしないと機嫌は悪くなるものの,餌やりを忘れた結果死ぬようなことはない。
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これはクエストも同様で,引き受けたあとに放置したときのデメリットは特にない。そもそも失敗という概念がなく(「お手伝い募集」などは期限切れで達成できなくなることはある),達成の見込みがないまま引き受けても問題ない仕組みになっている。
さらに言えば,食事はあるが空腹度(つまりサバイバル要素)はないし,午前2時を過ぎて気を失っても若干のお金を失うだけなので,全体的にペナルティはかなりゆるい。プレイヤーをなるべく縛らないよう配慮されていると感じる。
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筆者は「とりあえず全部体験してみたい」と思ったので,農業に畜産,釣り,冒険,クエストクリア,住民の好感度アップ……と目に付くものすべてに手を出していった。結果として何が起こったかといえば,スローライフの「ス」の字もない,多忙&過労ライフである。
朝6時に起床してけっこうな広さの畑に水をまくと,すでにエナジーを半分以上消費している。次に家畜の世話をして,加工機に生産物を放り込むと,すでに時刻は正午過ぎ。町の掲示板をチェックしながら足りないタネを店で買い込み,慌てて帰って加工が終わった物品を出荷箱に放り込む。クエストに必要なのは魚だったので,釣り竿を抱えて海に行こうとしたらすでに日は傾いており,仮に釣れたとしても渡す時間はすでにない。
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それでも釣るだけ釣って農場に戻り,家畜小屋のドアを閉め,残りの加工品を回収した頃にはすでに深夜0時を回っている。睡眠時間が短いとエナジー回復量が減って翌日に響くので,急いでベッドに潜り込み,そう言えば木材と金属の在庫がないから明日は伐採と鉱山の探索を……と考えているうちに朝になってしまうような,ひたすら労働するだけの生活になってしまっていた。オレ,シゴト,スル,モット……。
まあこれは筆者が自分のキャパシティを考えなかったことが原因ではあるが,それだけやることが多々あることの裏返しでもある。スローに生きる自由があれば,限界まで追い込んだ生活を送る自由もある。選択肢があること自体は,悪くないだろう。
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また前述のように地元の住民たちと友好を深めるのも楽しみの一つだが,基本的にコメディチックではありながら,ところどころに大人向けのシリアスさが混じるのも印象的だ。
例えば衆目を気にしてとある女性との恋愛関係を隠し続ける町長,巨大資本によって徐々に追い詰められている商店主,戦場帰りのトラウマを抱えた父親,人生に思い悩み酒に溺れる男性……などなど,なかなかにハードだ。
ちょっとした親子の確執といった定番ものもあるが,一部のイベントは人の生死に関わるなど,温かみのあるドットグラフィックスからは想像できない深刻なものもあるため,ゆるい見た目通りの作品だと思っていると,結構驚かされるのではなかろうか。
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また,ガチ目の農業シムを予想していると,逆に肩すかしを食らうかもしれない。農作業自体はかなり簡素化されており,豊作や凶作,雑草や病気,土地痩せといった概念はないし,前述したようにそもそも水をあげなくても枯れないぐらいなので,リアリティは控えめだ。
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また,多くの設備にキュー機能(アイテムをまとめて放り込んでおくと,勝手に作業を進めてくれるシステム)が標準搭載されていないこともあって,加工やクラフトはいろいろな意味でシンプル。分かりやすさはあるが応用が利きにくいように感じた(近いことができる装置も存在するようなのだが,筆者がプレイした時間内では入手できなかった)。
一応は現代(に近い世界)を舞台にしているものの,トラクターのような機械はないし,自動化できる範囲もスプリンクラーの設置ぐらい。農作業だけを追求したいなら,ほかのタイトルがいいのではないか,というのが正直な感想だ。
だが全体を俯瞰すれば,そういったリアルさを求める作品ではないことはしっかり感じられる。前述のようにさまざまな仕様がプレイヤーの行動を制限しないよう作られているし,経営シムという点で見れば,本作には光熱費のような固定費すらないのだ。そもそもエナジーさえ尽きなければ,1日中飲まず食わずでも過ごせる。
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本作は都会を捨ててスターデューバレーという田舎に来た若者が,さまざまなきっかけから農業や冒険を始めて,気に入ったもので生計を立てて,気になる住人がいたら結婚を考える……そんな自由を満喫するライフシミュレーターであると思う。ゲームが進むといろいろな設備の拡張に多額の資金が必要になるが,その一方で経費が高くなったり人件費が必要になったりするわけではないので,マイペースで進められる。
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Stardew Valleyには,自然の中で暮らすホームレスや仙人に近いような男,ライナスがいるのだが,彼の中で一番重要なのは自分の信念に基づき自由に生きること。最初から牧場主である主人公とは立場が大きく異なるように見えるが,実際は一番近い立ち位置なのでは? とも思う。何せ主人公はどこかの店のカウンターに立つこともなければ,どこかへ出勤することもないし,(牧場主でありながら)農業をするもしないも自由な立場なのだから。
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今回は作中のコンテンツを広く浅く触るプレイに終始して,結果的にパンクするようなセルフ社畜になってしまったが,次にプレイするときはもっと何かに特化して,ゆったりと時間を使いたいと感じた。
例えば朝に動物と触れ合ったあとはひたすらダンジョンに潜る生活をしたり,あるいは荒れ果てた農地を見て見ぬ振りをして釣り竿一本で生計を立て,お気に入りの住人にひたすら魚料理をプレゼントしたり。そんな生活が許されるのが,本作の魅力だろうと思う。
プレイできるプラットフォームは非常に多いので,この10周年を機に触ってみてほしい。古典的な2Dグラフィックスに抵抗がなければ,楽しくて忙しい田舎生活が待っているハズだ。
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- ライター:津雲回転
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Stardew Valley is developed by ConcernedApe LLC. Mobile version developed by The Secret Police Limited and published by Chucklefish Limited. (C)2019 ConcernedApe LLC. All Rights Reserved.
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