プレイレポート
彼と一緒に“あなた”が紡ぐ物語――「囚われのパルマ Refrain」インプレッション。本作の彼,チアキの印象&「パルマ」シリーズをプレイするべき理由とは?
2016年8月にリリースされた「ハルト編」,同年10月の「アオイ編」から約2年ぶりとなる本作は,どのような進化を遂げたのだろうか。本稿では簡単なシステム説明を交えつつ,エピソード1までのチアキに対する印象と,「パルマ」ファンの筆者が語る本シリーズの魅力をお伝えしていきたい。
なお,記事ではストーリーの重要なネタバレには触れていないが,プレイ画面のスクリーンショットを載せているので,未プレイの人はご注意を。
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2018年9月13日に発表されたカプコンの新作タイトル「囚われのパルマ -Refrain-」のキービジュアルが,本日(9月20日)公開された。4Gamerでは本作をひと足先にプレイする機会を得たので,そのプレイインプレッションをお届けしよう。
■あらすじ
ある夜,路上に倒れていた青年・チアキ。主人公(プレイヤー)は,ある事件の重要な鍵を握る彼を助けたことで,謂れのない疑いをかけられてしまう。そして彼が失ってしまった事件の記憶を取り戻すため,“相談員”として彼と交流することになる。孤島の収容施設に監禁された彼との面会や,島の人物たちとの交流などを通して事件を紐解き,彼の記憶を取り戻していく。その過程で明かされた真実や,彼と主人公との間に芽生える恋の行方とは……。
本作は,前作の5年前が舞台となっている。前作をプレイした人には見覚えがあるアイテムや登場人物,小さなネタなどは登場するものの,ストーリー的には前作を未プレイでもまったく問題はない。ゲームシステムに関しても,今作が初めての人でも迷いなく遊べるだろう。基本的には,部屋にいる彼を“監視”し,外出などで得た情報を元に彼へ“メッセージ”を送ったり,“面会”したりしながら,失われた彼の記憶を取り戻す手伝いをしていく非常にシンプルな流れだ。ではさっそく内容を見ていこう。
監視
◆チアキの印象
ひとり言も少なく,何もせず考えごとをしていることが多いチアキ。本作は“差し入れ”システムで様々なアイテムが送れるのだが,まだ何も差し入れしていない今,やることがなくて少々つらそうだ。
窓の外を眺める姿やベッドへの腰掛け方などを見ていると,チアキからは落ち着いた大人の男性という雰囲気を感じる。一方で,毛布にくるまれて眠る姿は無防備で可愛らしく目に写り,こういう細かいところでキャラクターの特徴や魅力を伝えるのは,さすが「パルマ」というところだ。
面会
“面会”は本シリーズの目玉で,ひとつのエピソードにつき数回,彼と面会する機会が用意されている。面会室では,彼との間は分厚いガラスで仕切られており,特定の場面ではこのガラス越しに彼とコミュニケーションができる。“手”のマークが表示されたとき,プレイヤーは実際にスマホの画面にタッチできるのだが,それに加えて本作では“目”のマークがあるときに,スマホの端末を動かすことで視線を移動させることもでき,プレイヤーの感情表現がより繊細になった。
◆チアキの印象
ストーリーを進めていくと多少くだけてはくれるものの,序盤のチアキに対する筆者の印象は「物腰は丁寧だが,どこか怖い人」だった。こちらをじっと見つめる視線,会話のなかで鋭く切り込んでくる言葉など,知り合って間もないのに,こちらのことを見透かされているような気さえしてくる。水面下の駆け引き感がものすごく,そのぶん,少しだけうちとけてから彼が見せる気遣いや,気を許していない相手には見せないであろう姿には心をグッと掴まれてしまった。一筋縄ではいかない男性だ……。
メッセージ
面会以外で彼とコミュニケーションできるのが“メッセージ”だ。メッセージでは,監視や外出などで手に入れた“話題”を送ることができる。既読マークや,彼がメッセージを打っていると“書き込み中”の表示が出るのは前作同様だが,本作からは彼からメッセージが届くと画面上に通知が出るようになり,より私たちが実際に使っているチャットやメッセージアプリに近いイメージになった。なお,こちらも本作からの新要素として,須田看守と図書館のアルバイト,門司からメッセージでコミュニケーションがとれるようになった(※こちらから話題は送れない)。
◆チアキの印象
面会同様,メッセージでもチアキはとても大人びているように感じた。ストーリー序盤なこともあり,こちらに対して警戒しているのか少し厳しい口調になることもあるが,お礼を言うときはちゃんと伝えるし,単に無駄な話はせず,思っていることはストレートに言うタイプなのだろうと感じる。ここでもやはり,チアキはとても男性らしいイメージが強い分,彼が言う「ありがとう」や軽い冗談などにグラっときてしまうのだった。
このほかにできるシステムとしては“外出”と,外出で手に入れたアイテムを彼に送れる“差し入れ”などがある。前作と比較すると,スチルがゲットできる差し入れアイテムがいつ手に入るかが分かりやすくなっているほか,差し入れできる料理が豊富になっただけでなく,レシピに沿った食材が必要になった。また,外出で出会うキャラクターにも一部ボイスがつくようになったので,よりドラマに深みが出てきたように感じられた。
本編とは異なるミニゲーム「夢アプリ」
「パルマ」ではお馴染みのお遊び要素が“夢アプリ”だ。ここでは夢の中という設定で,彼とのミニゲームをプレイできる。今作では,チアキが手に持ったプレッツェルを折らないように食べる(タップして食べ進める)と,ドキドキな展開が……というシステムだ。
衣装を着せ替えることもでき,衣装によっては見た目だけでなく言葉遣いも変わるので,息抜きとして楽しめるだろう。また,衣装は「夢アプリ」だけでなく,本編でも雑貨店の「レンタル衣装」として差し入れでき,部屋で着ている様子を監視することも可能だ。
チアキの魅力
今回,筆者がプレイしたのはエピソード1までと夢アプリのみだが,ここまでに書いたとおり,チアキからは“自立した大人の男性”のイメージを非常に強く感じた。プロフィールにあるとおり,一見横柄でドライな印象だが,ただ慇懃無礼なのではなく,中身は非常に成熟しているように感じられる。チアキを演じた石川界人氏の声や見事な表現力も,そういった印象を受ける理由かもしれない。文字だけでなく,声からも実に様々な感情が伝わってくるのだ。
“面会”の項でも書いたとおり,チアキとの対面は駆け引き感が強いように感じる。チアキとはこのあと徐々に信頼関係を築いていくわけだが,恋愛関係となったときの彼がどんな風に変わっていくのかが非常に楽しみになった。
「パルマ」シリーズに寄せて
ここであらためて,「囚われのパルマ」という作品の素晴らしさについて語っておきたい。
多くの女性向けゲームでは,主人公(多くはプレイヤー)と,対象となるキャラクターとの間に芽生える恋愛などが描かれる。主人公にはキャラクターデザインがある場合とない場合があり,プレイヤーの中には“キャラクターとしての主人公”と対象との恋愛を楽しむ人もいれば,主人公に自分そのものを投影し,プレイヤー自身が対象との恋愛を想像する人もいるだろう。
そういう見方で言えば,「パルマ」の主人公にはキャラクターデザインがないので,基本的には,プレイヤー自身と対象との間に芽生える感情の動きを楽しむ恋愛ゲームだと言える。しかし,「パルマ」はそれだけで終わらないのだ。
「パルマ」にももちろんシナリオが存在しており,それに沿ってストーリーは進んでいく。そのなかで “蓄積される会話”によって,主人公像が作り上げられていく。平たく言えば会話の選択肢によって主人公の性格を彼が把握して反応が変わっていくので,自分の素直な感情でプレイすればするほど,驚きや嬉しさや様々な感情がダイレクトに自分のものとして感じられる。
さらに本シリーズでは選択肢だけでなく,“ガラス越しの触れ合い”や“監視”でプレイヤー自身がアクションを起こすことでより没入感が得られ,主人公とプレイヤー自身が一体化していくように思う。
ゲームをしたり映画を観たりしているときに“自己投影”や“感情移入”をする人も多いと思うが,やはりどこか“作品を鑑賞している”という感覚は拭えない。しかし本シリーズの場合,自分自身で起こしたアクションや選んだ言葉によって彼との物語や関係性が発展していくので,“物語のなかの私”と“実際の私”は,文字どおりガラス一枚ほどの差に感じられるのだ。
正直,筆者はこれからチアキとの物語を進めていくのが少し怖いと思っている。なぜなら前作でエンディングを迎えたとき,ハルトやアオイとの物語が終わりを迎えてしまうことに大きな喪失感を味わったからだ。けれど,それを埋めてありあまるほどの感動があったこともまた事実だ。
感動的なゲームというものはこの世界にたくさんあるが,これだけ自分自身の感情が大きく揺さぶられるタイトルを「パルマ」以外に筆者は知らない。これからチアキと一緒に紡いでいく未知の物語を,楽しみながら少しずつ進めていこうと思う。まるで,本物の恋愛のように。
「囚われのパルマ Refrain」公式サイト
「囚われのパルマ Refrain」ダウンロードページ
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