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第3世代Ryzenの16コアモデルは出るの? Radeonはレイトレに対応するの? AMDのキーパーソンに聞く
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印刷2019/01/16 00:00

インタビュー

第3世代Ryzenの16コアモデルは出るの? Radeonはレイトレに対応するの? AMDのキーパーソンに聞く

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 CES 2019で基調講演に立ったAMDのLisa Su(リサ・スー)社長兼CEOは,実に多くのことを発表した。その内容は考察も含めて筆者の連載記事にまとめたが,その後,CES 2019の会期最終日になって,AMDの各ジャンル担当者に対してグループインタビューを行う機会が得られたので,本稿ではその内容をまとめてお伝えしてみたいと思う。

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 AMDがCES 2019で基調講演に立ち,7nmプロセス世代で大攻勢をかける姿勢を明確にした。とくに期待大なのはCPUパッケージと動作デモが明らかになった第3世代Ryzenだが,では,GPUはどうなるだろう? 連載「西川善司の3Dゲームエクスタシー」,今回はCES 2019でAMDが語った内容から2019年の同社を占ってみたい。

[2019/01/12 00:00]

 あらかじめお伝えしておくと,インタビューの設定があったのは,デスクトップPC向けの第3世代Ryzenと,新世代GPU「Radeon VII」,そしてノートPC向けAPU「2nd Gen. Ryzen Mobile Processor with Radeon Vega Graphics」(以下,第2世代Ryzen Mobile)およびChromebook向けA-Series APUの3項目だ。
 以下,丸括弧内は筆者による補足となる。

Radeon VIIリファレンスカード
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第3世代Ryzen編:PCIe Gen.4を使うには新型のAM4マザーボードが必要に


 第3世代Ryzenについては,AMDのJames Prior(ジェームス・プライア)氏に話を聞くことができた。

――2018年の市場におけるRyzenの評判はどうだったか。

James Prior氏(Client Enthusiast Team,AMD)
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James Prior氏:
 とても評判がよかった。Mercury Researchの調査によれば,2018年はデスクトップPC向けCPUの市場シェアにおいて年率41%の成長という好記録を残した。
 もちろん我々としてはRyzenが製品として優秀だったことには自信を持っているが,競合のIntelが(10nmプロセス技術に基づく製造ラインを計画どおりに運用できていないことなど)いろいろな意味で不調だったことにも助けられた結果だと思っている。

 現在のところは,「IntelのCPUが使えないならAMDのを使うか」という代案(Alternative Choice)的なモチベーションによる選択が多いかもしれない。しかし2019年は「IntelではなくAMDのCPUを使おう」「AMDを選ぶべきだ」というような方向へ変えていきたい。
 そのきっかけになりそうなのが,今回発表した,7nmプロセス技術を用いて製造されるZen 2コアを搭載した第3世代Ryzenだ。製品の詳細は,リリース時期が近くなったときにあらためてお話しするが,PCI Express Gen.4(以下,PCIe Gen.4)対応など,第3世代Ryzenには「選ぶべき理由」がたくさんある。
 ちなみに,第3世代Ryzenの型番は「3000」。2019年夏にリリース予定だ。

Lisa Su博士が基調講演で披露した第3世代RyzenのCPUパッケージ
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――第3世代RyzenのCPUパッケージにはCPUコアそのものであるCPUダイと,周辺機器との入出力を司るためのノースブリッジ的なI/Oダイが載っている(関連記事)。このI/OダイにはPCIe Gen.4を制御するシステムが載っており,さらに,第3世代Ryzenは既存のAM4プラットフォームで利用できる。これは,「既存のAM4マザーボードでPCIe Gen.4を利用可能」という理解でいいのか。

James Prior氏:
 確かに発売済みのAM4マザーボードで第3世代Ryzenは利用できる。TDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)も気にしなくていいので,PCケースや冷却システムはそのまま利用可能だ。
 ただし,既存のAM4マザーボードに第3世代Ryzenを搭載した場合,PCIeインタフェースはGen.3で動作することになる。

 これはなぜか。
 PCIe Gen.4の信号を通すためにはPCI-SIGの認証試験を受けなくてはならないからだ。

 ただ,Gen.3とGen.4の違いは伝送信号における周波数の違いだけである。コントローラハブからエンドポイントデバイスまでの回路などは共通なので,マザーボードメーカーが既存の400シリーズチップセット搭載マザーボードで(PCI-SIGの)PCIe Gen.4認証を通せば,当該マザーボードをGen.4で運用することはできるだろう。
 その認証をコストをかけて通すかどうかはマザーボードメーカーごとの判断次第だが,アフターサポートの難しさもあるため,一部の例外ケースを除き,コンシューマ向けマザーボードメーカーは既存のAM4マザーボードのGen.4認証を通すことはないと考えている。
 PCIe Gen.4の環境が欲しいというユーザーは2019年夏に投入予定の新世代AM4マザーボードを選択したほうがいい。

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 (そもそも)当面,PCIe Gen.4ベースのハードウェアは多くない。なので,大半のAM4ユーザーは既存のマザーボードで第3世代Ryzenを活用することに不満は出ないはずだ。

 余談だが,(PCI-SIGにおける)PCIe Gen.4の評価システムでは,我々のI/Oダイが業界のリファレンスとなっている。

――Lisa Su氏が掲げた第3世代RyzenのCPUパッケージにはヒートスプレッダがなく,CPUダイとI/Oダイを1個ずつ実装している様子を確認できた。CPUダイとI/Oダイがずれて実装されており,空いたスペースにはCPUダイをもう1個搭載できそうな気がするのだが。

James Prior氏:
 「1つのCPUパッケージにZen 2コアを2基載せたコンフィギュレーションがあり得るか」という質問には回答できない(笑)。

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 ただし,「今回公開となったCPUパッケージで,CPUダイとI/Oダイがずれた実装になっているのはなぜか」という質問には答えることができる。
 これは,CPUパッケージ上に載せた2つのダイ間を結ぶ配線の都合,そしてCPUパッケージ底面側にある「CPUソケットとの接点」と2基あるダイ間を配線する都合,電源ライン取り回しの都合,ノイズに対する対策など,さまざまな理由からだ。
 確かに2つのダイがセンタリングされて実装されていたほうが見栄えはいいかもしれないが,最終製品ではヒートスプレッダを被せてしまう。この状態のパッケージが人の目に触れる機会は稀(まれ)なので,気にしていない。

――第3世代Ryzenと(データセンター向けCPU)第2世代EPYCでは,共通のZen 2コアを採用しつつ,I/Oダイは異なるようだ。両製品のI/Oダイで何がどう違うのかを教えてほしい。

James Prior氏:
 第3世代RyzenにおけるI/Oダイの詳細についてはまだ話せない。リリース時期が近くなってくれば話せるようになるだろう。
 現時点で言えることは,(第3世代RyzenのI/Oダイが)第2世代EPYCのそれをベースとして,デスクトップPCのAM4プラットフォームに最適化したコンフィギュレーションになっているということだ。
 メモリインタフェースはデュアルチャネルで,PCIeのレーン数も第2世代Ryzen以前と同じ20レーンになる。


Radeon VII編:当面はPCIe Gen.3対応版に。AIはDirectMLで対応も,DXR対応については明言なし


 Radeon VIIなどGPU関連では,GPU部門のシニアマーケティングマネージャーであるAdam Kozak(アダム・コザック)氏に話を聞いた。

――Radeon VIIは16GBものHBM2を搭載している。これは今日(こんにち)のゲームをプレイするうえで必要な容量なのか。

Adam Kozak氏(Senior Manager, GPU Product Marketng, AMD)
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Adam Kozak氏:
 ハイエンドのゲーム環境においてはそうだと考えている。
 現在のハイクラスGPUは8GBというグラフィックスメモリ容量が一種の目安となりつつあるわけだが,4KかつHDRの環境でプレイしようとすると,たとえば10GBとか11GBとかが必要になるケースが増えてきているわけだ。
 最近のゲームで例を挙げれば「Battlefield V」や「Call of Duty: Black Ops 4」,「Rise of the Tomb Raider」に,これから出てくる「The Division 2」といったあたりが当てはまる。

Vega 7nmのGPUパッケージ
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 また,グラフィックスコンテンツ制作やビデオ編集において,グラフィックスメモリ容量が多すぎて困ることはない。これはあえて説明するまでもないだろう。ハイエンドクラスのGPUで8GB超級のグラフィックスメモリ容量を実現するというのは,2019年以降は当たり前になってくると考えている。
 Vega 7nmはダイサイズがVega 10と比べて68%も小さくなったのだが,GPUパッケージ上にスペースが空いたことで,さらに2セットのHBM2を搭載できるようになった。これで容量だけでなくメモリバス帯域幅も2倍になった(点に注目してほしい)。

――Radeon VIIは演算ユニットの数が60基だ。先行して発表となったRadeon Instinctシリーズでは「MI50」に相当するが,そのRadeon Instinctには64基の「MI60」もある(関連記事)。演算ユニット数64基版Radeon VIIは登場するのか。

Adam Kozak氏:
 Radeon VIIという製品名称では演算ユニット数60基のモデルしかリリースしない。それ以上のことは今は言えない。

――Radeon Instinct MI50とMI60はPCIe Gen.4対応だ。Radeon VIIもそうだと考えていいのか。

Radeon VIIはPCIe Gen.3対応カードとして登場する
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Adam Kozak氏:
 Vega 7nmのチップレベルではPCIe Gen.4をサポートしているが,Radeon VIIはPCIe Gen.3対応のカードとしてリリースする。いずれ,PCIe Gen.4対応製品も投入することになるが,当面はGen.3サポートの製品となる。
 PCIe Gen.4に対応するのは第3世代Ryzenのリリース後に登場する新AM4プラットフォームからだという認識をしておいてほしい。

 そもそも,PCIe Gen.3接続でもゲーム用途においては何の問題もないだろう。Radeon VIIが誇る13.8 TFLOPSに及ぶ圧倒的な演算性能,そして1TB/sに達する超高速なメモリ性能は,PCI Expressとは無関係だ。

――Radeon VIIはInfinity FabricベースのマルチGPUに対応しているのか。

Radeon VIIにはInfinity Fabric Link端子がない
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Adam Kozak氏:
 対応しない。Infinity Fabric Link用の接続端子を搭載していないからだ。DirectX環境下ではRadeon RX Vegaシリーズと同様の「mGPU」対応に留まる。

――Radeon VIIのビデオインタフェースに関連した新情報はあるか。とくにHDMI 2.1への対応が気になるところだが。

Adam Kozak氏:
 ビデオ出力インタフェース周りのサポートはVega 10世代と同じだ。

――Radeon VIIのTDPは?

Adam Kozak氏:
 300Wだ。「Radeon RX Vega 64」が295Wだったので,若干上がっている。

――DirectX Raytracing(以下,DXR)への対応について,AMDとしてはどう考えているのか。ユーザーもゲーム開発側もAMD側の対応姿勢の公式発言を求めている。また,ULは「3DMark」にDXR対応ベンチマークを追加していたりするが。

Adam Kozak氏:
 DXRの重要性は理解しているが,ゲームで活用するのは時期尚早と考えている。レイトレーシングはプロフェッショナルな映像制作現場には有用だが,そうした用途にはRadeon Pro Renderがある。
 ゲームは対応タイトルがBattlefield Vしかなく,ベンチマークも「Port Royal」しかない。ゲーマーの99%には無関係だろう。いまのところ,ゲーマーにとっての恩恵が少ないという理解だ。
 ただ,いずれサポートするであろうということは間違いない。その時期については何も言えない。

――NVIDIAはDLSS(Deep Learning Super Sampling)というAIベースの画像処理をゲームグラフィックス処理に持ち込もうとしている。この動向についてAMDはどう考えているか聞かせてほしい。

Adam Kozak氏:
 昨年のGDC 2018でMicrosoftはWindows 10プラットフォームで機械学習ベースのアプリケーションを開発するためのフレームワーク「Windows ML」を発表し,それをDirectXから利用できるようにする「DirectML」も(Windows 10のOctober 2018 Updateで)有効になった(関連記事)。
 我々は現在,DirectMLの評価版SDKを入手して実験を行っているが,Radeon VIIではその実験で優秀な成績を示している。

 ちなみに,OpenCLベースのGPGPU的なレイトレーシングレンダラーを活用する「Luxmark」において,Radeon VIIは,「GeForce RTX 2080」に対して約1.62倍のスコアを記録した。
 これらのことを踏まえるに,NVIDIAのDLSS的なことは,我々のGPUならGPGPU的なアプローチで行えると考えている。

――NVIDIAはオープンソースのゲーム実況配信ソフト「OBS」(Open Broadcaster Software)とパートナーシップを結び,OBSのパフォーマンス改善に取り組んだとしている。AMDでそうした動きはあるか。

Radeon VIIを搭載するという「ALIENWARE Area-51 Threadripper Edition」の動作デモ展示
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Adam Kozak氏:
 Vega世代のRadeonではすでにOBSでは十分なパフォーマンスを発揮できている。1台のRadeon VIIを使って「Fortnite」をフルHDでプレイしつつ,同時にOBSからTwitchへフルHDの60fps,ビットレート6Mbpsで配信しても,ゲームのフレームレートは123fpsを維持できるのだ。
 配信せず,ただゲームをプレイした場合のフレームレートは127fpsなので,配信を同時に行ってもフレームレート低下率はわずか3%。いずれにせよ120fpsオーバーなので,これで十分な性能だと考えている。

――CEOであるLisa Su博士は今回,次世代GPUである「Navi」(ナヴィ,開発コードネーム)について,基調講演で何の言及もしなかった。
 CES 2018のタイミングで彼女は,Naviを2019年にリリースすると予告していたが,これはどういうことなのか。Naviは順調なのか。

Adam Kozak氏:
 Naviについては何も言えないが,開発状況は順調だ。Lisaが今回の基調講演でNaviに触れなかったのは,Radeon VIIの発表インパクトを薄めたくなかったからではないだろうか。これはあくまでも個人的な意見ではあるが。


第2世代Ryzen Mobile&Chromebook向けA-Series APU編:前者が12nm版と14nm版の2種展開なのはなぜ?


 ノートPC向けAPUについて語ってくれたのは,AMD公式配信などでもお馴染みのRobert Hallock(ロバート・ハロック)氏だ。

――第2世代Ryzen Mobileが登場し,2019年はAMDのノートPC戦略に弾みがつきそうに思えるが,発表に何か追加すべきコメントはあるか。

Robert Hallock氏(Senior Technical Marketing Manager, CPU/APU Technologies & IP, AMD)
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Robert Hallock氏:
 第2世代Ryzen Mobile APUは,とくに400ドルから500ドルクラスのエントリークラスノートPCの市場へ大きなインパクトを与えると考えている。最高性能を求めるエンスージアストにとってはあまり興味のないジャンルだろうが,Intelがあまり力を入れていないところがチャンスだと思っている。
 第2世代Ryzen MobileはZen+世代のRyzenとVega世代のRadeonを搭載しているため,コストパフォーマンスにおいて競合を完全に上回っているからだ。

 Chromebook市場においても同様で,この分野の300ドル周辺クラスにおいて,IntelはPentiumやCeleronブランドのプロセッサで戦っているのだが,我々が今回発表したA-Series APUのほうが性能は断然よい。Chromebookの主な使用目的であるWebブラウジングにおいて,同価格帯のIntelプロセッサ搭載機と比べて約23%も性能が高いというデータも出ている。
 我々が思うに,Intelは,このChromebookの市場において,ユーザーが必要としている「要求性能」を甘く見ている気がする。2019年,我々はChromebook市場で躍進することだろう。

――そのChromebook用A-Series APUだが,今回発表となったA6-9220CとA4-9120Cは28nm製造プロセス技術を採用したモデルだ。これは「Stoney Ridge」ベースと見受けられる。2019年モデルに搭載されるプロセッサとして,性能やバッテリー駆動時間など,時代が求める性能を満たしていると言えるのか。

A6-9220Cを搭載するAcer製Chromebook「Chromebook 315」の動作デモ展示
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Robert Hallock氏:
 まったく問題ない。確かにA6-9220CとA4-9120Cは28nmプロセス技術を用いて製造されるStoney RidgeベースのAPUだが,6WというTDP要件を満たす設計になっていて,また,「Excavator」ベースのCPUではあるけれども,Chromebook向けとしては競合のCPUよりも性能が高い。
 GPUも同様で,GCN(Graphics Core Next)世代のRadonを統合し,192基のシェーダプロセッサがあるため,フルHDの画面を快適に描き出せる。バッテリー駆動時間もGoogle側が要求する「10時間」をクリア可能だ。

――今回,35WというTDPで3000HシリーズのRyzen Mobileが初設定となった。こちらをAMDはゲーマー向けノートPC用APUと位置付けているが,現実問題として,ゲーマー向けノートPCの花形でもあるハイエンドモデル向けのプロセッサをAMDは用意できていない。この点についてはどう考えているのか。

AMDが第2世代Ryzen Mobileの発表に合わせて公開したスライド。よく見ると,ゲーマー向けノートPCの中上位モデルはカバーしていないのが分かる
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Robert Hallock氏:
 鋭い指摘だが,結論から言えば,「まずはここから始めることにした」のだ。
 ゲーマー向けノートPC市場は成長中だが,世界市場で年間8800万台売れているノートPCのうち,ゲーマー向けモデルの占める割合はまだ小さい。そのなかでハイエンドとなればもっと小さくなる。
 今回発表した3000Hシリーズの第2世代Ryzen Mobileを足がかりとして,他の領域にも進出していければと思っている。

――細かい質問だが,AMDが開示した第2世代Ryzen Mobileおよびその下位モデルだと,「Ryzen 3 3200U」と「Athlon 300U」の2モデルのみが14nmプロセスを採用していた(関連記事)。Zen+世代をAMDはこれまで12nmプロセス技術とセットでアピールしてきたが,なぜこの2モデルだけ14nmプロセス世代に留まるのか。

AMDが公開した,第2世代Ryzen MobileとAthlon 300Uのスペック一覧。下位2モデルだけ14nmプロセス世代となっている
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Robert Hallock氏:
 今回発表した第2世代Ryzen MobileシリーズとAthlon 300Uが採用するCPUコアはすべてZen+だ。
 しかし,指摘のとおり,Ryzen 3 3200UとAthlon 300Uの2モデルのみ,14nmプロセスでの製造となった。これは結論から言えばテープアウト(tapeout,最終物理設計)のコストからくるものだ。12nmプロセス技術は14nmプロセス技術の改善版であるため,プロセッサ設計における内部トランジスタのレイアウト,配線設計など,すべてを持ち越すことができる。ただし,テープアウトのコストは熟れた14nmのほうが格段に安価となる。なので,コストが重視される下位クラスのプロセッサにおいては14nmプロセスを選択したということだ。

AMD公式Webサイト

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