インタビュー
【PR】分業体制を敷く「アッシュアームズ」運営会社シドニアの取締役兼COO 林 修雄氏へインタビュー。4つの新作情報も明らかに
シドニアは,戦車や戦闘機を擬人化したスマートフォン向け新作アプリ「アッシュアームズ-灰燼戦線-」(iOS / Android:以下,アッシュアームズ)を10月25日にリリースした運営会社だ。
擬人化した兵器たちが終末世界で戦いを繰り広げる“萌えミリタリー”を主題にした作品としては,比較的ハードコアな世界観をウリとして人気を集めているアッシュアームズだが,配信元のシドニアはどんな会社なのだろうか。
そんなシドニアで取締役兼COOを務める林 修雄氏にインタビューする機会を得られ,同社設立の経緯や,開発/運営の裏側に加えて,今後発表を予定している新作タイトル,さらには人材募集に関する諸々の情報についても聞けた。以下,その内容をお届けしよう。
「アッシュアームズ-灰燼戦線-」公式サイト
シドニア 公式サイト
目標は開発から運営までを自社で完結させること
発表を控える“4つの新作タイトル”の情報も明らかに
4Gamer:
シドニアに関するインタビューは今日が初とのことですので,まずは会社についての話からお聞かせください。そもそもシドニアはどういった会社なのでしょうか。
林 修雄氏(以下,林氏):
2人の日本人と2人の中国人が協力して,2018年11月に日本で立ち上げたスマートフォンゲームの制作会社です。立ち上げのメンバーはもともと全員別々の会社に所属していたのですが,イベント等で知り合ったことから仲良くなりまして。趣味趣向も似ていたことから「自分たちで何かできないか」といった話になり,会社設立に至りました。
具体的に動き始めたのは,2018年の秋頃ですね。まだ中国で制作中だったアッシュアームズを見つけて,その出会いをもって会社を立ち上げる決意を固めました。その後は4人の退職時期を合わせて,会社を立ち上げたという流れですね。……実は最後に会社に入ったのは私だったりします(笑)。
4Gamer:
最初の段階では4人だったとのことですが,現状ではけっこうな大所帯になっていますね。メンバーはどういった構成になっているのでしょう。
林氏:
準備中の案件のため,中国にエンジニアとプランナー担当者を2人置いて,日本国内には11名のメンバーがいます。なので合計して13人ですね。会社を立ち上げてから,ゲーム業界内で知り合ったメンバーに片っ端から声をかけて集めました。
4Gamer:
13名でアッシュアームズの運営をすべて担うのは大変そうですね。今のところ,表に出ている仕事はアッシュアームズだけですが,それ以外にも仕事を請けられているのですか?
林氏:
アッシュアームズの正式サービスが始まるまでは,業務委託という形で仕事をしていました。シドニアの名前は出していませんが,国内外での運営代行をしたり,別のパブリッシャゲームの広告代理,カスタマーサポート,Webサイトのデザイン,デバッグ,翻訳など,スマートフォンゲームに関連する業務に関わったりしています。そういった仕事を進めつつ,初の自社タイトルとなるアッシュアームズの配信を準備してきたわけですね。
4Gamer:
というと,現在は外部委託の仕事などは請けていない?
林氏:
ええ,アッシュアームズが始まってからは新規の仕事は請けていません。継続中の業務委託案件とアッシュアームズで,もう手一杯です。
4Gamer:
アッシュアームズは中国で制作されたタイトルとのことでしたが,正式サービスは日本が先でしたよね。制作会社さんも含めて,そのあたりの内情をうかがいたいです。
林氏:
ゲームを制作しているのは,中国の成都にあるEmbersという開発チームです。アッシュアームズの開発は2015年にスタートしていたので,順調に進んでいれば2018年でサービスを開始してもおかしくありませんでしたが,Embersさんもこれが初のゲーム開発だったようで,制作が難航していたんです。
4Gamer:
そこにシドニアがパブリッシャとして手を挙げたと。期間を見ると,けっこう長く塩漬けにされていたようにも見えますが,どこに問題が合ったのでしょう。
林氏:
非常に単純な話で,当初のアッシュアームズは商業作品としての完成度があまり高くありませんでした。実はかなり前から中国国内でパブリッシャが決まっていましたが,長い期間をかけてもリリースされていなかったのは,ゲームとしてはずっとデモの段階を抜け出せなかった,という事情でした。なので,パブリッシングを引き受けたあとは製品としての完成度を最優先に行いました。
4Gamer:
その頃のアッシュアームズを見て,どういった部分からパブリッシングを引き受ける決意をしたのでしょう。
林氏:
この作品の“戦闘機と戦車の擬人化”というテーマから,非常に強い魅力とポテンシャルを感じたんです。シドニアのメンバーは運営の経験も長く「しっかりと改良をすれば世の中に受け入れられる作品なる」ということが分かったんです。2018年の10月にEmbersさんに直接出向して我々の想いをぶつけた結果,日本でのライセンス権を獲得できました。
4Gamer:
2015年に開発が始まったタイトルということは,基礎となる部分の制作はすでにある程度済んでいた頃かと思います。シドニアが開発に関わってからは,どういった部分に手をつけたのでしょう。
林氏:
シドニアがパブリッシングをすることが決まり,商業化に向けた本格的な開発が始まったのは2019年の年明けからでした。そこで手をつけたのは,商業化に向けて不足しているコンテンツや基本的な機能,および既存システムの改修案,さらにGMツールの必要な機能,サーバーの構築の仕方など,100ページ以上の膨大な資料にまとめて,開発側に提供しました。
4Gamer:
当初の仕様と比較して,とくに大きく変化した部分はどこでしょうか。
林氏:
一番大きく変わったのは戦闘システムですね。現状ではスパロボ風のターン制バトルになっていますが,初期の頃は違うシステムでした。アッシュアームズは過去に2回のクローズドβテストを実施しましたが,1回目が始まるまでの半年間はひたすら戦闘システムの改修だけを進めていました。
初期段階のバトルは本当に複雑で,Embersさんの社内でも全員がシステムを理解しているわけではなく,「なぜこのコマンドで,特殊な挙動が発生するのか」「なぜ今の攻撃で敵を倒せたのか」「何をタップすれば次に進められるのか」といった基礎部分ですらレビューに参加した人が熱心にプレイしても,ほとんど理解できませんでした。実働させてみても,1回の戦闘で15分〜30分かかってしまう状況だったので,これはまずいだろうなと。
4Gamer:
開発が長期化した結果,仕様がどんどん複雑になっていたんですね。そのうえでバトルが長いとなると,確かにソロプレイがメインのスマホゲームでは少し厳しいかもしれません……。
林氏:
実は現状でもユーザーさんからは「戦闘が難しい」という声を受けているのですが,それでも当初と比べれば圧倒的に簡単になっているんですよ。Embersさんはもともとこのゲームをコンシューマーゲームの感覚で開発をしていたので,システム全体の簡略化というシドニアの要望がなかなか理解してもらえず,半年間試行錯誤を繰り返して,ようやく双方が納得できる戦闘システムになりました。
4Gamer:
確かに,カジュアルな作品と比べれば変数の多いゲームではありますよね。
林氏:
リリース段階では解説テキストを入れていたんですが,それでも足りませんでした。細かな要素に関しても視覚的に挙動を理解しやすいよう調整を加えているので,ユーザーさんにはそれらの意味をしっかりと伝える努力が必要だと認識しています。
4Gamer:
正式サービスから多くの要望が寄せられているかと思いますが,中でも多い要望はどういったものですか?
林氏:
戦闘面では,オート操作時におけるAIの挙動が悪い,戦闘のテンポが悪いというご指摘を受けています。それ以外の部分では,キャラクター同士の掛け合いが楽しめるストーリーを実装してほしい,といった声もいただいています。
シドニアとしては,まずは目下の不具合を修正してゲームを安定させるのを最優先の目標としていますが,こうした問題への対応もしっかりと行っていく予定です。
4Gamer:
具体的に,対応の進行状況や優先順位などをうかがっても良いですか?
林氏:
まず,以前から受けていた「AIの頭が悪い」という指摘については,現在プログラムを書き直してテストを繰り返している段階です。すぐに実装とは言えませんが,年明け以降に安定した結果が出せるようになったらご提供したいと思います。
続いて,戦闘のテンポに関するご意見ですが,プログラムの関係で基礎に組み込まれていて,アニメーションをカットすることはできません。現在はアニメーション自体の簡略化,もしくは一度S勝利したステージを,戦闘が行われず,SKIPに近い形でユーザーの負担を減らすよう開発に提案しております。
4Gamer:
そもそもカット自体がプログラム的に不可能,ということですね。シドニアがアプローチをして,修正している段階で手を加えることはできなかったのですか?
林氏:
実は,最初にシドニア側から出した改修案にも“アニメーションのON/OFF”は含まれていて,それも実装を前提に制作が進んでいたのです。しかし,エンジニアから「土台の設計の問題で不可能」という声が返ってきました。そのため現状の対応となっています。
4Gamer:
UIの面に関してはいかがでしょうか。
林氏:
それに関しては,1回目のCBTから大幅に変化している点のひとつで,常に声を受け止めて改善すべき要素だと考えています。我々はずっとゲームに張りついていて,さまざまな要素を完全に覚えてしまっているので,改善の発想が内側から生まれにくいという事情もあります。
正式サービス後から「この情報が足りない」「この表示がほしい」といった声は多数届いていますので,そちらもまとめて改善できるよう制作を進めています。
4Gamer:
開発にも運営にも強い熱意を感じますね。
林氏:
実は配信1か月ですでに当初の半年分の目標を達成してしまったため,開発チームのモチベーションは配信が開始されてからどんどん高まっています。シドニアは運営側として,まず不具合の修正とシステム周りの改善は最優先だと考えていますが,開発チームはそれらと並行しながら,新しいコンテンツも毎月追加していきたいと,我々の想像以上の仕事量を自ら申告してきました。
実際,主要の開発メンバーはアプリの配信後,ほとんど帰宅せずにずっと開発を進めています。プランナーとUIデザイナーは深夜でも構わずテキストを送ってきて,シドニアの運営スタッフは交代制で24時間常に翻訳に対応しないと開発に追いつかない状況となっています。
4Gamer:
今後はアッシュアームズ以外にもゲームを手がけることになるかと思いますが,どういった仕事を進めていく予定ですか。
林氏:
シドニアは単にゲームのパブリッシングを行うだけでなく,企画から開発,運営まで一本化できる会社を目指しています。まず来年の計画として,ほぼウチで手がけることが決定したタイトルが4つあります。
4Gamer:
おお,すでに4つも!
林氏:
1つ目は戦闘機の擬人化ゲーム「エースヴァージン:再出撃」で,2020年1月にサービスを開始予定です。このタイトルは過去に「ソラヒメ」というタイトルで,去年の12月まで配信されていたものです。開発元の上海幻天さんからお声掛けをいただき,ウチで運営を行うことになりました。
アッシュアームズとジャンルが被る部分もあるので,最初は断るつもりだったんです。しかし,向こうのプロデューサーが旧知ということもあり,「このタイトルをこんな形で終わらせたくない」という想いを受けた形です。
4Gamer:
それはソラヒメとはまた別の形で,新規にリリースするということでしょうか。
林氏:
はい,データの引き継ぎもなく完全新規のタイトルとして提供します。基本的には以前の内容と同様ですが,これからの新キャラはシドニアと共同で制作していく予定です。
4Gamer:
では2つ目の作品はいかがでしょう。
林氏:
2つ目については,まだ詳細な情報はお伝えできないのですが,フル3Dの萌えミリタリーモノになります。こちらに関しては,シドニアが企画から開発,運営まですべて自社で完結するタイトルになります。
4Gamer:
しかし,現状のメンバーですべてを回すのは少し難しくはありませんか?
林氏:
日本チームとは別に,中国で開発専門のチームを結成して開発を進める予定です。今後も技術開発面は中国チームに任せて,企画とリソースの提供,パブリッシング,運営などの面は日本チームで行う,といった分業体制で業務を進めていきます。
4Gamer:
いわゆる2次元的な世界を愛しているシドニアが,3Dという表現方法を選んだ理由をお聞かせください。
林氏:
萌えミリは“メカもの”でもあるので,その動きや臨場感を表現するなら,やはり3Dかなと。もちろん,普通のファンタジーRPGを作ろうという話になれば,3Dにこだわる必要はないと思いますけどね。兵器の擬人化という題材を扱う以上は「3Dでどこまで魅力を表現できるのか」といった部分は,挑戦しがいのある領域だと考えています。
4Gamer:
残りの2つに関してはいかがでしょうか。
林氏:
3つ目は,美少女が武装を背負って空を飛んで戦う「ヴァルキリーインパルス-天翔ける乙女-」という,イラストレーターのHarui先生(@Harui9000)が企画している同人コンテンツを題材にした作品です。こちらはイラストと世界観が先にあって,そこからコンテンツを広げていくスタイルの企画ですね。
今年の夏コミで偶然出会ったのですが,その世界観とキャラクターデザインに魅力を感じまして。社内でも「我々がこれをゲームにできたら面白いんじゃないか」という話になり,来年の春から本格的な開発がスタートすることになっています。βテストが実施できるまでは1年間ほどかかる見込みです。
4Gamer:
おお,同人作品からのパブリッシングとは珍しい。ファンにとっては嬉しい報告でしょう。
林氏:
残った1作品はまだお話しできる段階にはないのですが,こちらは日本の大手会社との共同開発作品になります。また来年の春以降に情報公開になりますので,今しばらくお待ちください。
4Gamer:
中国,日本を問わず広告代理の仕事も請け負っているとのことですが,そういった業務についてもお聞かせください。広告戦略の面で,気を遣っている点などはありますか。
林氏:
日本のゲーム会社は広告を代理店任せにしていることが多いのですが,シドニアは広告を自社で完結させるようにしていて,TwitterやGoogleに向けた広告も自分で直接出稿しています。
4Gamer:
代理店を通さない利点はどこにあるのでしょうか。
単純に自社で完結させられるなら,そうした方が安上がりなんです。ただ,代理店でなければ出稿が難しい媒体も多いので,そこは作品次第という部分はあるかと思います。
4Gamer:
日本と中国でマーケティングの在り方は異なるかと思いますが,これから重要になる手法はどうなるお考えでしょうか。
林氏:
正直,今も昔も大きくは変わらないと思っています。テレビや物理媒体よりも,オンラインでの露出の方が単純に効果が高いでしょうね。
もちろん,単純に知ってもらうための広告としての効果だけでなく,よりゲームのブランド力を高める,という意味ではリアル広告にも価値があると思います。したがって,予算が余っていれば,リアル広告も積極的に展開して行きたいと思います。
4Gamer:
デジタル向けの広告が効果的であることは周知の事実かと思いますが,その点についても広告代理店さんが関わられていることが多いですよね。やはり,デジタルマーケティングの知識を持っている人は少ない?
林氏:
そうですね。広告にもさまざまな形式が存在して,自社でそれを完全に把握できる人材は多くないでしょう。どのキーワードで,どんな素材でユーザーさんが興味を持ってくれるのか,そして出稿単価の調整や競合タイトルのリサーチなど,ノウハウを実務以外で得るのは簡単じゃありません。
広告代理店さんはそのノウハウを持っているので,代理店さんにお願いするのが悪いということはないですね。自社でやるとなったら,最低でも数か月は試行錯誤を繰り返すことになります。
オタクに優しい立地と設備
萌え文化好きの“同志”を募集中
4Gamer:
社内の雰囲気はなんというか,かなりアットホームな空間ですよね。オタク的な言い方をすると,まるで自分の家のようです。
林氏:
今のところは会社の規模があまり大きくないので,かなり自由に空間を使わせてもらっています。
4Gamer:
外の様子は「昔ながらの秋葉原」のような景色が広がっていますが,やはり電気街を選んでオフィスを構えたのですか?
林氏:
もちろん,僕らは「新しく会社を作るならオフィスは絶対に秋葉原にする」と決めていました。周囲にはジャンクなPCパーツが揃った電気屋さんが並んでいて,メイドさんも歩いているので,完璧に充実した立地だと自負しています。
4Gamer:
社内で猫を2匹も飼っていて,ある意味で夢のような環境ですが……。よければ,この子たちの名前も教えてください。
林氏:
グレーの男の子はルル君,ベージュの女の子はナナちゃんです。この名前は「コードギアス反逆のルルーシュ」のルルーシュとナナリーから取りました。ただ,この2匹は名前に反して喧嘩が絶えないので一緒に外には出せないんですよ。
4Gamer:
猫たちは会社設立時から飼われていたのですか?
林氏:
第2回のCBTから正式サービスまで,シドニアのメンバーはほとんど休みなしで働いていたんです。そしたら,開発のEmbersさんから「猫を飼うと癒やされるよ」とアドバイスをもらって,ルル君を飼うことにしました。
みんなで可愛がって,今ではマスコットになっています。ゲームを起動した時にロゴと一緒に表示される黒猫や,シドニアの公式Twitterアカウントのアイコンもルルですね。社内の絵師が描いてくれました。
4Gamer:
本当にシドニアの顔のような存在になっていますね。となると,ナナちゃんはルルの後に来たんですか?
林氏:
はい。ナナが来たのは11月中旬くらいで,まだウチには来たばかりですね。同時に外に出すと喧嘩してしまうんですが,育てばナナの方が大きくなるので,今後は落ち着いてくれたらいいんですが。
4Gamer:
林氏はお若く見えるのにかなり日本語がうまいですが,もう日本は長いのでしょうか。
林氏:
年齢は31歳です。これでもメンバーの中では年上の方で,このオフィスにいる人のほとんどは20代ですね。日本語についても,中学生の頃に日本に来てからずっと日本に住んでいるので,もう慣れてしまいました。
ひいおばあさんが日本人で,両親も一緒に日本で住んでいるので,そのあたりの違和感もありません。中国に実家はあるんですが,日本に来てからは2〜3回しか帰っていないので,日本より中国の情報のほうが少ないくらいです。
4Gamer:
萌えミリタリーものというか,そういったオタクコンテンツにハマッたきっかけはなんだったんでしょうか。
林氏:
一番影響を受けたのは日本のアニメですが,最初にハマッた作品というと,昔過ぎて記憶が曖昧ですが……来日した当時にアニメが放送していた「シャーマンキング」が大好きでした。あとは,ちょっと古い作品ではありますが「らんま1/2」もよく観ていましたね。今につながる作品としては「涼宮ハルヒの憂鬱」も関わっていると思います。
4Gamer:
アニメではなくゲーム制作の道に進んだのには,どういった意図があったのでしょう。
林氏:
素人がいきなり「アニメを作ろう!」というのは無理だと思います。お金も技術もありません。ゲームは日常的にプレイしていたので,勉強すれば身につけられる部分で挑戦したいなと。
4Gamer:
ゲームというと,どのあたりを遊ばれていましたか?
林氏:
人気になったスマホゲームは基本的に勉強のつもりで触っていますが,実はこの業界に入るまで,スマホゲームの経験はあまり無く,美少女ゲームが大好きでした。オタクになって初めて触れたのはKeyさんの作品ですね。麻枝 准さんの作品は今でも大好きです。おそらくですが,麻枝さんが手掛けた作品のおかげで今までずっとオタクを続けられたんだと思います。
4Gamer:
それらの作品は日本に来てから遊んだかと思いますが,中国でも人気があるのですか?
林氏:
Key作品はAIRもCLANNADも中国で大人気ですよ。最近では麻枝 准さんの完全新作のスマートフォンゲームも発表されて,個人的にもすごく楽しみにしています。
Key 麻枝 准氏の新作RPG「Heaven Burns Red」が発表――キャラデザはゆーげん氏,キャラ原案はNa-Ga氏らと万全体制
WFSとビジュアルアーツは両社の協業タイトルとして,新作スマホゲーム「Heaven Burns Red(ヘブン バーンズ レッド)」を,2020年内に配信すると発表した。本作はKeyの麻枝 准氏が手がける作品で,ゲームジャンルはRPGになるという。
4Gamer:
初めてゲーム開発に関わったのは,就職されてから?
林氏:
いえ,もともとゲームと関係ない仕事をしていましたが,中途でゲーム運営会社に転職して,そこで仕事を学びました。自分はゲーム業界に入ってまだ5年ほどで,ここで一緒に仕事をしているメンバーのほうが長く業界にいる人が多いです。
4Gamer:
いわゆる萌え文化的なものは,日本と中国でなにか違いはあるのでしょうか。かなり感性が近くなっているようにも思いますが。
林氏:
基本的にはそれほど差がないと思いますが,最近中国でオリジナルの萌えコンテンツが増えてきていて,それによって増加した“ライト層”は,日本人と受容しているコンテンツがズレているかもしれません。ただ,昔から日本の萌えコンテンツを楽しんでいた人達は,ほとんど日本のオタクと違いません。
4Gamer:
例えば,いま中国ではどういった作品が流行っているのですか?
林氏:
流行りの異世界転生ものは中国でも大人気です。日本で流行ったものは,たいてい中国でも人気がありますよ。場合によっては,日本よりも中国で人気が爆発する作品もあります。例えば,アニメの「デート・ア・ライブ」は中国と台湾で凄まじい人気作品ですよ。なぜそこで人気に差が出るのかは,僕にもちょっと分かりませんけどね。
4Gamer:
ゲームの開発は主に中国で行われるとのことですが,今後のプログラマーやエンジニアなどは中国で募集することになるのでしょうか。
そうですね,今後はシドニア主導で作品を作っていくので,中国での開発チームを拡充していくことになります。ただ,まだ中国での法人は作っておらず,別会社との業務提携という形を取るのか,シドニア資本で新しい会社を立ち上げるのかは決定していません。
4Gamer:
シドニアは現在でも人材を募集していますか?
林氏:
ええ,もう大募集中です!
4Gamer:
日中による共同開発,パブリッシングは日本という,やや特殊なスタイルを採用されているシドニアですが,国内のシドニアが募集するのはどういった人材になるのでしょう。
林氏:
萌え文化が好きで,僕たちの“同志”になってくれる人が欲しいですね。また,開発拠点の中国とコミュニケーションが取れる,中国語ができる方は歓迎します。中国語は必須ということではなく「できればなお良い」という感じですね。
4Gamer:
職種的にはいかがでしょう。国内で募集するとなると,やはり運営関連の仕事が主になりますか?
林氏:
ええ,日本ではプランナーと運営の経験がある方を主に採用したいと思っています。また,今はマーケティングに関する知識がある人も欲しいです。
4Gamer:
挙げていただいたプランナー,運営,マーケティングの中で,人が集まりにくい職種はどれでしょうか。
林氏:
一番は運営ですね。これに関しては開発チームと密接にやり取りをする必要が出てくるので,どうしてもある程度は中国語が必要になってくるんです。シドニアの構成メンバーは日本人と中国人で半々なのですが,それでも中国語ができる人は多いほうが嬉しいです。
4Gamer:
シドニアは,これからどんな会社に成長していきたいですか?
林氏:
日本のプランニングと中国の技術を合わせてゲームを作っている会社なので,2つの国に同時にアプローチできる,2次元の“萌えコンテンツ”を提供する会社になりたいです。パブリッシャとして中国には進出していないのですが,中国の方にもぜひ楽しんでほしいと思っています。
4Gamer:
成果物などのチェックは林さんが対応されているかと思いますが,気をつけて見ているポイントなどがあれば教えてください。
林氏:
メカ擬人化モノは,元ネタになった実際の兵器をどういった形で,どこまで再現しているかを重視しています。オリジナルの兵器を描く作品はヴァルキリーインパルス以外は今のところ作る予定がないので,もっとも気を遣っているのはそこですね。
同じ理念のもとで会社を立ち上げて,自分の趣味もつまびらかにしているので,そこに関してはみんな承知してくれているかと思います。なんだったら,兵器に関しては僕より詳しい人のほうが多いですし,確認も気軽に取れます。
4Gamer:
となると,兵器の知識があると会社に馴染みやすそうですね。
林氏:
そうですね。もちろん,兵器に詳しくなくとも日本の萌えコンテンツに理解がある人は歓迎しますよ。
4Gamer:
シドニアへの就職に興味がある人は,どこを確認したら人材募集の情報などを確認できますか?
林氏:
公式サイトに求人情報をまとめていますので,そちらを確認していただければと思います。そこから履歴書と,職務経歴書を添付していただければ,僕が直接チェックします。
4Gamer:
お忙しい中,本日はたくさんのお話をありがとうございます。シドニアの今後にも期待しています。
以上でインタビューは終了となる。しっかりと先を見据え,日本と中国の“いいとこ取り”を成功させつつあるシドニアの未来がどうなるのか,今後に期待しておこう。
それはさておき,現場ではルル君とナナちゃんの写真をたくさん撮影できた。このまま写真フォルダに収めておくのももったいないので,最後にまとめて掲載しておく。
●ルル君
●ナナちゃん
「アッシュアームズ-灰燼戦線-」公式サイト
シドニア 公式サイト
──2019年12月4日収録。
- 関連タイトル:
アッシュアームズ-灰燼戦線-
- 関連タイトル:
アッシュアームズ-灰燼戦線-
- この記事のURL:
キーワード
(C)Chengdu Wanhuajing Technology CO., Ltd.
(C)Chengdu Wanhuajing Technology CO., Ltd.