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Radeon RX 6600搭載カード「PULSE RX 6600 Gaming」レビュー。上位モデルやGeForce RTX 3060との性能差を探る
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印刷2021/10/13 22:00

レビュー

Radeon RX 6600 XTやGeForce RTX 3060との性能差を探る

Sapphire PULSE RX 6600 Gaming

Text by 宮崎真一


 2021年10月13日22:00,AMDは,ミドルクラス市場向けのデスクトップPC用新型GPU「Radeon RX 6600」(以下,RX 6600)を発表した。RX 6600は「Navi 23」(開発コード)とも呼ばれているGPUで,モデルナンバーから分かるとおり,すでに発売されている「Radeon RX 6600 XT」(以下,RX 6600 XT)と同じ半導体ダイを用いたものだ。
 AMDは,RX 6600が「1920×1080ドットでの快適なゲームプレイを想定」したGPUであると述べている。

 今回,RX 6600を採用したSapphire Technology(以下,Sapphire)製グラフィックスカード「SAPPHIRE PULSE AMD Radeon RX 6600 Gaming」(以下,PULSE RX 6600 Gaming)を試用する機会を得たので,RX 6600のゲームにおける性能はどの程度なのか,早速,確かめてみたい。

Sapphire PULSE RX 6600 Gaming
メーカー:Sapphire Technology
実勢価格:未公表(※2021年10月13日現在)
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RDNA 2アーキテクチャ採用の下位モデル

RX 6600 XTからStream Processorが4基減少


 まずは,RX 6600がどのようなGPUなのかを確認しておこう。
 冒頭でも触れたとおり,RX 6600は,GPUコアに上位モデルのRX 6600 XTと同じNavi 23を採用する。そのため,RX 6600もRDNA 2アーキテクチャに基づいたGPUとなり,7nmプロセスルールで製造される。また,ダイサイズが237mm2,トランジスタ数が約111億個という点も,上位モデルと変わらない。
 RX 6600 XTでは,シェーダプロセッサ16基を束ねて,AMDが「Stream Processor」(以下,SP)と呼ぶ実行ユニットとしたうえで,SPをキャッシュメモリやレジスタファイル,スケジューラやテクスチャユニットなどと組み合わせた演算ユニット「Compute Unit」(以下,CU)を構成する構造を採る。そのSPを32基備えているため,RX 6600 XTにおけるシェーダプロセッサの総数は,64×32で2048基となっていた。それに対してRX 6600は,SPが4基少ない28基となり,それゆえ,シェーダプロセッサの総数は1792基と,RX 6600 XTの88%ほどの規模に留まっている。

 RDNA 2アーキテクチャでは,リアルタイムレイトレーシング処理を担う「Ray Accelerator」(以下,RA)が搭載されているが,これはRX 6600でも健在だ。1基のSPに1基のRAを組み合わせる構成なので,RX 6600のRA数は28基となる。さらに,RDNA 2アーキテクチャでは新たなキャッシュシステムである「Infinity Cache」が大きな特徴となっているが,RX 6600でも上位モデルであるRX 6600 XTと同じ32MBが用意されている。

Radeon SoftwareでRX 6600の仕様を確認したところ
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 そのほかに,PCI Express(以下,PCIe) 4.0に対応している点や,CPUがグラフィックスメモリに対するフルアクセスを可能とする「Smart Memory Access」に対応している点などは,従来のRadeon RX 6000シリーズから変わりはない。

GPU-Z(Version 2.43.0)の実行結果
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 なお,RX 6600のベースクロックは未公開だが,ゲームクロックは2044MHz,ブースト最大クロックは2491MHzとなっている。RX 6600 XTと比べると,前者は約87%,後者は約96%に抑えられた格好だ。ただ,RX 6600のブースト最大クロックが,RX 6600 XTの2589MHzからあまり低下していない点は,トピックのひとつとして挙げられよう。

 グラフィックスメモリだが,RX 6600でもRX 6600 XTと同様に,容量8GBのGDDR6を組み合わせている。メモリインタフェースも128bitで,RX 6600 XTと変わらないが,メモリクロックは14GHz相当と,RX 6600 XTの16GHz相当から下がっている。そのため,メモリバス帯域幅は224GB/sと,RX 6600 XTの88%ほど,競合製品となる「GeForce RTX 3060」(以下,RTX 3060)に比べると62%ほどしかない。このあたりは,RX 6600が1920×1080ドットでのゲームプレイを想定していることと,Infinity Cacheの効果が期待できることから,メモリバス帯域幅はある程度抑えているのだろう。

 そんなRX 6600の主なスペックを,上位モデルのRX 6600 XT,競合製品のRTX 3060,それにエントリー〜ミドルクラス市場向けとしていまだ人気のある「GeForce GTX 1660 Ti」(以下,GTX 1660 Ti)とともにまとめたものが表1となる。

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カードサイズは194mmと比較的短め

オリジナルクーラーのDual-Xを採用


 PULSE RX 6600 Gamingのカードそのものについて見ていこう。

PULSE RX 6600 Gamingの表面(上)と裏面(下)。金属製のバックプレートは,上部が折り曲がり,GPUクーラーと合わせて箱のような形状になっているあたりは特徴的だ
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カード長は約194mm
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 カード長は実測で約194mm(※突起部除く)。比較対象に用いたRX 6600 XT搭載カードのMSI製「Radeon RX 6600 XT Gaming X 8GB」が同280mmであったのに比べると,かなり短めである。PULSE RX 6600 Gamingの基板自体は,175mmほどしかなく,GPUクーラーがカード後方に約19mmはみ出た格好だ。

基板部分はクーラーよりも2cm近く短い(左)。実測重量は約506gだった(右)
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 搭載するGPUクーラーは,2スロット占有タイプで,Sapphireオリジナルの「Dual-X」と呼ばれるものだ。90mm径相当のファンを2基搭載しており,「Intelligent Fan Control」という機能により,アイドル時にはファンの回転を停止して,静音性の向上に努めている。

2基のファンから成るGPUクーラー(左)。ファンのブレードは,エッジが別のブレードとつながったユニークな形状をしている(右)
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 カードを横から覗き込むと,GPUクーラーには6mm径のヒートパイプを2本用いているようで,GPUベースがメモリチップにも接しているほか,電源部にはヒートシンクが装着されているのが確認できる。また,裏面には金属製バックプレートが装着され,カードの剛性を保っているほか,カード冷却の一助にもなっている。

補助電源コネクタは一段低い位置に実装しており,コネクタがケースに干渉しないよう配慮がなされている
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 PCIe補助電源コネクタは,8ピンを1基装備する。RX 6600 XT搭載モデルも8ピン×1だったので,消費電力面で大きな変化はないのだろう。また,映像出力インタフェースは,DisplayPort 1.4が3つに,HDMI 2.1が1つと,今どきのグラフィックスカードとしては一般的な構成だ。

映像インタフェースは,DisplayPort×3とHDMI×1の一般的な構成。ブラケットには排気孔となるスリットも見られる
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エントリーミドルにおける立ち位置を確認

レイトレーシングのテストも実施


 それでは,テスト環境の構築に話を移そう。
 今回,比較対象には,上位モデルのRX 6900 XTと,競合製品となるRTX 3060を用意した。さらに,同じエントリー〜ミドルクラス市場向けの現行製品であるGTX 1660 Tiとの比較も行った。GTX 1660 Tiは人気の高いGPUのひとつで,RX 6600の性能を,GTX 1660 Tiとの比較で推し量れると思う。

 今回テストに利用したRTX 3060およびGTX 1660 Ti搭載カードは,メーカーレベルで動作クロックを引き上げたクロックアップモデルとなっている。そのため,MSIのオーバークロックツール「Afterburner」(Version 4.6.4)で,動作クロックをリファレンスまで下げて使用している。ただし,RX 6600 XT搭載カードの「Radeon RX 6600 XT Gaming X 8GB」は,Afterburnerで動作クロックをリファレンスまで下げるとゲームクロックが大きく低下してしまう。そのため,今回は動作クロックを変えることなく,メーカー設定値のままでテストを行っている。RX 6600 XTのリファレンス状態と区別を付けるため,以下では文中,グラフ中ともに,本製品をRX 6600 XT OCと表記することをお断りしておく。

 グラフィックスドライバは,Radeon側が「21.30.17.06-210924a-372022C-RadeonSoftware」というバージョンで,これはAMDが全世界のRX 6600レビュワーに対して配布したものだ。一方のGeForce側は,「GeForce 472.12 Driver」で,テスト時に最新バージョンだ。そのほかのテスト環境は表2のとおり。

表2 テスト環境
CPU Ryzen 9 5950X(16C32T,定格クロック3.4GHz,最大クロック4.9GHz,共有L3キャッシュ容量64MB)
マザーボード MSI MEG X570 ACE(AMD X570,BIOS 7C35v1D2)
メインメモリ G.Skill F4-3200C16D-16GIS PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB×2(DDR4-3200の16-16-16-36設定で利用)
グラフィックスカード Sapphire PULSE RX 6600 Gaming
(Radeon RX 6600,グラフィックスメモリ容量8GB)
MSI Radeon RX 6600 XT GAMING X 8GB
(Radeon RX 6600 XT,グラフィックスメモリ容量8GB)<
ZOTAC Technology ZOTAC GAMING GeForce 3060 Twin Edge OC(GeForce RTX 3060,グラフィックスメモリ容量12GB)
ASUSTeK Computer ROG-STRIX-GTX1660Ti-O6G-GAMING(GeForce GTX 1660 Ti,グラフィックスメモリ容量6GB)
ストレージ Samsung Electronics SSD 850 EVO(MZ-75E500,500GB)
電源ユニット Corsair CMPSU-1200AX(定格1200W)
OS 64bit版Windows 10 Pro(Build 19042.1110)
チップセットドライバ AMD Chipset Drivers 2.13.27.501
グラフィックスドライバ Radeon:21.30.17.06-210924a-372022C-RadeonSoftware
GeForce:GeForce 472.12 Driver

 テスト内容は,4Gamerのベンチマークレギュレーション24.0に準拠。それに加えて,RX 6600はレイトレーシングに対応しているので,その性能を確かめるために,「3DMark」(Version 2.20.7274)におけるレイトレーシングテストの「Port Royal」と「DirectX Raytracing feature test」を追加した。
 さらに,レギュレーション25を先取りする形で,「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズベンチマーク」に代えて,「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」(以下,FFXIV暁月のフィナーレベンチ)を採用している。テスト方法は,最高品質でベンチマークを実行して,総合スコアのほかに平均フレームレートと最小フレームレートを結果として採用するという,レギュレーション24世代までと同じやり方だ。
 解像度は,AMDがRX 6600のターゲットを1080pでのゲームプレイとしているため,1920×1080ドットと2560×1440ドット,さらに3840×2160ドットの3つを選択している。


RX 6600 XT OCの8割前後の性能

レイトレーシングはあまり期待できない


 それでは,3DMarkの結果から順に見ていこう。グラフ1は「Fire Strike」の総合スコアをまとめたものだ。

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 RX 6600は,RX 6600 XT OCの80〜82%程度といったところ。注目すべきは,RX 6600がすべてにおいてRTX 3060を上回っている点で,その差は1〜2%程度ある。RX 6600 XTから性能は落ちるものの,それでもRTX 3060をしっかり上回っているあたりは立派だ。

 続いてグラフ2は,Fire Strikeの総合スコアから「Graphics score」を抜き出したものとなる。

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 ここでも,RX 6600はRX 6600 XT OCの80〜81%程度で,総合スコアを踏襲した形となった。また,RX 6600とRTX 3060との差は4〜6%程度に広がっている。このテストではCPU性能の影響がなくなるため,純然たるGPU性能ではRX 6600に軍配が挙がるということなのだろう。

 グラフ3は,Fire Strikeからソフトウェアベースの物理演算テスト結果を「CPU score」として抜き出したものだ。今回はすべてのテストにおいてCPUを統一しているため,スコアもほぼ横並びとなっている。

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 GPUとCPU両方の性能が効いてくる「Combined test」の結果をまとめたものがグラフ4だ。

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 ここでは,Graphics testにはないGPUによるテッセレーションや光束の表現,それに被写界深度など描画負荷が加わるためか,RX 6600のスコアはRX 6600 XT OCの開きは77〜80%程度と,総合スコアなどよりも差が大きくなっている。また,RTX 3060に対しても,逆転を許してしまった。

 DirectX 12テストとなる「Time Spy」の総合スコアを見ていこう(グラフ5)。

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 ここでは,RX 6600が意地を見せ,RX 6600 XT OCの約85%と,その差を詰めている。しかし,Time SpyではAmpere世代のGeForceが良好なスコアを発揮する傾向があり,RTX 3060もその例に漏れない。そのため,RX 6600はRTX 3060に7〜10%程度の差を付けられてしまっている。

 続くグラフ6はTime SpyのGPUテスト結果,グラフ7はCPUテストの結果となる。

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 GPUテストの結果を見ると,RX 6600はRX 6600 XT OCの83〜84%程度と,総合スコアよりも若干,差が開く形となった。RX 6600は,Stream Processor数がRX 6600 XT OCより少ないことに加えて,メモリ帯域幅も狭いことが影響したのではないだろうか。また,RTX 3060に対しても8〜11%程度の差を付けられており,Fire Strikeほどの勢いは見られない。
 一方のCPUテストの結果は,Fire Strikeと同様に,CPUが同一なためスコアも並んでいる。

 リアルタイムレイトレーシングの性能を計るPort Royalの結果がグラフ8だ。

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 RX 6600の結果は,RX 6600 XT OCの約83%でTime Spyの総合スコアと似た結果になっているものの,RTX 3060比では約37%しかなく,大差を付けられている。もともとRX 6000シリーズのリアルタイムレイトレーシング性能は高くないことに加えて,RX 6600ではRAの数も減っているため,スコアはあまり振るわない。

 それは,グラフ9のDirectX Raytracing feature testでも同様だ。

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 RX 6600のスコアがRX 6600 XT OCの約83%である点は,Port Royalと同様だが,RTX 3060との差は約111%と,2倍以上まで広がった。やはり,RX 6600のリアルタイムレイトレーシング性能は,あまり期待が持てないというのが正直なところだ。なお,GTX 1660 Tiの結果が「N/A」なのは,同GPUがリアルタイムレイトレーシング処理専用ユニットを持たないためだ。

 では,実際のゲームではどうなのだろうか。グラフ10〜12は「Watch Dogs Legion」の結果となる。

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 Watch Dogs Legionでは,レイトレーシングを有効にしてテストを行っており,それゆえ,RX 6600の結果は振るわない。RX 6600は,平均フレームレートおよび1パーセンタイルフレームレート(以下,1パーセンタイル値)で,RX 6600 XT OCの半分以下にまで下がってしまっている。1920×1080ドットでも,まったくプレイできない結果なので,RX 6600では,ゲームプレイでレイトレーシングを有効にしないほうがよさそうだ。なお,ここでもGTX 1660 Tiは,レイトレーシングが処理できないため「N/A」となっている。

 続いて,「バイオハザード RE:3」の結果がグラフ13〜15となる。

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 RX 6600は,平均フレームレートでRX 6600 XT OCの76〜82%程度に収まっている。ただ,RTX 3060に対しては12〜32%程度離されてしまっており,Fire Strikeのような勢いは見られない。しかし,1パーセンタイル値を見ると,RX 6600は2560×1440ドットで60fpsを大きく上回っており,同解像度で快適なプレイが実現している点は評価できよう。

 「Call of Duty: Warzone」(※グラフ内ではCoD Warzone)の結果がグラフ16〜18だ。

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 ここでもRX 6600は,平均フレームレートでRX 6600 XT OCの78〜82%程度と,バイオハザード RE:3に似た結果となった。ただし,1920×1080ドットでは,RX 6600がRTX 3060を上回る性能を発揮している点は立派だ。解像度が上がるにつれて,RTX 3060に逆転を許してしまうものの,AMDが想定する1920×1080ドットのゲームプレイでは,RX 6600のほうがRTX 3060より優位というのは評価できるポイントだろう。

 続いて「Fortnite」の結果をグラフ19〜21に示す。

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 Fortniteでは,再びRX 6600が振るわない結果となった。平均フレームレートで,RX 6600がRX 6600 XT OCの80〜81%程度に留まる点は,これまでのテスト結果と似た傾向だ。ただ,RTX 3060との差は34〜56%程度に達しており,むしろGTX 1660 Tiに近いフレームレートとなってしまっている。RX 6600 XT OCもあまり結果が振るわないことを考えると,ドライバソフトの最適化不足ということなのかもしれない。

 グラフ22〜24が「Borderlands 3」の結果だ。

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 Borderlands 3におけるRX 6600は,CoD Warzoneと似た結果となった。平均フレームレートにおいてRX 6600 XT OCの79〜80%程度というのは,これまでと同じ傾向だが,1920×1080ドットではRTX 3060を超える性能を発揮した。レギュレーションでは,平均60fps以上を合格点としているが,RX 6600は1920×1080ドットでそれを満たしており,快適なプレイができそうだ。

 続いてグラフ25は,FFXIV暁月のフィナーレベンチの総合スコアをまとめたものだ。

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 同ベンチマークは比較的描画負荷が低いため,CPU性能がスコアに与える影響が大きい。それゆえ,1920×1080ドットにおけるRX 6600は,RX 6600 XT OCの約92%と差を詰めている。ただ,それ以外の解像度を見ると,RX 6600はRX 6600 XT OCの81〜82%程度という位置に収まっている。また,このベンチマークはGeForceシリーズへの最適化が進んでおり,Radeonシリーズは不利な戦いを強いられがちだ。それはRX 6600も同じで,RTX 3060に12〜34%程度もの差を付けられている。
 ただ,スクウェア・エニックスが示す指標では,スコア1万5000以上で最高評価となっているので,その指標に基づくと,RX 6600は1920×1080ドットで快適なプレイが見込めるのは間違いなさそうだ。

 そんなFFXIV暁月のフィナーレベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートをまとめたものが,グラフ26〜28だ。

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 平均フレームレートは,総合スコアを踏襲したものとなっているが,最小フレームレートに着目すると,RX 6600 XT OCやRTX 3060よりもRX 6600は解像度が上がるにつれてスコアが低下しがちだ。やはり,メモリ帯域幅のネックは解像度が高くなると露見するようだ。

 グラフ29〜31には,「Project CARS 3」の結果をまとめている。

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 RX 6600は,平均フレームレートでRX 6600 XT OCの80〜81%程度で,これまでと似た傾向だ。だが,RTX 3060には33〜37%程度もの差を付けられ,2560×1440ドット以下の解像度ではGTX 1660 Tiにすら届いていない。やはり,ドライバの最適化不足が露呈した格好だ。


消費電力は120Wほどとかなり低め

GPUクーラーの冷却性能も十分


 さて,RX 6600のTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)は132Wと,RX 6600 XTから28Wの消費電力低減をはたしている。AMDのTDPと,NVIDIAのTGP(Total Graphics Power)を同列に比較できないものの,数値のうえではRX 6600のほうが30W以上も低く,実際の消費電力でRTX 3060に対して優位に立てるのかどうかは気になるところだ。

 そこで今回は,NVIDIA製の消費電力計測ツール「PCAT」(Power Capture Analysis Tool)を用いて,グラフィックスカード自体の消費電力を計測してみたい。なお,今回は3DMarkのTime Spyにおいて,消費電力が高くなる傾向がでたGraphics test 2実行中の結果を示している。
 その結果をグラフ32に示そう。

画像集#049のサムネイル/Radeon RX 6600搭載カード「PULSE RX 6600 Gaming」レビュー。上位モデルやGeForce RTX 3060との性能差を探る

 このグラフを見ると,RX 6600 XT OCとRTX 3060が170Wあたりで推移しているのに対して,RX 6600とGTX 1660 Tiは120W前後と,大きく2つのグループに分かれている。RX 6600は,140Wを超える場面を数えてみるとわずか1回で,かなり消費電力は抑えられているようだ。

 グラフ32の測定結果から,分かりやすくなるように中央値を求めたものがグラフ33となる。

画像集#050のサムネイル/Radeon RX 6600搭載カード「PULSE RX 6600 Gaming」レビュー。上位モデルやGeForce RTX 3060との性能差を探る

 RX 6600は120Wほどで,GTX 1660 Tiと同レベル。RX 6600 XT OCやRTX 3060と50W以上もの開きがある点は好印象だ。

 次に,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の最大消費電力のみを計測した結果も見てみよう。
 テストにあたっては,Windowsの電源プランを「バランス」に設定。さらに,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」としている。
 その結果がグラフ34だ。

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 ここではピーク値をスコアとして採用するため,全体的にバラつきがあるものの,それでもRX 6600は,各アプリケーション実行時においてRX 6600 XT OCから38〜78W程度も低い消費電力を実現している。RTX 3060比でも,RX 6600は37〜92W程度低く,消費電力はかなり抑えられていると言っていい。

 最後に,GPU-Zを用いて計測したGPU温度も確認しておきたい。ここでは,温度約24℃の室内で,テストシステムをPCケースに組み込まず,いわゆるバラックに置いた状態から,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,GPU-Zから温度を取得することにした。
 GPUによって,温度センサーの位置や取得方法が異なっていることは想像に難くなく,またそれぞれファンの制御方法が違うため,同列に並べての評価にあまり意味はない。それを踏まえた結果はグラフ35となる。

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 RX 6600は,高負荷時でも70℃で比較的低めだ。GPUクーラーのDual-Xは,十分な冷却性能を持っていると言っていいだろう。RX 6600 XT OCの高負荷時温度が低いのは,大型で強力なクーラーを搭載しているからだ。
 なお,アイドル時にRX 6600の温度が50℃近いのは,ファンの回転が停止するためだ。

 なお,筆者の主観であることを断ったうえで,PULSE RX 6600 Gamingの動作音について述べると,静音性に優れているとは言えないものの,十分静かな印象を受けた。少なくとも,PCケースに入れてしまえば,まったく聞こえないレベルだ。


1920×1080ドットのプレイを想定するなら

消費電力が低くお買い得感は高い


PULSE RX 6600 Gamingの製品ボックス
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 以上のテスト結果を踏まえると,今回テストに用いたカードがクロックアップモデルであることを考慮しても,RX 6600の性能は,RX 6600 XTの8割程度はあると言っていいだろう。
 ただ,3DMarkのFire Strikeでは景気よくスコアを伸ばしてRTX 3060を大きく上回る性能を発揮するものの,FortniteやProject CARS 3などではRTX 3060に大きく離される形となっている。そのため,現状のRX 6600は,得手不得手がかなりハッキリ表れている印象だ。AMDによるドライバの最適化を期待したいところである。また,レイトレーシング性能に関しては,実用レベルとは言い難く,あまり期待はしないほうがいいだろう。

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 RX 6600の北米価格は,329ドル(約3万7300円,税別)となっており,これはRX 6600 XTの379ドル(約4万3000円,税別)と比べて50ドル安価だ。国内では,RX 6600 XT搭載モデルが5万円台半ばから7万円台であることを考慮すると,RX 6600は5〜6万円台といったところだろうか。
 得手不得手がハッキリしているものの,1920×1080ドットのゲームプレイを想定しているのであれば,RX 6600は消費電力も低く,十分お買い得感が高いと言える。

Sapphireの日本語公式Webサイト

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