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印刷2024/06/18 23:00

プレイレポート

[プレイレポ]「ELDEN RING」最新DLCは“もう1つの本編”だ。育成済みのキャラクターで冒険に挑む,真に自由な探索アクションはここにあった

 フロム・ソフトウェアが販売・開発を手がけるアクションRPG「ELDEN RING」PC / PS5 / Xbox Series X|S / PS4 / Xbox One)の大型DLC「ELDEN RING SHADOW OF THE ERDTREE」の発売日(2024年6月21日)が迫ってきた。

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「ELDEN RING」公式サイト


 事前に公開されている情報だけでも,なんと装備品が100種類以上追加されるとか,ボスは弱体化以前のマレニア(本編最強のボス)並だとか,かなり迫力のあるDLCであることが分かっている。それを受けて,SNS上では「実質『ELDEN RING 2』じゃん」とも囁かれていた。

 そんなDLCを事前にプレイをする機会を得られたので,プレイレポートをお届けしたい。
 なお,ネタバレを避けたい人のために,多くのゲーマーが気になっていて,かつネタバレ要素の薄いボリューム感だけは先に伝えておく。

 今回,筆者は探索をそこそこに抑えつつ攻略を優先し,ラスボス(と思われる敵)が登場する段階まで到達。そこからスルーしていたエリアの探索を行っている。
 ラスボス(仮)到達までの所要時間は約12時間。それ以降は10時間ほど費やしたが,まだ探索していないエリアは残っている。

明らかに行ける場所だが,ラスボス(仮)と出会った時点では到達できる気配なし
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 まだ見えてもいない範囲があるのだが,とりあえず本編のリムグレイブとケイリッドとリエーニエを足したくらいの広さは余裕でありそうだ。

 しかし,DLCの世界は単に広いだけではない。DLCの冒険で得られる体験は“続編”とはまた別の,DLCだからこそ実現できるものだった。本稿においては,SHADOW OF THE ERDTREEならではの体験に焦点を絞り,できる限りネタバレを避けてレポートしている。
 また,一部のスクリーンショットにモザイク加工を施しているが,これも同様の配慮だ。

ネタバレを避けるため,できるだけ序盤のスクリーンショットを使用する。地図の画面も一切使用しないが,装備はDLCで入手できるものが含まれている
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 なお,適正レベルや基本的な新要素については,以前に掲載した先行インプレッションの記事で紹介している。序盤のダンジョンについても触れているので,軽い情報をもとに方針を探りたい人は参考にしてほしい。

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 フロム・ソフトウェアによるアクションRPG「ELDEN RING」のDLC「ELDEN RING SHADOW OF THE ERDTREE」が,6月21日に発売される。それに先駆けて,DLCの序盤を先行体験できるメディア向けイベントが開催された。本稿では触れられた新要素を紹介しつつ,そのプレイフィールをお届けしていく。

[2024/06/04 23:00]

「ELDEN RING」公式サイト



育成済みキャラで探索する

新要素満載のエリア,楽しすぎ


 まずは基本情報を軽くおさらいしておこう。
 SHADOW OF THE ERDTREEの舞台となるのは,「影の地」と呼ばれる謎多き世界だ。女王マリカが神となり,黄金樹が生まれた地とされているが,その詳細は分かっていない。

 物語の中心人物は,ゲーム本編では多くを語られなかったデミゴッド「聖樹のミケラ」。影の地にはミケラが行ったとされる旅の足跡が残されており,プレイヤーは“同志”たちとともにミケラのあとを追うことになる。

影の地に至るには「星砕きのラダーン」と「血の君主,モーグ」を撃破し,モーグウィン王朝の“繭”まで到達する必要がある。黄金樹が燃えていても,クリア後の世界でも問題なく侵入できる
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 ゲームの基本的な構造は本編とまったく同じだ。ドでかい新マップとストーリー,それに伴うエネミーや各種アイテムがまとめて追加されたと考えれば,だいたい合っている。

 しかし,本DLCにはELDEN RING本編や通常のアクションゲームではあまり見ない,特異な性質が存在する。それはDLCエリア全体が,ゲームクリア近くまで育成を完了したキャラクターを“最初から使う前提”で設計されたオープンワールド世界であるということだ。

 通常,ELDEN RINGのようなオープンワールドRPGでは,各エリアに難度のムラがある。攻略順によって敵のステータスを変動させるシステムを採用しているゲームも存在するが,多くの場合は“実質的な成長要素”を採り入れているものだ。

 その結果,高難度エリアで十分に成長したあと,探索によって序盤エリアで新たなダンジョンを発見してしまい,圧倒的なステータスや強力な戦技,魔法,祈祷で蹂躙することになった経験を持つ人は多いだろう。広大なマップと高い自由度を兼ね備え,レベルによるステータス変化が大きいELDEN RING本編では,とくにそれが起きやすかった。

一定のレベルを超えたあとのリムグレイブなどは,無人の野を征くように移動できる。育成後の無双状態はそれはそれで楽しい。DLC攻略後,苦手なボスにお礼参りをするのも悪くないかも
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 一方,DLCエリアは十分に成長したキャラクターで攻略することを前提に作られている。そして,高レベル帯ではプレイヤーの能力上昇の幅が緩やかになる。つまり,ゆっくりと探索して見える範囲を広げていっても,どんどん先に進んでも,同じような難度で攻略を楽しめるのだ。

 もちろん,DLCエリアにも成長要素はある。各地に存在する「影樹の加護」と「霊灰」を収集すれば,DLCエリア限定で能力を底上げできるが,上昇する幅は大きすぎない程度に抑えられているので,バランスが大きく崩れるようなことはない。

 しかも,ELDEN RINGにはレベル上昇によるステータスを振り直す「生まれ直し」が存在し,本編をしっかりと攻略して鈴玉(武器強化アイテムを購入可能にするアイテム)を集めておけば武器強化にも困らない。さらに出現する新要素は,いずれも個性的なのだ。この状態で冒険できる新しい世界が,楽しくないわけがない。

「影樹の加護」と「霊灰」を使うか否かはプレイヤー次第。より高難度な攻略に挑みたいならば,使わずに進めるといい
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 当たり前の話ではあるが,こうした利点を生かすには十分なボリュームが必要になる。それこそ,続編や新作と思えるほどに巨大なボリュームが。

 SHADOW OF THE ERDTREEにおいては,DLCに本編顔負けの超巨大マップを用意するという力技で,ボリューム問題をオーバーキル気味に解消している。本編では多くの人が感じたであろう「えっ,このマップまだ広がるの?」という感覚を,まさか追加コンテンツで味わうことになるとは思わなかった。

新しい装備やタリスマンが次々に見つかるので,成長とはまた別にビルドの楽しさも広がっていく。新たな投擲系の武器は,どれもサブウェポンにピッタリ。まさか盾まで投げられるとは思わなかった
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新要素の中には,ビルドの幅が広がるものが多数含まれている。個人的に面白かったのは,“構え”から派生する戦技を強化するタリスマン。新たな構え系の戦技も登場する
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 どのエリアにも目新しさがあり,ワクワクさせる世界が作られているにもかかわらず,どこまで行っても「こいつはステータス的にどうしようもない。もう無理」とはならない。少なくとも適正レベルで侵入していれば,どうにか勝てるようには作られている。

 もちろん逃げてもいいし,挑戦してもいい。メインストーリーとは関わりのない脇道も膨大にあり,成長やストーリー進行に縛られる部分が非常に少ない。本DLCにおける探索こそ,ある意味で“真に自由な探索”と言えるかもしれない。

DLCの世界に入った瞬間から巨大な炎のゴーレムが出迎えてくれる。アナタは頑張って倒してもいいし,無視して先に進んでもいい
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メインストーリーはスッキリしているので,特定のフラグを立てなければ侵入できない場面は少ない。探索すれば大抵の見える場所には行けるので,遊べば遊ぶほどに探索へのモチベーションが高まる
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ストーリーは非常に分かりやすく

自由度の高さとの噛み合わせも良好


 こうした構造は,ストーリーを楽しむうえでも好都合だった。ELDEN RING本編の物語は,自分から読み解こうとしなければ分からない部分が多かったが,DLCの物語はかなりシンプルになっている。影の地における活動には「ミケラの足跡を追う」という明確な目的があり,登場するNPCたちも(程度の違いこそあれ)それを共有しているので,物語の流れが非常に分かりやすい。

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 各地にあるミケラの十字では,プレイヤーと共にミケラを追うNPCが待っていたり,手紙を残していたりするので,探索時間のわりに寂しさが少ないのもうれしいところだ。それぞれのNPCが個性的で,ボス戦では召喚して共闘できるシーンが多く,ストーリーが進むほどに仲間意識が芽生えてくる。

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 ほとんどのダンジョンがミケラ(あるいはメスメル)に関係しており,登場人物も全員がミケラを向いているので,たとえ探索の順序がバラバラであっても,アイテムのフレーバーテキストなどを含む情報の接続が分かりやすい。

 マップの細かな部分におけるストーリー上の意味付けも感じられ,自分の足で世界を探索しながら物語に参加する感覚は本編以上に強いものだ。

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 DLCエリア全体の難度設計,ストーリーの演出は共に非常に良好だったが,1点だけ気になったことがある。それは,探索できる場所に対する新しいボスの少なさだ。新しいエリアを発見し,探索して最奥に到達しても,すでに見たことのある相手がボスとして登場したり,ボスが登場せずにアイテムが入手できたりすることもあった。

 もちろん,重要なダンジョンには新ボスが配置されており,いずれも歯ごたえのある相手だった。ボスがいない場所についても,無意味な空間をポンと置いてあるわけではなく,本編を踏まえたうえでのストーリー上の意味付けはしっかりと感じられ,きちんとアイテムが用意されているため,探索自体もかなり楽しい。

 しかし,広いマップを探索して意味ありげな場所を見つけ,ボスらしい存在と出会うことなく攻略できてしまうと,やや肩透かしな印象を受けるのは否めない。大抵の場合は新アイテムが報酬として置かれているので,それを目当てに探索するのがオススメだ。

本編では貴重な「古竜岩の鍛石」「古竜岩の喪色鍛石」「墓すずらんの大輪」「霊姿すずらんの大輪」が複数手に入るので,これを目的にするのも悪くない
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 総じて,SHADOW OF THE ERDTREEのボリュームはDLCの枠を超えたものであり,そのクオリティは期待以上だった。DLCというより,オンラインゲームの大型拡張パックに近く,新エリアにおける冒険はある意味,本編以上に楽しいものになっている。

 数値的な成長を実感できる部分は少ないが,多数の新装備を使った新しいアクションを試しつつ,気になるエリアを探索していれば,いつの間にかクリアまで到達するはずだ。少なくとも本編を最後まで攻略して,「もっと遊びたい」と思った人には手放しでオススメできる。
 ぜひ,影の地に足を踏み入れ,その広大さに驚きながら遊んでみてほしい。

崖の向こうに降りられそうな壁面を見つけたが,そもそも向こう側に渡る手段すら見つけられない。探索が終わるまでラスボス(仮)は倒すまいと思っていたが,マップの開拓が楽しすぎるので,クリアは当分先になりそうだ
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