インタビュー
[インタビュー]「テイルズ オブ アライズ」の大型DLC「Beyond the Dawn」本日発売。本編に込めた思いとDLC開発の背景を富澤祐介プロデューサーに聞いた
2021年に発売された「アライズ」は今年で28周年を迎えるアクションRPG「テイルズ オブ」シリーズでは久々の家庭用ゲーム機向け作品だった。物語の舞台は科学や魔法に優れたレナ人が,平和に暮らすダナ人を虐げる世界。そこで記憶と痛覚を失った奴隷の男・アルフェンと,レナ人でありながら同族に反旗を翻す少女・シオンが出会い,物語が始まる。
同作は「継承と進化」をコンセプトに掲げており,頭身の上がったキャラクターや独自開発の「アトモスシェーダー」による水彩画的なグラフィックスなど,意欲的な取り組みが行われた。
今回発売された「Beyond the Dawn」は,本編から1年後が舞台となり,ダナ人とレナ人の血を引く謎の少女・ナザミルがアルフェンらと出会うことで物語が動き始める。20時間程度のプレイ時間を謳う大型DLCが本編のリリースから2年後に配信されるというのは,これまでの「テイルズ オブ」シリーズにはなかった取り組みだ。
今回4Gamerは,「テイルズ オブ」シリーズの総合プロデューサーである富澤祐介氏にインタビューを実施。発売から2年が経った「アライズ」本編の反響や当時の想いに加えて,「Beyond the Dawn」の狙いと開発秘話を聞いた。
なお,インタビューには「アライズ」本編のネタバレを含んでいるので,未プレイの人は注意してほしい。
「テイルズ オブ アライズ」公式サイト
「継承と進化」を掲げ,シリーズの未来を見据えていた「アライズ」
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずDLCのことをうかがう前に,発売から2周年を迎えた「アライズ」本編の振り返りをさせてください。発売後のユーザーの反応はいかがでしたか。
多くのユーザーからポジティブな意見をいただいています。
「アライズ」は「継承と進化」というコンセプトを掲げ,ビジュアルやUXなどのトータル体験がこれまで以上に統一感のあるものを目指し,たくさんのチャレンジをしています。これは国内外のユーザーに「テイルズ オブ」が未来へ向かっていくことを表明し,シリーズの未来に向けてやらなければならないことを,覚悟を持ってやった形になります。
結果的に,新規の方や久しぶりにプレイしていただけた方が非常に多く,ワールドワイドで270万本以上の売り上げを記録し,「テイルズ オブ」の単体作品としてはこれまでにない数字を出すことができました。
4Gamer:
発売直後の「テイルズ オブ フェスティバル 2021」の人気投票でも,テュオハリムが1位,アルフェンが3位と「アライズ」のキャラクターたちが高い順位に入っていましたね(関連記事)。
富澤氏:
「アライズ」はいろいろなチャレンジを行っていますが,大前提として我々開発陣が守らなければいけないのは,「テイルズ オブ」らしいキャラクターの魅力です。
「アライズ」のキャラクターたちも作品の中だけで終わるのではなく,そこから「テイルズ オブ」シリーズの一員になれるようにしたいという思いがありました。なので,「テイルズ オブ フェスティバル」で,テュオハリムが1位に選ばれたことにはお客様の熱量を感じましたし,本当に勇気づけられましたね。
4Gamer:
先ほど,「アライズ」で久々にシリーズに触れる人が多かったという話がありましたが,そうした層への取り組みは意識されたのでしょうか。
富澤氏:
一度シリーズから離れてしまった方々にもう一度「テイルズ オブ」を届けたいということは,「アライズ」を作り始めるときに強く思っていました。
そこで,再びさまざまなお客様に手に取ってもらえるように,コミュニケーションの取り方などを変えていきました。
これまでの「テイルズ オブ」と見え方が変わる部分も含めて,皆さんに「これは自分に向けた作品かも?」と思ってもらうことを目指しました。
4Gamer:
確かに「無関心」が一番の脅威ですよね。作品を見てから判断してもらうことすらできなくなるわけですから。まず興味を持ってもらうため,具体的にはどのような取り組みをされたのでしょうか。
富澤氏:
例えば,綺香さんに「Hello,Again 〜昔からある場所〜」のカヴァー歌唱をお願いしてCM曲としてプロモーションしたこともその1つです。原曲は1995年に発表されたMY LITTLE LOVERさんの楽曲で,初代「テイルズ オブ ファンタジア」と同じ年に大ヒットした曲です。
音楽には,聞くと当時の記憶を思い出すことができるという大きな力を持っていると私は思っているので,今回は「Hello,Again」を聞くことで「テイルズ オブ ファンタジア」リリース当時の思い出を呼び起こし,間接的に「1995年の思い出」として喚起するという方法にトライしました。
4Gamer:
「Hello,Again」は,2つ目のオープニングとしてゲーム内でも流れましたね。あの演出にはかなり驚きました。
富澤氏:
あの演出はサプライズとして明確に狙いを持って入れました。最初はCM曲だけの採用と思わせて,第2オープニングという形で本編でも使用することで,皆さんにも驚いていただけたかなと。
『テイルズ オブ』の作品にカヴァー曲を採用すること自体初めてのことでしたし,どのように反応されるかという不安もありましたが、楽曲や映像の良さも相まって,話題性をもって受け入れていただけたことにホッとしました。
4Gamer:
新たな挑戦を行った「アライズ」ですが,今後の「テイルズ オブ」につながるような手ごたえを感じた部分はありましたか。
富澤氏:
キャラクターの頭身を上げたことと,イラスト風,水彩画風のルックを得られる「アトモスシェーダー」を使ったことでしょうか。今後の作品はもちろん,過去作もアトモスシェーダーで見てみたい,というお声を定期的にいただきますね。
このルックスがあったからこそ,「アライズ」が「テイルズ オブ」の進化の1つの形であると多くの方に受け入れていただけたのだと思います。
4Gamer:
「アライズ」では,高低差のある立体的なマップなども多く登場していますが,そうした部分もアトモスシェーダーで見せられたことが大きかったのでしょうか。
富澤氏:
そうですね。もともと立体的なマップはプレイヤーのアクション性,自由度の向上とセットで設計されました。ただ,この独自のシェーダーで描かれた世界表現と共にあることで,インパクトを持った新たな形として受け入れていただけたのだと思います。
ほかのタイトルで同様の方向性を追求するものがあまり見られていないところも含め,独自の表現ができたと思います。アート寄りの雰囲気を出すことと,キャラクターをしっかり表現することの両立は見た目ほど簡単なことではありませんでした。
4Gamer:
今後の「テイルズ オブ」は,アトモスシェーダーの水彩画的表現に統一されていくのでしょうか。
富澤氏:
必ずしもそういうわけではありません。「テイルズ オブ ヴェスペリア」などはセルルックで挑戦を続けてきた歴史もありますし,ハードやタイトル特性,表現したいコンセプトによって今後もさまざまな選択肢を検討していくと思います。
4Gamer:
あくまで「アトモスシェーダー」は1つの方向性であると。
富澤氏:
そうですね。ちなみにシェーダーという便利なツールのような表現をしていますが,正直言ってチューニングの大半は手作業なんですよ。アート寄りにすればするほど,背景と同化してキャラクターを際立たせることが難しくなります。なので,そのバランスを取るため,近景のキャラクターと遠景の背景で解像度の差を細かく調整し,ライティングで空気感はしっかり描写するなど,「一枚の絵」を完成させるために工夫や苦労の如く,繊細な検討と手間がかかっています。
4Gamer:
「アトモスシェーダー」がキャラクターデザインに影響を及ぼしている部分はあるのでしょうか。
富澤氏:
そこは,今回アートディレクターとキャラクターデザイナーを兼任してくれた岩本 稔くんが非常に気を使ってくれました。例えば,初期のアルフェンはモノトーンに近いブラックの鎧を着ていたんですが,調整せずに「アトモスシェーダー」をかけただけではベタっとしたルックになってしまい,ディテール感を出したいところまで潰れてしまったりしました。
ここから「アトモスシェーダー」を調整しながら,どこを映えさせるかを考えてデザイン側やカラーリングの方も並行して調整を試みていったのですが,これは彼がアートディレクターとキャラクターデザイナーを兼任していたからこそ実現したことです。
4Gamer:
調整を重ねていく中で,富澤さんが「いける!」と確信した瞬間はどこでしたか。
富澤氏:
アルフェンの持つ炎の剣が初めて背中に背負わされた状態の実機を見たときです。水彩調の落ち着いた絵作りの中に,リアリティのある炎の剣が輝きながら主張するコントラストを見て,「これがアライズを表現する絵だ!」と思ったのをよく覚えています。
4Gamer:
シナリオについても聞きたいのですが,今回は奴隷制度や民族対立といった重いテーマを描きつつも,物語は良い意味で王道に仕上がっており,ゲームを終えての読後感も良いものでした。
「テイルズ オブ」では,味方だと思っていたキャラクターが裏切るなど,複雑な対立構造や驚きの展開がありましたが,今回はそうした部分をあえて避けたのでしょうか。
富澤氏:
「アライズ」においては,キャラクターたちの対立構造はシンプルなものとしています。ダナとレナという2つの世界が対立する中で,パーティ内にもこの対立構造を内包させるというアプローチを採りました。
さらに言えば,アルフェンとシオンの2人にすべてのテーマが収斂していくよう,シンプルに作ったわけです。そのため,敵となるレナ人,特に領将(スルド)たちは,立ち向かうべき壁としての役割に徹しています。
4Gamer:
ダナとレナが対立する中で,人々がどう生きるかが「アライズ」の物語であり,パーティの人間関係もここにフォーカスしたものになっていると。
富澤氏:
やるべきことはシンプルにしつつ,最終的にはプレイヤーがキャラクターへの愛情や絆を感じ,思い出を持てる作品にしたかったのが「アライズ」です。そのうえでは多くの方に入りやすく,クリアしやすいものにしたいと思っていました。
ただ,ほかの「テイルズ オブ」に見られる,正義どうしの戦いや裏切りで立場を変えるような味方がいないため,人によってはシンプルに感じられるかもしれません。
実際に敵味方の複雑な人間関係や,敵の裏側を知りたかったというお声もいただいており,今後の知見として,より良い形で昇華していくことは間違いなくあると思います。その点「Beyond the Dawn」では,本編とは異なる対立構造を用いて「アライズ」の続きを描いています。
「Beyond the Dawn」は,ドラマに特化した遊びごたえのあるDLCに
4Gamer:
さて,ここからは「Beyond the Dawn」について聞かせてください。本編発売から2年を経ての大型DLCのリリースは,今までの作品ではなかった展開です。開発の経緯を聞かせてください。
富澤氏:
本編制作中にDLCも並行開発することが珍しくない昨今ですが,「アライズ」については本編制作にすべての力を注ぎ込んでいたので,本当に大型DLCの開発には着手していませんでした。我々としても「うまくいったら続きをやれたらいいね」くらいの気持ちだったんです。
幸い,発売後には「本編のエンディング後を知りたい」「DLCを出してほしい」というお声をいただいていました。本編で大団円を迎えたとはいえ,アルフェンたちが1つした世界のその後には,さまざまな想像ができる余地があったため,後日談という方向性はシンプルに決まっていきましたね。
4Gamer:
ゲームではなく,小説やコミックで展開するという選択肢もあったのでしょうか。
富澤氏:
それらも検討していましたが,どの媒体でやるにしろ簡単ということはないのです。小説と言えば,シナリオチームがエンディングから「Beyond the Dawn」の期間を埋める小説を書いてくれましたので,ゲームとは少し異なる雰囲気でキャラクターを楽しんでいただければと思います(関連リンク)。
4Gamer:
小説版は,「Beyond the Dawn」のシナリオ制作と並行して進んでいたのでしょうか。
富澤氏:
実を言うと開発スタッフがゲーム完成後に自発的に書いてくれたもので,私としては「いつの間にか前日譚の小説ができていた」という感じでした。先ほど言った通り,小説だからといって簡単に依頼できるものではないため嬉しい驚きでした。
開発現場にも,「アライズ」のあれやもこれやも伝えたいという熱量があって,制作中は自分たちの生み出したキャラクターをいかに深く愛しているかを互いに実感する日々でもありました。ユーザーにもこうした熱意が伝わるといいなとは思います。
4Gamer:
「Beyond the Dawn」の物語やキャラクターは,本編制作中に構想があったのでしょうか。
富澤氏:
そういうわけではありませんね。DLCを作ることになり,本編のエンディング後に世界が続いていくことを想像してみて「1年後はこうなっているんじゃないか」というところを考えられたのは,本編をしっかり仕上げられたからだと思います。
4Gamer:
作り込まれた世界があったからこそ,DLCの展開を決めるのがスムーズになったと。
富澤氏:
そうですね。本編で訪れた街のキャラクターたちにまつわるクエストもかなりの量を用意できました。本編ではサブキャラクターだった人も多く再登場するため,「こんなキャラクターも出てくるの!?」と驚かれると思います。できれば久々に本編をもう1回プレイしてもらえると,世界の広がりや深みを楽しめると思います。
4Gamer:
富澤さん的に,本編のここを復習しておいたらより楽しめるという部分はありますか。
富澤氏:
「ここ!」という明確な部分があるわけではないのですが,本編のセーブデータでいろいろな街を歩いてみて「こんな人いたなあ……」と思い出していただけると旅がより楽しめるでしょう。
例えば,最序盤でアルフェンを気に掛けてくれたドクやココルなどはもちろん,意外なところだとミハグサールで出会ったデダイムのお母さんといったキャラクターも再登場します。それらひとつひとつの会話やクエストが,世界の変革と、それをどう受け入れて前を向くかという本作のテーマを支えてくれています。皆を訪ねてもう一度この世界を巡りたくなるものにするため,開発自身が「アライズのファンディスクならこうだ!」という思いでこだわり抜いた作りになっています。
4Gamer:
DLCのシナリオでは,どのような物語が語られるのでしょうか。
富澤氏:
DLCのメインシナリオでは,ダナとレナの血を引くナザミルを中心に物語が進んでいきます。世界が1つになっても,人の心はそう変えられない。世界が1つになったと言っても,アルフェンたちが無理矢理1つにしたようなものだし,そうした世界で,新たな軋轢の象徴としてナザミルのような子が苦しんでいる。各キャラクターは1年が経った後,それぞれの悩みや絶望からどう新たな希望の一歩を踏み出すのか,前を向いて「Beyond the Dawn(夜明けの先)」へ行けるのか,というテーマでストーリーが展開します。
4Gamer:
本編に負けず劣らず重いテーマが描かれるのですね。
富澤氏:
ただ,世界が1つになることで,皆がどう前を向いていくかを追っていくので,プレイしてみると意外にポジティブな気持ちに浸れると思いますよ。例えば,シスロディアは本編では光を奪われて真っ暗でしたが,アルフェンが解放したことで空が明るくなっています。ただ,人々の猜疑心は溶けきっていないという感じで,それがどう変わっていくかが見どころになっています。割り切れない思いを抱えながらも,一歩踏み出そうとしている人々の姿は,「Beyond the Dawn」を象徴する部分かもしれません。
4Gamer:
ナザミルについてもう少し詳しく聞かせてください。過去の岩本さんのインタビューで,「アライズ」のキャラクターは動物をモチーフにしているという話がありましたが,ナザミルも同様なのでしょうか。
「テイルズ オブ アライズ」を“好きだと言える作品”にしたかった。岩本 稔氏に聞く,クリエイター人生を懸けたキャラクターデザイナーとしての挑戦
バンダイナムコエンターテインメントの「テイルズ オブ アライズ」は,新テイストのグラフィックスを取り入れ,新たなバトルシステムなどの導入も行われた挑戦的なタイトルだ。そんな本作で,タイトルの顔となるキャラクター達は,どのようにデザインされたのか。アートディレクター/キャラクターデザイナーの岩本 稔氏に話を聞いた。
富澤氏:
岩本くんによればナザミルのモチーフは猫だそうです。こちらから,どの動物をモチーフにしてほしいとお願いをするわけではないんですが,確かに仮面を被った際のビジュアルなども猫っぽいかもしれません。
岩本くんはシナリオチームの打ち合わせには常に参加してくれていて,その場の話から想像してラフをどんどん描くというスタイルで仕事を進めてくれました。シナリオチームのアウトプットを増幅してくれるようなやり方で,我々としては本当にありがたかったですね。
ナザミルはダナとレナ,両方の血を引いているがゆえに虐げられており,いろいろなことから目を背けざるを得ないような辛い境遇にあります。こうした部分を表現しつつ,ダナとレナのデザインをどう入れ込んでいくのか……ということで,たくさんのラフを描いてもらいました。
4Gamer:
ナザミルのデザインで目を惹くのはオッドアイであるところですね。
富澤氏:
ダナとレナ両方の血を引くという特異性を表現するためのもので,デザインの初期から存在していました。「地」「水」「火」「風」に加えて「光」と「闇」,すべての星霊力を合わせて使えるポテンシャルの高さの表現として色が異なる目をデザインに採用しています。
4Gamer:
そういえば,東京ゲームショウ2023の公式生放送や公式サイトでは,ナザミルがプレイアブルになるわけではなく,アルフェンたちと対立するキャラクターであることが明かされていて驚きました。
富澤氏:
確かに,ある種のネタバレとお感じになる方もおり,「発売前にここまで話す必要はあったのか」というお声はいただいています。ただ,ナザミルがアルフェンらと対峙することは我々の中ではネガティブな要素や隠すべきことではなく,今回描きたいドラマの中心にある骨子とも言える部分です。「Beyond the Dawn」は「アライズ」と違うドラマのアプローチにトライしいるので,率直にそのことをお伝えしようと思ったわけですね。
4Gamer:
アプローチの違いですか。
富澤氏:
「アライズ」は敵との対峙や和解というより,パーティに内在するドラマに目を向けた,パーティキャラクター中心主義のようなアプローチを行っていました。一方「Beyond the Dawn」では,パーティ外のキャラクターとの対立を通じて未来が描かれる話となります。
事前にお伝えすることにより,正しくこの作品の狙いや中身を判断してもらったうえで遊んでいただきたいので,予めナザミルの立ち位置をお伝えすることにしました。我々としては,お客様とのやりとりはなるべく実直に進めていきたいと思っております。
4Gamer:
シナリオ以外の点も聞かせてください。「Beyond the Dawn」にはどのような新しい遊びがありますか。
富澤氏:
「復興クエスト」は良い例でしょう。街を復興したいという人々の願いを聞くことで,お店が開いたり,街が明るく賑やかになったりしていきます。派手な変化があるというよりは,復興の地道な道のりを一歩一歩進めていくというイメージですね。「シンフォニア」におけるルインの街を想像される方もおられるようですが,こちらにも近いのかもしれません。ただ,アルフェンたちの銅像が建つことはないです(笑)。
4Gamer:
ゲームとしてのインタラクションを楽しめる復興になっているわけですね。バトルにも変化はあるのでしょうか。「Beyond the Dawn」ではキャラクターのレベルが本編のセーブデータから引き継がれるのではなく,「最適なキャラクターのステータス,レベルで物語がスタートします」(関連リンク)とのことですが。
富澤氏:
バトルは本編とほぼ同系列のシステムで,キャラクタークエストをクリアすると「ブーストアタック」が強化されるといった変更を加えています。また,ダナの地に出現した「外廟」(げびょう)という,広大な新ダンジョンをプレイ可能です。
レベルについては,本編を60レベルでクリアした方,100レベルまで成長させてくださった方,いろいろな方がいらっしゃるので,スタートラインを揃えさせていただく必要がありました。本編での進捗度に応じてボーナスのSPやアイテムが付与されるので,もう一度自分好みに成長していくことが可能です。
4Gamer:
新しいタイプの敵は登場するのでしょうか。
富澤氏:
仲間を呼ぶなど,新しい行動を取る敵が出てきます。ズーグルはレナ人の制御を失って狂暴化しており,ギガント級のものも各所に闊歩している状態ですし,もちろん新たなボスも登場します。
私としては,本編プレイ時に操作していなかったキャラクターを試す機会になれば嬉しいですね。それぞれのキャラクターにフォーカスしたクエストが用意されており,その人らしさや1年後の世界で抱える悩み,目指すべきところといった部分に強く紐付くドラマを楽しむこともできます。
4Gamer:
バトルシステムにほぼ変化がないということは,物語に注力したDLCになるのでしょうか。本編でバトルをやりつくした人にとっては,同じことを繰り返す形にならないですか。
富澤氏:
確かに「Beyond the Dawn」は,言わば「シナリオに全振りしたDLC」であり,ここで展開するドラマは体験に自信を持ってお届けするものです。新しいバトルにフォーカスしたコンセプトのものではないですが,だからといって物語の途中で飽きたりダラけたりすることはないように丁寧に調整させていただいていますので,そこはぜひプレイして実感してほしいですね。
プレイヤーがキャラクターと深く寄り添えることこそ,「テイルズ オブ」の魅力
4Gamer:
最後はキャラクターコンテンツという側面から,今後の「テイルズ オブ」について質問させてください。昨今は,さまざまな魅力的なキャラクターを提供するコンテンツがあふれる,言わば戦国時代のような状態です。
その中で富澤さんは総合プロデューサーとして「テイルズ オブ」の魅力を伸ばし,コンテンツを発展させていきたいと考えておられますか。
富澤氏:
おっしゃる通り,今のエンターテインメントはさまざまな形で魅力的なキャラクターコンテンツが生まれています。
その中で「テイルズ オブ」の強みは,腰を据えてキャラクターと向き合えるというところではないかと思っています。「テイルズ オブ」シリーズは,プレイの中でキャラクターの魅力に触れる体験がほかのコンテンツよりも相当に濃く,膨大なセリフやスキットから,キャラクターとの絆が醸成されていきます。プレイヤーが想像以上に深いところまでキャラクターの魅力に触れられますし,自分もパーティの仲間の一員のようにして寄り添い続けられます。これはほかのコンテンツにはない感覚ですし,「テイルズ オブ」シリーズが持っている最大の魅力だと思います。
4Gamer:
じっくりと付き合うからこそ,ユーザーはキャラクターに深く思い入れることができると。
富澤氏:
ゲーム機やPCを用意したり,時間を作ったりといったハードルこそあるものの,遊び始めたら止まらない,気がついたらキャラクターを好きになっていた……という魅力が「テイルズ オブ」にはあります。
今後の作品でも,こうした部分をほかの作品に負けない強度で作り続け,提供の仕方や伝え方を含めて,ユーザーに届く努力をしていこうと考えています。
4Gamer:
じっくりキャラクターと向き合うことが開発チームの姿勢であるわけですか。
富澤氏:
「テイルズ オブ」のチームには,これが自然なことのように思います。「アライズ」では「Beyond the Dawn」というDLCの形で後日談を描けましたが,そうでなくても何らかの形でキャラクターの先を描いてきたし,描きたいと願っている我々ですから,キャラクターとはものすごく真剣に向き合っています。
開発だけでなくそれを広げていく各メンバーたちも,キャラクターに対しては責任があると考えています。お客様の期待を背負いながら,どんどん家族が増えていくような感覚がありますね。
4Gamer:
本編の発売から2年がたった今,後日談として「Beyond the Dawn」が出ることこそが,キャラクターと責任感を持って付き合うという姿勢の表れだと言えそうです。
富澤氏:
2年後にDLCを出すという今回のチャレンジがその1つと感じていただけるなら幸いです。「アライズ」も2年間地道に売上を積み上げてきていますし,長いスパンで多くのお客様に届け,楽しんでいただくというのは,現在のゲームにおけるセオリーになりつつあります。そうした意味では「Beyond the Dawn」が再び「アライズ」に,そして『テイルズ オブ』シリーズに注目していただく機会になればいいなとは思います。
本編完成後から立ち止まらず全力で作ってきた直球勝負の作品であり,本編と合わせてもより良い読後感の作品になっていると思いますので,プレイいただいた方はぜひ感想をお待ちしています。本編と「Beyond the Dawn」を合わせると60時間程度もあるボリュームを楽しめる,決定版と言える製品になりましたので,この機会にぜひ「アライズ」の世界に触れてみて下さい。
4Gamer:
ありがとうございました。
「テイルズ オブ アライズ」公式サイト
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