プレイレポート
曹操は2年で呂布と袁術を倒せるか? 「三國志14」の体験版「プレイデータ収集版」はコーエーテクモゲームスからの挑戦状だ
懐かしい一枚マップの上で,状況が流動的に動く現代的なテンポでプレイを楽しむ
本作では,プレイヤーは「三国志」に登場する君主の1人になり,群雄割拠の中華全土を制して天下統一を目指す。プレイデータ収集版でプレイできるのは,チュートリアルと特殊シナリオだ。特殊シナリオは舞台となる地域と登場勢力,使用できる機能が制限されている。プレイヤーは曹操となって24か月(72ターン)の間に,呂布と袁術の2大勢力を倒して地域を統一しなければならない。
本作の中国大陸は巨大なヘクスマップで表現されており,各地に街である「府」と,その大型版である「都市」が点在している。それぞれの府・都市は周囲の「地域」を管理しており,自軍に属したヘクスからは収入が入ってくる。ただし,府や都市を占領したからといって,地域をまるまる占領できるわけではない。地域のヘクス1つ1つを自軍のものにして地域の占領は完了するのだ。
そのためには,部隊を行脚させるか,府に魅力の高い武将を配する必要がある。前者なら部隊が移動した跡が自軍のものになり,後者なら府を中心に自動で占領地を広げてくれる。「三国志演義」には「占領後の地域を安定させるべく,武将を派遣して宣撫に務める」というシーンが出てくるが,これを自分で指示していくわけだ。自軍部隊が歩いた跡が自軍のシンボルカラーで塗られていくのは気持ちがいいし,敵軍が入り込んできて色を上書きされると悔しく,取り返してやりたい気分になる。直感的で分かりやすい印象だ。
もう1つ特徴的なのが,府の扱いだ。府は上記のように重要な機能を持っているのだが,コロコロと所有者を変えていくのだ。都市には部隊を駐留させることができ,敵が攻めてきても自動で反撃してくれ,数倍の戦力も跳ね返せるのだが,府にはそういった機能がない。部隊を置くことはできるが,府の数は多い上に兵糧も必要となるため,はなはだ不経済だ。CPUの動きを見ていても,普段は都市に部隊を置いておき,敵の動きに合わせて府を守りに来るという感じだった。
そのため,敵の府に部隊を突っ込ませれば比較的簡単に自軍のものにすることができ,「地域懐柔」の計略が成功すれば寝返ってくれる。要するに急所がむき出しになっているようなもので,これが状況に流動性を生み出しているのだ。府を手に入れることは容易でも,これを守りつつ占領地を広げていくのはなかなか難しい。
なお,都市の治安を上げたりすることで,敵に計略を掛けられても裏切りにくくなるようで,これまでとはひと味違った駆け引きが楽しめそうだ。
戦闘に関しても,自軍の色でヘクスを塗っていく(占領していく)ことの影響は大きい。自軍の色で塗られたヘクスはそのまま補給線になるからだ。つまり,敵部隊が自陣深くに進入してきても,その後方にある府を占領し,ヘクスを塗り変えてしまえば,補給線を断ったことになる。そうすれば士気が衰えて引き返していくのだ。これも「三国志演義」ではよくあるシーンで,うまく決まればなかなかに爽快。兵士の数のみでは勝負が付かないことになりそうで,とくに旗揚げ直後の劉備など,小勢力での戦いも楽しめそうだ。
なお,特殊シナリオの前には,戦闘が発生しない状態でシステムを学べる「チュートリアル期間」も用意されているため,まずは気軽に触れてみよう。
自軍の色で塗られたヘクスはそのまま補給線となる。また,部隊の周囲に自軍の府があれば,「支援効果」を受けることができ,戦闘が有利になる |
例え敵の大部隊が来ても,後方の地域を自軍の色で塗ってやれば補給線を断ったことになり,士気を落とせる |
武の呂布と名門袁術。2大勢力を相手に,曹操は生き残れるか
「プレイデータ収集版」では,曹操を担当して2年間(72ターン)の戦いを体験できる。南は袁術,東は呂布に押さえられた中で勢力を伸ばしていかなければならない。じっくりと構える袁術とは対照的に,呂布はこちらに向けて多数の部隊を出し,中立の府の占領を目指す。自然とこちらの構えも対呂布が中心になるだろう。
筆者は最低限の守備以外はすべての兵力を吐き出して多方面に部隊を展開させてみた。手近な府を占領し,手が回らない府には「地域懐柔」を仕掛けて寝返らせる。また,こちらに深く入り込んできた張遼の補給路を断って士気を下げ,手薄になった濮陽と小沛を攻める……といきなりクライマックスだ。
夏侯惇が奮戦したおかげで濮陽は陥落するも,呂布が鬼神のような強さを発揮して小沛の攻略は断念。本拠地である陳留には袁術軍が断続的に攻めてくるが,武将の「提案」による「火計」や「士気低下」といった計略で守りきる。
「提案」は,部下たちが状況に合わせた計略を提案してくれるというものだ。損耗した部隊がいれば兵力を増強できたり,敵が攻めてくれば「混乱」させて無防備としたり,火計をかけて丸焼きにしたり……といった計略を即時発動できてかなり便利。その分,実行には金はかかるのだが,初期状態で使い切れないほど蓄えられた兵糧を売り,さらに陳留住民からの「金徴発」(要するに略奪)を繰り返してしのぐ。略奪すると都市の「治安」は下がるが,ある程度の金は手に入る。毎ターン略奪をしまくり,下がった治安は「巡察」の武将提案で回復させる。兵隊さんたちがやってきて街を荒らした後,同じ兵隊さんが取り締まりに来るのだから,最悪である。こんな街には住みたくないものだ。
武将は状況に応じて,特殊効果を持つ「戦法」を発動させる。敵の都市を占領して「爵位」が上がると,マニュアルで戦法を指示することも可能に |
曹仁は防御力を上げる「八門金鎖」と,攻城力を上げる「激励」を持ち,粘り強く戦ってくれる |
「武将提案」は配下の武将が状況に応じた計略を提案してくれる。実行には金が必要だが,即座に効果を発揮してくれる |
「金徴発」の「武将提案」は,配下の都市から金を略奪できるが,「治安」が下がる |
その後も呂布が出兵して府を取る度にこちらも取り返し,ほぼ毎ターン「地域懐柔」で揺さぶりをかけ続けるのだが,呂布がとにかく強くてどうにもならない。こちらにダメージを与えてはサッと小沛へ引き上げるのだから,「三国志演義」そのままの小憎らしさだ。とはいえ,南で着々と勢力を伸ばす袁術軍のことを考えると,あまりのんびりとはしていられない。呂布が引っ込んだ隙を狙い,小沛の周囲にある府を計略や占領で手に入れて孤立させる。そして曹仁の部隊を攻城戦編成で張り付かせ,兵士を次々と武将提案で増やす……というゴリ押しでなんとか攻略に成功。ここに呂布勢力は壊滅した。呂布や貂蝉など味方にできる者はとにかく組み入れ,次は袁術軍の攻略に掛かる。
4部隊で追い詰めたと思ったら,こちらに大ダメージを与える「戦法」を使い,サッと小沛へ引き上げる呂布。小憎らしい |
CPU武将は,こちらの移動経路を制限する「防塁」を建設するなど,なかなか頭がいい |
しかしながら,呂布とこちらが争っている間に袁術がかなりの勢力を固めてしまった。こちらも出兵するが,袁術側の兵力が多く,手に入れた府を維持するまでには至らない。陳留住民から搾り取った金で地域懐柔の計略を繰り返すが,袁術がよほどしっかりと地固めをしているらしく,曹操や郭嘉といった切れ者を使ってもまったくこちらになびかない。そうこうしているうちに無駄に季節が過ぎていき,ついには時間切れに。コーエーテクモゲームスのゲームに「もう1ターンだけ……」のボタンが出るはずもなく,あえなく敗北となってしまった。
もともとこの「プレイデータ収集版」はプレイヤーへの挑戦とも位置づけられているそうで,ゲーム開始時のメッセージによると「三度で天下統一できるようなら上出来」であるとのこと。世の君主諸兄は,筆者の轍を踏むことなく,みごと呂布と袁術を平らげてほしい。
なお,公式Facebookの越後谷プロデューサーの投稿によると,これでも本バージョンには初心者救済措置として,提案や建物,物資に調整入っているようだ。
アンケートも募集中で,結果は製品版のAIを改善するのに活かされるそうなので,発売を楽しみにしている人はぜひプレイしてアンケートを送ろう。
「三國志14」公式サイト
(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.
(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.