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レトロンバーガー Order 26:連載1周年だから35周年な「バルダーダッシュ」30周年記念作の32周年に出たエディションをやったろうじゃん編
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印刷2019/11/16 00:00

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レトロンバーガー Order 26:連載1周年だから35周年な「バルダーダッシュ」30周年記念作の32周年に出たエディションをやったろうじゃん編

画像集 No.001のサムネイル画像 / レトロンバーガー Order 26:連載1周年だから35周年な「バルダーダッシュ」30周年記念作の32周年に出たエディションをやったろうじゃん編

 なんか連載が1周年を迎えていたみたいです。この連載で取り上げているゲームは,基本的に(E3情報まとめなどを除き)筆者が個人的に買ったゲームを「そういやコレがよ?」的に出しているので,何かしらレトロゲーム的な新製品などが発売されなければ勝手に潰える,「やれと言われて始めたはいいけど3か月も続くかね」くらいのノリで動き出した企画なわけですが,なんだか続いて(しまって)いるということは,昨今のレトロゲームブームがどれだけ大きいかを証明する部分がなくもないこともなくなくないのではないでしょうか。なくなくない?

 主観的には「1歳の誕生日おめでとう♪」というより「メリーハッピー1周忌!」くらいのシニカル&アンビバレントの心境なものの,客観的に言えば世の中は積み重ねにより作られているもので,積み重ねとは美徳。例えばスノッブ野郎がゲームのレビューをしても上っ面を撫でただけのスカム記事にしかなりませんが,歴戦のゲーマーがゲームのレビューをすればバリューあるものが仕上がります。それに,一歩は小さくても,繰り返し何度も歩けば,まして何人もが歩いたならば,荒野だって立派な道になるんです(※最近は「DEATH STRANDING」をプレイしています)。ビデオゲームが滅びようと,新時代のエンタテインメントがこの地球に生まれようと,この星が滅びようと,ビデオゲームの足跡を踏み慣らし,その道を後世に伝える必要がある。未来を創ることと過去を語り伝えることは同じなんだ(※繰り返しになりますが,最近は「DEATH STRANDING」をプレイしています)。

 そんな感じで,今回は小さな一歩から今日まで通じる大路を拓いたゲームをフィーチャーしましょう。国内ではワーカービーからNintendo Switch版が11月14日に発売されたばかり(関連記事)の,「バルダーダッシュ:Boulder Dash - 30th Anniversary」です。執筆時点では未発売のため,プレイしているのはPC版となります。

なおPC版は日本語非対応。日本語でプレイしたい人は,ワーカービーのNintendo Switch版を購入しましょう
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 初代「Boulder Dash」Atariの8bitコンピュータ(Atari 400/800)用ソフトとして発売されたタイトル。開発したのはPeter Liepa氏とChris Gray氏の2名なものの,ファンサイトのインタビュー記事によると,最終的にはほぼLiepa氏だけで作った形になり,ロイヤリティの分配に関して揉めることになったとか。インディーズゲームの開発として“らしい”エピソードではありますね。

Commodore 64など,さまざまなPCに移植されています。そんなわけで2018年発売の「THE C64 MINI」にも収録
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 「Boulder Dash」のゲームシステムは,簡単に言えば“掘りゲー”系のアクションパズルです。ナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)の「ディグダグ」(1982年/アーケード)や,ユニバーサル(現ユニバーサルエンターテインメント)の「Mr.Do!」(1982年/アーケード),あるいはそれ以前に存在したMidwayの「The Adventures of Robby Roto!」(1981年/アーケード)や,有田隆也氏が「I/O」誌で発表した「地底最大の作戦」(1980年/MZ-80)などに並ぶものですね。ちなみに直接的にインスパイアされたのはZilec Games(日本ではタイトーが販売)の「The Pit」(1982年/アーケード)なそうです。

 初代の発売は1984年なので,Nintendo Switch版の「バルダーダッシュ:Boulder Dash - 30th Anniversary」は30周年記念タイトルですが35周年の発売ということになります。「ひきざんできないひとか?」と思うかもしれませんが,実はキッカリ30周年に出ていたのはiOS/Androidアプリで,その移植版が本作というわけです。まあ,PC版「Boulder Dash - 30th Anniversary」がSteamでリリースされたのも32周年の年だからね。今さらね。

 フリーミアムのゲームであるiOS/Android版は,「巧ければどんどん先に進めるが,プレイを楽にするリソースやアイテムは有限で,それらはプレイ中のドロップや購入や広告動画の視聴で補充できる」というスタイル。それがPC版以降の買い切り版だと,「プレイを楽にするリソースはステージを周回して集めよう」といった形に調整されています。「マネタイズのスタイルが違うとレベルデザインも変わるんじゃない?」と思ったりはするものの,そこまで調査するには筆者の諸々の余裕的に厳しい部分が……「ここから先は君達の目で確かめよう!」

PC版のステージセレクト(左)と,Android版のステージセレクト(右)。PC版は上位エリアのアンロック条件が少し緩和されていたり,難度選択が可能だったり,Steam Workshopで自作マップを共有できたり,一方でAndroid版はfacebook連動要素があったりと,表層レベルではけっこう違っています
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 チャレンジはステージごと,落下中の岩や敵キャラクターにヒットしたら即死と,基本的なゲームデザインは割と硬派なスタイルです。先述の「プレイを楽にするアイテム」は,ダイナマイト(岩や地形の破壊),スパイグラス(制限時間延長),フリーズ(岩や敵の一時停止),スコアアップ(得点2倍)の4種類。これらはインゲームマネーにあたる金塊で購入できるほか,死亡後に金塊を消費して“その場復活”することも可能です。iOA/Android版に限り,金塊が課金アイテムとして提供されているので,やろうと思えばカネに物を言わせたゴリ押しプレイもイケます。

 大元が8bit PC時代のゲームということもあり,サクッとプレイを始めてサクッとやめられる,簡単なルールのゲームですが,落下して転がる岩の軌道を予測しなければいけない場面や,緻密な操作で一気に駆け抜けなければいけない場面などもあり,歯応えはなかなかのもの。アクションパズルというジャンルのゲームは,独特の魅力があるものの案外新作が出ないものですが,それゆえ飢えているという人には素直にオススメできるタイトルです。

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 iOS/Android版はリリースから5年を経ていますが,まだまだ今後のアップデートが予定されている模様です。さらに新作「Boulder Dash - Deluxe」も間もなくリリースされるのだとか。すでにアラフォーに踏み入った「Boulder Dash」,アラフィフ時代も期待できそうです。

iOS/Android版のアップデート予告
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 最後に,「Boulder Dash」シリーズの変遷もオマケとして付け加えておきましょう。Atari 8bitコンピュータで初代「Boulder Dash」がリリースされた後,アメリカではCommodore 64やApple II,IBM PC jrなどに移植されて好評を博します。そして日本では,1985年にデータイーストがアーケード版,エポック社がスーパーカセットビジョン版をリリース。さらに1990年にはデータイーストがファミリーコンピュータ版,ビクター音楽産業がゲームボーイ版をリリースしています。

データイーストから発売されたファミリーコンピュータ版。キャッチコピーは「“バルダーダッシュ”でアクション・パズれ!!」
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 1990年代は沈黙が続きましたが,2002年にはびじょん・わーくす開発/コトブキシステム販売のゲームボーイアドバンス用ソフト「バルダーダッシュEX」が発売されました。それを機に……なのかは分かりませんが,2003年にはShockwave.comのブラウザゲーム「Boulder Dash - Treasure Pleasure」,2007年にはニンテンドーDS用ソフト「Boulder Dash: Rocks!」,2008年には同PSP版,2009年にはiOSアプリ「Boulder Dash Vol. 1」,2011年に「Boulder Dash-XL」(Xbox 360/PC),2012年に同ニンテンドー3DS版の「Boulder Dash-XL 3D」(日本ではテヨンジャパンから2014年に発売),そして2014年に「Boulder Dash - 30th Anniversary」(iOS / Android)と,今日までシリーズ展開が続いています。

 日本での知名度はそれほど高くないものの,海外では30年以上に渡りバリバリとシリーズ展開が重ねられている「Boulder Dash」シリーズ。筆者はデコカセやスーパーカセットビジョンなどの情報から軽く知っていたタイトルですが,そういった国内で得られるフックがなく海外で続いているゲームというのも,おそらく世の中にはたくさんあるのでしょう。ガンガンバリバリとディグっていかなければ!(掘りゲーだけに)

 ついでに,ゲームボーイ版「Boulder Dash」を開発したBeam Softwareというスタジオも,軽く調べてみたところ,かなり面白そうなんですよね……。日本でもヒットしたスーパーファミコン用ソフト「スマッシュT.V.」や,筆者が大好きなメガドライブ用ソフト「トゥルーライズ」などを手がけたスタジオで,1999年にInfogramesに買収され,2001年にInfogramesがHasbro Interactiveに買収されたことでハズブロ傘下となり,そこで開発した「Transformers Armada(超ロボット生命体トランスフォーマー マイクロン伝説)」を原作としたゲーム(PS2 / 2004年)はイギリスで大ヒットするなど高い実績を挙げるが,Infogramesの財政難で2006年にKrome Studiosへと売却,そのKromeも財政難に陥ったことで2010年にスタジオ閉鎖……これはドラマの匂いがする! ボンボンブリブリとディグっていかなければ!!

「バルダーダッシュ:Boulder Dash - 30th Anniversary」公式サイト

「Boulder Dash」公式サイト

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