ニュース
新シーズンが始まった「ディアブロ IV」の現状と今後について,拡張パック「Vessel of Hatred」の噂の真偽を含めて開発者に聞いた
「ディアブロ IV」公式サイト
2023年6月の発売以降,同社史上最速となる販売実績を築いた「ディアブロ IV」。10月18日には第2シーズンとなる「渇望の鮮血」が始まっており,サンクチュアリを襲う帝王ジアの吸血集団に対抗すべく,ヴァンパイアハンターのエリスと協力し,最強のシーズン専用ビルド作りに奔走しているプレイヤーも多いはずだ。
BlizzCon 2023における最大のトピックになったのが,「ディアブロ IV」としては初の拡張パックとなる「Vessel of Hatred」が2024年後半にリリースされるという発表だろう(関連記事)。日本語タイトルは今のところ発表されていないが,ケジスタン南部に広がる「ナハントゥ」(Nahantu)という第6のエリアがアンロックされ,プレイヤーは,力を増しつつある大悪魔のメフィストに対抗するため,ナイレルと共にナハントゥに足を踏み入れることになるようだ。
ナハントゥは「Diablo II」にも登場しており,かつてサンクチュアリ最大の栄華を誇った「クラスト」(Kurast)と,クラストに隣接する「フレイヤ―・ジャングル」(Flayer Jungle)という南部地域に続く波止場が描かれていた。憎悪の帝王メフィストの影響で衰退して以降,かつての輝きは失われたままだ,という設定になっていると思われる。
テクニカルαテストのデータがファンによって解析され,数か月前から話題になっていた「Vessel of Hatred」だが,発表された事実はほぼ噂に沿ったものになっている。
ワット氏は,オープニングセレモニーで「シリーズ初登場となるキャラクタークラス」についても言及しているが,データ解析からは,自然系のアビリティを持つ「Spearborn」というクラスが明らかになっている。以下,そんな拡張パック第1弾について話を聞いた。
拡張パック「Vessel of Hatred」について
――クラストが噂になっていますが,ナハントゥとはどのような地域でしょうか。
ティファニー・ワット(以下,ワット)氏:
クラストは,ナハントゥの一部として描かれます。「Diablo II」(および「Diablo II: Resurrected」)をプレイした人なら,第3章で描かれたジャングルに覆われた地域といえばお分かりでしょう。
「ディアブロ IV」のワールドマップでは,霧で隠されていた周辺地域の1つですが,世界のつながりを表現するうえで合理的な選択だと思いますし,過去作に登場した懐かしいロケーションを新しい角度からプレイできる良い機会になっています。
――この地域がプレイできるようになるなら,パラディンは外せないと思うのですが,発表されたのは新しいクラスですね。
ワット氏:
はい。まったく新しいクラスです(笑)。もちろん,私も過去にプレイしたパラディンには思い入れがありますが,開発チームが新しいクラスをディアブロの世界観に導入しようとしているのは,エキサイティングなことだと感じています。
ジョセフ・ピエピオラ(以下,ピエピオラ)氏:
どのようなクラスを新規に登場させるか。我々がまず考えたのは,シリーズの伝統を受け継ぐのに最適なクラスは何かということでした。人気があるだけでなく,プレイヤーが自分を表現できる力があり,プレイしてみたいと思わせるものでなければなりません。それは,バーバリアンの持つパワーや,誰にも追いつけないローグの俊敏性,あるいはネクロマンサーの召喚による間接攻撃などです。新しいクラスをデザインしていくうえでそのことを念頭に置きつつ,既存クラスの能力を侵害することなく,新たなゲームメカニクスを考えました。
――噂では,新クラスは槍使いで,ドルイドとウィッチドクターを合わせたイメージですが。
ピエピオラ氏:
10数年も新クラスが導入されてこなかった人気シリーズです。ファンの皆さんが大きな期待と共に噂に飛びつくのは理解できますが,それは想像でしかありません。正式に発表されたときには絶賛してもらえることに願いつつ,今の段階では解説を控えておきます。
――では,新クラスについてではないという前提でお聞きしますが,新しい武器や装備を導入すると,アイテムのドロップ率などのゲームバランスが大きく変化するため,もはや不可能に近いという話を耳にします。
ワット氏:
エンジニアチームに言わせると,彼らにとって不可能なことはないそうです(笑)。
――「Vessel of Hatred」は,どのシーズンの後(あるいは同時)に始まるのでしょう。
ワット氏:
それもまだ公式にはお話しできません。時期が来れば公表することになります。
――「ディアブロ III」の新シーズンは4か月に1度だったのが,「ディアブロ IV」では3か月に1度というペースになっていますね。
ピエピオラ氏:
ええ。拡張パックの開発チームとライブチームは分かれており,さらに,ライブチームは2つあって,シーズンを交互に担当する構成になっています。このことにより,1つのライブチームは以前より時間をかけて制作できるようになり,シーズンごとの評価を踏まえたうえで,次につなげられるようになりました。
シーズン2「渇望の鮮血」について
新シーズン「渇望の鮮血」はすでに始まっているが,今後,何度かにわたって大規模なアップデートが実施されることが発表されている。まとめると以下のようになるが,今後の展開についても,ワット氏とパイピオラ氏に話を聞いている。
マリグナントの指輪
「厄災のマリグナント」で人気だったパワーをモチーフにした,5つのマリグナントの指輪が登場し,シーズンの領域と永遠なる領域の両方で入手可能になる。マリグナントの指輪は,それぞれのクラスに1つ用意される。
11月7日に実施されるアップデートでリリースを予定。
ジアの屠殺場
12月5日から1月23日までの期間,シーズン・ジャーニーの最終ティアを完了して「胆力の経路」に入り,シーズンイベントである吸血力の限界に挑戦する。
屠殺者ジアは究極のチャレンジで,Lv.100に到達したキャラクターのみ参加できるが,報酬はシーズン終了までしか利用できない。
冬病み
「ディアブロ IV」のホリデーイベントとして,獰猛な疫病が破裂山脈を襲う。
呪われた悪魔を倒し,究極の敵である「赤纏う恐怖」の訪問に備えて警戒し,仲間たちと共に「玄冬」広場を修復する。
ウィークリーランキング:試練場(ガントレット)
1月末から始まる第3シーズンでは,その領域にレイアウトが固定されつつ,一本道ではないダンジョン「試練場」が登場する。
自分の腕とスキルを組み合わせてハイスコアを叩き出し,ほかのプレイヤーとリーダーズボードで競えるようになる。アイテムを破壊して,総合スコアを上昇させる「力の証明」(Proofs of Might)を集めることになる。
「ウィークリーランキング」ではハードコアキャラクター,ノーマルキャラクター,パーティサイズ,クラスごとにスコアが記録され,各週のランキングのトッププレイヤーは,「古の殿堂」に永久にその名が刻まれるという。
その他
シーズン2では,シーズン1よりも40%早くLv.100に到達できるXPブーストが加えられ,また,アイテムのパワーキャップを上げると共に,倒したモンスターのレベルに近づけるようにルートシステムが調整される。
また,リワードはシーズンからシーズンへ,そしてシーズン領域からエターナル領域にまたがって利用できるように仕様を変更。キヨヴァシャドにはTargeting Dummyという施設を新たに設け,プレイヤーが作ったビルトを事前にテストすることも可能になった。
――ローンチからシーズン2開始までを振り返って,シーズン1でどんなことを学びましたか。また,現在,どんなことを優先的に行おうとしていますか。
ピエピオラ氏:
「ディアブロ IV」で実現しようと開発チームが共有しているのは,「プレイヤーの選択が最も重要である」という点です。オープンワールドを自由に移動し,自由にキャラクタークラスを選択して好みの武器でビルトを作れます。重視しているのは,プレイヤーがどんな選択をしても意味があるようにすることですが,これは同時に,「バランス」を気にし過ぎて「楽しさ」を蔑ろにしてしまうという穴に落ちてしまうことにもなりかねません。
――ネクロマンサーの弱体化など,これまでファンの間で交わされた議論は,ゲームバランスの過度な調整に理由があったということでしょうか。
ピエピオラ氏:
バーバリアンやソーサラーの特定のビルドが強過ぎるといったバランス改善は,プレイヤーが同じビルドに偏ってしまうことを避けるために不可欠ですが,その一方,強いビルドに慣れていた人からは不満が出てしまいます。
重要なのは,ゲームに「完璧なパランス」など存在しないということです。完璧なパランスは幻にすぎません。開発チームがこの数か月で学んだのは,アクションRPGにおいて「ゲームを破壊するほどのビルド」を編み出したときにプレイヤーが興奮を覚えるということでした。我々がすべきことは,プレイヤーキャラクターの成長を真に楽しめるようにすることであり,すべてを満遍なく行い,特徴のないキャラクターを作ることではありません。
――シーズン2では,そうした考え方の変化が実現されていくのでしょうか。
ピエピオラ氏:
これまで我々が行ってきた調整が実を結び,多くの人がプレイしていて楽しく,費やした時間に見合うリワードが得られるようになったと思います。そのうえで,先ほど話したようなアクションRPGの理想を「ディアブロ IV」で体現することを目指しています。プレイヤーの皆さんからフィードバックとしてよくいただきますが,「マウントの移動が遅すぎる」「モンスターにたどり着くまでの時間が長すぎる」といった問題を解決しつつ,無数のモンスターと戦い続けられる,ブラッドハーベストなプレイを楽しめるようになると確信しています。
――コミュニティの評価も上がっていると思われますか。
ピエピオラ氏:
そうですね。サービスを続けていくうえで最も大切なことは,ゲーマーコミュニティと話し合うことだと改めて実感しています。何を修正すべきかということだけでなく,我々がなぜ(ビルトの弱体化などの)調整をしようとしているのかを,しっかり理解してもらうオープンな話し合いを行い,コミュニティの声に耳を傾け,よりよいサービスを提供していきたいのです。そして,コミュニティがうまく運営されるため,我々もさまざまな形で関わっていけるように努力します。
――コミュニティの要望といえば,スキルやパラゴンポイント,さらにはアーマーセットを含めたビルトのセーブなどは考慮されていますか。
ワット氏:
はい。優先順位の高い項目です。新しいビルトにしようとリセットしたところ,いまいちうまくいかなくて元に戻したい,というプレイヤーの声は我々にも届いています。異なるビルトをとっかえひっかえ使いたいという気持ちは理解していますし,我々もプレイしていて不満に感じる部分ですから,タイミングを見て,うまくゲームに反映しようと考えています。
「BlizzCon 2023」公式サイト
4Gamer「BlizzCon 2023」掲載記事一覧
キーワード
(C)2019 Blizzard Entertainment, Inc. All rights reserved.
(C)2022 Blizzard Entertainment, Inc.
(C)2022 Blizzard Entertainment, Inc.