プレイレポート
「Idol Manager」プレイレポート。アイドルプロデュース業の光と闇を体験できる本格事務所経営シム
「Idol Manager」は,ロシアのデベロッパであるGlitch Pitchが開発する,本格的なアイドル育成・事務所経営シミュレーションゲームだ。「事務所の経営」という点がミソで,これまでのアイドル育成ゲームにはない“裏方”の動きと,事務所全体のお金の切り盛りが重要になる。
今回,製品版をプレイする機会を得たので,そのプレイレポートをお届けしたい。なお,4Gamerでは6月に体験版のプレイレポートを,7月27日には開発者へのインタビューを掲載しているので,そちらも合わせて読んでほしい。
ちなみに本稿では体験版のレポート同様,プロデューサー名を「四芸間熱斗」,グループ名を「男坂99」としてゲームを開始している。
「Idol Manager」体験版プレイレポート。華やかな世界の裏で繰り広げられるアイドルプロデュース業のリアル
2021年6月16日,PLAYISMは,6月17日2:00から開催されるSteam Next フェスに先駆けて,PC版「Idol Manager」の体験版を配信した。ロシアのデベロッパであるGlitch Pitchが開発する,本格的なアイドル育成・事務所経営シミュレーションゲームだ。本稿では,体験版のプレイレポートをお届けしたい。
アイドル事務所経営ゲーム「Idol Manager」メールインタビュー。ロシアの開発者は,日本のアイドルを題材にしたゲームをどう作り上げたのか
PLAYISMは,2021年7月27日に「Idol Manager」のPC版を配信する。本作はロシアのデベロッパであるGlitch Pitchが開発した本アイドル育成・事務所経営ゲームだ。本稿では,本作の発起人であるMax Rogozin氏にメールインタビューを実施。日本のアイドルを題材にしたゲームをいかにして作り上げたのかを聞いた。
アイドル稼業はツラいよ! トラブルに次ぐトラブルに翻弄される日々
ストーリーモードを開始すると,不二本という男に呼ばれた主人公が暗がりの部屋で謎の女性と出会う場面から始まる。何やら不二本と関わりのある女性のようだが,正体不明のまま去って行く。
不二本から最初の資金550万円を渡され,事務所経営がスタートする。以前の体験版のプレイレポートでも触れているが,まずは基本的なシステムのおさらいをしておこう。
アイドル事務所を経営して仕事を回していくには,最低でもプロデューサー,マネージャー,ダンストレーナー(または振り付け師),ボイストレーナー(または作曲家)が必要だ。プロデューサーはプレイヤー自身なので,まずはほかの3名を雇うところから始めよう。
雇っているスタッフには週ごとに賃金がかかり,各スタッフ用の部屋を借りるためのテナント料もかかるため,ある程度の利益が出ていなければ,毎週の支出に耐えられない。資金に余裕のない序盤で,この3名以外を雇うのは経営的に厳しい。
各スタッフたちは,仕事部屋に配置することで自動的に「研究ポイント」を蓄積していく。研究ポイントはさまざまな用途で使うもので,例えば,作曲家やボイストレーナーであれば,シングル曲制作の際に「ジャンル」や「振付」の幅が増やせたり,各ジャンルにポイントをつぎ込むことで,そのジャンルをレベルアップしたりできる。
一方アイドルは,ダンストレーニングとボイストレーニングが行えるほか,1日に1回,「公演」「宣伝」「スパ」という3つのアクティビティを実行できる。「公演」は資金が増え,「宣伝」はファンの数が増えるが,それぞれスタミナを3消費し,「スパ」は資金が減るが,スタミナを2回復できるというものだ。
アイドルのスタミナは1日経過すると1ずつ自然回復するが,さすがにそれだけでは賄えない。しかもアイドルたちには常に何かしらの行動をさせ,お金を稼いでいかないと,アッサリと事務所は破綻してしまう。スタミナが低下するとアイドルが怪我をする確率が上がってしまうため,スタミナ管理は,このゲームにおいての最重要課題と言ってもいいかもしれない。
スタミナ管理は「スパ」をどう使うかがカギで,「公演」「宣伝」を選択した翌日のスパだとスタミナが5回復したり,2日空けてからのスパだと10回復したりする。通常は2しか回復せず資金も減ることを考えると,スパは5以上回復する日のみにしたいところだが,かなり気を使っていても0になってしまうことが珍しくない。「あと2日待ってからスパれば+10だから」と欲張っていると,その間にアイドルが負傷してしまうことも。
「宣伝」でファンを増やし,「公演」でお金を稼ぎ,疲れたアイドルたちを「スパ」で回復させる。この流れをうまく回しながら,合間にシングル曲を制作してお金とファンを同時にゲットする。体験版のプレイレポートでは,こんな感じで試行錯誤しながらシングルCDを3枚ほどリリースした。
製品版ではその続きから遊ぶこともできるのだが,今回は心機一転,改めて最初からプレイしてみることにした。というのも,このゲームは「いかに無駄なお金と時間を使わずに過ごすか」が大事なので,前回のプレイよりも,もっと切り詰めた事務所経営をシミュレートしてみようと考えたためだ。
というわけで,まずはオーディションで人材募集。ちょっとレアな人材は背景がシルバー,かなりレアな人材は背景がゴールドで登場するが,体験版のときも今回も,チュートリアルをONにした状態だと,必ずゴールドが1人出現している。チュートリアルをONにした状態だと,最初のオーディションでは,確定でゴールドが1人出現するのかもしれない。
体験版ではCDを作りすぎて痛い目にあったため,今回はその反省点を踏まえて,シングル曲を「デジタル限定配信」でリリースしてみる。メリットは制作費をグッと抑えられることと,「制作枚数」を事前に決めなくていいため,「売れるであろう数」を予測する必要がないことだ。
制作費を抑えられるのがメチャクチャ大きいため,「これ,もうずっとデジタル配信でいいんじゃないかな」と思っていたのだが,説明欄にデメリットとして「ファンは1曲を1回しか購入できない」とサラッと書かれていた。1人のファンが複数枚買うことを前提に書かれているあたりが恐ろしい。
順調かと思った矢先に思わぬハプニングが発生する。我がグループのエース,中垣がケガをしてしまったのだ。
「写真撮影」など各オファーでは,「キュート」や「セクシー」など,求められる方向性が毎回異なるのだが,そのパラメータが高いアイドルに受けさせると報酬がハネ上がる。中垣のように複数のパラメータが高いと,ついつい,1人に連続して仕事を振りがちで,予想以上にスタミナの減少が激しくなってしまうことがある。
同じ写真撮影でも,消費するスタミナは異なり,たまにサラッと説明欄に「スタミナ-50」とか書かれていたりする。受けるときは目先の高報酬に惑わされず,「エースが疲れ気味だから,今回はほかのメンバーに受けさせよう」といったプロデューサーとしての采配が問われるのだ。
負傷したアイドルは「休暇」で回復させてあげましょう,と説明されるが,「休暇」で完治させるには,なんと90日もかかる。3か月間もエースが戦力外になるのはキツすぎるので,何かいい方法はないか……と思っていると,「医者の治療を受けると休暇期間が短縮される」と説明欄に書いてあるではないか。「よし,それだ!」と医者を雇おうとするが,それには「医務室」が必要となる。空いているテナントを借りて「医務室」にするには,なんと100万円もの資金がかかり,毎週2万円ずつテナント料もとられる。資金が20万円という我が事務所には先立つものがなかった。
やむを得ず,負傷中のまま続行していると,中垣に「ボーイズラブ好き疑惑」イベントが発生。体験版でもいくつか遭遇したが,本作ではこういったアイドルが起こすハプニング系のイベントがランダムで発生する。
こうしたイベントは選択肢を選ぶことで対応するのだが,個人の好みの問題だし,我が事務所としては「中垣が何を好きでも構わない」とフォロー。すると,中垣は「筋金入りのボーイズラブファンだ」と明かした。「筋金入り」って,そこまで言わなくてもいいんだけど……。あと,負傷で休暇中なんだから,せめておとなしくしてて! とプロデューサー的には胃が痛くなる。
そんな中,櫻田安見が誕生日を迎える。現実なら「おお,ハッピーバースデー!」と言いたくなるところだが,このゲームにおける誕生日は変なところで現実的で全然めでたくない。誕生日を迎えると,身体的な能力値がダウンするのだ。
そんな誕生日にヘコんだわけではなさそうだが,櫻田がゲーム実況で視聴者を「負け犬」呼ばわりしてプチ炎上という,トラブル系のイベントが発生してしまう。
「やれやれ,次から次へと……」と思っていると,画面右下にさりげなく「破産まで14日」の表示が。
稼ぎ頭の予定だった中垣の長期離脱により,いよいよ資金が底をついた。こうなったら,銀行から1000万の融資を……と考えるが,返済期間は最大で6か月なので,月あたりの返済額がかなりデカい。破産する時期が少し延びるだけになりかねない。
しかし破産しては元も子もないと借りてみるが,やはり数か月延びただけで,アッという間に残金が170万円まで落ち込む。ふと休憩室を見ると,櫻田がソファーの上で膝を抱えていた。
さらに2週間ほど経過すると,両手で顔を覆う櫻田と,それを慰める金尾の姿が。後になって,事務所に内緒で付き合っていた男と別れたらしいことを知る。たぶんそれ関係だったのだろう。なお,個人的にはドット絵でこういう動きを見て「えっ,何!? 何!?」とソワソワしてしまう状況は好き。
そんなとき,不二本氏が現れ,「もし『金を払うからおたくのアイドルを一晩貸してくれ』と言われたら,君はどう答える?」と問うてくる。
やはりコイツ,闇側の人間か……! と思ったが,こっちも破産目前なので「条件次第」という選択肢を選んでみると,意外にも不二本氏は「僕が君くらいの歳のころ,自分の矜持を捨て去り,目の前の小銭に飛びついたことが何度かあった」とプレイヤーを諭し,答えにNOを突きつける。そして「この金で目を覚ましてもらえれば幸いだ」と,多額を融資してくれる。闇寄りの人物だと思っていたので,意外というか,俺の方が闇じゃん……。
その後も,不二本氏を通じて「ある女性をグループに入れて活動させてやってほしいという申し出があった。報酬は1000万円」と,思いも寄らない助け舟が舞い込む。
思いっきりウラの話なのだが,資金難の今,メチャクチャありがたい申し出なので即快諾。さすがにオーディションの体裁はとるものの,その日のオーディションは彼女1人で本人にこの事情は知らされず,オーディションで受かったと思わせるのだろう。お金持ちの親が,自分の娘の夢を叶えたいがために……とか考えると,いかにもありそうな話に思えてくるが,そう考える筆者の志向がやっぱり闇なのだろうか。
しかし,それでも資金は減る一方。そして悲劇は続くもので,エース中垣が突然の卒業宣言。引き留めようとするも,彼女の意志は固く……。
一方,箱入り娘の芳田も負傷。持っているスキルが「スタミナの消費速度が倍増し,回復速度が半減する」なものだから,スタミナの維持が難しく,普通のアイドル営業がとても難しい。仕方なく「休暇」で休ませるが,これでは加入させた意味がない!
そんな中,金尾が男性とスキャンダル。
そして立て続けに,今度は卒業が決まった中垣が握手会で表情に嫌悪感を出してしまうという事件が発生。ここはファンに謝罪だ! と思ったのだが,謝罪することで,「腕がつった」という中垣の言い訳を信じていたファンが逆に傷ついてしまうという結果に。
そんな感じで相次ぐトラブルに悶えていると,次は櫻田安見が卒業すると言い出す。何なの? 沈む船を察知したネズミなの?
卒業予定者が2名と,ついにメンタルも0になって「ふさぎ込み」状態になってしまった箱入り娘。まともに活動できるのがスキャンダル後の金尾1人となり,ただでさえ急激に減っていた資金が枯渇。
そして不二本が現れ,「残念だ」と言い放つ。どうやら,二度目の援助はないらしい。
君の最後の仕事はアイドルとスタッフに「終わった」ことを告げに行くことだ,と言われ,1人1人に説明をしていくのだが……これがまたツラい。アイドルやスタッフたちに「君はよくやってくれた」等の言葉をかけても,金の切れ目が縁の切れ目と言わんばかりに,全員がプイッと去って行く。
こういった冷たい態度を取られたのは,アイドルたちとマメに会話をせず,信頼関係を築けなかったことが影響していたのかもしれない。
アイドルたちとの会話では,雑談や各人の希望を聞き出せ,希望をかなえてあげるとプロデューサーとの信頼関係を示すゲージが上昇する。しかし,毎日公演やスパのタイミングを計りつつお金の流れに目をギラギラさせつつ,さらにアイドル1人1人と面談となると,やることがさらに増える。序盤にエースが離脱し,窮地に追い込まれていた筆者はそれどころではなかったのだ。
マネーとスタミナのコントロールゲーム。アイドルはアスリートだ!
以前,体験版をプレイしたときに感じたのは,とにかく「ファンの数」がモノをいうのではないかということだった。地道な宣伝と公演を繰り返してファンを増やし,シングルを売って資金を作り,また地道な宣伝と公演を繰り返す。こうしているうちにファンの数は増えていくため,シングル発売時の利益は少しずつ上っていく。この流れが,ゲームの基本だと思っていた。
しかし製品版をプレイしてみて,その考えは間違いだということに気づいた。最も大事なのはアイドルのスタミナだ。スタミナがほとんどない状態で無理をさせると負傷する。これ自体は育成シミュレーションでもよくある要素だが,本作の場合,医者なしだと完全に休暇を与えても完治に90日を要するため,序盤では致命傷となる。
というわけで改めて最初からプレイ。まず,最初のオーディションのアイドルガチャによる人選は慎重を極める。もちろんスタミナは最優先だ。「超回復」のスキルを持つ人材を「合格」にする。
そして事前にセーブしておき,10万円で開催できる「地区」のオーディションで出費を抑え,いい人材が来なかったらロード。これを3回繰り返して,30万円の出費で,いい人材を3人見つけるのだ。卑怯? 勝てばよかろうなのだァーッ!
採用基準として,どうしても年齢は考慮することになる。結果的に卒業が早くなってしまうからだ。誕生日を迎えるごとに能力が上がるスキルを持っている子もいるが,活躍できる期間が短いことは,経営面でも大きなリスクとなってしまうのだ。
アイドルたちの給料にも要注意だ。それなりに稼ぎ始めると,画面右下に「給料に不満」といった表示が出るのだが,「まあ,これだけ稼いでるんだから少しアップしてやるか」と甘い気持ちで上げると,地味に経営を圧迫していく。これだけが原因ではないが,1回目のプレイにおいて失敗要因の1つだったことは間違いない。本格的な売れっ子になるまでは,多少の不満はあっても薄給で頑張ってもらえないと,事務所が先に潰れてしまう。
正直,プロデュース業とかアイドルを薄給でこき使ってボロ儲けしているんだろうくらいに思っていたが,実際のところ,アイドルたちがそれなりの額を稼げるようになるまでものすごい勢いでお金が出ていくため,最初の資金を維持することすら困難なのだ。なんとかトントンでやってもまだ,アイドルたちの昇給は先の話。
地道にシングルを発売するのもいいが,その前に力尽きていては意味がない。もっと儲かる何かはないか……と探っていたら,「スペシャルイベント」というのが目に付いた。1回目のプレイでは,エース中垣の長期離脱によってシングル曲が制作できず,回復を待っている間に経営状況が危なくなってきたので,スペシャルイベントにまで気を回す余裕がなかったが,今回は挑戦できそうだ。
ちなみにスペシャルイベントには「コンサート」「総選挙」「ワールドツアー」の3種があり,コンサートの開催にはシングルを5枚以上発売しておく必要がある。
これまでのプレイで得たノウハウを生かして,出費とスタミナ減に目を光らせつつ,とにかくシングルを5枚出すことに専念。時間はかかったが,なんとか無借金で達成することができた。戦いの中で成長している……!
「柿ピーみたいな恋」は,筆者が柿ピーを食べながらプレイしていて,いよいよ曲名が思いつかなくなってきたから適当につけたものなのだが,「柿の種とピーナッツは単体でも成立するけど,柿ピーって,2つ揃わないと柿ピーじゃない。お互いが存在することで,より高め合う。そんな2人になりたいから……」とか考えると,なんか良さそうな曲に見えてこないだろうか……え,こない? そうか。
シングル5枚リリース達成により,ついにコンサートの開催が可能になった。チケットの価格設定から,どの曲をどの順でやるか,どこでトーク休憩を入れるかなどをセッティングしていく。無意識の内に「ファンならチケットの価格をもう少しくらい上げても買うだろ……」などと考えて調整している自分がいたりして,このあたりは,本当にコンサートというイベントをプロデュースしている感がスゴい。
資金に余裕が出てきたので,これまではデジタル限定配信だったシングルを,物理的に生産する形に移行してみることに。ファンの数が5700ほどだったので,4000枚くらいならいけるか? と設定してみたところ,ニューシングル「夏が終わったら……知らんのか? 秋が来る」は4000枚を見事に完売。130万円の利益を得る。
「これ,軌道に乗ったんじゃない……?」とウキウキしていたら,「男坂99の歌がカルト教団を宣伝しているように聞こえる」という謎の空耳騒ぎが。しかし,どんなトラブルが来ても大して怖くはない。圧倒的な金が手元にある安心感……! コンサートは1か月のクールダウン期間が必要だが,開催可能になり次第,ガンガン開催していく。
公演とコンサート,そして適切なスパによるスタミナ管理により,ついに所持金が2000万円を突破する。筆者のアイドルプロデュースの才能が開花した瞬間である……。
コンサート以外にできる「スペシャルイベント」は,「ワールドツアー」と「総選挙」がある。ただ,「ワールドツアー」はさすがに早すぎるようで,今の段階ではどう計画しても黒字転換は難しそうだ。
総選挙はやってみたいところだが,メンバーをあと2名,増員しなければいけない。今までは資金難とスタミナ管理の難しさで,人員を増やすなど考えられなかったが,資金に余裕ができた今なら,あと2名くらいならいけそうだ。
前回と同じ方法で10万円のオーディションを繰り返したところ,またもシルバーレア人材が出現。年齢が20歳だが,能力とスキル「負けずぎらい」を見て,合格に。
5人グループとなった男坂99の,満を持してのニューシングル「25時のシンデレラ」は15,000枚を売り上げ,利益480万円をゲット。このシングル発売だけで,ファンが一気に4300人も増えた。序盤と比べるとインフレがスゴいが,チャートは厳しい。これだけ売っても,7位から上に行けないのだ。
実は曲のジャンル,歌詞,振り付けには「トレンド」があり,これが合致しないと上を目指すのは難しい。
しかも,各ジャンルを全解放するだけでも作曲スタッフの研究ポイントがかなり必要なうえ,各ジャンルには「レベル」が存在する。より多くのポイントを同ジャンルにつぎ込むことでレベルアップしていくので,時間をかけてレベルを上げても,そのころにはもうほかのジャンルがトレンドになっていたりもする。
しかし,ものは試しだ。もうマーケットのトレンドしか見ない戦略で,ニューシングル「流行りに媚びて,ただ売れたい」をリリースしたところ,チャート3位を達成。ストーリーモードの進行の条件に「チャート5位以上」というのがあり,これがなかなか達成できずに停滞していたのだが,ようやく進むことができた。
コンサートとシングルで数百万を稼げるようになると,もう怖いものはないように見えてくる。しかし,そううまくはいかない。というのも本作では,スパにかかる価格がどんどん上昇していくのだ。公演1回で20万円の収入を得られるようになって喜んでいたら,いつの間にかスパ1回に4万5000円かかるようになっていたり。さらにもうしばらくプレイしていたら,いつの間にかスパ1回が10万円になっていた。ちなみに,最初はスパ1回が1万5000円である。
こうなってくると,1回の公演で20万円入ろうが,所持金が2000万円になろうが安心はできないし,「現状維持」をしたくても,アイドルたちはいずれ卒業していく。たとえ「稼げる状態」を作れたとしても,それは永遠ではないのだ……。
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アイドルを故障させず,確かなお金の流れを作って破産もさせないというのは想像以上に難しい。いい感じに資金が貯まってきても,自分が気づかないうちに手遅れになっていることが多い。オートセーブはあるが,そのセーブが「手遅れになる前」とは限らない。正直,予想以上のボリュームと難度で,誰しも一度はピンチを迎えるはずだ。
筆者は本稿のとおり,一度破産し,その経験を元に無借金で資金2600万まで盛り返したが,それでもシングルの最高売上枚数はまだ1万5000枚で,チャートも最高3位。チャート1位の枚数が18万枚なので,まだまだ先は長い。
ストーリーモードのほか,タイトル画面には「フリープレイ」と「MOD」の表示があるが,「フリープレイ」はその名のとおり,ストーリーをまったく気にせず遊べるモードだ。設定で,ランダムイベントやスキャンダルなどをオフにすることもできるし,難度を「ルーズ」にすると資金の心配をせずに遊べるので,「ノーマル」で苦戦したら,一旦「フリープレイ」で難度を「ルーズ」に設定してコツを掴むまでプレイしてみるのもいいかもしれない。
もう一方の「MOD」は既報のとおり,アイドルの姿を自分で用意した画像と替えられるという,無限の可能性を持つ機能だ。ただ,発売前にプレイした本稿執筆時にはその方法が不明で,ゲーム内には,どこにもやり方の説明がない。インストールされているフォルダのどこかにMOD用のフォルダを作って,そこに画像を入れるのだと思うが,どれくらいのサイズの画像にする必要があるのか,画像の時点で透過させておく必要はあるのか等も不明だ。仮にその方法がいま分かっていたとしても,あまり勝手な画像を使ったスクリーンショットは載せられないのだけども……。友人・知人の写真を取り込んでグループを組ませると楽しいかもしれない。
体験版のプレイレポートでは「製品版でミリオンヒットを飛ばす」ことを目標としていたが,無理な借金や破産をせずに1万5000本を売り上げるまでに結構な時間がかかっており,10万本ですらなかなかハードルの高い目標となりそうだ。
と言っても筆者は完全な手探り状態でのプレイだったため,本作のリリース後,ネット上ではもっと効率の良い方法が編み出されていくはずだ。また,あえてそうした情報を見ずに自分の手で開拓していくのもいい。
体験版のプレイレポートでも書いたが,ローカライズは完璧だ。日本のSNSでいかにもありそうな小事件やプチ炎上騒ぎを的確なニュアンスで表現しているため,どのトラブルも「うわー,ありそう」感(とか,あ。あれか感)がスゴい。それは本稿のスクリーンショットを見ても明らかだろう。というか,日本のゲームにしか見えないのではないだろうか。
もし本稿を読んで少しでも興味を持ったら,渾身のタイトル名を付けた「俺だけのシングル」でミリオンヒットを飛ばすことを目指してみてほしい。時間を忘れて入れ込んでしまうことを保証する。
「Idol Manager」公式サイト
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