プレイレポート
Switch版「ワールズエンドクラブ」レビュー。デスゲームからはじまる,少年少女たちの冒険活劇
2020年9月には,Apple Arcadeにてゲームの序盤が先行配信されており,今回リリースされたSwitch版がゲームを最後まで楽しめる完全版となっている。本稿では,Apple Arcade版も遊んだ筆者が,Switch版もプレイして,改めて本作の魅力を紹介しよう。
なお,本稿は少なからず物語の内容に触れているため,まっさらな気持ちで楽しみたい人は注意してほしい。
Apple Arcade版のレビューでは,キャラクターの紹介やゲーム序盤について詳細に触れているので,こちらもあわせて読んでもらえると幸いだ。
スマホ版「ワールズエンドクラブ」のレビューをお届け。デスゲームはなくなった? どういうゲームになったの?
イザナギゲームズは2020年9月4日に,「ワールズエンドクラブ」(旧名:デスマーチクラブ)をApple Arcadeでゲリラリリースした。発表当初「12人を殺す? 12歳による,12のデスゲーム」というキャッチコピーだった本作は,いったいどのような作品になったのか? レビューをお届けしよう。
「ワールズエンドクラブ」公式サイト
Apple Arcade版を遊んだ人向け
ストーリースキップ機能を紹介
ゲームの紹介に入る前に,すでにApple Arcade版をプレイ済みの人もいると思うので,便利なスキップ機能を紹介しておこう。
このスキップ機能は誰にでも簡単に使えるというわけではなく,あくまで“しっかりゲームをプレイした人”がスキップできるように,ゲーム的な要素が含まれている。Apple Arcade版のストーリー終盤までスキップするためには,序盤に登場する「ピエロピ」が出題するクイズに全問正解しなければならないのだ。
ゲーム冒頭部分だけをスキップするといった機能も用意されているので,Apple Arcade版を途中までは遊んでいる,という人も活用してほしい。ただし,これらの機能を使うと,Switch版の新要素を楽しむことができないので,筆者個人としては,スキップ機能は使わないで遊ぶことを推奨したい。
デスゲームからはじまる冒険活劇
日本全国の人が消えた謎に迫る
それでは,ゲーム本編の紹介をしていこう。1995年7月,ガンバレ組の11名は,東京から鎌倉へと向かう修学旅行の途中,謎の隕石が落ちる瞬間を目撃し,爆発に巻き込まれてしまう。一行が再び目を覚ますと,そこは廃墟となった海底遊園地だった。
Apple Arcade版のプレイレビューでも触れたように,本作はまずデスゲームを彷彿とさせる「ノルマゲーム」から始まる。制作陣の顔ぶれからも「期待通りのゲームだな」と気持ちが高まるだろう。一方で,可愛いキャラクターたちに惹かれた人たちは,唐突すぎる鬱展開に少し驚いてしまうかもしれない。
いきなり11名のクラスメイトと繰り広げられるノルマゲームは,まさに“ギスギス”の一言。廃墟から脱出するための鍵を求めて,仲が良かったはずの11名が容赦なくお互いを蹴落とそうとする。
しかし,このノルマゲームは,壮大な物語のほんの序章でしかなかった。
海底遊園地を脱出したメンバーが地上に戻ってみると,空には見慣れないオブジェクトが。そして鎌倉に向かっていたはずのガンバレ組のメンバーがいたのは,なぜか鹿児島県だったのだ。
ガンバレ組の一行は,東京まで帰る術を探すものの,道中にはひとっこ一人見当たらない。しかも,世界は異様なまでの植物に覆われ,電気なども止まっているため,歩いて帰るという選択を余儀なくされた。
いったい,なぜ,人がいないのか?
世界に何が起こったのか?
一行は,道中で出会った「雪」という謎の少女を加え,12名で日本を旅することとなる。
仲の良いガンバレ組のメンバーたちだが,時には意見が割れることもある。リーダーであるれいちょは,どちらの意見に従うか選ぶことができるが,れいちょが選んだルートに全員が進むわけではない。
れいちょはあくまで「より共感したグループについていく」という形になり,選ばなかったグループは別途,勝手に旅を進めていく。再び合流したときに,そのルートで何が起こったかのあらましくらいは聞けるものの,自身で別のルートを選ばないと詳細は体験できない。
横スクロールのアクションパートこそが真のデスゲーム
本作は主にストーリーが進むアドベンチャーパートと,横スクロールのアクションパートの二つで構成されている。
アクションパートの基本操作は主に四つで,移動,ジャンプ,特殊アクション,そして能力が覚醒したキャラクターはAボタンで特殊能力を発動できる。Apple Arcade版では上フリックでジャンプだったが,Switch版ではBボタンでジャンプに変わったため,随分と遊びやすくなった。
ただ,本作のアクションパートは非常に難しい。脅すわけではないのだが,冗談ではなく5秒〜10秒に1回死ぬくらいなのだ。ただ,死んでも直前の地点から自動でリスポーンされるため,簡単にチャレンジし直せるのでその点は安心してほしい。
なお,どのくらい難しいかというと,操作キャラクターが穴に落ちたり敵の攻撃を食らったりすると,その時点で即ゲームオーバー。その割にジャンプできる距離は結構シビアで,地面に空いた穴をポーンと大ジャンプで飛び越えられるようなものではない。ギリギリの位置を見極めて,「ここならば」という場所でジャンプしないと失敗する。
こうなるとドツボにハマってしまい,リスポーン→死→リスポーン→死,という地獄のループを繰り返し,筆者は何度か泣くことになった。Apple Arcade版は操作方法が影響して難しく感じたのかと思っていたが,Switch版でもその凶悪さは全く変わらず,ゲーム自体が難しかったのだと気づかされた。
ジャンプをなんとかクリアした,れいちょだったが…… |
着地した先には敵が待ち構えており,体当たりされて死亡(涙) |
アクションは後半になればなるほどシビアになっていき,時には「暗くて見えなかったけど,こんなところに穴が〜……!!」と泣きたくなる罠もある。そこは“死に覚えゲーム”のように,次に同じミスを繰り返さないように注意して進めば良い。
アクションパートは全体的にかなり短めに作られているので,アクションが苦手な人もじっくり焦らず腰を据えて挑んでみてほしい。
中には謎解き要素などもあり,暗号を解読して答えを入力することもあるが,そういう場面では必ずヒントが出てくるため,きちんと読めばクリアできるようになっている。ヒントは複数回見ることで内容が変わっていくので,分からない人は全部のヒントを読んでみよう。
謎解きはストーリーをしっかり読んでいれば,すでにキーワードは出揃っている。あえて謎解きにきちんと挑みたい人は,ログ読み返し機能でストーリーを振り返ってみてほしい。
新要素「シール」集め
Switch版で新要素として「シール集め」が登場。シールはフィールド上の光っている場所に出現する。
シールにはノーマルとレアがあり,ノーマルはストーリーを進めていれば自然と手に入るものが多いように感じたが,レアは特定の条件を満たさないと入手できないようだ。
シールに特殊な効果はないため,童心に返って,純粋なコレクション要素として楽しんでほしい。
フェーズが変わるとまるで違う遊び心地になる,不思議なゲームだ
Apple Arcade版の続きとなる,Switch版で新たに描かれるシーンでは,ノルマゲーム,冒険パートとはまた違った味わいの内容が展開される。詳しく触れてしまうと,本作の面白さがまるきり損なわれてしまうため,「伏線を回収し,すべてが一つにつながるスッキリとした快感が待っている」とだけお伝えしておこう。
本作の中心とも言えるガンバレ組による日本縦断冒険活劇パートは,「グーニーズ」や「スタンド・バイ・ミー」といった,名作青春映画を彷彿させるものだった。子供ならば共感,あるいは共鳴するだろうし,大人ならば幼少時代を思い出して微笑ましく思ったり,時には幼い子供たちの冒険に不安を覚えることもあるかもしれない。
本作は大人と子供では恐らく違う感想が生まれるだろう。もし小学生や中学生くらいのお子さんがいる人には,ぜひプレイを勧めてみてほしい。そして親子で,色んなことを語らってみてほしい。大人でも,子供でも,違った視点から楽しめるジュブナイルゲーム。それが「ワールズエンドクラブ」なのだ。
「ワールズエンドクラブ」公式サイト
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