プレイレポート
「ダイイングライト2 ステイ ヒューマン」先行プレイ。夜の世界の探索や爽快なパルクール,主人公の成長要素が大きく進化したシリーズ最新作
本作は,2015年にPC,PS4,Xbox One向けに発売され,2021年1月にはSwitch版がリリース(関連記事)されたオープンワールド・アクションRPG「ダイイングライト」の“その後”の物語を描くシリーズ最新作。パンデミックによる文明崩壊ののち,わずかに生き残った人類が“新たな社会”を構築する街を舞台に,謎多き物語が展開する。PS5版とPS4版を発売前にプレイすることができたので,ゲームの特徴や魅力をお伝えしたい。
※PC,Xbox Series X,Xbox One,Switch版の販売はTechlandが担当。Switch版(クラウドバージョン)のリリースは2022年内の予定
「ダイイングライト2 ステイ ヒューマン」公式サイト
妹の行方と“自分自身が何者なのか”を探す
文明崩壊後の世界を生きる一人の男の物語
前作の物語でハラン市に蔓延したTHV(ハランウイルス)は,数年後にジュネーブの研究施設から流出。それはまたたく間に全世界に広がり,わずか2年のうちに人類の98%が死滅し,文明社会は崩壊した。
そんな世界で,新たな人間社会が誕生した都市があった。それが,ゲームの舞台となるシティだ。ウイルス禍の初期に外部から隔離された“見捨てられた都市”だったが,皮肉なことにその隔離用の壁が防壁として機能したため感染の規模が拡大せず,パンデミックを乗り越えることができたのである。
この街にやってきたのが,主人公のエイデン・カルドウェル。これまでどこかの街に定住することなく,各地のコミュニティを渡り歩いてきた“流浪人”で,生き別れになった妹ミアの手がかりを追って街の外からやってきた男だ。
彼は幼少期,ミアとともにどこかの施設に囚われ医療実験を受けていたようだが,覚えていることはほんの一部で,多くの記憶を失っている。妹の行方を探すと同時に“自分自身が何者なのか”を知ることが,彼の旅の目的でもあるのだ。
新しい社会が生まれた街には,大きく分けて3つの勢力が存在する。規律や階級を重んじる元軍人たちを中心に構成されたピースキーパーは,主に武力によって人類を守り,秩序の確立を目指している。
一方サバイバーは,ピースキーパーに参加しなかった市民たちによる勢力だ。都市の各地でそれぞれのコミュニティを築いており,確立された組織体系はないが,互いに強い絆と信頼で結ばれている。ピースキーパーとは友好関係にあるが,彼らの高圧的なやり方に不満を持つものも多く,思想の違いから不和が生じることも少なくないようだ。
両勢力と敵対しているのが,街に混乱をもたらすレネゲイド。街の施設や居住地を襲撃しては罪なき市民を殺め,略奪を繰り返す無法者の集団だ。エイデンは,ピースキーパーやサバイバーの人々とともに行動し,ときにレネゲイドと戦いながらシティを旅することになる。
キャラクターの成長によって行動範囲が広がる
より“RPG的”になった育成要素
最初の舞台となるオールド・ヴィレドーは,ヨーロッパでよく見られる4,5階建ての建築物が立ち並ぶ地域で,シティの“旧市街地”といった雰囲気だ。連なる建物の屋上には,感染者が溢れる地上を避けた人々の生活がある。
感染者は基本的に,ドアを開けたり壁をよじ登ったりといったことはできず,また,太陽光(正確にいえば紫外線)を苦手としているため,昼の間は屋内に隠れていることが多い。
どこから上がってきたのか,感染者が屋上をうろついていたり,盗賊が襲撃してきたりすることもあって油断は禁物だが,“屋上世界”の住人たちは一人で歌っている人がいたり,車座になって話をしている集団があったりと,日中は割とのどかに生活している。
プレイヤーは,エイデンが得意とする素早い動き「パルクール」で,地上や屋上世界を自在に駆け回ることが可能だ。建物から建物へと飛び移る,建物のへりに掴まって登る,狭い足場を渡る。こうしたアクションを駆使し,メインストーリーやサブクエストの目的地に向かうことになる。
このパルクールが実にスピーディかつ爽快で,基本的な操作はワンボタンで行えるため,簡単操作で華やかなアクションが楽しめる。これは前作から変わらない特徴だ。
駆け上がったり,よじ登ったりできる場所に黄色い目印があるという“前作からのルール”もそのまま。それさえ知っていれば,初めてプレイする人でもすぐにノンストップで街を駆け抜けることができるはず。
ただ,より遠くの場所へとジャンプしてたどり着くにはスキルアップが必要となり,また,壁やポールなどをよじ登る際は「スタミナゲージ」を消費するため,高いところへ無制限に登れるわけではない点は要注意だ。
本作は“キャラクターを成長させる”というRPG的要素が強く,より高い建物によじ登る必要がある場面や強敵との戦いに挑むうえで,「戦闘」と「パルクール」のスキルの取得,エイデンの基礎能力となる「体力」と「スタミナ」のレベルアップは欠かせないものとなる。
スキルシステムも,前作の特徴を残しながら新たなものに進化している。スキル獲得に必要なポイントは,「戦闘」であればバトルの経験を,「パルクール」であればたくさん移動をすることでそれぞれ獲得できる。街中を探索し,感染者や盗賊に遭遇したら退治。そうしていくうち,どんどんポイントが溜まっていくだろう。
メインストーリーやサブクエストをクリアすることでも報酬としてポイントがもらえるので,それらの攻略も兼ねていれば,自然とスキルが充実していくはずだ。
強力なスキルを得るには,戦闘であれば体力,パルクールであればスタミナをある程度上げる必要がある。それらの基礎能力は,メインストーリーの途中や街中にある特定のスポットなどで入手できるアイテム「インヒビター」を消費することで成長可能だ。
メインストーリーの途中で手に入るぶんだけでもそれなりに成長させられるが,戦闘とパルクールのスキルをどちらもまんべんなく取得するには足りない。インヒビターのある場所に近づくと音声で知らせてくれるので,街を移動中に反応があったときは周囲を探してみよう。
物語が進むと,体力勝負となる強敵との戦いやスタミナを求められるアクションも増えていくので,序盤からしっかりと基礎能力を上げ,スキルを取得しておくといいだろう。
キャラクターを育てることでゲームを有利に進められるだけではなく,より爽快で“超人的”なアクションも楽しめるので,それも良いモチベーションとなるはずだ。
よりスリリングになった“夜の世界”の探索と
プレイヤーの選択で変化するメインストーリー
ダイイングライトの大きな特徴と言えば,日中と夜の変化。昼間は太陽光を避けていた感染者たちが建物からぞろぞろと外へと出て,夜にだけ行動する特異種も姿を現す夜の世界は,その危険度が格段に上がる。仲間を呼ぶハウラーに見つかれば「チェイス」が発生し,大量の感染者に追われることになる。
とは言え,何も行動しないのはもったいない。というのも,夜は危険な一方で,貴重なアイテムが手に入ったり,獲得経験値が2倍になったりする,ハイリスク・ハイリターンな時間帯でもあるのだ。
廃屋を探索し,そこに残されたアイテムを集めることも,前作から引き続き重要なものとなっている。この夜の建物探索も,前作以上に遊びがいのある要素へと強化されている印象だ。
かつて商店や薬局だった,“旧文明”の貴重なアイテムが残されたスポット「ダークホロー/荒廃した店」,かつて研究施設だった巨大な建築物「GRE隔離所」などは,まさにRPGのダンジョンに挑むような緊張感や,レアなアイテムを探す楽しさを味わえる場となっている。日中はぎっしりいる感染者も,少数を残して出払っているので,残っている感染者たちに気づかれないよう,距離を取って静かに移動しながらアイテムを集めよう。
夜間の行動や太陽の光が届かない建築物の探索で,さらなる緊張感を与えてくれるのが“免疫力の低下”だ。エイデン自身もウイルスに感染しているため,暗い場所に居続けると症状に苦しみ出し,何の対処もないままだとそのまま感染者の仲間入り(ゲーム上では死亡扱い)をしてしまう。闇の中で多くの感染者に追われながら,この症状が出たときの絶望感はなかなかのものだ。
夜の探索において生命線となるのが,UVライトと免疫力を保つアイテムだ。夜の世界で行動する前に,UVライトがある「安全区域」を探索拠点としてアンロックし,大きな建物や地下深くを移動する際は,免疫力を持続させる「UVシュルーム」や「免疫力ブースター」を忘れず用意しよう。
戦闘では,ジャストガードや回避を起点に,パルクールを交えたさまざまな技を繰り出すことができる。それらをうまく使いこなせば強敵とやり合えるが大勢の感染者や敵対する人間に囲まれるとそうはいかない。戦いを挑む際は周囲の状況の確認を怠らないようにしよう。
また,戦闘においては,事前に主人公と敵のランクを比較することがとても重要だ。主人公より敵のランクが高いと攻撃してもダメージが低く,倒すまで時間がかかる。戦いが長引くとそのぶん危険も増すので,明らかにランク差がある相手には近づかず,見つかってもその場から離れたほうがいい。序盤はこつこつとキャラクター育成や武器集めに努め,強くなったら再挑戦しよう。
最後に,PS5版とPS4版の違いにも触れたい。分かりやすい部分だと,グラフィックスの設定項目だろう。PS5版には,60fpsの動作に対応させるフレームレート優先の「パフォーマンス」,レイトレーシングに対応した光や影の描写を重視する「画質」,テクスチャの解像度に重きを置いた「解像度」という3つの設定があり,PS4版は設定項目自体が存在しない。
とは言え,あくまで設定がないだけで,PS4でもゲームのグラフィックスとしてのクオリティは高く,フレームレートも比較的安定している。
イベントシーンや,多くの敵を相手にしたバトルで激しい動きをしたときなどに処理が重くなることもあるが,本作の魅力であるスピーディなパルクールの爽快さは十分に味わえる。さすがにローディング時間はかなり大きな違いがあるが,それも比べれば気になるというだけ。ローディングが入る場面はそう多くはないので,あまりストレスを感じることはないはずだ。
よりRPG的な,じっくりと遊べるゲームへと進化した「ダイイングライト2」は,3つの勢力の関係性やプレイヤーの選択で変化するストーリーも何よりの魅力だ。ネタバレを避ける意味でもあまり深く触れられないが,どの勢力に肩入れするか(あるいはそう装うか)によって展開が変わっていく物語は,進めれば進めるほどその世界に没入できる。
また,主人公の成長でアクションの楽しさが加速度的に増し,“ただ走り回っているだけでも楽しい”という境地に至ると,探索に対するモチベーションを大いに高めてくれる。深みのある物語を追いながら,広大なシティを駆け回る……腰を据えて楽しむにはぴったりの作品だろう。
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- アクション
- アドベンチャー
- CERO Z:18歳以上のみ対象
- Techland
- サバイバル
- スパイク・チュンソフト
- プレイ人数:1〜4人
- プレイ人数:1人
- ホラー/オカルト
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- PS4
- PC:Dying Light 2 Stay Human
- PC
- Xbox Series X:Dying Light 2 Stay Human
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- ライター:高橋祐介
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