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[CEDEC 2022]「星のカービィ ディスカバリー」の冒険をより一層盛り上げる,インタラクティブな楽曲展開。“環境音に仕掛けられた秘密”も語られたセッションをレポート
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印刷2022/08/26 21:49

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[CEDEC 2022]「星のカービィ ディスカバリー」の冒険をより一層盛り上げる,インタラクティブな楽曲展開。“環境音に仕掛けられた秘密”も語られたセッションをレポート

 ゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC 2022」の2日目(2022年8月24日)に行われた,「『星のカービィ ディスカバリー』 カービィらしさを継承し,再構築したサウンド表現」の聴講レポートをお届けしよう。

 ハル研究所のサウンドクリエイターである小笠原雄太氏下岡優希氏,スペシャリスト エンジニアの根本 卓氏がスピーカーとして登壇した本講演は,「星のカービィ ディスカバリー」がどのようにカービィらしいサウンドの本質を継承しつつ新しい取り組みに挑んだのか,さまざまな事例を通して紹介された。

画像集#001のサムネイル/[CEDEC 2022]「星のカービィ ディスカバリー」の冒険をより一層盛り上げる,インタラクティブな楽曲展開。“環境音に仕掛けられた秘密”も語られたセッションをレポート

 「星のカービィ ディスカバリー」は,メインシリーズとしては初となる3Dアクションゲーム。この2Dアクションから3Dアクションへの変化によって,サウンドも3Dアクションにあったものへと再構築する必要があった。
 新たな挑戦をするうえで重要だったのが,長い歴史を持つカービィシリーズがこれまで大切にしてきた「考え方」だ。ここであらためて,“カービィらしいサウンドとはなにか”を言語化することにした。初代から近作まで同じメンバーを中心に制作してきたため,自然と共通した考え方はあったもののそれが言語化されていなかったのだ。

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 サウンド制作メンバーにあらためて話を聞き,それをまとめていくと中心となる1つの考えが浮かんできた。それは「ゲームが面白くなるか」。当たり前のようだが,何よりも大事なものだと皆が認識していたのだ。
 この思いを考えを軸にさらに考えをまとめていくと,カービィのサウンドは以下の“3つの面白さ”で形付けられていたことが分かった。

・ゲームならではの面白さ
・ユニークな面白さ
・楽曲単体の面白さ


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 「ゲームならではの面白さ」を築くうえで重要なポイントは2つある。1つ目はユーザー体験に寄り添う演出だ。繰り返し遊ぶことで,いつでも,何度でもよい体験を与えらるよう,遊びに大切な音がしっかり聴こえながらも,聴き疲れしない音質に調整しなければならない。2つ目はデジタルだからできる音作りだ。ゲーム機を1つの楽器に見立て,その楽器だから鳴らせるような,人が演奏できないような,デジタルだからこそのサウンドの提案である。

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 「ユニークな面白さ」とは,アラブの音階を使った楽曲や,デジタルノイズをふんだんに使った規則性の希薄なリズムのエレクトロニカなど,ゲームでは聴いたことがないような楽曲でプレイヤーを楽しませる“発想”のことだ。統一されたカービィらしさがありながらも,作曲した人が分かるような“作家性”の強い楽曲。そして,かわいいカービィからはイメージできない,ド派手なロックや壮大なオーケストラ,ムーディーなAOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)などを取り入れることによって生まれる“ギャップ”がそのポイントとなっている。

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 そして,「星のカービィ ディスカバリー」では一曲一曲の面白さを引き上げるべく,ゼネラルプロデューサーによる監修も入れたという「楽曲単体の面白さ」だ。大事にしたのは,ゲームを引き立てるBGMでありながら,思わず口ずさみたくなるような「しっかりしたメロディー」と,楽曲単体を好きになってくれるような「ユーザーを惹きつける魅力」である。

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 では,どのようにその3つを継承し,そして3Dアクションゲーム向けに再構築し,サウンドを作り上げていったのだろうか。重要なものとなった1つが「インタラクティブミュージック」による演出だ。

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 インタラクティブミュージックの特徴が“横の遷移”で,1つの楽曲の展開を,小節やフレーズごとに複数のブロックに分割し,ゲーム展開に応じてそのブロックを動かすことでシームレスに音をつなぐというものだ。

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 これまでのシリーズ作品でも取り入れたことはあったが,3Dアクションになったことで臨場感が増したことや,感情に合わせて変化する音楽表現を進化させたいという思いのもと,より多くの場面でインタラクティブな演出を入れていくことになった。

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 しかし,こういった演出には大きな課題がある。例えば音楽の展開を優先する場合,節目となる小節やフレーズを迎えるまで,プレイヤーを待たせてしまう。逆にゲームの展開に合わせる場合は,メロディーやコード進行がぶつ切りとなって音楽的な魅力を損ない,それによって違和感が生まれたり,没入感が失われたりといった恐れがある。
 これを回避するため,楽曲を実装するときはもちろん,作曲や構成段階から対策方法を考えながら丁寧に作業を進めていったという。

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 インタラクティブミュージックを採用した具体的な例として,ボス「グルルムンバ」のステージのBGM「こわいケモノのにおい」におけるシーケンスの変化が紹介された。

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 一連の流れは大きく分けて3つ。不穏な雰囲気の流れる「ボス前ステージ」,緊張感と驚きがある「ボス登場カットシーン」,そして白熱の「ボス戦」だ。楽曲は以下のとおり,役割に応じた4種類のグループに分かれている。

-Intro
楽曲のイントロ部分。再生は一度のみで繰り返し再生されることはない

-Body
楽曲のメイン部分。複数のブロックで構成されており,ステージの大部分でそれらのブロックをループさせたものが再生される

-Bridge
楽曲のつなぎとなる部分で,単純なパターンの音楽となっている。Bodyと同様複数のブロックに分かれており,それをループさせている

-Tail
ボス登場カットシーンが始まることで再生される,遷移の終着点。ボス戦に向け緊張感を高めるブロックとなる

 遷移の要となっているのがBridgeだ。メロディーを持たず,リズム感もあいまいなブロックとなっており,拍,小節外の遷移でも違和感を最小限に抑えるものとなっている。これによって楽曲のメロディーを壊さない遷移が可能となったという。

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 マップ上にはグループが切り替わるエリアが指定されており,BodyのエリアからBridgeのエリアに入ればBridgeの音が鳴り,そこから進めばTailに,引き返せばBodyと遷移する。

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 このエリア設定でもBridgeは重要だった。エリアが長すぎると単純な音の繰り返しでプレイヤーを退屈させてしまうし,逆に短ければBodyとTailの流れを滑らかにする“つなぎ”の役が務まらない。この辺りは楽曲を組みこんだあとも,カービィの移動速度などの条件を変えながらテストプレイを繰り返し,ステージごとに入念に調整したという。

登場時の演出によって尺が変わるため,ボスによってつなぎ方を変えたりフェードアウトを入れたり,BridgeとTailの遷移のつなぎ目に違う音を入れたりといった工夫や調整も行った
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“あのボス”の場合,Tailの内容をライトモチーフが絡んだ音楽に変更。ストーリーが大きく動くシーンで,より驚きのある“対峙”を表現した
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 それらのインタラクティブな楽曲展開を生み出すうえで重要なのが“遷移のしやすさ”だ。スケール外の複雑な響きや進行が限定されるような和音,ベースの音程が頻繁に変わるコード進行などは遷移先との相性が悪くなりやすく,また遷移可能なタイミングも限定されてしまう。

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 それらを意識した作曲のポイントとなるのが,「コードやベース音を絞る」「ブロック同士の関係を考える」「Bridgeは境界線を『あいまい』に」「Tailは次のBGMへつながるコード進行に」という4つだ。

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 コードやベースを単純かつ変化が少なくすることで,遷移可能なタイミングは増え,ブロック同士の盛り上げ具合を遷移の前後で揃えることで,つないだときのテンションの差による違和感はなくなる。

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 Bridgeをパターンの音楽にし,音程を単純にしたり強弱の音量差を縮めたりして“境界線をあいまい”にすれば,短い周期での切り替えや即座の遷移が可能だ。Tailを次の楽曲がトニックとなるようなドミナントのコードで締めれば,推進力(ドミナントモーション)を生かして新たな楽曲展開に移行できる。
 各ブロックがいかに自然に,そしてそれが次のブロックの展開や盛り上がりに生かせるようにつなげるか。そういった考えのもと,本作のインタラクティブな楽曲は制作されていたようだ。

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 続いて,「カービィらしい3Dサウンド」の制作について語られた。理想とした3Dサウンドの聴こえ方は,「舞台を見ていて,主役がどこにいてもセンターにいるように脳内補正しているような感覚」。物理的な空間を感じさせる客観的な定位感にはせず,なにかに意識を向け,それに集中しているときの聞こえ方に近づけたいと考えたという。

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 本作における意識を向ける対象は,“ゲームの遊び”の部分だ。
アクションゲームとして重要な音は聞こえやすく,また音が左右に振れ過ぎると意識が削がれるので,定位は“遊びに関係がある音が,左右から少し聞こえる程度”を意識した。

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 3Dのフィールドで音を鳴らすうえで最初の課題となったのが,サウンドが聞こえる中心点である「サウンドリスナー」をどこに置くか。カメラ座標に置くと,カメラに近いが画面に写っていないものの音を拾ってしまうし,操作キャラクター座標(カービィのいる位置)にすると,カービィから遠いものの音が聞こえにくい。

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 試行錯誤を重ねてたどり着いたのが「カメラ中心」だ。画面の中心かつ奥行き的にはカービィに近い地点で,音が左右に振れ過ぎることがない定位感かつアクションゲームとして重要な音がしっかりと聞こえるポジションだった。

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 本作は固定カメラで,その位置がステージの形状によって頻繁に変わるため,場面場面でサウンドリスナーの設定を調整するのは難しい。一部のステージでは個別の調整も行ったそうだが,そういった理由でも理想的なサウンドリスナーの場所だったようだ。

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ほかにもさまざまな“音の聞こえ方”の事例が紹介された。臨場感が重要なボス戦ではサウンドリスナーがカービィの位置に設定され,さらに音量やパンの変化が激しくなっている
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水が漏れている水道管のギミックは,近づいたり遠ざかったりするとそれに合わせて音量が変化し,また右側や左側など“どっちにあるか”が分かるように音が鳴る方向も変わる

 最後に紹介されたのが「ゲームのためのサウンド演出」だ。ワドルディのバンド「ドルディーズ」の街角ライブという形で楽しめるサウンドテストでは,彼らに生き生きと演奏してもらえるよう,曲に合わせた動きにこだわりを持って制作された。

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 ここで使用されたのが「モーションマーカー」と「ビートマーカー」だ。
 「モーションマーカー」は,「GuitarStop」のマーカーに達するとギタリストが演奏を止め,「DrumSoloStart」のマーカーでドラムのみが演奏を披露するといったように,楽器のパートごとに演奏や待機といった動きを合わせるもの。「ビートマーカー」は楽曲のBPMに合わせて演奏するワドルディたちの動きを調整するマーカーで,ほどよくファジーな拍合わせによって動きを同期している。この2つの組み合わせで,生き生きとした「ドルディーズ」のライブが実現したのだ。

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 そして環境音。3Dのフィールドでの探索や発見の面白さが魅力の作品のため,空間を意識することが増えた。そのため今探索している場所の状況や背景,雰囲気などの“納得感”が求められるようになったのだ。

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 そんな環境音も,ただリアルに響かせただけではない。カービィらしい遊び心のあるしかけがあった。鳥のさえずりや金属がぶつかる音,風の音といった環境音に,メインテーマのメロディーなどの楽曲のモチーフが散りばめられているのである。
 意識せずに聞けば環境音だが,注意深く耳を傾けると音楽に聞こえる。そんな隠された仕組みが,カービィの世界観や統一感の表現にもなっているのだ。

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