プレイレポート
攻撃手段のない探索型アクション「シーポ」プレイレポート。滅びゆく惑星を駆け巡り,絶滅の危機に瀕した生物のサンプルを集めよう
探索アクションといえば,敵を倒しながら道を切り拓いていくことが多いが,本作には敵に対する攻撃手段が存在せず,ジャンプアクションとしての側面にフォーカスしたゲーム性になっている。本稿で詳しいプレイレポートをお届けしよう。
シーポは,2段ジャンプや壁を足場とした三角跳びといった,多彩なジャンプアクションが使える。キャラクターは小さく,マップは広く描かれているため,画面内を縦横無尽に跳び回るアクションが楽しめるのだ。
パズルとアクション要素が組み合わさったマップは,なかなか歯ごたえがあり,多彩なギミックがシーポを待ち受ける。乗るとシーポを巻き上げる気流や,近づいてボタンを押すとシーポが吸い込まれ,スティックで決めた角度にシーポを弾丸のごとく発射する「シフター」という球体など,ギミックを活用しながらマップを踏破していかなければならない。
切り立った崖を三角跳びで駆け抜け,その先にあるトゲ床の上を2段ジャンプで飛び越え,その先に浮遊するシフターに吸い込まれて発射され,その先で別のシフターに吸い込まれ,今度は上に飛んで足場に飛びつく――といったような複雑な挙動も,ゲーム序盤からバンバン要求される。ギミックを利用してゲーム画面を動き回るシーポは,まるでピンボールの球のようだ。
シーポが攻撃できないのは,ボスとの戦いでも同様だ。対するボスはシーポに本気で襲いかかってくるため,必死に攻撃を避けながら自力で打開策を見つけなければならない。
基本的には,相手の動きやマップを観察しながら相手のミスを誘発して自滅させ,ボスの意識を失わせることになるだろう。幸い,コンティニューは無制限なため,いろいろと試行錯誤してみよう。
“攻撃手段を持たない”という特徴のほかに,シーポは「シェイプシフト」と呼ばれるセブロンの生物に姿を変えられるスキルを持っている。
ボスをノックアウトさせると,セブロンに住むさまざまな生物の卵が手に入り,手に入れた卵の生物にシーポは変身できるようになる。ただし,変身の条件は対象の生物が近くにいる場合限定となるため,変身というよりは,一時的なコピーや憑依と考えた方が分かりやすいかもしれない。
鳥のような「ロングバード」に変身すれば空を飛べるし,ミミズに似た「スパインワーム」になれば地中を掘り進めることができるようになるので,行動範囲がどんどん広がっていく。変身可能な生物が増えていくたびに,「この生物に変身すれば,今まで通り抜けられなかったあの道を越えられるかも」と考えて,生物を探しに再びマップを駆け巡る。こうした新たなルートを切り拓いていく面白さは,まさに探索系アクションの醍醐味だ。
また,変身したからといってゲームの難度が下がるわけではない。ロングバードの飛行能力はギミックを無視できるため,本作においては非常に強力だが,使える時間が短めに設定されており,漫然と飛んでいたのでは時間切れで落ちてしまう。足場のない場所を長時間移動するには,空中に点在するロングバードに近寄って再び変身,さらに次のロングバードを目指して飛んでいく……といった形で一工夫必要になってくる。変身は「使えると楽になる」というより「使いこなさないと先へ進めない」バランスだ。
さらにマップのあちこちには,本作におけるお金である「羽根」が散りばめられているのだが,大抵は「これ,どうやって手に入れるんだ?」と言いたくなるような場所に置いてあり,すんなりと回収させてはもらえない。変身を使うか,ジャンプアクションで近づくか,両方を組み合わせるか……といろいろ試してみよう。
システムも特徴的な本作だが,プレイして心に染みるのが,絵本を思わせるアートワークと静かな音楽が紡ぎ出す独特の雰囲気だ。惑星セブロンは,影絵のように描かれた地形と,夕暮れや薄暮といったほの暗い背景が融合しており,静謐で陰鬱な雰囲気の中にも美しさがある。
冒頭で述べた通りこの星は滅びつつあり,たまにある人工物もほとんど廃墟のような有様。広大な世界にはさまざまな生物たちがぽつりぽつりと点在しており,シーポに敵対するわけでも,積極的に協力するわけでもない微妙な距離感で接してくる。まるで黄昏の世界を看取るかのようで,どことなく大人向けの雰囲気が漂う不思議な作品だ。
探索型アクションの華ともいえる攻撃アクションがなかったり,ボス戦ではまったくのノーヒントで攻略方法を探したりと,人を選ぶ要素もあるが,終末を迎える世界の雰囲気やジャンプアクションの面白さは,ほかの探索アクションとは一線を画している。
一風変わった探索アクションをプレイしたい人や,ジャンプアクションゲームが好きな人におススメしたいタイトルだ。
「シーポ」公式サイト
キーワード
(C)2020 Top Hat Studios Inc, Kyle Thompson; Licensed to Top Hat Studios, Inc and published in Japan by RainyFrog LLC.
(C)2020 Top Hat Studios Inc, Kyle Thompson; Licensed to Top Hat Studios, Inc and published in Japan by RainyFrog LLC.
(C)2020 Top Hat Studios Inc, Kyle Thompson; Licensed to Top Hat Studios, Inc and published in Japan by RainyFrog LLC.