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[G-STAR 2023]「少女前線2(ドルフロ2)」の韓国での期待は? 韓国配信を担う上海のパブリッシャ“HAOPLAY”に尋ねた
本作はスマホゲーム「ドールズフロントライン」(iOS / Android)の正統続編で,前作から約10年後の世界を舞台とする,戦術ストラテジー育成ゲームだ。
プレイヤーは「戦術指揮官」として,銃器をモデルに作られた少女型の擬体「戦術人形」を指揮し,汚染された世界で硝煙にまみれる。
なお,ドールズフロントライン2の呼称は本稿での便宜上であり,日本におけるサービス名称は未発表である。中国では「少前2:追放」,英名では「GIRLS' FRONTLINE EXILIUM」と表記される。
「少女前線2(ドルフロ2)」のCBTを遊んだよ。10年後の世界では,グローザが年季の入った相棒系お姉さんヒロインになってたよ
ゆくゆくはサンボーンジャパンの「ドールズフロントライン2」と呼ばれるのであろう,上海散爆の新作ゲーム「少女前線2」をクローズドβテストで遊んだ。一言でまとめると,シリーズ最新のフラッグシップにふさわしい仕上がりであった。
本作に関してはちょうど2年前,中国クローズドβテストのプレイレポートをお届けした(上記リンク)。以来,情報露出の機会はチラホラ見えていたものの,サービス予定の話はいまだ出てこず。
とはいえ,日本でのドルフロ5周年感謝祭で,シリーズ総合プロデューサー・羽中氏が「開発は順調で,ほぼ完成しています。現在は細かいディテールやアートデザインをブラッシュアップしている段階です」と口にしていたので,それほど遠い話ではないだろう。
今年のG-STARに出展しているのも,その前触れと見える。もっとも,同ブース内では既出PVの映像出展と,前作「少女前戦」関連のグッズがもらえるブース内イベントしか行われていなかったが。
一応,ゲームの世界観を簡単にまとめると,以下のとおり。
・10年後の荒れきった世界で,賞金稼ぎになった元・戦術指揮官
・戦術人形たちはみな「固有名詞を持つヒロイン」の色が強い
・キャラもボイスも豊富。美少女ゲームの側面を大強化
・封印されていた“謎の少女”の発見から物語が動く
ゲームシステムもまとめると,以下のとおり。
・バトルシステムは3Dシミュレーション。XCOM系
・移動,射撃&近接,遮蔽が鍵を握るバリバリなSLG
・人形はガチャ入手など,マネタイズが戦闘面に影響
・マルチプレイや人形イチャイチャコンテンツあり
これらについては前回のレポートで詳しく紹介している。ただ,グラフィックス面に関しては当時よりも分かりやすく進化していて,画像を見比べるだけでブラッシュアップの痕跡も見つかるほどだ。ゲームデザインも調整されているだろうから,今となっては話半分に読んでほしい。
G-STAR初日の開場直後,HAOPLAYブースで写真を撮影していると,繁忙期のゆりかもめ停車駅で見られるような駆け込みラッシュが押し寄せてきた。あまりに一目散な来場者たちが目指したのは,ここ。
少女前戦2と,日本や韓国で配信されたばかりの「リバース:1999」(iOS / Android / PC)が目玉のHAOPLAYブースだった。
事前発表ではもう1本のタイトル,“火の管理人”が光と影の対立する世界を旅する,2D横スクロールアクションRPG「Project Prometheus(プロジェクトプロメテウス。現在仮名)」なる新作も発表されていたが,今回はなかったみたいでアテが外れた。
公式サイトを見るに,ほかにも「アッシュエコーズ -白荊回廊-」の(日本ではない)パブリッシングを控えているようである。
こうした状況を目にして,ブーススタッフにアタックを試みた。けれど少女前戦2に関しては「2024年 Coming Soon」以上の話はまだできそうにないと言われた。第二案として「韓国における少女前戦2への期待はどんなものか」を聞くと,こちらはOK。静かな場所で話ができた。
前提として,HAOPLAYは中国のゲームを韓国,東南アジア,ヨーロッパなどにパブリッシングする上海の会社だ。目標の第一は,中国ゲームをアジア圏に送り出すこと。第二に韓国ゲームの一部を中国含むアジア圏に届けることだという。ただ,後者はまだ本格化には遠いらしい。
本題の“韓国における少女前線の人気”については,「少女前戦2への期待の高さはうかがえます。正直,2017年に配信を開始した当時と比較すると,現在はプレイしてくださっているプレイヤーさんの数が減少傾向にありますが,コアなファンはまだまだたくさんいらっしゃいます。まずはその方々を確実に喜ばせて,彼らからファン層が広がるような施策を考えたいです」とのこと。長年戦えている作品ならではの悩みか。
同時に「まだリリース日も決まっていない,デモプレイもできない状態なのに,皆さんがこうやってたくさん集まっていただいたのは大変うれしいですし,いけるんじゃないかと思いました」と語った。
一方で課題もある。韓国におけるシミュレーションゲームは,ジャンルとしても大小さまざまな成功例があれど,多くの人たちにとってなじみやすいジャンルではないと認識しているらしい。そうは言いつつも,前作は成功したと自慢していい部類だろうが。
あとは期待の高さを生かし,いかになじみやすさを高めるか。「オート(バトル)機能」などの充実も成否を握るのではと口にした。
タイトル発表後,韓国でとくに注目されてきた部分についてはストーリーを挙げた。いわく,タイトルの副題“追放”が指すものはなんなのか。前作からの年代経過でなにが起きたのか。ストーリーラインの展開予想がファンの間で行われ,それが活発な交流を生んでいるようだ。
それだけなら「どこも変わらなさそうだ」と言えるのだが。韓国では2017年の配信前も,繁体字版が発表されたばかりのタイミングで,一部のファンたちが自力で翻訳して遊んでいたという。
そうした流れがあって韓国配信を決めたところ,想像以上の好評を受けて,今につながった。日本でも類例はあるが,日本版よりも約1年早く配信にこぎ着けたのには,熱の勢いの差が確かにあったのだろう。
そのうえで,韓国で少女前線シリーズをパブリッシングするために気をつけていることを尋ねた。すると「ビジネスモデルは中国版で完成しているため,そこを変えることは非常に難しいです。一方で,ローカライズに関しては力を入れれば入れるほどゲームのクオリティが上がります。ローカライズはうまくできればできるほど,反響も強くなっていくことを実感できるので,私たちはそこに一番注力をしてきました」と言った。
「少女前線」はもとより,こちらも中国で“泣かせにくる”と話題を博し,アジア圏に伝搬してきた「リバース:1999」もそうだが。
中国の会社が,中国のゲームを,韓国でパブリッシングする。そのためにどのような方針を持っているのかも聞いてみた。
「韓国でめちゃくちゃ流行しているようなゲームジャンルを持ってこないようにすることです。韓国でMMORPGが主流だったとき,人気だからと同じジャンルを当てにいってもほぼ遊ばれません。なればこそ,対象地域では2番手,3番手に思われるようなジャンルを持ってきて,ブームの火種になることを願います。そのほうがゲームが長続きすると考えていますので。あるいは,誰かにプレイを見せたくなるゲーム。そういうものを見つけてうまく投じられると,より効果的なんじゃないかなって」
リバース:1999は,盛況すぎるブースの混雑を見るに,韓国でのスタートダッシュに成功しているようだった。少女前線も最前線が長らく延びきったが,次の戦線はすでに用意されている。サンプル例が少ない現状,同社の成功(と言って差し支えないだろう現況)は,中国で成功したタイトルをそのまま持ってきただけに見えなくもないが。
もしそれで誰でも当てられるなら。分かりやすく成功を得られるなら。再現性の高い同業者にもっと悩まされているはず。内実こそ憶測で言っているが,結果だけ見ると,HAOPLAYは慧眼を持っているのだろう。
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