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テーマは“愛と受容”。スペインのクリエイターが日本の昭和時代を描くアドベンチャー「Last Time I Saw You」プレイレポート
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印刷2022/08/07 19:59

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テーマは“愛と受容”。スペインのクリエイターが日本の昭和時代を描くアドベンチャー「Last Time I Saw You」プレイレポート

 2022年8月6日と7日,インディーズゲームイベントBitSummit X-Roadsが京都市勧業館・みやこめっせにて行われた。会場に出展されていた,スペインのクリエイターが日本の昭和に思いを馳せて作ったという「Last Time I Saw You」のプレイレポートをお届けしよう。

画像集#001のサムネイル/テーマは“愛と受容”。スペインのクリエイターが日本の昭和時代を描くアドベンチャー「Last Time I Saw You」プレイレポート

MABOROSHI ARTWORKSのブース。「Last Time I Saw You」のポップを電球の明かりが照らし出しており,不思議な雰囲気が漂っていた
画像集#002のサムネイル/テーマは“愛と受容”。スペインのクリエイターが日本の昭和時代を描くアドベンチャー「Last Time I Saw You」プレイレポート

「Last Time I Saw You」公式サイト



スペインのクリエイターが描く,自然な昭和レトロの世界


 「Last Time I Saw You」は,スペイン出身のクリエイターであるJuan Fandino氏が制作中のPC用アドベンチャーゲーム。発売時期は未定となっている。1980年代・昭和の日本を舞台としており,ノスタルジーが漂う町並みと感情移入できるキャラクター描写,そしてアニメを思わせる絵がそのまま動くのが特徴だ。

主人公の「あゆみ」は12歳の小学生。住んでいるのも昭和レトロな部屋だ
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 本作の主人公は,小学生の「あゆみ」。12歳とはいえ,友達のお姉さんと人生について語り合っているという,大人びていて悩み多き少年だ。そんなあゆみは,繰り返し同じ夢を見ることで悩んでいる。霧のようなものに包まれる世界で,謎の少女が現れては消えるが,呼びかけても答えてはくれないのだ。

あゆみが見る夢には,謎の少女が現れる
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 そんなあゆみが住む街に,台風が訪れる。風雨は激しいが休校にはならず,仕方なく学校へ行くあゆみ。しかし授業は途中で中止になり,生徒たちは体育館に避難することに。クラスメイトたちと別れ,風雨の中一人で体育館へ向かうあゆみに黒い影が襲いかかる。
 驚く彼の目の前に,夢で見た謎の少女が現れた。謎の少女はあゆみに「逃げて」と告げるのだが,あゆみは黒い影の攻撃にあえなく倒れてしまう……。

台風の影響で学校の授業は中止になるが……
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体育館へと避難するさなか,あゆみは黒い影に襲われる
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 本作では,1980年代のノスタルジーにあふれる町並みが再現されており,そこに住む少年少女たちの悩みが描かれている。あゆみが住むのは,木造の瓦屋根という懐かしい感じの家。道では小さなおでんの屋台が赤い提灯を掲げて商売をしている。
 町に建っているのも,ビルやコンビニではなく,昭和的な個人商店だ。建物こそ小綺麗ではないが暖かみがあり,店先ではキャラの濃い店主がいて,隣の店主と言い合いをしていたりする。いかにも1980年代な街並みであり,見ているだけであの頃の記憶がよみがえってくる。

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自然な昭和レトロの光景が広がる
画像集#008のサムネイル/テーマは“愛と受容”。スペインのクリエイターが日本の昭和時代を描くアドベンチャー「Last Time I Saw You」プレイレポート 画像集#009のサムネイル/テーマは“愛と受容”。スペインのクリエイターが日本の昭和時代を描くアドベンチャー「Last Time I Saw You」プレイレポート

 驚くべきは,こうした世界を作り出したのがスペインのクリエイターであるということだ。本作を手がけるJuan Fandino氏は,日本の大学で美術や写真を学び,そこで昭和や明治時代が持つ独特のムードに心惹かれるようになった。氏はゲームのアートディレクターとなり,アドベンチャーゲーム「ゆめにっき」のリメイク版に携わった後に独立し,本作「Last Time I Saw You」の制作を続けている。
 昭和や明治時代の魅力について,「この頃の日本が,日本独自の文化とヨーロッパのアートワークを混ぜていたことである」と語ってくれた。当時の町並みには,グローバル化を果たした今にはない独特の雰囲気があり,そうしたところが氏を惹きつけてやまないのだという。本作で描かれる昭和の町並みは自然なもので,いわゆる「勘違いされた日本」というものではない。

Juan Fandino氏。昭和の雰囲気に惹かれ,日本でゲーム開発をしている。昭和レトロな町並みを作るうえでは,氏が普段から撮りためている町の写真が役立っているという
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 そんな世界で描かれるのは,多感な時期の少年少女の悩みだ。野球チームの入団テストに落ちてしまい,再テストに望みをかける少年がいるかと思えば,大人に憧れて煙草を吸おうとするが,お小遣いが足りない少女もいる。古本屋の娘は店の売り上げが少ないことを気にしているし,喫茶店の前では初々しいカップルが何を注文していいか分からずに困っていたりもする。
 生徒たちは台風が来れば「学校が休みになればいいのに」と願うも,いざ風雨が強くなってくると町が吹き飛ばされてしまわないかと怯える。子どもではないし,かといって大人でもない。自分や世界について考えることは多いものの,思いついたことを実行するにはお金や力が足りない。洋の東西を問わないティーンの悩みであり,暖かみのあるキャラクターデザインと相まって共感を呼ぶのだ。

野球チームの入団テストに落ちてしまった少年。同じ夢を繰り返し見るあゆみを気遣っている
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 本作は「あゆみの足跡を辿り,恐ろしい呪いと大人への第一歩を踏み出す,綺麗な自分探しのゲーム」であり,テーマは「愛と受容」であるという。現在はSteamでデモが公開されているので,気になる人はチェックしてみよう。

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「BitSummit X-Roads」公式サイト

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