プレイレポート
[プレイレポ]「レイルウェイ エンパイア2」のPS5版を先行プレイ。19世紀のアメリカとヨーロッパで鉄道帝国を築き上げよう
2023年5月25日にPC,Xbox Series X|S版,Xbox One版がリリースされ,PS5版とPS4版が6月15日,Switch版が8月10日にそれぞれ発売を控えている。
開拓時代のアメリカで鉄道会社を経営する「レイルウェイ エンパイア」の続編で,その舞台をさらに広げた2作目では,2つの大陸を股に掛けた企業を目指して,鉄道会社を経営することになる。シンプルなゲーム進行とプレイ目標を立てやすいタスクによって,鉄道ファンでなくても十分に楽しめる間口の広さが魅力だ。
そんな本作のPS5版を発売前にプレイする機会を得たので,さっそくそのレポートをお届けしよう。
「レイルウェイ エンパイア2」公式サイト
プレイヤーが考えるべきは「需要を満たす」ことだけ。シンプルなルールで楽しめる鉄道経営
まずは基本のゲーム進行から説明しよう。1作目に比べて変更点も多いが,ルールは変わらず極めてシンプルなので,前作のプレイヤーも本作で初めてレイルウェイ エンパイアに触れる人も,戸惑うことなくゲームを進められるだろう。
ゲームのモードは,アメリカとヨーロッパで自社と鉄道の発展を目指す「キャンペーン」,マップごとに決められたタスクと目標を達成する「シナリオ」,ライバルやタスクの有無を自由に決定できる「フリーモード」,そして無限の資金で完全に自由な開発がおこなえる「サンドボックス」などがある。
プレイヤーの大目標は,鉄道会社の経営者として,広大な鉄道帝国の構築を目指すことだ。最初に田舎道程度のインフラしか存在しない広大な土地とその開発権,成長が頭打ちになった都市や産業,そしてある程度の初期資金が与えられる。わずかな資金を資本にレールを敷設して駅と駅をつなぎ,人や物資の移動手段を提供して地域開発を進め,それによって得た利益でさらに路線を増やして会社の規模を拡大していく。
モードによってはある程度駅や鉄道網が用意されていたり,ライバルの鉄道会社がいたりもするが,当然ながら主役はプレイヤー(が運営する会社)だ。本拠地からどの都市に駅を建設していって,どのルートで鉄道路線を構築するかは(可能な範囲で)自由に任されている。
鉄道会社の主な収入源は,人や物品を運ぶことで得られる輸送費だ。それは人々が生活し消費をおこなう都市や,「地方ビジネス」と呼ばれる農作物などの資源を生み出す農地や伐採所などに駅を建て,線路を引いた上で鉄道路線を開通させることで得られる。
とはいえ初期の都市はどれも規模が小さく,単に鉄道でつないだだけでは,大きな収益は見込めない。とくに旅客の路線はガラガラの日々が続き,運営費の方が高く付く赤字路線になってしまうことも珍しくない。
そこで重要となるのが「都市を大きく成長させること」だ。
都市は生活のための物資を常に必要としており,木材や食肉,砂糖といった物資は必需品として常に需要がある。原材料なら資源を生み出す農地や伐採所のある地域の,食肉や衣料品といった加工品ならそれらの工場がある地域の駅と都市の駅をレールでつなぎ,鉄道で物資を輸送することで都市の需要は満たされ,そして成長するのだ。
生産地や工場などは自社で所有できるので,場合によっては生産と輸送の両面で儲けることも可能だ。鉄道の整備には莫大な資金が必要なので,儲けはいくらあっても足りないことを考えれば,当然手を出したくなる。現実の鉄道会社が多角経営をおこなっているのと同じだ。
ただ,これらのビジネスは初期投資額が高くなる割に,短期的な利益は決して大きくないことが多いので,不用意に買いあさるとむしろ資金難を招くこともしばしば。今後の開発計画を加味して,あくまで余裕があるときの投資に止めておくのが,個人的にはオススメだ。
成長段階に入った都市は人口が増え,駅の利用者や物資の需要が増加するので,そのぶん利益も増えていく。都市には人口によってランクが決まっており,需要さえ満たせば,どんな地方であっても大都市に発展させられる。
とはいえ,需要を満たすのはそう簡単ではない。都市の規模が大きくなるほど必要とする物資の量と種類が増えるからだ。最初は砂糖やビールぐらいで満足していた住民も,家具やセラミック製品といった複雑な加工品,新聞や缶詰といった高度な物品を欲するようになり,要求を満足させるのが難しくなっていく。
こういった高度な需要を満たすには,単に完成品を運ぶだけでなく,生産工場を自分で建設したり,原材料と製品をバランスよく運ぶ効率化された輸送経路を構築する必要があるため,都市が発展すればするほど,さらに大きくすることが難しくなっていく。
需要を満たせない(適切な物品を輸送できない)都市は人口減に転じて衰退していくため,なおさら右肩上がりの成長とはいかないだろう。
そこを路線の最適化や,貨物を一時保管していける「倉庫」を活用し何とかするのが,経営者としての腕の見せ所……というわけだ。予定どおりに都市がどんどん大きくなっていく姿を見るのは,(自分は間接的に関わっただけだが)達成感も強いし,何より運んだ人や物がお金に替わっていくのがたまらない。
展開によっては,ニューヨークやワシントンをしのぐ大都市になることも珍しくない。地方や都市の発展は自社の規模のバロメーターにもなることを覚えておこう。
そうこうしているうちにある程度の範囲に鉄道網が広がり,それなりの収益も上がってくるはずだ。鉄道は人や物を駅に運び終わった時点で即座に現金収入をもたらすので,複数の黒字路線ができれば資金は自ずとグングン増えていく。
まさに会社の成長を感じられる部分で,画面を引きにして自社の鉄道路線を眺めているだけでも,なかなかに感慨深い。
プレイモードによっては,期限付きのノルマとなる「タスク」とライバル会社の存在が,壁として立ちふさがる。
タスクは「○○に××人の旅客を輸送する」や「都市の人口を○○人以上にする」といったクエスト群のことで,「次に何をすればいいのか」の指針になる反面,必須のタスクは期限が来る前にこなさないとその場でゲームオーバーになる。また,ライバル会社の駅や線路には乗り入れできないため,先に路線を広げられるとこちらの開発が足踏み状態になることも。
本作はきっちりと需要をカバーすれば,路線を黒字にするのはそんなに難しくない反面,多額の資金を用意できないと開発を進めづらい。なので,「資金が貯まるのをじっくり待っていたら,時間が経ちすぎて手詰まりになった」なんてこともよく発生する。
残り時間やライバルの動きを睨みつつ,どこを優先して開発し,どの路線を活用していくのか。そして場合によっては債券(借金)を活用したりと,どうやって資産と時間をマネジメントするのかが,プレイするうえでの重要なポイントになるだろう。
初めての人が遊びやすく,前作のプレイヤーにも嬉しいユーザビリティの向上
パッと見,前作と大きく変わったような印象は感じられない本作だったが,実際にプレイしてみると,しっかりとしたプレイアビリティの向上を感じられた。その辺りもまとめてみよう。
まず一番大きな違いは,線路の敷設と路線(ダイヤ)を組むための下準備が簡略化されたことだ。基本が複線と言ってもいいほど並行線路を引くのが手軽になり,先にメインとなる線路を敷設しておけばワンボタン,あるいは特定のポイントで決定ボタンを押すだけで,簡単に2本目以降の線路が引けるようになった。また,前作では個別に鉄道用の信号を設置する必要もあったが,それも自動化されている。
さらに2本目以降は建設費用も(新規の線路扱いでなく)かなり低減されているので,ゲームバランス的にも複線化をするハードルが非常に下がっている。
前作では,単線の線路を引くのは簡単だったが,すれ違うために平行線路や信号を配置して進行方向を調節したり,複線化したりするのが非常に面倒だった。ゲームが進むにしたがってその手間が響き,結果,列車同士がすり抜けて衝突がなくなる設定(「鉄道のネットワーク」を「シンプル」に固定)にするしかなく,リアリティの低下につながっていたのは否めなかった。このあたりが改善されたのは,前作のプレイヤーとしても嬉しい。
また,線路ごとに進行方向を設定し,駅の前後に「路線変更器」を設置すれば,自動で利用率が低いホームに到着し,出発時も適切な線路を選んで目的地に向かうようにできる。これによって,列車同士が衝突するようなことはほとんどなくなり(混雑して止まることはあるが),スムーズに鉄道の経路を組めるようになったのだ。
さらに,列車ごとに配置が必要になっていた乗務員の扱いが,本作では社内で一括管理する仕組みにあらためられ,個別で管理する必要がなくなった。
前作では路線が増えると全体の把握がかなりしにくくなるほか,乗務員同士の相性問題などもあったので,正直なところ設定を面倒に感じる部分も多かっただけに,この管理の一元化はかなりありがたい変更ポイントだろう。
なお,列車に食堂車や冷蔵車を連結してドル箱路線を作るような,個別のカスタマイズする楽しみは残っている。
広大なアメリカとヨーロッパに巨大な鉄道網を作ろう。鉄道好きにも嬉しい,使用できる車種の追加も
前作との大きな違いであり本作の魅力といえば,なんといってもプレイ可能な地域が大幅に増えたことだろう。
1作目でもDLCで追加の地域が配信されていたが,ゲームを始めてすぐ,アメリカに加えて19世紀のヨーロッパで鉄道経営が楽しめるのは,シミュレーションゲームが好きな人はもちろん,世界史や鉄道史が好きな人も深い関心を持ってゲームが楽しめるのではないだろうか。
ヨーロッパは,アメリカ以上に地方ごとの土地の変化があり,地域に合わせた開発に頭を使う印象だ。ドイツなどのヨーロッパの中央部は平地も多く,アメリカ東部や中部同様に線路網を伸ばしやすいが,スカンジナビア半島などに路線を伸ばすと,どうしても海を越えなければならず,線路の建設コストに頭を悩まされることになる。それらがなかなかにやり応えがあり,またイギリスやフランス,ドイツといった鉄道史上でも重要な国や都市を自らの手で路線でつないでいくのは深く感じ入るものがある。
利用可能な列車の種類も増加したようで,前作では見覚えのない形状の蒸気機関車がいくつも追加されていた。プレイ中はどうしても性能や効率優先になりがちだが,とくに制限のないプレイが可能なサンドボックスやフリーモードでは,地域に合わせたこだわりのチョイスで機関車を走らせるのも面白いだろう。
グラフィックスの向上により追加された車窓モードの迫力もかなりのものなので,見栄え優先で機関車を配置していくのもありではないかと思う。
遊びやすさが着実に進歩した続編。鉄道好き,シム好きが幅広く楽しめる良質の運送会社経営ゲームだ
さまざまなモードが用意されていることで,困難なタスクに挑戦してハイスコアを目指したり,思うがままの箱庭を作ることに邁進したりと,プレイヤーによって自由な楽しみ方ができるのは,前作と変わらないレイルウェイ エンパイアの大きな魅力だ。
ゲームシステムは,前作から若干の変更はあるものの,それは本稿で伝えたとおり遊びやすさに関わる部分で,基本的なところは大きな違いはない。「成長の原動力=都市の需要を物流で満たす」というシンプルな仕組みは前作で完成していたのもあり,それは変わらないのですぐにゲームのルールが掴めるだろう。
遊びやすさに関わる変更点でいえば,やはり線路の複線化と乗務員の配置が改善されたのが大きい。前作では,とくに路線が複雑化する後半でこれが手間になっていただけにこの変更は英断だと思う。
遊びやすくなったからといって簡単になったわけではない。資金繰りや路線の管理,時間制限のあるタスク,ライバル会社との競争,さまざまなアクシデントへの対処と,プレイ中に考えるべきことがたくさんあるのは変わらない。煩わしかった部分が解消され,それらゲームの本質的なところに集中できるようになった印象だ。
PS5版でのコントローラ操作も上々で,コンシューマ機向けへの最適化によって,プレイのしにくさはあまり感じなかった。ガイドを見ないと分かりにくい操作がいくつかあるが,覚えてしまえば大きな問題はないはずだ。ただ,PS5なのに「決定が○ボタン」という仕様になっている点は少し困ってしまった。アップデートでPS5の標準操作に合わせた変更ができるようになることを期待したい。
ゲームの基本ルールや進め方は前作そのままに,ビジュアル面の強化と一部システムの刷新により,より完成度が高まった本作は,鉄道好きやシム好きだけではなく,さらに幅広い層のゲーマーも楽しめるような間口の広さを感じた。
かくいう筆者も,海外の鉄道事情に疎いなか,前作をプレイして本シリーズに魅了された人間である。ユーザーフレンドリーなゲーム性は,1作目以上に多くの人が楽しめるものとなっているので,筆者のような人をさらに生むのではないだろうか。興味を持った人はぜひ広大な2つの大陸に力強い蒸気機関車を走らせ,巨万の富を築いてほしい。
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