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アンダー10万円のPalit製RTX 4070カード「GeForce RTX 4070 Dual」の実力を検証。PCケースを選びにくいサイズも魅力だ
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印刷2023/04/22 19:00

レビュー

アンダー10万円のPalit製RTX 4070カードの実力を検証

Palit GeForce RTX 4070 Dual

Text by 宮崎真一


 2023年4月13日に,NVIDIAの新型GPU「GeForce RTX 4070」(以下,RTX 4070)を搭載したグラフィックスカードが,各社から発売となった。RTX 4070は「GeForce RTX 3080」(以下,RTX 3080)並みの性能を備えつつ,消費電力は120Wほど低いという電力あたり性能の高さが魅力的なGPUだ。
 今回は,そんなRTX 4070を採用したPalit Microsystems(以下,Palit)製の「GeForce RTX 4070 Dual」(以下,Palit RTX 4070 Dual)を紹介したい。

GeForce RTX 4070 Dual
メーカー:Palit Microsystems
実勢価格:9万9800円(税込)
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 Palit RTX 4070 Dualは,GPUファンを2基搭載するDualシリーズに属する製品で,クロックアップモデルに特化した製品が多いPalitのラインナップでは,リファレンス仕様の比較的おとなしめな製品だ。Palit RTX 4070 Dualは,どのような製品なのか。詳しく見ていきたい。

ドスパラのGeForce RTX 4070 Dual販売ページ

PalitのGeForce RTX 4070 Dual製品情報ページ



動作クロック設定はリファレンス仕様。付属アプリでOCも可能


GPU-ZでPalit RTX 4070 Dualの動作クロック(赤枠内)を確認したところ
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 まずは,Palit RTX 4070 Dualの動作クロック設定を確認しよう。
 Palit RTX 4070 Dualのベースクロックは1920MHzで,ブーストクロックは2475MHzとなっており,冒頭でも触れたようにリファレンス仕様と同じだ。
 ちなみに,後述する環境において,負荷のかかった状態でコアクロックを「GPU-Z」(Version 2.53.0)で追ってみたところ,2760MHzまで上昇しているのを確認した。RTX 4070 Founders Editionは,同様のテストで2820MHzまで上がっていたので,それに比べると,Palit RTX 4070 Dualの最大クロックは若干低めだ。
 なお,Palit RTX 4070 Dualのメモリクロックは21GHz相当で,こちらもリファレンスと変わらない。

設定ソフトのThunderMaster
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 リファレンス仕様のPalit RTX 4070 Dualではあるが,付属アプリケーションの「ThunderMaster」(Version 4.13)を用いると,各種オーバークロックを試すことが可能だ。具体的には,ブーストクロックを−1000〜+1000MHzの範囲で1MHz刻みに増減できたり,メモリクロックを−1000〜+3000MHzの範囲で1MHz刻み(※2MHz相当刻みで−2000〜+6000MHz相当)に設定したりできる。
 さらに,GPUコアの電圧も,現在の電圧に対する%として,1%刻みで最大100%,つまり2倍まで増やせる。

ThunderMasterでは「OVER CLOCKER」というタブで各種オーバークロック設定を利用できる
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Founders Editionより一回り大きいサイズ

補助電源コネクタは8ピン×1


 それでは,Palit RTX 4070 Dualのカードそのものを見ていこう。

Palit RTX 4070 Dualの前面(上)と背面(下)。黒一色でまとめられた外観で,裏面にはバックプレートが装着されている
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 カード長は実測約268mm(※突起部除く)で,RTX 4070 Founder Editionが約243mmであったのと比べると25mmほど長い。基板自体は約171mmほどしかなく,基板の後方にGPUクーラーが100mm弱もはみ出る構造だ。

カード長は実測で270mm弱といったところ
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基板部分の幅は,カード全体の7割ほどしかない。放熱フィンが2ブロック構成なのも見てとれよう
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 マザーボードに装着すると,ブラケットから垂直方向に約23mm高くなっている。Palit RTX 4070 Dualは,縦も横もRTX 4070 Founder Editionより一回り大きいサイズと言っていい。
 だが,Palit RTX 4070 Dualの重量は実測約752gなので,RTX 4070 Founder Editionよりも270gほど軽い。

重量は約752gで,RTX 4070 Founder Editionよりかなり軽めだ
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 GPUクーラーは2スロット占有タイプで,Dualシリーズの由来ともなっている100mm径相当のファンを2基搭載する。ブレードは9枚羽構成で,そのエアーが直下の放熱フィンを冷やす仕組みだ。カード後方側ファンのエアーは,裏面へと抜ける構造となっており,このあたりはRTX 4070 Founder Editionの設計を踏襲している。

カード後方のファンは,エアーが裏面へと抜ける構造だ
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GPUクーラーは2スロット占有タイプで扱いやすいサイズ感だ。クーラー部分は,ブラケットから上側に23mmほど大きい
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 カードを隙間からのぞき込むと,GPUクーラーには6mm径のヒートパイプを4本用いているようで,GPUベースはGPUだけでなく,メモリチップにも接している。電源部には,別途ヒートシンクを装着しており,冷却面も抜かりはない。

 先述のThunderMasterを用いれば,ファンの回転数を30〜100%の間で1%刻みに固定できる。GPUコアの温度とファンの回転数の関係を示したファンカーブのグラフから,任意の温度における回転数をユーザーが自由に設定することも可能だ。ちなみに,2基のファンを個別に変更できる点はありがたい。
 また,いわゆるアイドル時に回転を停止する「0-dBテクニック」という機能も用意されている。

ThunderMasterの「FAN DUTY」タブで,ファンの回転数制御を変更できる。なお,左側がブラケット側ファンで,右側が後方側ファンの設定だ
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 カード側面のPalitロゴにはLEDが組み込まれており,ThunderMasterから発光色や発光パターンを制御できる。単色での点灯や虹色に変化する光り方のほかに,GPUコア温度をLEDの色で示すことも可能だ。もちろん,LEDが不要ならオフにできる。

ThunderMasterのLED制御は「LIGHTING」タブにある
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補助電源コネクタは8ピンが1基のみ。基板自体が短いため,カード中央付近のへこんだところに実装されている
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 PCIe補助電源コネクタは,8ピンを1基のみ装備する。RTX 4070 Founders Editionは12VHPWRの16ピンが1基だったが,付属の変換アダプタを介して8ピンを2基接続しないと動作しなかった。それに比べてPalit RTX 4070 Dualは,通常の8ピンが1基で済むため,電源ユニットに対するハードルは低めだ。
 ただし,推奨電源ユニットは750W以上となっており,RTX 4070 Founders Editionの650W以上よりも要求する出力が大きくなっている点は注意したい。

 映像出力インタフェースは,DisplayPort 1.4a×3,HDMI 2.1 Type A×1で,このあたりはRTX 4070 Founders Editionと変わらない。

映像出力は,DisplayPortが3つに,HDMIがひとつの計4系統で,RTX 4070 Founders Editionと同じ構成だ
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RTX 4070 Founders Editionとの差を検証


 今回のテストで用意した比較対象は,RTX 4070 Founders EditionとRTX 3080,それに「GeForce RTX 3070」(以下,RTX 3070)の3種類。つまり,Palit RTX 4070 DualとRTX 4070 Founders Editionの差を確認しつつ,前世代のGPUに対する立ち位置を見ようというわけだ。

 使用したグラフィックスドライバは「GeForce 531.42 Driver」で,これはNVIDIAが全世界のレビュワーにRTX 4070のテスト用として配布したものだ。そのほかのテスト環境はのとおり。

表 テスト環境
CPU Ryzen 9 5950X(16C32T,定格クロック3.4GHz,最大クロック4.9GHz,共有L3キャッシュ容量64MB)
マザーボード MSI MEG X570 ACE(AMD X570,BIOS 7C35v1J)
メインメモリ G.Skill F4-3200C16D-16GIS PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB×2(DDR4-3200の16-16-16-36設定で利用)
グラフィックスカード Palit Microsystems GeForce RTX 4070 Dual
(GeForce RTX 4070,グラフィックスメモリ容量12GB)
GeForce RTX 4070 Founders Edition
(グラフィックスメモリ容量12B)
GeForce RTX 3070 Founders Edition
(グラフィックスメモリ容量8GB)
GeForce RTX 3080 Founders Edition
(グラフィックスメモリ容量10GB)
ストレージ Samsung Electronics SSD 850 EVO(MZ-75E500,500GB)
電源ユニット Corsair CMPSU-1200AX(定格1200W)
OS 64bit版Windows 11 Pro(22H2,Build 22621.1413)
チップセットドライバ AMD Chipset Drivers 5.02.19.2221
グラフィックスドライバ GeForce:GeForce 531.42 Driver

 テスト内容は,4Gamerのベンチマークレギュレーション26.1に準拠。さらに,「3DMark」(Version 2.26.8092)において,レイトレーシングの性能を見る「Port Royal」と「DirectX Raytracing feature test」,DLSS性能をテストする「DLSS feature test」を追加している。DLSS feature testでは,解像度に3840×2160ドットと2560×1440ドットを選択し,DLSS modeは「Quality」で実行した。ただし,Palit RTX 4070 DualとRTX 4070 Founders Editionは「DLSS 3」を,RTX 3080とRTX 3070は「DLSS 2」を用いている。
 テスト解像度は,NVIDIAがRTX 4070では1440pでのゲームプレイを想定しているため,2560×1440ドットのほか,1920×1080ドットと3840×2160ドットの3つを選んでいる。

 以上のテスト環境とテスト方法は,RTX 4070 Founders Editionのレビュー記事とまったく同じものだ。そのため,RTX 4070 Founders EditionとRTX 3080,RTX 3070のスコアは,同記事のものを流用している点をここで断っておく。


Founders Editionより性能は若干低め

RTX 3070との差は2割前後といったところ


 それでは,3DMarkの結果から順に見ていこう。
 Fire Strikeの総合スコアをまとめたものがグラフ1となる。

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 Palit RTX 4070 Dualのスコアは,RTX 4070 Founders Editionよりも1〜3%程度ほど低かった。動作クロック設定は同じでも,Palit RTX 4070 Dualは,高負荷時にRTX 4070 Founders EditionほどGPUコアクロックが伸びていない点が,影響したものと考えられる。そのため,RTX 3080にも最大で約11%の差を付けられるものの,RTX 3070には17〜25%程度の差を付けている。

 続いてグラフ2は,Fire Strikeの総合スコアから「Graphics score」を抜き出したものだ。

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 Palit RTX 4070 Dualは,RTX 4070 Founders Editionに1〜3%程度届かない結果となった。RTX 3080比でも,Fire Strike“無印”こそ上回ったものの,それ以外では2〜11%程度の差を付けられている。ただ,RTX 3070には17〜28%程度と,大きな差を付けている。

 グラフ3は,GPUとCPU両方の性能が効いてくる「Combined test」の結果をまとめたものだ。

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 Palit RTX 4070 DualとRTX 4070 Founders Editionの差は2〜3%程度で,やはりあと一歩届いていない。RTX 3080との差は3〜13%程度あるものの,RTX 3070には,Fire Strike Extremeで約30%もの差を付けたあたりは,見どころと言っていい。

 続いては,DirectX 12世代のテストである「Time Spy」の結果を見ていこう。まずは総合スコアをまとめたグラフ4からだ。

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 Fire Strikeがそうであったように,Time Spyでも,Palit RTX 4070 Dualは,RTX 4070 Founders Editionから2〜3%程度低いスコアとなった。一方,RTX 3080との差は最大で約4%と,Fire Strikeに比べてかなり縮まった。これは,DirectX 12ではAda Lovelace世代のGPUのほうが,スコアを伸ばしやすいのだろう。また,RTX 3070に対しては,23〜24%程度と安定した差を見せつけている

 次のグラフ5はTime SpyのGPUテスト結果をまとめたものだ。

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 Palit RTX 4070 Dualは,RTX 4070 Founders Editionに約3%ほど届いておらず,RTX 3080にも最大で約5%ほど離されるており,総合スコアを踏襲する形となった。RTX 3070に対しては,27〜31%程度と総合スコアよりも若干差を広げる傾向が出ており,このあたりはCPU性能の影響がなくなったことが奏功したのだろう。

 もうひとつのDirectX 12のテストとなる「Speed Way」の結果を,グラフ6に示す。

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 Palit RTX 4070 DualとRTX 4070 Founders Editionとの差は,約3%弱で,RTX 3080との差は約5%弱。一方,RTX 3070は約29%も引き離すなど,Time Spyと力関係は変わらない結果となっている。

 リアルタイムレイトレーシングの性能を計るPort Royalの結果がグラフ7だ。

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 Palit RTX 4070 Dualは,RTX 4070 Founders Editionから約3%ほど低い点は,これまでの傾向を踏襲している。その一方で,RTX 3080との差は約6%と若干広がり,RTX 3070に対しては,その差を約34%にまで伸ばした。Fire StrikeやTime Spyなどよりも,メリハリの効いた結果だ。

 もうひとつのレイトレーシング性能を測るDirectX Raytracing feature testの結果がグラフ8だ。

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 Palit RTX 4070 DualとRTX 4070 Founders Editionとの差は約2%だが,RTX 3080を上回っている点は要注目と言える。RTX 3070との差も約58%にまで達しており,第3世代RT Coreが真価を発揮した格好だ。

 続いては,DLSSの性能を見るNVIDIA DLSS feature testの結果(グラフ9)を見ていく。

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 DLL on時の結果だけ比較すると,Palit RTX 4070 Dualは,RTX 4070 Founders Editionに2〜3%程度の差を付けられているが,RTX 3080に43〜52%程度もの差を付け,RTX 3070には97〜113%程度もの大差を付けた。やはり,DLSS 3の効果は絶大と言えよう。

 では,実際のゲームではどうなのだろうか。グラフ10〜12は「Marvel's Spider-Man Miles Morales」の結果となる。

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 1920×1080ドットでは,CPUのボトルネックによりスコアが頭打ちになりつつあるため,それ以外の解像度を見ていくと,Palit RTX 4070 Dualの平均フレームレートは,やはりRTX 4070 Founders Editionに4〜7%程度届いていない。しかし,1パーセンタイルフレームレートでは,どちらもほとんど横並びになっており,少なくともゲームの体感は両者で差はまったくない。また,Palit RTX 4070 Dualの平均フレームレートは,3840×2160ドットこそ約4%離されるものの,2560×1440ドットでは若干ではあるが上回っている点は評価できよう。

 続いて,「モンスターハンターライズ:サンブレイク」の結果がグラフ13〜15となる。

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 CPUが足かせとなり,平均フレームレートは172fps程度で頭打ちになるようだ。どの解像度でも,Palit RTX 4070 Dualの平均フレームレートは,RTX 4070 Founders Editionに2〜4%程度の差を付けられた。RTX 3080に比べると,Palit RTX 4070 Dualの平均フレームレートは約22%も離されており,高解像度でメモリバス帯域幅の狭さが露呈する点は,RTX 4070 Founders Editionと変わらない。

 「Call of Duty: Modern Warfare II」(※グラフ内ではCoD MW2)の結果がグラフ16〜18だ。

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 Palit RTX 4070 DualとRTX 4070 Founders Editionとの差は,平均フレームレートで3〜5%程度,最小フレームレートで2〜6%程度と,3DMarkで見られたように,やはりあと一歩届いていない。ただ,RTX 3080に対しては,3840×2160ドットこそ追いつかれるものの,それ以外の解像度では平均フレームレートで5〜7%程度,最小フレームレートで1〜5%程度の差を付けている点は立派の一言。

 「Fortnite」の結果をグラフ19〜21に示す。

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 ここで興味深いのは,3840×2160ドットこそ逆転を許すものの,それ以外の解像度では平均フレームレートと1パーセンタイルともに,Palit RTX 4070 DualがRTX 4070 Founders Editionを上回っている点だ。その差は1〜2fpsほどと決して大きくない横並びのレベルだが,これまでの傾向のようなフレームレートに差を付けられていない点は注目しておきたい。
 一方,Palit RTX 4070 Dualの平均フレームレートは,RTX 3080に3〜13%程度離され,RTX 3070は5〜17%程度引き離している点は,これまでと似た傾向だ。

 グラフ22〜24は,「God of War」の結果だ。

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 1920×1080ドットではCPUのボトルネックが発生しているようで,それ以外を見ると,再びPalit RTX 4070 Dualは,RTX 4070 Founders Editionに差を付けられる。その差は平均フレームレートで3〜5%程度,1パーセンタイルフレームレートで約3%と,RTX 4070 Founders Editionより若干低い性能といったところ。また,RTX 3080との差は平均フレームレートで10〜11%程度,1パーセンタイルフレームレートで6〜9%程度となり,一段低い位置に収まっている。

 グラフ25は「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」(以下,FFXIV暁月のフィナーレ ベンチ)の総合スコアをまとめたものだ。

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 Palit RTX 4070 Dualは,RTX 4070 Founders Editionに届いていないものの,その差は1〜2%程度と少なめだ。Palit RTX 4070 Dualは,RTX 3070を11〜18%程度引き離すものの,3840×2160ドットでは,スクウェア・エニックスが指標で最高評価とするスコア15000に届いていない。指標に基づくなら,最高画質で快適にゲームできるのは2560×1440ドット以下の解像度であろう。

 そんなFFXIV暁月のフィナーレ ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートをまとめたものが,グラフ26〜28だ。

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 平均フレームレートは総合スコアを踏襲する形となっているほか,最小フレームレートはCPU性能の影響が色濃く,有意な差は見られない。とはいえPalit RTX 4070 Dualは,3840×2160ドットで最小フレームレートが60fpsを超えているあたりは要注目だ。

 グラフ29〜31には,「F1 22」の結果をまとめている。

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 ここでもPalit RTX 4070 Dualの平均フレームレートは,RTX 4070 Founders Editionに3〜4%程度届いていない。最小フレームレートでも,2〜4%程度引き離されているが,RTX 3080との差は平均フレームレートで7〜8%程度,最小フレームレートで6〜8%程度と,差を詰めて意地を見せた点は評価できよう。


消費電力はFounders Editionより若干低め。瞬間的に上昇しやすい傾向


 先述したように,Palit RTX 4070 Dualは8ピンタイプのPCIe補助電源コネクタを1基しか使用しない。変換アダプタ経由で8ピンが2基必要だったRTX 4070 Founders Editionよりも,消費電力が低いのか気になるところだ。PalitのWebサイトによると,Palit RTX 4070 Dualの消費電力は200Wとされており,これはRTX 4070 Founders EditionのTGPと変わらない。

 そこで,NVIDIAが開発した消費電力計測ツール「PCAT」(Power Capture Analysis Tool)を用いて,グラフィックスカード自体の消費電力を計測してみた。なお,今回も3DMarkのTime Spyにおいて,Graphics test 2実行中の結果を示している。その結果をグラフ32に示そう。

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 これを見ると,Palit RTX 4070 DualはRTX 3080やRTX 3070よりも低い消費電力で推移しているものの,RTX 4070 Founders Editionとは,大差ないように見受けられる。どちらも200W前後といったところだろうか。

 グラフ32の測定結果から,分かりやすくなるように中央値と最大値を求めたものがグラフ33となる。

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 Palit RTX 4070 Dualの中央値は約193Wで,RTX 4070 Founders Editionの約199Wよりも6Wほど低い結果となっている。その一方,最大値は,RTX 4070 Founders Editionが約222Wであるのに対して,Palit RTX 4070 Dualは約225Wと若干高めだ。つまり,Palit RTX 4070 Dualのほうが消費電力は低めで推移するが,瞬間的に消費電力が増えやすいということなのだろう。
 前世代と比べた場合,Palit RTX 4070 Dualの中央値は,RTX 3070よりも約32W,RTX 3080からは約145Wも低い。省電力性に優れるRTX 4070の特徴は,Palit RTX 4070 Dualでも健在だ。

 グラフィックスカードの消費電力に加えて,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いたシステム全体の最大消費電力も計測した。テストにあたっては,Windowsの電源プランを「バランスに設定」。さらに,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時に,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」とした。
 その結果がグラフ34である。

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 各アプリケーション実行時におけるPalit RTX 4070 DualとRTX 4070 Founders Editionとの差は−25〜+14W程度と,ゲームよって優劣が変わる結果となった。このテストは,ピーク値を結果として採用するので,差が大きくなりがちであることに起因する。とはいえ,Palit RTX 4070 Dualの消費電力は,RTX 3070よりも25〜61W程度低く,RTX 3080との差は126〜178W程度もある点を見ると,Palit RTX 4070 Dualの消費電力が低いことは,ハッキリと確認できる。

 GPU-Zを用いて計測したGPU温度も確認しておきたい。このテストでは,温度約24℃の室内で,テストシステムをPCケースに組み込まず,いわゆるバラックに置いた状態から,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,GPU-Zから温度を取得することにした。
 GPUによって,温度センサーの位置や取得方法が異なっていることは想像に難くなく,またそれぞれファンの制御方法が違うため,同列に並べての評価にあまり意味はない。
 それを踏まえた結果はグラフ35のとおり。

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 Palit RTX 4070 Dualは,高負荷時でも70℃台前半と,前世代のGPUが軒並み80℃台に達するのに比べれば低めだ。Palit RTX 4070 Dualは,GPUの消費電力が低いことも相まって,GPU温度も低めと言っていいだろう。

 最後に,筆者の主観であることを断ったうで,Palit RTX 4070 Dualの動作音について述べると,十分静かな印象受けた。RTX 4070 Founders Editionと遜色ないレベルで,これは高負荷時でもファンの回転数が47%(1845rpm)までしか上昇していないためだ。試しにThunderMasterで回転数を100%にすると,動作音はかなり大きくなったため,ファン制御は静音性寄りにチューニングがなされている。


価格は税込で9万9800円

アップグレード用に適したモデル


GeForce RTX 4070 Dualの製品ボックス
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 以上のテスト結果を踏まえると,Palit RTX 4070 Dualの性能は,RTX 4070 Founders Editionより若干低めと捉えるのが妥当だろう。その一方で消費電力が低めな点は好印象で,推奨電源ユニットの定格出力が高めなのは,瞬間的に消費電力が増加することを考慮したものであることも,テスト結果から読み取れる。
 Palit RTX 4070 Dualは,ドスパラ限定モデルとして販売されており,その価格は9万9800円。RTX 4070搭載グラフィックスカードは10万円以上のモデルも多い中で,税込価格が10万円を切るのは,かなり魅力的だ。

 消費電力が低めで,PCIe補助電源コネクタが8ピン×1で済む点を生かして,古い世代のミドルレンジ向けGPUを利用していたPCのアップグレードとして使うと,Palit RTX 4070 Dualは存在感を発揮するのではないだろうか。カード長が270mm未満でPCケースをあまり選ばない点も,そうした用途で生きてくるのは間違いない。

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ドスパラのGeForce RTX 4070 Dual販売ページ

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