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バンダイナムコグループの新プロジェクト「SYNDUALITY」のオンラインビジネスセミナーをレポート。同一IPでゲームとアニメを同時展開するビジネスの展望とは
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印刷2023/04/07 18:00

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バンダイナムコグループの新プロジェクト「SYNDUALITY」のオンラインビジネスセミナーをレポート。同一IPでゲームとアニメを同時展開するビジネスの展望とは

 2023年3月28日,AnimeJapan 2023 ビジネスデイにて,オンラインビジネスセミナー「『SYNDUALITY(シンデュアリティ)』プロジェクトにみるゲーム・アニメ双方同時展開ビジネスの展望」が行われた。このセミナーでは,バンダイナムコエンターテインメント 第1IP事業ディビジョン 第2プロダクション シニアプロデューサー 二見鷹介氏とバンダイナムコフィルムワークス IP事業本部 第1事業部 プロデューサー 松田 宙氏が,ゲームとアニメを連動させたバンダイナムコグループの新規SFプロジェクト「SYNDUALITY」の取り組みについて語った。

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ゲームとアニメは作り方が異なっており,
同時リリースは難しい


二見鷹介氏
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 二見氏は,「涼宮ハルヒ」シリーズ,「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」「ソードアート・オンライン」(SAO)シリーズなど,ライトノベル原作アニメのゲーム化を手がけてきた人物である。そうした取り組みは2008年発売のPS2用ソフト「涼宮ハルヒの戸惑」からスタートしているが,ゲーム化したきっかけはアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」のDVDのセールスが,当時すごく伸びていたからだという。それまでライトノベルを読んだことがなかった二見氏だったが,原作を読んでみたところ非常に面白く,またアニメも面白かったことから,「こういった多くの人が楽しめるライトなコンテンツには大きな可能性がある」とゲーム化する企画を考え始めたそうだ。

 ライトノベルや深夜アニメが原作のゲームというと,ジャンルはノベルゲームかアドベンチャーゲームという印象が強いが,二見氏は自身がゲーム好きであること,そして当時,「モンスターハンター2」が流行っていたことから,「アニメのお客さんもゲームをやっているはず。したがってきちんとしたゲームを作らないといけない」と考えたとのこと。「なるべくアドベンチャー以上の価値をきちんと付加する。つまり,キャラクターゲームとして,きちんと遊べるものを目指した」と話していた。

松田 宙氏
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 また二見氏は,自身がIPコンテンツを手がける際に,「機動戦士ガンダム」シリーズと「ドラゴンボール」をベンチマークにしていることを明かした。それは,両シリーズともアニメが放映されていないタイミングは,外伝的な内容のゲームなどをリリースして話題が途切れないように支えているからだという。SAOシリーズもそれに倣い,アニメの1シーズンが終わり,次のシーズンが始まるまでの期間にゲームをリリースするようにプロデュースしてきたそうだ。
 ほかにも,「ドラゴンボール」のゲームを例にし,「主人公の悟空を操作したい」という需要と「物語が見たい」という需要の,それぞれの楽しみ方の両立の仕方などを参考にしているとのこと。

 一方,松田氏は,ゲームとアニメを展開する「takt op.(タクトオーパス)」プロジェクトを手がけている。アニメ「takt op.Destiny」は2021年秋より放映され,スマートフォンゲーム「takt op. 運命は真紅き旋律の街を」iOS / Android)は2023年6月に配信開始予定となっている。

画像は「takt op. 運命は真紅き旋律の街を」
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 松田氏は「takt op.」プロジェクトについて,企画段階ではゲームとアニメをなるべく近い時期に展開しようと考えていたと説明。しかしユーザーの時間を使わせるからには,より面白くしっかりと作り込んだものをきちんとリリースする方針になった結果,開発機関に時間がかかってしまうゲームのほうが結果的に遅れてしまうことになったという。「ユーザーの皆さんにも言いたいことがあると思うのですが」と前置きしつつ,「開発側としても,ゲームとアニメの同発を実現できないことにもどかしい部分があります。その一方で,プロデューサーとしてはきちんとしたものをお届けするということを担保したい。そこのバランスの兼ね合いだと捉えています」と話していた。

 また二見氏は,そもそもゲームとアニメの作り方が異なっており,進行や順番が違うことに言及。とくに昨今では1本のゲームを作るのに3〜4年はかかるため,同発のタイミングを図ることが難しいという。この先,自身ではゲームとアニメの同発企画はしばらくやらないとのこと。
 その一方で松田氏は,世界観や設定などベースとなる部分をゲームとアニメで一緒に作りこまないと,「ゲームのアニメ化」または「アニメのゲーム化」に見えてしまうことを指摘。「SYNDUALITY」プロジェクトでは,どちらが原作というわけではなく同世界観を共有した作品であるという見せ方を強く意識したと語った。

 ゲームとアニメをうまく連動させた事例として「サクラ大戦」シリーズの名が挙がると,松田氏は「SYNDUALITY」に登場する二足歩行メカ「クレイドルコフィン」が,「サクラ大戦」の「光武」に似ているとSNSなどで話題になったことを紹介。デザインの発注時はとくに光武を意識したわけではなく,二見氏と「パワードスーツの延長でいこう」というお話や「この時代での戦車や乗り物を意識する」と話してオーダーをしたという。
 また松田氏は,アニメ「SYNDUALITY Noir」はキャラクターがいずれも魅力的であり,スタッフ同士で「誰が好き?」という話題で盛り上がれると「サクラ大戦」との類似点を語った。

画像はアニメ「SYNDUALITY Noir」
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 話題はSAOのゲームシリーズにもおよんだ。二見氏はシリーズが長く続いている理由として,原作を手がける川原 礫氏とアニメチームの力量が大きいことはもちろんだが,海外人気が後押ししているとする。もともとSAOのゲームシリーズは英語に対応する予定はなかったのだが,SCE(当時)の提案により東南アジアなどで展開するために英訳を入れたとのこと。時を同じくして,SAOのアニメがアメリカでブレイクしたため,ゲームもアメリカで展開することになったという。
 またSAOのゲームシリーズがノベルゲームではなく,RPGだったことも海外のユーザーに届きやすい一因だったそうだ。

 松田氏はそうしたSAOシリーズについて,「ライトノベルが原作の深夜アニメとゲームが海外でも楽しまれるきっかけを作り出したコンテンツ」と表現。二見氏も,「ハイターゲットに向けた,可愛い少年少女が活躍するコンテンツの黎明期に立ち会うことができた」と振り返った。


「SYNDUALITY」プロジェクトで
ゲームとアニメを展開する狙い


 「SYNDUALITY」は,2022年を舞台としたゲーム「SYNDUALITY Echo of Ada」PC / PS5 / Xbox Series X|S)と,その20年後を描くアニメ「SYNDUALITY Noir」の2軸で展開するプロジェクトである。松田氏によるとこのプロジェクトは,二見氏が「SAOのような展開をするコンテンツを作りたい」という提案から始まったという。具体的には,SAOシリーズの場合,当然原作者である川原氏の意向は存在するものの,基本的には原作,アニメ,ゲームそれぞれのプラットフォーム内で一番面白い見せ方で表現しているとのことで,「SYNDUALITY」も同じ座組みでいこうというわけである。

画像は「SYNDUALITY Echo of Ada」
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 松田氏は,「『SYNDUALITY』のゲームとアニメとでそれぞれ展開が違っているように見えて,皆さんはちょっと不思議に思うかもしれませんが」としつつ,「アニメはアニメとしてすごく面白いものにしようという意気込みで作っている。ゲームはまだこれからですが,ゲームとしてベストの形が今後出てくる。そういった感じで,企画の成り立ちに関してはSAOシリーズの影響を強く受けている」と語った。

 オリジナルIPでゲームとアニメを展開する狙いを問われた松田氏は,まずゲームとアニメではリーチできるユーザー層が,国内外問わず基本的に異なることに言及。「まず,『SYNDUALITY』というプロジェクトに興味を持ってほしかった。そのため一番大きなパワーになり得るゲームとアニメを筆頭に,ホビーや書籍,音楽といったさまざまな展開で興味を持っていただける機会を広げようと考えた。興味を持っていただけたら,ゲームかアニメどちらかでもいいので,よかったら楽しんでいってねというスタンスなんです。また作る側としては,ゲームとアニメそれぞれで何かやるよりも,せっかくなので一緒に同じ方向でやっていこうと考えました」と回答した。

 また二見氏は,ゲームとアニメの作り方が違うことにあらためて言及し,「ゲームは世界で勝負できるラインを目指すけれども,アニメのスタッフに『ゲームはこういう設定になっているから』といった設定の制限のようなことは一切言いたくない。ゲーム側が先に作った設定があっても,アニメ側が『こういう表現をしたい』と相談してきたら,その形が実現できるように設定も一緒に作っている。ゲームとアニメで時代が20年違うのも,それを実現するため」と語った。

 さらに二見氏は,ゲームの表現はアニメのそれよりも圧倒的に情報量が多いことを指摘。例として,SAOシリーズのゲームでは,衣装の情報量をアニメよりも増やしていることを挙げた。また「SYNDUALITY」の衣装は,ゲームだと20代後半から30代を狙っているため,シックで落ち着いた雰囲気にしているが,アニメではキャラクターごとにイメージカラーを持たせることで記号化したり,線を減らしたりしていることを明かした。

 そういった形でゲームはゲーム,アニメはアニメとしてベストを尽くした仕上がりを目指すとのことで,二見氏は「ゲームを遊んで面白かったから『アニメもあるのか』,あるいはその逆によって『SYNDUALITY』の世界が広がっていく。お互いがファンの間口を広げて最大化を図るのが,このプロジェクト」と話していた。

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画像はアニメ「SYNDUALITY Noir」
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 話題はターゲット層にもおよんだ。二見氏によるとゲームはシューターが好きな層や,深夜アニメが好きな層をターゲットにしているとのこと。また海外では,SF要素が好かれる傾向にあるため,今回はAIをテーマにしたと語った。
 また松田氏は,国内外で多くの人にアニメを同時期に観てもらえる環境を作り出すべく,海外での展開も厚いディズニープラスで世界独占配信することを決めたことを明かした。なおアニメは,国内だとテレビ東京系列,BS日テレほかでも放映が予定されている。

 そのほか質疑応答では,「SYNDUALITY」の企画の原点にはボーカロイドの存在があったことが明かされた。二見氏によると,もともとボーカロイドは人間っぽく歌わせるために登場したはずなのに,当時のアニメソングはライブで歌えないような楽曲になっていたというすれ違い,人はAIやメカの機能性に憧れ,AIやメカは人らしさを求める”すれ違い”を,何かに応用できないかとボンヤリと考えたという。それが「SYNDUALITY」のテーマとなる「人間とAIのすれ違い」という関係性につながっていったとのこと。

 セミナーの最後には,二見氏が「ゲームもアニメも,どちらか一方だけでも楽しめるコンテンツになっています。ベースとなる設定をしっかり作りつつも,ゲームとアニメそれぞれの長所を活かして広がっていくようなコンテンツを目指しました。またタイトルに『Echo of Ada』や『Noir』と付いていますが,それはメインのお話がどの部分であるのかを指している程度の意味です。1つの世界の中で,人間とAIのすれ違いやぶつかり合いといったコミュニケーションを描いていきますので,プロジェクト全体を通して楽しんでください」と語った。

 また松田氏は,多くのスタッフの尽力により素晴らしいアニメに仕上がっているとコメントしつつ,「ゲームやホビーなどについても,これからいろいろ情報が出てくる予定です。いずれもスタッフが熱量高く作っておりますので,ぜひ期待して『SYNDUALITY』プロジェクトを楽しんでください」と語って,セミナーをまとめていた。

「SYNDUALITY Echo of Ada」公式サイト

TVアニメ「SYNDUALITY」公式サイト


「takt op. 運命は真紅き旋律の街を」公式サイト

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