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[プレイレポ]ゾンビたちの悲哀さえ感じる“半横スクロール”サバイバルアクション「Into the Dead: Our Darkest Days」
「Into the Dead: Our Darkest Days」については,GDC 2023の際にインタビューをしているので,PikPokが本作を作る動機やアイデアについては,そちらの記事を参照してほしい。
[GDC 2023]もし自分の妻がゾンビになってしまったら? 「Into the Dead: Our Darkest Days」の開発スタッフに話を聞いた
GDC 2023期間中,ニュージーランドのPikPokが開発中の「Into the Dead: Our Darkest Days」について話を聞いた。ゾンビアポカリプスが発生したばかりの世界を舞台に,武器や物資を集め,それぞれ異なる欲求を持つグループをまとめながらゲームを進めていくといった作品に仕上りつつあるようだ。
「Into the Dead: Our Darkest Days」は,ゾンビアポカリプスによって文明が崩壊してしまった,1980年代のテキサスにあるという架空都市,ウォルトンシティを舞台にし,そこで生き残った人々のサバイバルを描いく作品だ。横スクロール型のゲームスタイルからは,「This War of Mine」にインスパイアされたことが見受けられるが,ゲームグラフィックスは3Dで描かれており,ロナルド・レーガン政権下のアメリカらしい背景がみっちりと書き込まれている。
今回のデモでは,夜の行動を得意とする白人女性の「ダイアン」と,勇気ある黒人男性の「フランク」に加え,抜群の射撃能力を誇る「セバスチャン」が仲間となり,誰か1人を選択してプレイを進めていくという内容だった。「ウォルトンシティ」(今回のデモでは「ウォルトンシテ」という脱字があったのはご愛敬)のマップには,「現在のシェルター」の周囲にいくつかのピンマークが立てられており,プレイヤーはそれらを自由に選んでミッションを遂行できるようになっていた。当面の目標は,壊れたバリケードを修復するために,板とドリルを探し求めて廃墟を漁ることだ。
まだチュートリアル的な序盤のゲームプレイではあるものの,民家の中にある大きな家族写真に向かって,一心不乱に寄り添い続ける女性ゾンビの後ろを素通りしていく際,「このゾンビは,夫や息子と一緒に移る女性の姿なのか?」と考えてしまう。以前のインタビューでも言及されていたように,すべてのゾンビが手当たり次第に襲い掛かってくるのではなく,こうして「昔は我々と同じ人間だった」ことを暗示するような,感情が残されたようなゾンビの表現が非常に秀逸だ。
「ゾンビも人間も同じ」というコンセプトは,古くは映画「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」や,ドラマシリーズの「ザ・ウォーキング・デッド」などでも開拓されてきた視点ではあるが,すでに意識的には感じていないであろうゾンビたちの苦悶が上手く描かれているのが本作の特徴であり,ゲームが進んでいくうちにサバイバーたちにも心理的なプレッシャーを与えていくことになると思われる。
「Into the Dead: Our Darkest Days」では,部屋と部屋を仕切るドアの多くに覗き窓があり,その奥にゾンビがいるのかいないのか,そしてどのように対峙すべきなのかという戦略を先に練ることができるようになっている。
音を立てないようにしゃがんでいれば,反対を向いているゾンビの背後に忍び寄って後頭部にナイフを差し,一撃で“安眠”させることもできる。また,中にはプレイヤーキャラクターを見つけると突進してくるゾンビもいるので,戦闘を避けられないことも多い。
本作で特徴的なのは,プレイヤーキャラクターは左右と上下方向の移動だけでなく,一部の限られたポイントだけではあるようだが,画面の前後方向にも動けるようになっていることだ。これによって部屋にある階段を登ったり,デスクの裏に潜んで左右に歩き回るゾンビをやり過ごしたりすることもできた。
「This War of Mine」同様,ミッションに送り込んだキャラクターは,そのプレイや状況によってはトラウマになってしまう。雑にプレイしてゾンビと戦い過ぎヘルスバーがゼロになると,もう二度とゲームには戻ってこなくなる。
それぞれの能力や個性を持つキャラクターたちをどのように使い,彼らを大切に扱いながら,希少な資源がなくなっていくひもじさと対面し続けるといったサバイバル要素も,かなりシビアになっている印象だった。
そんな「Into the Dead: Our Darkest Days」は2025年中の発売予定となっており,すでに日本語化も進められているという。発売が楽しみなゲームがまた1本増えたといえるだろう。
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