インタビュー
[インタビュー]「レスレリアーナのアトリエ」細井総合Pと作田開発P,キャラ&衣装デザインのNOCO氏が語るこれまでの半年と,これからの展望
それに伴い物語も大きく進展するようで,2月28日のアップデートではメインストーリーの9章が配信。さらに3月をかけて10章,11章も追加され,世界観を語る序章とも言える第一部が完結する。
また,ハーフアニバーサリー(半周年)を記念した様々な記念イベントの配信や,新要素の追加,システムの改修なども行われる予定だ。
このひとつの節目となるタイミングで,本作の総合プロデューサーを務めるコーエーテクモゲームスの細井順三氏と,同開発プロデューサーの作田泰紀氏に,半年間の振り返りと本アップデートについて話を聞いた。
また,「ソフィーのアトリエ 〜不思議な本の錬金術士〜」をはじめとする「不思議」シリーズや「ネルケと伝説の錬金術士たち 〜新たな大地のアトリエ〜」でキャラクターデザインを担当し,本作に登場するヴィランのデザインも手掛けるイラストレーターのNOCO氏にも同席いただけた。そこで,ヴィランたちについて,デザイン面で注意した点や魅力などについても聞いてみた。
コーエーテクモゲームス 細井順三 総合プロデューサー |
コーエーテクモゲームス 作田泰紀 開発プロデューサー |
イラストレーター NOCO氏 |
[台北2024]「レスレリアーナのアトリエ」とコンシューマ機向けの新作「アトリエ」,2つの軸で展開していく。開発陣にシリーズの今後を聞いた
コーエーテクモゲームスは2024年1月25日,「台北ゲームショウ2024」に合わせて,「レスレリアーナのアトリエ 〜忘れられた錬金術と極夜の解放者〜」のグローバル版をリリースした。会場で開発陣に話を聞く機会を得たので,お伝えしたい。本作の拡充のほか,コンシューマ機向け新作の準備もしているようだ。
プレイヤーの厳しい言葉を真摯に受け止め
改善を進めてきた半年間
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
2023年9月23日にサービスが始まった「レスレリ」も,いよいよハーフアニバーサリーとのことで,この半年を振り返っての所感を教えてください。
細井順三氏(以下,細井氏):
「レスレリ」は,「アトリエ」シリーズとしては久しぶりのスマホタイトルとしてリリースしました。
プレイヤーの皆様からはさまざまな反響をいただいていており,我々の至らなかった部分に対して,多くのご意見もいただいたと感じています。
ハーフアニバーサリーで施す改修を含め,今後もどのように改善していくか,皆様のお声をお聞きしながら常に議論を重ねているところです。
4Gamer:
「アトリエ」シリーズの最新作として期待値が高かった分,ネガティブなコメントも多くでてきたという感じでしょうか。
細井氏:
コンシューマゲームで展開することが多かったIPということもあってか,そのナンバリングとなる新シリーズをスマホで展開することに対して,ネガティブな反響があったことも事実です。そこをいかにしてボジティブな形にし,皆様にご満足いただけるものにするかというところに,現在向き合っています。
その一方で,キャラクターや世界観,そしてストーリーに関しては多くの皆様に楽しんでいただき,受け入れていただいているとも感じています。それらをこの作品の核として,今後1周年や2周年とコンテンツをお届けしていきたいと考えています。
作田泰紀氏(以下,作田氏):
サービスイン時には,我々としても実装したかったけれど見送ったものがありました。この半年間で,それらをできる限りサポートするように運営を行ってきたのですが,このハーフアニバーサリーのタイミングで「できたらいいな」と考えていた要素がある程度揃ってきたと感じています。
この先も,ゲームとしてより快適に遊べるようにしたり,魅力あるキャラクターの追加などで,物語を楽しんでいただけるように一層注力していきます。
4Gamer:
これまでにユーザーの皆さんのご意見を受けて改善してきた点があれば教えてください。
作田氏:
システム面では,まずは育成,次に調合といった優先順位で改善を進めてきました。またバトル面の分かりにくいところにも適宜着手しています。
サービスを開始した直後から,「キャラクターの育成が大変だ」というご意見を多数いただいていたので,初期の頃は育成面を重点的に改善を行いました。
代表的なものですと,キャラクターの下限レベルを研究で上げられるようにしたことです。レベルなどのリセットも育成面で大きく変えた点です。また,先日「調合の人気編成」も実装しましたので,より遊びやすくなったのではないかと思っています。
4Gamer:
先ほど話の出た「スマホ展開」については,どのような声があったのでしょうか。
細井氏:
約4年続いた「秘密」シリーズが終わったあと,スマホを選んだことに関してや,「「レスレリ」が新シリーズとしてCSが発売されずにこれから3〜4年続いていくのだろうか……」といった不安を抱かせてしまったのではないかと思います。そこは真摯に受け止めなければいけません。
以前もお話ししましたが,ライザを主人公とした「秘密」シリーズのあと,より多くの人に「アトリエ」シリーズをお届けしたいと考えました。そこでスマホという選択肢のひとつを取ったのですが,タイトル発表の方法に関しては, たとえば,コンシューマの新シリーズとスマホの新シリーズを同時に発表するなどで,もう少し違った反応やご意見をいただけたのかなと考えています。
4Gamer:
スマホに行ったっきり,帰ってこないシリーズもありますからね。先日公開となったインタビューなどで,今後もコンシューマ機やPCで新作が出るのが分かって,ファンは安心したんではないでしょうか。
細井氏:
そこはぜひ,ご安心いただきたいです。
4Gamer:
NOCOさんは,ご自身がかつてデザインしたキャラクターが,スマホゲームに落とし込まれると聞いて不安になったりはしませんでしたか。
NOCO氏:
不安はなかったですね。作り手の目線としては,「以前デザインしたけれども,完結してしまったゲームのキャラクターがまた動いてくれる,また新しい人に触れてもらえる」といった機会を得られることは,すごく嬉しいんです。
あとは私自身,スマホゲームもコンシューマゲームもそれぞれによさがあると捉えているので,ネガティブな気持ちは持たなかったかなと。
4Gamer:
作田さんは,何か印象に残っている意見などはありますか。
作田氏:
やはり,「アトリエ」シリーズファンのキャラクターやIPに対する愛の持ち方が印象的でした。
長い歴史のある「アトリエ」シリーズは各シリーズにファンが存在しており,シリーズへの想いは人それぞれです。
私は,「DEAD OR ALIVE Xtreme Venus Vacation」のプロデューサーも担当しているんですが,生放送などでお伝えする内容への反応なども大きく異なり,喜んでくださる方もいれば,がっかりされる方もいらっしゃいました。
ですので,当然のことではありますが,皆様が抱いている「アトリエ」シリーズやキャラクターに対する愛を全てリスペクトしながらコンテンツ作りに向き合い,きちんと貢献していかなければいけないと強く感じています。
4Gamer:
プレイヤーの声と言えば,ガチャの価格も大きな話題になりましたね。現在は,半額で引けるガチャも登場していますが,実際のところ,キャラクターのクオリティに対して価格は妥当なものだったのでしょうか。
細井氏:
価格は検討に検討を重ねていた部分です。クオリティに対して我々は適切な価格だと思っていましたが,その一方で,市場の平均価格というものもあり,そこに対する配慮や説明が不足していたのではと考えています。
ただそうしたなかでも,世界観やキャラクターの作り込みなどにゲームとしての価値を見出し,しっかりと楽しんでいただけているという実感もあります。
4Gamer:
スマホ版に続き,1月にはPC(SteamⓇ)版のサービスが始まりました。ファンの反応はいかがでしょう。
作田氏:
1月10日に国内でPC版のサービスを開始しました。我々としては,まずスマホでしっかり「レスレリ」を遊んでいただき,より美しい画面で作品を楽しみたい方は,PC版でのプレイも楽しんでいただけたらなと考えています。
スマホで遊んでいた人が,連携して始めたPC版の画面を見て,「こんなに綺麗なんだ」と喜んでくださったのが,ものすごく嬉しかったですね。
4Gamer:
グローバル版もスタートしましたが,こちらはいかがでしょう。
作田氏:
コーエーテクモゲームスとしては,スマホゲームを北米圏含めて一斉に全世界に配信することは初めてのチャレンジだったんです。そのため,想定外の困難に陥ったり,乗り越えなければならない壁があったりしました。
それらをひとつひとつ整理してきて,1月25日にグローバル版のサービスを開始できたことは,本当に嬉しく思います。
現在は,海外のプレイヤーの皆様がどんなものが好きなのか,どういった反応をされるのかといった情報をリアルタイムで送ってもらい,分析しているところです。まだ手探り状態ですが,アジア地域の「アトリエ」シリーズファンのほか,北米市場などでも「レスレリ」が認知されて遊んでいただけていることは,とても嬉しいです。
4Gamer:
NOCOさんも「レスレリ」をプレイされているそうですが,プレイヤーとして意見があれば,ぜひ。
NOCO氏:
細井さんや作田さんたちには最初からずっと伝えているんですけれども,私自身は「レスレリ」に好印象を抱いています。本当にグラフィックスが素晴らしくて,キャラクターも可愛いし綺麗だし,楽しくプレイしています。
ただ,せっかく3Dモデルがあるので,「レスレリ」の世界の中で街を歩き回れたりとか,キャラクターを自由に動かせるようになったら,もっと嬉しいですね。そうやってグラフィックスのよさをより楽しめるようにしてほしいと思います。
作田氏:
お約束はできませんが,検討します(笑)。でも,そういう気持ちを抱いていただけているのは,大変ありがたいです。
NOCO氏:
「レスレリ」をプレイしていると,歴代シリーズタイトルのキャラクターも含めて「もっと触りたい,楽しみたい」という気持ちがどんどん湧いてくるんですよね。それで私自身も,どんどんわがままになってしまって(笑)。
NOCO氏がデザインを手掛けたヴィラン
魅力的な“悪役”が登場した理由を聞く
4Gamer:
本作にはヴィランが数多く登場しますが,このようなはっきりとした悪役は,従来の「アトリエ」シリーズにはいませんでしたよね。今回ヴィランを登場させた意図をお伺いできますか。
細井氏:
明確な悪役を用意することによって,プレイヤーの皆様が物語の発展性を期待してくれるだろうと思ったんです。それを,タカヒロさん(ストーリー原案・シリーズ構成・シナリオ監修)に相談した結果,「こういう形で登場させよう」「お話として,こういう作りにできる」といったお話をいただき,今の形になりました。
また「レスレリ」が運営型のゲームであることも含めて,ヴィランを登場させたほうがいいだろうという考えもありました。
4Gamer:
スマホゲームならではの,長期運営を考えた結果でもあるんですね。
細井氏:
明確な悪役がいない場合,基本的に物語が主人公の成長を描いたものになることが多いと思うんです。そうなると,世界観が日常系に近くなっていくんですね。
もちろんその形もよいのですが,「レスレリ」では,主人公側とヴィラン側とで見ている世界がそれぞれ違うことを含め,世界の広がりを描いたり,多面的に物語を見せたりしたかったので,今回のような形にしています。
4Gamer:
NOCOさんにヴィランのキャラクターデザインを依頼した経緯を教えてもらえますか。
細井氏:
「アトリエ」シリーズらしいヴィランを描いてもらえるのは誰だろうと,かなり悩みました。その結果,シリーズに長く携わってくださっているNOCOさんなら,説明せずとも“「アトリエ」らしさ”の勘どころを捉えていらっしゃるだろうと。
4Gamer:
キャラクターのデザインに関しては,細かく指定したのでしょうか。
細井氏:
いいえ。私から「こうしてほしい」という要望はほぼ出していなくて,基本的にはNOCOさんから「こういう設定だったら,こういうキャラクターがいいんじゃないか」といったご提案をいただきました。それに対して,3Dモデル的に厳しい部分などを「ここだけは直してほしいです」と調整していった感じですね。
4Gamer:
過去の「アトリエ」シリーズとは,進め方が違うんでしょうか。
細井氏:
これまでは,上がってきたキャラクターデザインの初稿に対して,開発から「こうしてほしい」「顔のここが気になるから,このように直してほしい」といった細かなことをお伝えして修正していくことが結構ありました。
しかし今回のヴィランは,本当にNOCOさんからご提案いただいたそのままのデザインなんです。3Dモデル的・ゲーム的な理由で多少の修正こそ入れましたが,基本的にはほぼ初稿のままですね。
鴉 途中稿 |
NOCO氏:
確かに,大きく修正したところはなかったですね。
細井氏:
実は,ララのキャラクターデザインだけは「ガラッと変えてほしい」とお願いしているんですよ。その場では「分かりました」とおっしゃっていたのに,あとから「やっぱり嫌だから,これにする」って(笑)。
NOCO氏:
そんな会話しましたっけ(笑)。でも確かに,ララのパターンを一番多く作った気がします。全体的には,自由にのびのびやらせてもらったイメージですね。
ララ 途中稿 |
4Gamer:
ヴィランのキャラクターデザインをオファーされたとき,NOCOさんはどう感じましたか。
NOCO氏:
「アトリエ」シリーズが,新しいことに挑戦するんだなと思いました。それで私自身も,ぜひチャレンジしたいなと。
ただ近年の「アトリエ」シリーズは,基本的に三部作でメインのキャラクターデザイン担当が交代していく形なこともあり,ファンの皆様が「またNOCOか……」とマンネリ感を抱かないか,少しだけ不安になりましたね。
細井氏:
「本当に私でいいの? さすがにマンネリすぎない?」と,ずっとおっしゃっていたんですよ(笑)。
NOCO氏:
とは言え,仕事はありがたいし(笑)。「アトリエ」シリーズファンの皆さんから「擦りすぎ」と言われることを覚悟しつつやってみたら,意外とそんなことはなくて,ホっとしました。
細井氏:
NOCOさんには今回,「レスレリ」の衣装デザインもお願いしています。本作に登場する衣装違いキャラクターの衣装デザインの多くも,NOCOさんに手がけていただいているので,今までとは違う形でさらに深く関わっていただいています。
※基本デザインはNOCO氏が起こし,コーエーテクモゲームスで設定画を制作 |
※基本デザインはNOCO氏が起こし,コーエーテクモゲームスで設定画を制作 |
4Gamer:
ヴィランのキャラクターデザインを進めていくうえで,意識したことはありますか。
NOCO氏:
2つあります。
ひとつは,「嫌われてもいいキャラクターを作れる」ということでしょうか。今までの「アトリエ」シリーズで主人公サイドのキャラクターを作る際とは大きく違うと感じました。嫌われてもいいと言うよりも,「キャラクター本人が相手に好かれようと思ってこの格好をしているわけじゃない」というほうが正確でしょうか。
衣装などは,キャラクター自身の主義や趣味,利便性においてこの格好をしているだけで,相手に好かれようとは思っていないというところを重点に置いて,作業を進めました。
でも,自分の主義や趣味を前面に打ち出している人って,1周回って魅力的に見えることがありますよね。そういう効果を狙ってみました。
4Gamer:
逆に言うと,主人公側のキャラクターは,プレイヤーから好かれるようなところを意識してデザインをしているのでしょうか。
NOCO氏:
主人公などメジャーなキャラクターをデザインするにあたっては,その時々で最大公約数的に多くの人に好かれそうなものを何となくふんわり汲み取りながら,「これだったら,なるべくたくさんの人に刺さるだろう」というところを慎重に探っていく作業を大事にしていますね。
4Gamer:
「これをやってはいけない」ということもあるのでしょうか。
NOCO氏:
作品のコンセプトによりますが,クセの強い要素は避けています。主人公はプレイヤーが自分を投影するキャラクターでもありますから,キャラ立ては必要ですけれども,プレイヤー自身と乖離しすぎていると没入感が損なわれかねません。もちろん設定上の理由があれば,クセの強い表現を入れますが,基本的には避けています。
4Gamer:
意識した点のふたつ目の点も教えてください。
NOCO氏:
これまで「アトリエ」シリーズのキャラクターをデザインするにあたって,私は黒やグレーなどの無彩色を使わないという縛りを勝手にしていて,色味を入れて暖かみや冷たさのニュアンスを表現していたんです。
でも今回はその縛りをなくしています。ほかの人が見たら本当に微々たる差だと思うんですけれども,少しニュアンスを変えることに取り組んでみました。
4Gamer:
これまでに登場しているヴィランは,それぞれどのようなイメージを持ってデザインしたのでしょう。
NOCO氏:
鴉,ララ,ジェロンに関しては,とにかく印象に残るようにしようと,一番最初にできるだけパンチの強いイメージを打ち出して,そこから「ここは少し違う」という部分を均していく作業をしていった感じです。
この3人は,もう本当に歪なギザギザのグラフを少しずつ丸くしていくような感じで作っていきました。今見ると,やっぱりシルエットがトゲトゲしていますね。
一番最初にデザインしたのは鴉なんですけれども,その前に細井さんから「「アトリエ」のヴィランと聞いて,イメージするものを描いてみて」と依頼されて描いたのが,この鴉の途中稿に近いデザインでした。それをもとに調整して,ほかのキャラクターも合わせていく作業を進めていきました。
鴉 |
ララ・トロッケル |
ジェロン・ディーゼル |
4Gamer:
キャラクターデザインをするときに,3Dモデルになることを意識していますか。
NOCO氏:
基本的にはしません。意識すると,デザインがおとなしくなってしまうことがありますから。「ダメだ」と言われたら直すくらいの気持ちでいるので,細井さんたちにはご苦労をおかけしている部分も多々あるかとは思います。もちろん,「これは明らかにダメだろう」というところは気にしますけれども。
4Gamer:
そうやってデザインされたヴィランですが,NOCOさんに対してプレイヤーからの反響はありますか。
NOCO氏:
ゲームの中ではまだ描かれていない部分が多く,さらに謎に包まれているところがあるので,「このキャラクターにハマった!」みたいな声はまだ少ないかな,と思います。
ただ,見た目に関しては「この子が好み」といった感想をもらうこともあります。特に男性キャラクターが公開されたときは,女性の皆様が「すごく好き」と言ってくださったり。私自身が今まで関わってきた「アトリエ」シリーズでは,男性キャラクターに対する反響はそこまで大きくなかった印象だったんですけれども,「レスレリ」ではそういった声も多く見受けられて嬉しかったですね。
4Gamer:
ゲームに登場したばかりのアンチュや,未登場のクリセルダとワルターについて,注目してほしいポイントなどを教えてください。
NOCO氏:
アンチュは,登場したときの反響がかなり大きかったです。細井さんも含めて,コーエーテクモさんの社内でもすごく評価が高かったと聞いています。
何が良かったのか自分では分からないのですが,デザインを公開したときには多くのプレイヤーの皆さんが「どんな子なんだろう?」と注目してくださったので嬉しかったことをよく覚えています。
4Gamer:
クリセルダとワルターは,まだ公式サイトでイラストが公開されているだけですよね。
NOCO氏:
そうなんです。自分もどんなキャラクターなのかまだ知らないのですが,悪そうに見せたかったので,パッと見てヴィランっぽい色使い──黒や紫,赤を組み合わせて,第一印象で悪役だと分かるようにしました。
あと髪の長い男性キャラクターが好きという女性が結構いらっしゃると思うんですが,私自身も,「アトリエ」シリーズではあまり描いていないこともあり,今回ワルターでチャレンジしてみました。その意味では,鴉達も含めてヴィランに関しては全体的に個人的な趣味をコッテリ盛り込みましたね。
4Gamer:
そうしたNOCOさんのキャラクターデザインを,3Dモデルとして起こす作業は大変なのでしょうか。
細井氏:
3Dに起こしやすいかどうかよりも,動かしたときにどうなるかを重要視しますね。基本的にどんな絵でも3Dに起こすことはできるんです。ただ,動かしたときに破綻してしまわないか,などを考えます。
NOCO氏:
今回のヴィランで言えば,ララの調整が多かったですよね。「座れない」「走ると衣装から脚が出てしまう」とか。
細井氏:
キャラクターデザインの再現はできるものの,動かしたときに破綻してしまうところの整合性をどう取るかなんです。
ただ「破綻しても,このデザインは良いからやるべき」となるケースもありますので,そこはNOCOさんを含めてイラストレーターさんたちと相談しながら,都度「ここは突き抜けるけれども仕方ない」「ここは突き抜けたらカッコ悪く見えるから,止めておこう」といった判断をしています。
4Gamer:
少し話題が逸れますが,NOCOさんは先ほど「かつて作ったキャラクターが,また動く姿を見られるのは嬉しい」といったお話をしていました。ご自身のキャラクターが立体化,フィギュア化されることについては,どう思いますか。
NOCO氏:
ものすごく嬉しいです!!
4Gamer:
たとえば今回のヴィランだと,誰がフィギュア化されると嬉しいですか。
NOCO氏:
「全員です」としか言えないです(笑)。フィギュアは──とくに「不思議」シリーズのソフィーのフィギュアはたくさんの作家さんやメーカーさんに作っていただいていますけれど,いずれもキャラクターをしっかり理解し,大事にしてくださっていることが伝わってきます。
何も言わなくともそうしてくださるので,私からは監修で「髪の色をもう少しこうしてください」みたいな指摘をするくらいなんですよね。本当に,フィギュアを作ってくださる方々の情熱を感じます。
2月28日から3月にかけてアップデートを実施
物語の第一部が完結。快適に遊べるための改修も
4Gamer:
それでは2月28日よりスタートする,ハーフアニバーサリーのアップデートについて教えてもらえますか。
細井氏:
ハーフアニバーサリー期間中に,物語の第一部が完結します。第一部では,「レスレリ」の世界観や新キャラクターがどのような形で往年のシリーズキャラクターと関わっていくのかを描いてきました。
その最後で,初めて頂獣ウェルテックスと戦うことになるのですが,これまでに登場してきたキャラクターたちの絆などが密接に絡み合った形で対峙するところが大きな見どころとなります。
また第一部が完結するということは,当然ながら第二部以降もあります。第二部からは,サブタイトルに記している“極夜の解放者”にフォーカスを当てた物語が進んでいきます。
4Gamer:
第一部はいわば序章で,第二部から本格的な物語が始まるようなイメージでしょうか。
細井氏:
第一部から本格的な物語はスタートしていますが,第二部からは「レスレリ」の世界の謎に迫っていき,NOCOさんがキャラクターデザインを手がけられたヴィランたちと本格的に対峙し始めます。
NOCO氏:
ヴィランたちは第一部でも登場していて,何人かは主人公たちと出会っているんですけれども,これからどう関わっていくのかはまだ見えていない感じですね。
4Gamer:
オンラインゲームだと,ひとつの話が完結するとまったく別の話が始まるケースもありますが,そうではなく物語の章が切り替わるような形で第一部の続きとして第二部が始まると。
細井氏:
そうですね。章の切り替わりという表現が的を射ていると思います。
4Gamer:
第二部のボリュームはどのくらいになるのでしょうか。
細井氏:
ご期待に応えられるボリュームとだけ……。第二部からは,物語もより「レスレリ」の副題に迫るような展開になっていきます。そして申し訳ないのですが,今お伝えできるのは,ここまでになります。
今回は第一部完結ということで,こちらにぜひ注目していただきたいです。最初から通して第一部を楽しめる機会ですので,一度離れてしまった方にもぜひプレイしていただきたいです。
4Gamer:
システム関連のアップデートも実施されますよね。
作田氏:
現在,一番注力しているのは,より多くのスマホ端末で快適にプレイできるようにすることです。特にPC版をリリースしたときに,「こんなに快適に遊べるんだ」という反応をいただいて,それを実感しました。
そのため,ハーフアニバーサリーで配信する「Ver1.4.5」で,クライアントを構造から見直し,よりテンポよく遊べるようにします。
また,オプションの切り替えによってさまざまなプレイスタイルに対応できるようにしていきます。たとえば,何度も見た演出は飛ばし,もっとサクサクと快適に遊びたいという方に向けて,体験を簡略化・短縮化できるようにしました。
「自分の端末では少し遊びづらいな」と感じた方も,ぜひもう一度このタイミングで触っていただけるとありがたいです。
4Gamer:
「レスレリ」は,高スペックの端末を対象として開発を進めていたのでしょうか。
作田氏:
そういうわけではありません。超高性能ではなく,ゲームをプレイするうえで主流となっているスペックを想定していました。ただ,「今までこんなタイトルなかったな」「こんなに可愛かったり,カッコよかったりするキャラクターで遊びたいな」と感じていただくために,かなりルック周りに注力して開発を進めていました。
それもあって,スペックが足りていても,少しもっさりとした動作に感じる方も多いようです。このあたりは,今回や今後のアップデートで改善していきます。
4Gamer:
プレイのテンポ感をアップさせる施策には,どのようなものがあるのでしょうか。
作田氏:
一例を挙げると,8章までのスコアバトルにおける難度Hard及びVery Hardの,ボスとボスの間にあるスコアのないバトルをスキップできるようにしました。
4Gamer:
アップデートでは,新機能の追加も行われるようですが。
作田氏:
3月下旬のアップデートで,ファンの皆様から多くのご要望をいただいていた,フォトモードの背景切り替え機能を実装する予定です。
フォトモードの開発時から予定していた機能ですが,「早く撮影したい」というリクエストが多かったこともあり,まずは背景は変えられないけれどもキャラクターを撮影できる機能だけ先に実装したんです。
このタイミングでようやく背景も変えて撮影できる機能をサポートしました。ぜひ活用してください。
4Gamer:
キャラクターのポーズの追加などは検討していますか。
作田氏:
今回ポーズは増やしていません。ただご要望が多いようでしたら,アニバーサリーなどのタイミングで撮影の楽しみ方を何かしら追加していこうと考えています。
4Gamer:
「イベントの復刻」も予定しているようですが,こちらは少々タイミングが早い気もします。
作田氏:
もちろん,期間的な意味で色々なご意見はあると思います。ただ,プレイヤーの皆様からは,たとえば2023年10月に実装されたキャラクターについて,「あのときはプレイしていなかったので,入手する機会がほしい」といったご意見をよくいただいておりました。
そのため年明けに初めてガチャのみ復刻しましたが,キャラクターの能力のほかにも,そのキャラクターの持つ魅力がわかるように,イベントも楽しんでいただける形にしたほうがいいのではと思っています。
ちなみに復刻キャラクターは,年明け以降LEGENDメダルで交換できるようにしましたし,半周年以降,LEGEND FESでピックアップではないキャラクターとして獲得できるようになります。
NOCO氏:
純粋なプレイヤー目線で言うと,復刻は何回来ても嬉しいです(笑)。
作田氏:
「アトリエ」シリーズは過去作品が多く,それぞれに登場するキャラクターにたくさんのファンがいらっしゃいます。復刻がないと,好きなキャラクターが出ているタイミングで「レスレリ」に触れていなければ,どうしても入手できないことになってしまうんです。
また,入手期間が終わってから「このキャラクター,すごく強かったんだ。ほしい」と思う方もいらっしゃると思うんです。そこは,アカツキゲームスさんとバトルなどの調整を図る中で,各キャラクターの持ち味や特徴を意識して作っていますので,今まさに攻略しているコンテンツに合致するキャラクターが復刻で手に入りやすくなるのは,プレイヤーの皆様にとっても嬉しいことではないかなと考えています。
4Gamer:
復刻には,プレイヤーや「アトリエ」シリーズのファンに寄り添うという意味もあるわけですね。
作田氏:
そうですね。また「レスレリ」を始めると,72時間限定かつ有償限定ではありますが,ガチャが引けます。
こちらもハーフアニバーサリーでリニューアルされます。72時間限定と有償限定は変わりませんが,これまで恒常化していた★3キャラクターや,サービス開始から「クリスマス LEGEND FES」までに初登場した★3キャラクターの中から選んだキャラクターを入手できるガチャの更新も入ります。これにより,皆様の好きなキャラクターをより狙いやすくなるかと思います。
4Gamer:
そのほかにも今後実装される機能などがあれば教えてください。
作田氏:
特徴的なものを3つご紹介できればと思います。
「リーダースキル」は, キャラクター同士1対1の関係ではなく,もっと大きな枠組みの中で実現するような遊びです。端的にお伝えすると,選んだリーダーがもつリーダースキルに当てはまるキャラクターが,より強くなるといった具合です。
また「エンブレム」は,プレイ中に達成した“実績”のようなものです。獲得したエンブレムの数をプロフィール情報からほかの人にアピールできたり,あるいはやり込みの目標にしていただいたりする要素ですね。
「探索」は,いわゆる放置モードで,ゲームを起動していない間に素材を集めてくれるというものです。次回ゲームを起動したときに「これだけ集まっているなら,もう少しプレイしてみようかな」というようなモチベーションにしていただけるかなと。
これらの要素は,プレイヤーの皆様の声や,我々自身がプレイしている中で感じるところを意識して追加しています。
コンシューマ機向けの「アトリエ」
新作の続報は2024年内を予定
4Gamer:
それでは,NOCOさんが今後の「レスレリ」に期待することなどを教えてください。
NOCO氏:
まだゲームに登場していないヴィランが,どんな強い存在として出てくるのか楽しみにしています。プレイヤー目線で楽しみたいので,どんな悪い奴なのか詳しく聞いたり,あまり資料を見たりしないようにしているんですよ。
最近登場したアンチュに関しては,「やっとしゃべった!」と嬉しくなりました。ほかの2人も「どんな感じで戦うんだろう」とか,シンプルに楽しみにしています。
4Gamer:
ご自身としては,今後どのようなキャラクターをデザインしてみたいですか。
NOCO氏:
多くの皆さんの記憶に残るキャラクターを作っていきたいと,常に心がけています。イラストを描いたり,文章に合わせてシーンを描いたりといろんな仕事をしていますが,私自身はデザインをしているときが一番楽しいので,これからもいろいろ作っていけたらいいなと思っています。
4Gamer:
最後に,プレイヤーを含め「レスレリ」に注目している人に向けて,NOCOさんと作田さんと細井さんからメッセージをください。
NOCO氏:
繰り返しになりますが,私はプレイヤー目線で楽しみたいので,キャラクターデザイン以外の情報はできるだけ入れないようにしています。それでも入ってきてしまう情報からは,ワクワクするような企画がこの先も続々と登場するようです。ぜひ期待してください。
作田氏:
我々に至らない点がありサービスインからいろいろなご意見をいただくことも多く,決して順風満帆な日々ではありませんでしたが,それでもこうしてハーフアニバーサリーを迎えることができました。これもひとえに毎日遊んでいただけたユーザーの皆様のおかげです。心より感謝いたします。1月のSteam版サービス開始をはじめ,その他多くのアップデートや快適性の向上など行ってまいりましたが,引き続き皆様に毎日楽しく「レスレリ」を遊んでもらえるように頑張ります。今後とも「レスレリ」をよろしくお願いいたします。
細井氏:
開発としては,もっと「レスレリ」を盛り上げるために,プレイヤーの皆様の期待以上のものを1周年に合わせて発表できるよう動いています。
また台北ゲームショウ2024のインタビューでもお話ししましたとおり,コンシューマゲームの「アトリエ」シリーズ新作も開発しています。こちらの続報は,2024年内に発表できればと考えています。
また先に作田が申し上げたとおり,ハーフアニバーサリーを迎えた「レスレリ」は,リリース当初よりも格段に遊びやすくなっていますので,ぜひプレイしていただきたいです。ハーフアニバーサリーでまず楽しんでいただきつつ,そのあとも1周年2周年に向けてさまざまな展開を用意していますので,ぜひご期待ください。
4Gamer:
ありがとうございました。
「レスレリアーナのアトリエ 〜忘れられた錬金術と極夜の解放者〜」公式サイト
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