インタビュー
[インタビュー]実はリリースを延期していた!? 「ブレイクマイケース」プロデューサーに聞いた制作の裏話とリアルさへのこだわり
colyが配信中のアプリ「ブレイクマイケース」(iOS / Android。以下,「ブレマイ」)が,2024年11月9日にハーフアニバーサリーを迎えた。本作は,音楽とマッチパズルを組み合わせた新しいゲーム体験が楽しめる“グルーヴマッチパズル×リアリスティックADV”だ。プレイヤーは限られた顧客相手にマルチ代行サービスを提供するカフェバー「Aporia」(アポリア)のオーナー代理として,美しくもクセのあるスタッフたちを見守っていく。
ハーフアニバーサリーを記念して,4Gamerでは「ブレマイ」のプロデューサーへのインタビューをお届けする。「ブレマイ」制作の裏話とリアルさへのこだわり,今後の展望などを聞いたので,最後までチェックしてほしい。
「ブレイクマイケース」公式サイト
「ブレイクマイケース」ダウンロードページ
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単純に記号化できない,
Aporiaのスタッフや物語が魅力
4Gamer:
ハーフアニバーサリー,おめでとうございます。今のお気持ちをお聞かせください。
プロデューサー:
ありがとうございます。駆け抜けてきたような,あっという間の6か月でした。つい最近まで,アプリのリリース日に追われながらゲームの最終調整に没頭していたように思えます。が,気付けばすっかりたくさんの方にAporiaのスタッフを好きになってもらっていて,とてもうれしいです。
4Gamer:
リリース時はもちろん,ゲーム内イベントを開催するごとにSNSで話題になるなど,本当に愛されている作品ですよね。
プロデューサー:
Aporiaのスタッフたちを愛してくださっているユーザーのおかげで,ハーフアニバーサリーまでやって来ることができました。本当にありがとうございます。
一方で,このハーフアニバーサリーという節目は,「ブレマイ」という作品にとっては,まだささいな節目にすぎないとも思っています。僕にとっては,まだAporiaの21人のスタッフ(キャラクター)をお披露目したばかりという感覚もあり,これから長い時間をかけてお届けしたい物語や体験のほんの一部しかまだ皆さんにお見せできていない状況に,ある種のもどかしさも感じています。ぜひ今後の「ブレマイ」の展開にも引き続きご注目いただければうれしいです。
4Gamer:
渋谷を舞台にしたリアルさのある設定やステキなAporiaのスタッフなど,本作にはたくさんの魅力があります。あらためて「ブレイクマイケース」の魅力を教えてください。
プロデューサー:
「ブレマイ」は,キャラクターや物語のリアリティを大切にしています。Aporiaのスタッフは,良い意味で「キャラクターっぽく」なく,複合的で奥行きのある人物として描かれているので,一言で説明できるような人物ではありません。むしろ,彼らの内面がすぐには見えてこないからこそ,物語を進めるうちに彼らの本質に触れたくなる,そんなリアルさが「ブレマイ」の魅力だと考えています。
さらには,舞台も現代の東京であること。まるで現実の世界で我々と同じ空の下に生きているかのような,社会的なリアルさが感じられる点も,「ブレマイ」の世界観の特徴ですね。
4Gamer:
リアルでありながら,マルチ代行サービスを営んでいるという,非日常感とのバランスが絶妙ですよね。
プロデューサー:
4Gamerさんの過去のインタビューでもお話ししたのですが,若者が憧れるようなキラキラしておしゃれな都会感がありながら,ストーリーではリアルで生々しい物語が展開していきます。この表裏一体な部分も本作の特徴であり,見どころの1つですね。
また,「おしゃれ」という点では,グラフィックデザイン,ゲーム体験等,物語世界を包み込む外側の部分にも細部までこだわってきました。全体的に,都会的で商業的な雰囲気を肌で感じていただけるようにデザインしています。「音楽がいい」「画面がおしゃれ」といったお声をいただけるのは本当にうれしく,キャラクターや物語だけではなくて,アプリ全体で楽しんでいただけていることに感謝しています。
4Gamer:
オーナー代理の皆さんから,ほかにはどんな反響が届いていますか。
プロデューサー:
やっぱり,「キャラクターのことをもっと知りたい」という声を多くいただいていますね。メインキャラクターが21人と多いので,メインストーリーのなかでは全員を個別に掘り下げることはあまりないんです。
しかし,そんなメインストーリーのなかでも随所にその人物の内面を感じさせたり,人物同士の関係性が垣間見えたりするようなセリフが会話劇のなかに散りばめられているので,「このキャラのことをもっと知りたい」という欲求が掻き立てられるようになっているかと思います。
4Gamer:
ふとした仕草で,「これはもしかして……」と感じるシーンがあって,メインストーリーを読み進めるたびに気になるスタッフが増えました。
プロデューサー:
真相が分からなくても,情報そのものはかなりありますからね(笑)。シナリオの見せ方,順序立ては,さすが藍田 創先生だと感じました。「もっと彼のことを知りたい」という気持ちが自然と連鎖していくように,多くの謎や伏せられた情報をあえて残し,順を追って明かしていくところが,「ブレマイ」の魅力としてユーザーに響いているのだと思います。
また,配信初期には,21曲の「パーソナルソング」を楽しんでいただけた手ごたえを強く感じました。プレイスタイルはユーザーそれぞれですが,メインストーリーでお気に入りのスタッフを見つけ,そのスタッフの情報をもっと知りたいと,パーソナルソングの開放を最初の目標に頑張ってくださる方が多かったです。
4Gamer:
皆さんから,こうしてほしいといった要望も届いているのでしょうか。
プロデューサー:
オーナー代理の皆さんの声は参考になる貴重なものばかりで,本当にありがたいです。今一番多いのはやはり,メインストーリーの続きを読みたいという声ですね。
4Gamer:
いちファンとしても,早く続きが読みたいと思っています。公開中の「Thread1」は,とても気になるラストになっていますよね。
プロデューサー:
お待たせしていて申し訳ございません。今後もメインストーリーは全編フルボイスで,最高の品質で皆さまにご提供したいと考えてます。なるべく早くお届けできるように努めてまいりますので,もう少しだけお時間をいただけましたら幸いです。
4Gamer:
初期のころは,グルーヴマッチパズルが難しいという意見も多かった印象があります。
プロデューサー:
そうですね。ただでさえ頭を使うマッチ3パズルに,時間制限の要素が加わっているので,最初は難しいと感じる方が多いと思います。実際,「先行体験版」の時からユーザー評価は賛否両論という感じでした(笑)。
一方で,カードを育成して,操作に少し慣れれば誰でも高いスコアが取れるように設計しているので,面白いと感じていただける方がだんだん増えていった印象です。
4Gamer:
ほかにはない形式ですからね。
プロデューサー:
そうですね。ほかにはない形式ゆえに,開発にもかなり苦労しました。パズルと音楽の掛け合わたゲームは世の中にいくつか存在するんですが,「マッチ3パズル」で音楽とかけ合わせるというのは,知る限りでこの世に同じものがないゲームなので,洗練された体験に仕上げるのが本当に難しかったです。
やっぱり,「マッチ3パズル」って,完成度の高いゲームシステムだからこそ世界中で愛されているので,定番のルールを崩してアレンジするというのは,ゲームクリエイターとしてはマイナスからの挑戦になります。そこを,音楽という要素を活かしてどうカバーするかというのが,かなり難しかったです。
Aporiaスタッフと音楽へのこだわりから,
実はリリースを延期していた!
4Gamer:
運営されているなかで,うれしかったことはありましたか。
プロデューサー:
結構,BGMにも注目していただけていることですね。正直,インストゥルメンタルのBGMを作品コンテンツの1つとして楽しんでもらうのってなかなか難しいことだと思うんですが,グルーヴマッチパズルとの相乗効果もあって,「ブレマイ」の楽しみの1つとして受け入れていただけたことがうれしいです。
あとは,キャラクターとBGMの関連付けですね。パズルのBGMは,Aporiaの6つの部署の雰囲気を,〈交際部〉はヒップホップ,〈管理部〉はジャズ,〈特務部〉はロック,と言うふうに音楽ジャンルで象徴化していて,プレイヤーが楽曲を聴いたときに「この曲は◯◯部っぽい」と感じられるようにしています。
「サウンドトラックにここまで力を入れている女性向けゲームはほかにない!」と言っていただけるような状態を目指したかったので,そこに好評をいただけていることはとてもうれしかったですね。
4Gamer:
公式サイトでBGMが公開された時から,話題になっていましたね。
プロデューサー:
「ジャズ」や「ヒップホップ」,「ロック」といった,現実世界での商業的な音楽ジャンルをそのまま活かすことができるのは,「ブレマイ」がリアルな世界観を持っているからこそであり,本作ならではの強みだなと思います。さながら音楽プレイヤーのように,好きな曲を選んで再生するという体験も,こういうリアルな都会のテイストに合う,おしゃれな体験になるんじゃないかなと。
4Gamer:
それでは逆に,苦労したことはありましたか。
プロデューサー:
苦労話はたくさんあります(笑)。実は一度,リリースを延期しているんです。「ブレマイ」は5月9日にリリースしましたが,実はもう少し前の月でリリースする予定でした。これで大変だったのが,リリース後のスケジュールの組み直しですね。リリースを延期したことで,ゲーム内イベントの開催順番の設計がくるってしまって,延期決定後にそれを軌道修正するのがとても大変でした。
4Gamer:
季節感が大事になるイベントもありますからね。
プロデューサー:
そうですね。リリース時期が変わってしまっても,ハロウィンテーマは10月にやらなければならないし,ブライダルテーマは6月にやりたいし,スタッフの誕生日イベントの場所も変えられません。一部の施策は固定したまま,それ以外をスライドする必要が出てきてしまったことで,スタッフカードの配信順の偏りや,ストーリーの公開順をどうするかに悩まされました。
4Gamer:
先日公開されたハロウィンイベントは新形式のイベントでもありましたね。
プロデューサー:
そうですね。「ブレマイ」はプレイヤーとAporiaスタッフが直接交流するような画面がなく,伸ばしていきたい要素だと考えていたので,材料を集めてバーカウンターのスタッフにカクテルを作ってもらう新形式のイベントを試しました。
イベントの途中でバーカウンターの「シフト」や「レシピ」が切り替わるので,ログインするたびに楽しみが増えるようになっているのも特徴です。
4Gamer:
ちなみに延期の理由は何だったのでしょうか。
プロデューサー:
理由はいくつかありますが,Aporiaスタッフをもっと愛してもらうため,リリース時からパーソナルソングを全スタッフぶん収録することにしたのが最大の理由でした。彼らの魅力をボーカルソングで表現したいという構想は早い段階からありましたが,リリース時点までに21曲作ると決めたのは,皆さんが想像するよりもかなりあとのことです(笑)。
4Gamer:
キャラクター数も多いだけに,本当に大きな決断ですね。
プロデューサー:
やはり,ゲーム全体で音楽にどんどん力を注いでいくにつれて,当然ボーカルソングも最初から全員ぶん作らなければならないという感覚が強まっていきました。
歌詞はすべて藍田先生にご監修いただき,僕はサウンドディレクション全般を担当したのですが,本当に配信日直前までパーソナルソングを作っていましたね。全曲をアプリに組み込むのは大変でしたが,音楽に力を入れている「ブレマイ」にとって,最後のピースがハマったような感覚を覚えました。
4Gamer:
パーソナルソングの発表時,SNSでも喜びの声が溢れていました。
プロデューサー:
喜んでいただけてとてもうれしかったです。
うれしい施策が満載な
ハーフアニバーサリー
4Gamer:
ハーフアニバーサリーにちなんだアプリ内イベントや,リアルでのグッズ展開などを教えてください。
プロデューサー:
「0.5th Anniversary ブレマイパーティ」では,雪広うたこ先生に描き下ろしていただいたイラストのスタッフカードを配信します。皇坂 逢,麻波 麗,祠堂恭耶の3人が登場するのでお楽しみに。ぜひ「ライブクリップ」でもお楽しみください。
今後の「ブレマイパーティ」でも,SSR出現確率がアップしたり特典アイテムがもらえたりといった特別な仕様で開催していくのはもちろんのこと,描き下ろしカードなどをはじめとする豪華なスタッフカードを配信していく予定です。
4Gamer:
イラストを見るのが楽しみです。
プロデューサー:
ほかには,メインストーリーの「Thread 1」と,「Interlude1」と「Thread 2」の間に位置する中間エピソード「Interlude I」も公開中です。Aporiaの過去についての言及など,今後の展開にわくわくできる内容になっていますので,ぜひお楽しみいただければと思います。
また,ハーフアニバーサリーを境に,パーソナルソングの第2弾も定期的に配信していきます。全体的に,第1弾とは異なるスタッフ一人ひとりの側面にフォーカスしていて,今後のメインストーリーで明かされる設定要素との関わりもある楽曲となっています。まずは,特務部の新名 有(CV:坂田将吾)の新しいパーソナルソング「Code:20 -Until that day-」が実装されますので,ぜひお楽しみください。
4Gamer:
これから始める人も多いと思います。初心者に向けて,プレイのアドバイスをお願いします。
プロデューサー:
「ブレマイ」のグルーヴマッチパズルは,プレイのテクニックよりもむしろ,カードの育成や編成がスコアに大きく影響します。最初はなかなか良いスコアランクが取れないかもしれませんが,序盤のステージであれば,ステージの属性とカードの属性を合わせたり,カードのレベルを上げたりするだけで良いスコアランクが出せるようになるはずです。
また,特定のピースの出現率がアップするオートスキルを持つカードは,ピースをたくさん揃えやすくなり,序盤から即戦力になってくれます。活用してみてください。
4Gamer:
12月にはリアルイベントも予定されていますが,お話しいただける範囲で,今後の施策を教えてください。
プロデューサー:
「ブレマイ」だからこそできるものにしたいと考えています。アプリ同様に音楽にや演出には力を入れたいと思っており,キャストの皆さんのお力も借りて,「ブレマイ」ファンの皆さまが繰り返し参加したいと思っていただけるようなイベントにしたいです。
このほかにも,「ブレマイ」でやりたいことは星の数ほどあります。アプリの充実はもちろん,メディアミックス展開にもさまざまな計画があり,詳しくお話できないですが着手しているものも……。今後も作品の世界は広がっていきますので,楽しみにお待ちください。
4Gamer:
最後にオーナー代理の皆さんに,メッセージをお願いします。
プロデューサー:
今後も「ブレマイ」が皆さまの生活に彩りを添え,心の拠り所となる作品でありつづけられるよう,頑張ってまいりますので,引き続き応援していただけますと幸いです。
4Gamer:
ありがとうございました。
――2024年10月24日収録
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(C)coly
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