プレイレポート
[プレイレポ]登場人物全員が嘘をついている!すべての矛盾を解き明かすアドベンチャーゲーム「未解決事件は終わらせないといけないから」
主人公は引退した警察官で,とあるきっかけで過去の未解決事件に再度向き合うことになる。そして,記憶を整理し情報を繋ぎ合わせながら,事件の解決を目指していく。
「REPLICA」「リーガルダンジョン」のPS4/Xbox版が配信開始。Somi氏による“罪悪感三部作”
アクティブゲーミングメディアが運営するPLAYISMは本日(2022年4月5日),「REPLICA」と「リーガルダンジョン」のPS4/Xbox版を配信開始した。これらは韓国のインディーズゲーム開発者Somi氏による「罪悪感三部作」シリーズの作品だ。
タイトルを見て「なんだかおもしろそうな作品だ」と感じたのも束の間,あらすじにある「公園で遊んでいた少女・犀華(せいか)が行方不明になった」という一文が非常に気になった筆者。子を持つ親としてダメージが大きそうなので,プレイするのは厳しいかなとも。
しかし,「明らかとなったのは犀華の周りの全員が嘘つきだったということだけ」というフレーズが気になって触ってみることに。結論から言うとプレイしてよかった作品であった。
ということで,これからプレイする皆さまの楽しみを損なわないためにストーリーの紹介は最小限にして,実際にプレイした感触を紹介しよう。
たったひとつの未解決事件
この作品は,「私はクラゲです」という一文と強烈な自己嫌悪に満ちた独白から始まる。主人公は,清崎 蒼という名前の元警察官。生涯で唯一未解決にしてしまった事件を12年経ったいまも悔やんでいる。
ある日,そんな彼女を「おばあちゃん」と呼ぶ人物が目の前に現れ,その未解決事件「犀華ちゃん行方不明事件」を終わらせようと迫ってくる。
画面左の女性。プレイヤーからは若い警察官に見えるが,清崎 蒼からは自身を裁く審判者に見えているようだ。さらに彼女との会話が進むたびに,「ヤヌス」や「ジグソーパズルチャンピオン」など相手への認識が突拍子のないものに変わっていく |
「犀華ちゃん行方不明事件」は,2012年2月5日に公園で遊んでいた少女・犀華が行方不明になったところから始まった。過去に手を尽くしても解決できなかったこの事件を,12年経ったいま,彼女は記憶を少しずつ思い出して紐解いていく。プレイヤーはそんな彼女をサポートして,事件の真相を明らかにしていくのだ。
まるで3Dパズル!情報を繋いで忘れていた記憶を呼び起こす
若い警察官に促され,まずは事件の始まりと終わりを思い出すことに。始まりは前述の通り2012年2月5日,犀華の母親から受けた「娘がいなくなった」という通報。そして,未解決事件となった理由,あるいは原因とも言える最後の会話は,父親から言われた「これ以上娘を捜さないでください」という言葉である。
俄かには信じられない会話 |
……これはどういうことなのか!? 父親が捜査を止めさせた!? 頭に疑問符が飛び交うが,これはひとまず置いておくことに。
なお清崎 蒼が他人と交わした会話は,SNSのタイムラインのように相手ごとに区切られて表示される。そして,さまざまな会話を思い出すたびに,縦に並べられてく。
※これ以降の画面写真にある捜査情報は,ネタバレを避けるため一部にモザイクをかけています
思い出した会話の中に#(ハッシュタグ)が付いたキーワードがあり,それをクリックすると同じジャンルの会話を思い出せる |
子どもがいなくなったと通報してきた母親との会話,父親への聞きこみ,近所の人の言葉……。思い出した会話は発言者ごとに並べられていくが,現在の清崎 蒼は発言者を間違えて認識している場合があるため,顔アイコン部分をクリックして正しいと思われる人物に切り替えていく必要がある。
Aという情報も,発言者が違えばまったく違う情報になってしまうところが全容の把握を難しくさせているのだ。
若い警察官のアドバイスから,この会話の相手は犀華ちゃんの母親ではなく父親であると推察。プルダウンで発言者を父親に変えると,父親の発言欄に会話が移動する |
キーワードを辿って情報を思い出していくと,たくさんの情報が表示されていく。しかし断片的な会話が入り乱れているので,時系列ごとに並べ直したり発言者を正しいものに書き換える必要がある。そうすることで推理が進んだりさらに,新しい記憶にたどり着いたりできる。
その際のパズルのような操作性と,明かされている情報を元に推理していく気持ちよさが本作の大きな魅力のひとつである。普段使っていない脳みその部分を使っているような,何とも言えない快感が味わえるのだ。
会話の右上にある+マークをクリックすると,イメージイラストが表示される。操作の役に立つかも? |
中には錠前がかかっていて思い出せない情報もある。些細で思い出しにくい情報なのか,はたまた封じ込めておきたいような情報なのだろうか……。錠前の種類は黄色,紫色,赤色の3種類あり,特定の条件(情報)をクリアすると思い出せる仕組みになっている。
会話の時系列を正しく並べ替えると,カギのかけら(画面右上で確認可能)が手に入る。カギが1本分(カギのかけら6個)たまると,カギと同じ黄色の錠前がかかった記憶にアクセスできるようになる |
紫色の錠前を開けるために必要な数字は,思い出した情報の中にヒントがある |
この場合の赤色の錠前は「●●を疑う理由(3個)」を会話の中から選ぶと開かれる |
「未解決事件は終わらせないといけないから」では,発言者や時系列が事実と異なっているので,それぞれの情報が3Dパズルのように複雑に組み合わさっている。そのうえ,全員が何かしらの嘘を吐いているのでプレイヤーの頭の中は大混乱することも。
しかし,ひとつひとつ情報を追って,キーワードを探し,また新たな情報を精査して……と繰り返して多くの情報が出揃うとひとつの真実が見えてくるのだ。
謎が謎を呼ぶ状況,どんな展開になるのか見当もつかない状態,だんだんと真実が見えてくるところ……その混乱から解放までの流れが鮮やかで,とても気持ちのいいプレイ感を味わえる。
捜査で出会った関係者たちとその会話は膨大な量になるが,右側にある縮小された全体図をクリックすれば見たい情報にすばやくアクセスできる。この操作性のよさも,推理をスムーズに行えるポイント |
ふたつのエンディングを見た率直な感想(ストーリーに関して以外)は,「なんて構成がしっかりした作品なんだ!」というもの。全体のプレイ時間は3時間半ほどだったが,かなりの充足感も得られた。
なぜ未解決事件になったのか,なぜ父親は「娘を行方不明のままにしてほしい」と言ったのか,周辺にいた人たち全員がそれぞれどんな嘘を何のためについていたのか。そしてふたつのエンディングで明かされる真実とは……。
これは他人のプレイなどで見るのではなく,自身で数多くの矛盾を読み解いて,ぜひその手でこの未解決事件を終わらせてほしい。また新たな発見があるかもしれないので,2周目のプレイも強くおすすめしたい。
◆製品情報
ゲームタイトル: 未解決事件は終わらせないといけないから
ジャンル: 推理アドベンチャーゲーム
プレイ人数: 1人
発売日: 2024年1月18日
対応機種: PC(Steam)
ストアページ: https://store.steampowered.com/app/2676840/_/
定価: 800円(税込)
対応言語: 日本語,英語,韓国語,中国語(簡体字)
開発元: Somi
パブリッシャー: Somi
「未解決事件は終わらせないといけないから」Steamストアページ
- 関連タイトル:
未解決事件は終わらせないといけないから
- この記事のURL:
(C)2023 Somi. All rights reserved. Developed by Somi. All other trademarks are property of their respective owners.