プレイレポート
スタミナの概念を撤廃した,気持ちよく動かせるソウルライク「AI Limit 無限機兵」をプレイ。発表から約5年,映像表現がより美しく進化
AI Limitは,人類文明が崩壊した未来世界を舞台にしたソウルライクアクションだ。2019年のChinaJoyや東京ゲームショウに出展され,アニメスタイルのグラフィックスと,スタイリッシュなアクションシーンで話題を集めた。
[TGS 2019]高難度の中国製アクションRPG「AI-LIMIT」が出展。日本での配信も視野に
東京ゲームショウ2019のChina Console Games Embassyブースに,「China Hero Project」関連のタイトルであり,ChinaJoy 2019でも見かけた“ソウルライク”なアクションRPG「AI-LIMIT」が出展されていた。将来は日本での配信も検討しているようだ。
[CJ2019]女性主人公のスタイリッシュなアクションが楽しめる“ソウルライク”なタイトル「AI-LIMIT」プレイレポート
ChinaJoy 2019のPlayStationブースに,中国のSENSE GAMESが開発するPS4用アクションRPG「AI-LIMIT」がプレイアブル出展されていた。ハードな難度のステージを死にながら進んでいく“ソウルライク”なタイトルでありつつ,女性キャラのスタイリッシュなアクションが盛り込まれている。
当初は2020年内の発売を予定していたが,発表以降しばらく動きのない状況が続いていた。そのままフェードアウトしてしまうかと思いきや,2024年1月にSense Gamesが“再始動”を発表。今回,最新バージョンを遊べる試遊台が出展された格好だ。
本稿においては,イベントに先行して受け取ったデモ版を元にしたプレイレポートとともに,現地で行った開発チームへのインタビューを掲載する。4Gamerでは同じデモ版を用いたプレイ動画をYouTubeで公開しているので,そちらも確認してほしい。
「AI Limit 無限機兵」
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約5年を経て進化した映像はもはや別物
独自要素が光るシステム面も要注目
ソウルライクといってもさまざまなスタイルが存在するが,本作の手触りは「DARK SOULS」シリーズの中であれば,「DARK SOULS 3」のそれに近い。攻撃の振りや移動もキビキビとしており,動かしていてほとんどストレスを感じなかった。
また,[R1]で弱攻撃,[R2]で強攻撃といったボタン配置や,基本的なユーザーインタフェースはDARK SOULSシリーズやELDEN RINGを踏襲した感じなので,それらを遊んだことがある人なら,迷うことはないだろう。
発表当初からの特徴であるアニメ調のグラフィックスについては,もはや“別物”といっていいレベルでクオリティが向上していた。素早い動きの中に重力を感じさせるモーションもソウルライクのゲーム性にもマッチしており,違和感はまったくない。
ほかのソウルライクとの明確な差別化要素は,いわゆるスタミナの概念が存在しないことだ。どれだけ連続で攻撃をしても,回避ボタンを連打しても,いくらダッシュしても動きが途切れないので,かなり気持ちよくキャラクターを動かせる。
「じゃあ大型武器をブンブン振り回し続けるのが強いんじゃないの?」と思って実行してみたのだが,そこはちゃんと調整されている。攻撃を当てれば怯ませられるものの,モーションの終わり際が長めに設定されており,考えなしに振っていると簡単に反撃されてしまう。
また,体力ゲージの下には「シンクロ率」と呼ばれるゲージが存在し,敵からの攻撃を受けるとこれが低下する。シンクロ率はプレイヤーの攻撃力に直結しており,ゼロに達すると受けるダメージまで増加してしまう。素の状態でも受けるダメージはかなり大きいので,連続攻撃であっという間に倒されることも少なくない。
シンクロ率は通常攻撃をヒットさせることで増加するので,被弾を抑えながら攻撃を叩き込む慎重な立ち回りが必要になる。スタミナ制を廃してアクションの自由度を増しつつも,雑な立ち回りを許さないこのシステム設計は,なかなか面白い作りだと感じられた。
リスクを負って攻めることでリターンを得る仕組みからか,チェックポイントで休憩するごとに補充される回復アイテムに加えて,使用すると徐々に体力が回復する消費型アイテムも用意されている。回復手段が複数あることで,リカバリーもある程度は効きやすくなっている。
個人的に楽しかったのは,強力な特殊アクション「スペル」の扱いだ。名称の通り,これはDARK SOULSにおける「魔法」や「祈祷」にあたるアクションだが,本作におけるスペルはシンクロ率を消費して発動し,威力も発動時のシンクロ率によって変化する。
つまり,通常攻撃をヒットさせなければスペルが十分な威力を発揮できず,発動した時点でまたシンクロ率が低下してしまうため,連発は難しい仕組みになっているのだ。そのぶん,効果はかなり強力。試遊で装備できた「レーザー」は,すさまじい射程&威力の光線を素早く放つものだった。
プレイヤーが管理するリソースを体力とシンクロ率の2点に集約することで,シンプルさと奥深さの両立をはかっている本作。ソウルライクとはいえ,中核となる仕組みにはしっかりとオリジナリティがあり,実際に遊ぶと独自の味わいを感じられる作品だった。
5年間でステージは全部作り直し
各ストアではデモ版の公開予定アリ
今回のイベントには,CE-Asiaパブリッシング部門の代表を務める周 嘉偉氏が来場しており,インタビューの機会を得られた。約5年の沈黙期間にあった出来事や,独自システムを実装した意図など,気になる部分を一気に聞いてみた。
4Gamer:
2019年の発表から約5年が経過し,ついに再始動が発表されました。その間の動向が気になっていたファンも多いと思いますが,何があったのでしょうか。
周氏:
発表当初はチームが小さく,全体の見通しが立っていませんでした。3Dアクションというのは想像以上に作るのが難しく,技術と人員の両面が不足していたんです。その頃から少しずつ人員を増やし,今では約20人のチームになりました。
一番実現が難しかったのは,3Dグラフィックスでアニメ風のルックを表現する技術です。その技術が私達の満足できるレベルに達したところでグラフィックスをほぼリビルドし,今年になってついに完成の目処がたったというところです。
4Gamer:
再始動を発表したときの反響はいかがでしたか。
周氏:
新しいPVを発表すると,世界中から応援と期待のコメントをいただきました。日本の皆さんからは特に情熱的な声が多く,新しくなった映像を受け入れてもらえたように感じています。Steamウィッシュリスト登録数についても,一時は日本のユーザーがトップだったくらいです。
また,バンダイナムコゲームスさんの「CODE VEIN」に近い印象を持った方も多いようです。近い雰囲気の作品を手掛けた先達がいて,比べてもらえるのは光栄なことだと思っています。こちらも好きになってもらえるよう,努力していきます。
4Gamer:
システム面では「DARK SOULS」シリーズからの影響が大きいように感じますが,世界観やビジュアルの面でインスピレーションを受けた作品などはありましたか。
周氏:
日本のコンテンツから受け取ったものは多く,漫画「BLAME!」からは特に大きなインスピレーションを受けています。制作メンバーはみんな大好きで,特にアートスタイルや世界観の面で学ぶ部分がたくさんありました。
4Gamer:
再始動において,グラフィックスは大幅に進化しましたが,システム面で手を加えている部分はありますか。
周氏:
アクションRPGとしての基礎的な要素は,企画の段階から動いていません。ですが,ステージは配置や構成まで含めて全部作り直しているので,総合的なゲーム体験はより良いものになっています。
4Gamer:
ソウルライク作品として,セオリーから外れているのはスタミナに取って代わる「シンクロ率」の概念だと思います。どういった意図で,こうしたシステムを採用しているのでしょうか。
周氏:
よりスピーディで“攻め”が強いゲームを作りたい,という意図がありました。シンクロ率が高いほど威力が増すので,このシステムでは攻撃を当てることに対する恩恵が大きいんですね。ジリジリした戦闘も良いですが,攻めることで爽快感ある戦いができるのが,このシステムの魅力です。
4Gamer:
今回の出展バージョンで,注目してほしい部分を教えてください。
周氏:
今回のバージョンでは,基本的なゲームシステムを学べる構成になっています。4種類の武器に加えて強力なスペルも使えるので,自分なりの戦い方を探すこともできると思います。触れればコンセプトや遊び方がわかるので,ぜひ遊んでみてください。プレイ後に,意見や感想を提供いただければ幸いです。
4Gamer:
デモ版はSteamやPS Storeを通じて一般公開する予定はありますか。
周氏:
各ストアでデモ版を公開する予定で,現在はどんな内容を収録するかを検討しているところです。今回いただいた意見も,検討の材料とさせていただきます。
4Gamer:
ロードマップの中には,正式リリース後にDLCの発売を計画している旨が含まれていました。まだ先の話かとは思いますが,本編とDLCのサイズ感はどんなイメージで考えられていますか。
周氏:
最も大事なのは,プレイヤーの皆さんから受け取ったフィードバックを反映した内容にすることだと考えています。本編の内容はすでに固まっているので,その反響を受け止めたあとにDLCのプランを練っていく予定です。少なくとも,今は本編を完成させるのが最優先で,DLCについて言えることはありません。
4Gamer:
では,日本で本作を期待している人に向けたメッセージをお願いします。
周氏:
皆様の応援に感謝しています。これからも,AI Limitを良いゲームにするため,全力で開発を進めていきます。ぜひ,期待してください。
4Gamer:
ありがとうございました。
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(C) 2024 AI Limit. Developed by Sense Games and Published by CE-Asia. AI Limit, CE-Asia, Sense Games and their respective logos are trademarks or registered trademarks. All rights reserved.
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