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ドライバ側でフレーム生成を行うRadeon向け技術の進化版「AFMF 2」のプレビュー版をAMDが公開
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印刷2024/07/31 19:16

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ドライバ側でフレーム生成を行うRadeon向け技術の進化版「AFMF 2」のプレビュー版をAMDが公開

 北米時間2024年7月29日,AMDは,独自のフレーム生成技術「AMD Fluid Motion Frames」(AFMF)の第2世代技術となる「AMD Fluid Motion Frames 2」を実装したドライバソフトのテクニカルプレビュー版「AMD Software Adrenalin Edition 24.20.01.02」(以下,Adrenalin 24.20.01.02)を公開した。

画像集 No.002のサムネイル画像 / ドライバ側でフレーム生成を行うRadeon向け技術の進化版「AFMF 2」のプレビュー版をAMDが公開

 AFMFは,RDNA 2世代以降のAMD製GPUで利用できるドライバソフトレベルのフレーム生成技術だ。ここで言うフレーム生成とは,ある映像フレームとその次の映像フレームの間に,画像処理で生成した中間フレームを挿入することで,見かけのフレームレートを向上させる技術のこと。十分なレンダリング速度が得られない場合にとくに有効で,処理負荷の高いレイトレーシングを多用するゲームや,性能に限界がある統合GPUにおいて威力を発揮する。

 フレーム生成技術を初めてPC向けに提供したのは,NVIDIAのGeForce RTX 40シリーズが備える「DLSS 3」だ。それに対抗してAMDも,「FidelityFX Super Resolution 3」(以下,FSR 3)で追随した。
 ただし,DLSS 3やFSR 3は,ゲーム側にもこれらを使うプログラムを組み込む必要があるので,対応ゲームでしか利用できない。一方,AMDが「AMD Software Adrenalin Edition 24.1.1」(以下,Adrenalin 24.1.1)で実装したAFMFは,ドライバソフトウェア側でフレーム生成を行うので,ゲームを問わず利用できるのが特徴だ。

 AFMF 2における改良点を見ていこう。

AIを活用した最適化によりフォールバックのチューニングが可能に


 AMFM 2では,フレーム生成アルゴリズムの改善に,AI技術を活用しているそうだ。AMDは,「FSRでGPU内蔵のAI処理向け演算ユニットを使用しないこと」をライバルとの差別化のひとつにしており,公開されているFSR 3.1のソースコードでもAI処理ユニットは使用していない。
 一方のAFMF 2は,ゲーム側に組み込む必要のないFSR派生技術ではあるのだが,あくまでもFSRとは別物という位置づけだ。またFSRとは異なり,オープンソース化されているわけでもない。したがって,AFMF 2でAI処理を使用したからと言って,AMDの方針転換ということにはならない。とはいえ,ちょっと驚く話ではある。

 さて,AMDがAI処理を使用して改善したのは,フレーム生成のフォールバックに関する挙動だそうだ。フォールバックとは,動きが多いシーンにおいてフレームの挿入を一時無効にすることで,画像のブレ感(ジッター)を抑制すること。
 フレームと次フレームの差が非常に大きいときにまで,中間フレームを生成して挿入すると,見た目に不自然なブレが生じることがある。これは,AFMFに限らず,フレーム生成ではまれに起こる現象だ。たとえば,あまり洗練されていないフレーム生成技術を用いているテレビ製品だと,映像ソースによっては不自然なブレが目立ち,フレーム生成を無効化しないと,実用にならないことがあったりする。

 AFMF 2では,フォールバックの頻度を「検索モード」という新しい設定で調整できる。検索モードの設定項目は,「自動/高/標準」の3種類だ。

AFMF 2の設定画面例
画像集 No.003のサムネイル画像 / ドライバ側でフレーム生成を行うRadeon向け技術の進化版「AFMF 2」のプレビュー版をAMDが公開

 「高」は,「標準」に対してフォールバックを減らす,つまりフレームの挿入頻度を上げる設定だ。「自動」に設定すると,2560×1440ドット以上の解像度では「高」と同等になり,1920×1080ドットでは「標準」と同等になるとのこと。解像度2560×1440ドット以上でゲーム映像を表示しているときに,妙なブレ感がある場合は,ゲーム個別の設定で「標準」に切り替えることで,ブレ感を抑制できるかもしれない。


描画性能の向上


 AFMF 2では描画性能が大幅に改善され,新設の「パフォーマンスモード」により,フレーム生成の性能をユーザーが調整できるようになった。パフォーマンスモードに設定できる項目は,「自動/画質/パフォーマンス」の3種類である。

 「画質」に設定すると生成するフレームの質を向上させる代わりにGPUの負荷が高くなる。「パフォーマンス」は逆にフレームの質を低下させることでGPUの負荷を軽減する設定だ。
 デフォルトの「自動」設定は,単体GPUでは従来のAFMFと同じ品質であるそうだ。一方,Ryzen 7000/8000シリーズや,Ryzen AI 300シリーズの統合GPUで「自動」を選択すると,自動的に「パフォーマンス」と同じ動作になって,処理負荷を軽減するという。
 つまり,Radeonユーザーが,もう少し画質を上げたいというときは,この設定を「画質」に切り替えてみるという使い方になるだろう。

 AFMFは,ドライバソフト側で中間フレームを生成する都合上,どうしても遅延が大きくなるのが弱点だった。しかしAFMF 2では,この遅延が減ったそうだ。AFMFと同様に,AFMF 2は,AMD独自の遅延低減技術「Anti-Lag」や,その改良版となる「Anti-Lag 2」と併用が可能で,併用によって,従来よりも遅延が改善すると,AMDは主張している。
 たとえば,Anti-Lagとの併用例として,Radeon RX 7900 XTX搭載PCで「Cyberpunk 2077」を4K解像度で表示した場合,従来比で約28%の遅延を低減したという。

Radeon RX 7900 XTX搭載PCにおけるCyberpunk 2077の遅延比較
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 AFMF 2とAnti-Lag 2との併用例としては,「Ryzen 7 8700G」の統合GPU(Radeon 780M)における「Counter Strike 2」のデータもあり,従来比で約12%の低減を達成しているとのことだ。

Ryzen 7 8700Gにおける「Counter Strike 2」の遅延比較*
画像集 No.005のサムネイル画像 / ドライバ側でフレーム生成を行うRadeon向け技術の進化版「AFMF 2」のプレビュー版をAMDが公開

 すでにAFMFを利用しているRadeonユーザーなら知っているだろうが,アクションゲームだと動きはスムーズになるものの,遅延が気になるのでAFMFは使えない,というのが正直な印象だった。その点,AFMF 2における遅延の改善は,朗報となるだろう。


画面モードや対応APIの拡充


 従来のAFMFは,フルスクリーンモード以外で機能しないのが弱点だった。それがAFMF 2では,ボーダレスフルスクリーンでも機能するようになったのは大きな違いだ。最近はボーダレスフルスクリーンを扱うゲームが増えているので,この改善によってAFMF 2を利用できるゲームが増えるだろう。
 ただし,「ボーダレスフルスクリーンモードでAFMF 2が使用できるのは,Radeon RX 7000シリーズと統合GPUの『Radeon 700M』シリーズ」とAMDは明記している。したがって,RDNA 2世代のRadeon RX 6000シリーズでは,残念だがボーダレスフルスクリーンモードでは,AFMF 2を利用できないようだ。

 また,対応APIとして,従来のDirectX 12/11に加えて,VulkanとOpenGLが追加となった。この改善もAFMF 2対応ゲームが増えるという意味で,喜ばしい改善と言えそうだ。


Radeon Chillとの併用が可能に


 AFMF 2は,最大フレームレートを抑制することでGPU負荷を軽減する「Radeon Chill」との併用が可能になっているそうだ。AMDは,ディスプレイ同期技術「FreeSync」対応ディスプレイの最大リフレッシュレートをゲームの最大フレームレートが超える可能性があるゲームでは,「AFMF 2とRadeon Chillの併用を推奨する」としている。

 FreeSync対応ディスプレイの場合,Radeon Chillを有効化すると最大フレームレートのデフォルトが,最大リフレッシュレートの半分に設定されるそうだ。つまり,AFMF 2とRadeon Chillを併用することで,最大フレームレートが最大リフレッシュレートよりも下に抑えられるので,テアリングが発生しなくなるとのこと。
 AFMF 2に対応できるGPUで,FreeSync対応ディスプレイを使用して,なおかつ最大フレームレートの2倍がディスプレイの最大リフレッシュレートを超えそうなゲームのときという,かなりピンポイントな話ではあるが,非常に高いフレームレートで表示できるゲームをプレイしている人は,覚えておくといいかもしれない。

 なお,AFMF 2を利用するには,AMDのWebサイトから,テクニカルプレビュー版のドライバソフトである「Adrenalin 24.20.01.02」のインストーラをダウンロードして,自分でインストールする必要がある。一種のテスト版のドライバなので,利用は自己責任になることは承知していただきたい。

 筆者もリリース後に試しているが,これまで「Ryzen 9 7940HS」(Radeon 780M)ではカクついてプレイする気になれなかった「FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE」が,フルHD解像度でもコンスタントに60fpsを超えるようになるなど効果を確認している。ちなみに,同作のフルスクリーンモードはボーダレスなので,これまでAFMFを使えなかった。
 ただ,Xbox Game BarのようなRadeon Software以外のオーバーレイを表示すると,画面がカクついたり,おかしな描画になることがあった。Radeon Software以外のオーバーレイは,AFMF 2の動作を阻害するのだろう。その点は注意していただきたい。

●Adrenalin 24.20.01.02の対応GPU
  • Radeon RX 7000シリーズ
  • Radeon RX 6000シリーズ
  • Radeon RX 7000M/7000Sシリーズ
  • Radeon RX 6000Mシリーズ

●Adrenalin 24.20.01.02の対応APU
  • Ryzen AI 300シリーズ
  • Ryzen 8000シリーズ
  • Ryzen 7000シリーズ
  • Ryzen Mobile Processors with Radeon Graphics(※RDNA 2世代以降)
  • Ryzen PRO Mobile Processors with Radeon Graphics(※RDNA 2世代以降)

●Adrenalin 24.20.01.02が統合するコンポーネント(※比較対象はAdrenalin 24.7.1)
  • Display Driver Version:24.20.01.02-240715a-405533E-KB-AMD-Software-Adrenalin-Edition(←24.10.29.01-240714a-405203C-AMD-Software-Adrenalin-Edition)
  • UI:2024.0715.1414.2043(←2024.0508.1945.2016)
  • AMD Windows Driver version:32.0.12001.2001(←32.0.11029.1008)
  • 2D Driver:8.1.1.1634
  • Direct3D Driver:9.17.11.0271(←9.17.11.0267)
  • OpenGL Driver:24.07.240618_5db55a2(←24.06.240303_ca9407b)
  • Audio Driver:10.0.1.38
  • Vulkan Driver: 2.0.311(←2.0.302)
  • Vulkan API:1.3.288(←1.3.280)

●Adrenalin 24.20.01.02における新要素
  • AFMF 2に対応

●Adrenalin 24.20.01.02で解決した問題
  • 特定のオンスクリーンオーバーレイを有効化すると,AFMFが一時無効になることのあった問題

●Adrenalin 24.20.01.02における既知の問題
  • 特定のディスプレイ構成でタスク切換えを行うと,「Performance Metric Overlay」の表示が断続的に「N/A」になることがある
  • Ryzen AI 300シリーズでは,「Baldur's Gate 3」がクラッシュすることがある。
  • 特定のVulkan対応ゲームで,AFMF 2とRadeon Super Resolutionを有効化した状態でXbox Game Barを開くと,断続的にドライバのタイムアウトが発生することがある

AMDのAFMF 2に関する当該ポスト

  • 関連タイトル:

    AMD Software

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