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“G-Tune印”のRealforceキーボードを試す。45g統一荷重が気に入れば選択肢に
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印刷2011/01/15 09:00

レビュー

G-Tuneブランドから登場したRealforceの特徴を押さえてみる

G-Tune MASTERPIECE KEYBOARD
<Realforce108B-MP>

Text by 米田 聡


G-Tune MASTERPIECE KEYBOARD<Realforce108B-MP>
:メーカー:東プレ
問い合わせ先:マウスコンピューター TEL 03-6739-3803(月〜金 10:00〜20:00,土日 11:00〜20:00)
直販価格:2万4990円(※2010年1月15日現在)
画像集#002のサムネイル/“G-Tune印”のRealforceキーボードを試す。45g統一荷重が気に入れば選択肢に
 キーボードを酷使するあらゆるジャンルのユーザーから高い支持を集め続けている,東プレの「Realforce」シリーズ。その出自は決してゲーマー向けではないものの,ゲーム用でも非常に高い実力を示すとことはよく知られており,実際,DHARMAPOINTが「DHARMA TACTICAL KEYBOARD(DRTCKB91UBK)」として市場投入していることを記憶している人も多いのではなかろうか。

 2010年第4四半期,そんな“ゲーマー向けRealforce”の新たな選択肢として,マウスコンピューターのゲームPCブランド「G-Tune」から,「G-Tune MASTERPIECE KEYBOARD<Realforce108B-MP>」(以下 MASTERPIECE KEYBOARD)が登場した。
 G-Tuneの名を冠したゲーマー向けキーボードというのは,もちろんこれが初めて。今回は,PCのBTOオプションとしてだけではなく,単体購入も可能な本製品の特徴や使い勝手を掘り下げてみたい。


接続インタフェースはPS/2のみ!

当然のように全キー同時押しをサポート


NumLockやCapsLock,ScrollLockのLED部に躍る「G-Tune×Realforce」。ちなみにインジケータLEDは赤色となっている
画像集#003のサムネイル/“G-Tune印”のRealforceキーボードを試す。45g統一荷重が気に入れば選択肢に
 東プレのRealforceシリーズについて簡単に説明しておくと,最大の特徴は,東プレ独自の,静電容量無接点方式キースイッチを搭載する点にある。キー押下時に静電容量(≒電気容量)の変化を検出する方式がゆえ,スイッチ部に接点がなく,耐久性に優れる特徴がある一方,キーボードを構成する電子回路などが複雑になるため,高価になる欠点も持つ。
 今回取り上げるMASTERPIECE KEYBOARDは,「Realforce108」という,ワイヤードタイプで日本語108キー配列のフルキーボードをベースとしており,東プレ&G-Tuneコラボレートモデルと位置づけられている。

MASTERPIECE KEYBOARD。右[Windows]キーが省略された,Realforceシリーズの日本語キーボードと同じ108キー仕様である
画像集#004のサムネイル/“G-Tune印”のRealforceキーボードを試す。45g統一荷重が気に入れば選択肢に

画像集#005のサムネイル/“G-Tune印”のRealforceキーボードを試す。45g統一荷重が気に入れば選択肢に
天板を取り外したところ(※天板の取り外しはメーカー保証外の行為です)。赤いシートが貼られている
画像集#006のサムネイル/“G-Tune印”のRealforceキーボードを試す。45g統一荷重が気に入れば選択肢に
キーの隙間からシートの赤色がちらちらと覗く。本体は手前側でも18mmの高さがあるので,場合によってはハンドレストを用意したほうがいいかも
 本体カラーはご覧のとおりの黒で,キートップの印字は金色。かな表示が省略されている。キーの底に赤いシートが貼られ,アクセントになっているのは,ありがちといえばそれまでだが,悪くないアイデアだ。

 サイズは公称455(W)×168.5(D)×39.6(H)mmで,幅と奥行きは実測でも同程度。公称の39.6mmという高さはキートップを含んだ値であり,キー取り付け面の高さは奥側が実測30mm,手前側は同18mmとなり,底面のチルトスタンドを立てると奥側は同45mmまで持ち上がる。前後中央が窪むステップスカルプチャ配列仕様のため,キーの高さは列によって異なるが,最も高いところで10mm前後,中央部分の最も低いところは6mm強程度だった。

 標準でも十分な傾斜があり,傾斜に慣れている筆者には合っているものの,キートップまでの高さがややあるため,ハンドレストがあったほうが操作しやすいかな,という印象も受ける。ハンドレストは付属しないので,このあたりは各自工夫が必要かもしれない。

MASTERPIECE KEYBOARDを側面から。もともと傾斜があり,さらにステップスカルプチャ仕様の配列になっているため,奥側(写真左側)のキーはかなり高いところにある
画像集#007のサムネイル/“G-Tune印”のRealforceキーボードを試す。45g統一荷重が気に入れば選択肢に 画像集#008のサムネイル/“G-Tune印”のRealforceキーボードを試す。45g統一荷重が気に入れば選択肢に

本体底面。滑り止めは手前側2か所の小さなゴムだけだが,十分な安定感を誇っている
画像集#009のサムネイル/“G-Tune印”のRealforceキーボードを試す。45g統一荷重が気に入れば選択肢に
 重量は実測1.4kgで,参考までにケーブルを重量計からどかして計測してみると,1.38kgほどだった。Realforceシリーズのキーボードは,静電容量無接点方式の複雑な機構を支えるためか,もともと重量がかなりあるため,MASTERPIECE KEYBOARDだけ特別に重くしてあるというわけではなさそうだが,結果として十分な重量があり,また,作りもしっかりしているため,使用時にガタついたり,きしんだりといった心配は無用。滑り止めのゴムは底面の2か所に貼られているだけなのだが,FPSで意図的に荒い操作をしてみても動いてしまうことなく,安心して使える。

 ただ,残念ながら,高級感はあまり感じられない。つや消し加工されたキートップは見た目も感触も良好だが,本体は樹脂の無垢で,ぱっと見てもムラが分かったりする。MASTERPIECE KEYBOARDに,価格なりの高級感を期待すると,裏切られるかもしれない。

画像集#010のサムネイル/“G-Tune印”のRealforceキーボードを試す。45g統一荷重が気に入れば選択肢に
 さて,そんなMASTERPIECE KEYBOARDが持つユニークな特徴としては,接続インタフェースがPS/2のみという点を挙げられよう。PS/2ポートを持たないPCも増えているなか,あえてPS/2を選択した理由はズバリ,「全キー同時押し対応」を謳うためである。
 Realforceシリーズでは,複数のキーが押された場合,その押下をすべて認識できるNキーロールオーバーに対応するが,USB接続モデルの場合,「すべての押下は検出されるが,PC本体が押下状態を認識できるのは同時最大6キーまで」という,仕様上の制限が付く。これに対してPS/2接続を採用したMASTERPIECE KEYBOARDでは,Nキーロールオーバーに加えて,すべてのキーの同時押下も可能になるわけだ。
 筆者が試した限りでは,確かに,どのキーを同時に押しても,押下したすべてのキーが検出されていた。

MASTERPIECE KEYBOARDの基板面(※底面カバーの取り外しはメーカー保証外の行為です)
画像集#011のサムネイル/“G-Tune印”のRealforceキーボードを試す。45g統一荷重が気に入れば選択肢に
 もっとも,USB接続時にある上限6キーの制限がマイナスに作用するのは,一部の音楽ゲーム程度。同じくキーボードが重要になるFPSなどの場合,4キーの同時押しができればまず困らないことも考えると,PS/2−USB変換アダプタが付属していれば,それこそG-TuneのノートPCと組み合わせたりもできたのではないかと思われ,この点は惜しい気もする。
 PS/2のみの対応をこだわりと見るか,不親切と見るかは判断が分かれるところだろう。


不要なキーを使用不可にするストッパーと

雰囲気を盛り上げる(?)赤いキートップが付属


キートップリムーバー(左上)とキーストッパー(右),色違いキートップ(左下)
画像集#012のサムネイル/“G-Tune印”のRealforceキーボードを試す。45g統一荷重が気に入れば選択肢に
 PS/2−USB変換アダプタが付属しない一方で,MASTERPIECE KEYBOARDには,

  1. キートップリムーバー
  2. キーストッパー
  3. 交換用色違いキートップ

が付属する。

[Windows]キーにキーストッパーを取り付けたところ。一度リムーバーでキートップを外し,その状態でストッパーを填め,再度キートップを取り付けると,物理的に押下不能となる
画像集#013のサムネイル/“G-Tune印”のRealforceキーボードを試す。45g統一荷重が気に入れば選択肢に
 どちらも,「MASTERPIECE KEYBOARDならでは」というわけではなく,Realforceベースの他社製品などで採用例があるものだが,まず1.のキートップリムーバーは,2.と3.を使うに当たって,キートップを取り外すためのもの。2.のキーストッパーは,左[Windows]キーなど,ゲームプレイ中に“誤爆”したくないキーに取り付けることで,物理的に押せなくするというものだ。Realforceシリーズのキーボードだと,一部にはDIPスイッチによって[Windows]キーを無効化できるものがあるが,MASTERPIECE KEYBOARDは物理的なストッパーによって,無効化する仕様になっている。
 ストッパーは4個付属するので,必要に応じて,右のアプリケーションキーなどを無効化したりするのもアリだろう。

こちらは色違いのキートップに付け替えたところ
画像集#014のサムネイル/“G-Tune印”のRealforceキーボードを試す。45g統一荷重が気に入れば選択肢に
 3.の交換用キートップだが,これはG-Tuneが「ゲームによく使う」とした6個のキー,具体的には[W/A/S/D]と左[Shift],左[Ctrl],[Space]の各キーに,1つずつ色違いのキートップが用意されるというもの。「赤というより,どちらかといえば朱色に近いキートップが6個付属している」というだけで,キーストッパーと比べると実用性には乏しいが,雰囲気を盛り上げる効果とか,[W/A/S/D]キーだけでも色を変えておくと,暗がりでとっさに押し分けるときに目立つという効果はあるかもしれない。


いかにもRealforceらしいキー押下感

45gという重めのバネは好みが分かれるか


 キーの押下圧は公称45g(±15g)で統一。錘(おもり)を使った実測では,50g前後で沈む込むようだ。[Shift][Enter]キーはやや軽く感じられたが,仕様上はあくまでも,すべてのキーで45gである。
 Realforceシリーズのキーボードは基本的に,キーの場所によってバネ圧に変化を付ける可変荷重を採用しているが,ゲームによっては多くのキーを使い分ける必要があり,そのとき,操作性に違和感をおぼえる可能性があることから,統一荷重になっているのだという。

一部のキーでキートップを取り外したところ。静電容量無接点方式ならではの形状になっている
画像集#015のサムネイル/“G-Tune印”のRealforceキーボードを試す。45g統一荷重が気に入れば選択肢に
 また,なぜ45gかという点には,「55gでは重たすぎ、ゲームの動作に遅延が発生する可能性があり、30gでは非常に早い反応ができるものの、少し触れただけで反応するため誤動作の多発や、通常タイピング時の誤入力が懸念されたため」(※公式販売ページより原文ママ)という見解が示されている。

 可変荷重を採用しなかった理由はまあ納得といったところだが,45gという重さは賛否が分かれそうだ。とくに,冒頭で紹介したDHARMA TACTICAL KEYBOARD(DRTCKB91UBK)の場合,「キータッチが軽すぎて,人によっては文字入力しづらくなることもある」のを覚悟のうえで,ゲーム用途での快適性を追求し,30g統一荷重のキースイッチを採用していた経緯があるだけに,「軽いほうがいい派」には向かない可能性もある。
 もっとも,G-TuneのゲームPCはオンラインRPGの推奨を取得しているものが多いだけに,文字チャットも前提に,より汎用性を追求したと解釈すれば,理にかなっているともいえる。いずれにせよ,MASTERPIECE KEYBOARDのキー荷重は,一般ユーザー向けのPC用キーボードよりやや軽い程度で,最近のゲーマー向けキーボードとして見ると,やや重めということは憶えておく必要がありそうだ。

画像集#016のサムネイル/“G-Tune印”のRealforceキーボードを試す。45g統一荷重が気に入れば選択肢に
 キーの押下感は,これぞRealforceというもの。クリック感はなく,バネ圧は押し始めから終わりまで変わらず,押下しきると,コツッと底に当たる感触がある。
 キーストロークは公称4mmとされているが,これは押下しきったときのデータで,実際にはその半分,2mm強程度押し込んだところで反応するようだ。慣れるまでは,すべてのキーを底まで押してしまって,コツコツコツ……と,普通のキースイッチとは少し異なる感覚になるのだが,慣れてくれば軽く操作できるようになる。

画像集#017のサムネイル/“G-Tune印”のRealforceキーボードを試す。45g統一荷重が気に入れば選択肢に
 というわけで,いつものように「Enemy Territory: Quake Wars」「Left 4 Dead 2」という,筆者がプレイし慣れているタイトルでじっくり使ってみたが,第一印象はやはり「キーがちょっと重いかなあ」といったところ。先ほど指摘したとおり,一般的なキーボードよりは軽いはずなのだが,Realforce特有の,リニアなバネの特性が,重く感じさせているように思う。
 一般的なゴムキャップ式のバネは,「押し始めに抵抗があり,押されると軽く沈む」という具合で押下圧に変化があるのだが,Realforceのバネは押下圧に変化がないので,45gという荷重が,いつも以上に強く,抵抗として感じられている可能性がある。

 ただ,比較的浅い位置でキーが反応してくれるので,浅く操作するクセが付くと,俄然素早く操作できるようになるのも確か。底付きのコツコツコツという感覚を減らすよう,意識して浅めに操作してしていると,操作が俄然スムーズになるので,このあたりは慣れが必要だろう。ただ,45gと30g,どちらのほうが慣れやすいかというと,筆者は30gのほうに軍配を上げたい。

 なお,当然ながら同時押し周りは言うことなし。移動やリロードに引っかかるということがなく,安心感は抜群である。


ライバルは既存のRealforceシリーズか

この仕様が合うか合わないか慎重に検討を


製品ボックス。基本的にはG-TuneゲームPCのオプションという位置づけのためか,単なる茶箱に製品概要のシールが貼られているだけだ
画像集#018のサムネイル/“G-Tune印”のRealforceキーボードを試す。45g統一荷重が気に入れば選択肢に
画像集#019のサムネイル/“G-Tune印”のRealforceキーボードを試す。45g統一荷重が気に入れば選択肢に
 MASTERPIECE KEYBOARDの直販価格は2万4990円(※2011年1月15日現在)。ゲーマー向けと位置づけられるキーボードのなかではトップクラスに高価で,また,1万円台半ばから手に入る既存のRealforceシリーズと比べても,MASTERPIECE KEYBOARDは明らかにワンランク上の価格設定である。

 純粋にアクションゲームにおける使い勝手だけなら,もっとも安価な製品にも複数の選択肢がある。そう考えるに,MASTERPIECE KEYBOARDは,Realforceベースの静電容量無接点方式にこだわる人向けということになるだろう。もっとはっきり書くと,MASTERPIECE KEYBOARDのライバルは,市場投入されているそのほかのRealforceシリーズであり,MASTERPIECE KEYBOARDは,「日本語108キー仕様の45g統一荷重で,PS/2接続仕様で,キーストッパーと交換用キートップが付属する」Realforceであることに魅力を感じる人向けの製品,ということになる。

 ゲーム用キーボードとしてRealforceシリーズの日本語108キーモデルを検討している人には,ほかの同種製品と慎重に比較検討することを勧めたい。そのうえでMASTERPIECE KEYBOARDに辿り着いた人にとっては,2万5000円の価値があるキーボードとなるだろう。

MASTERPIECE KEYBOARD販売ページ

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    G-Tune,NEXTGEAR

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