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郷愁を誘う独特の雰囲気が魅力的な「サクラノート 〜いまにつながるみらい〜」開発者インタビュー
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印刷2009/11/07 11:00

インタビュー

郷愁を誘う独特の雰囲気が魅力的な「サクラノート 〜いまにつながるみらい〜」開発者インタビュー

 マーベラスエンターテイメントは11月5日,ニンテンドーDS用ソフト,「サクラノート 〜いまにつながるみらい〜」(以下,サクラノート)を発売した。
 本作は小学5年生の男の子が謎の多い転校生・「七海」や,枯れかけたサクラを妖怪から守るという設定のアドベンチャーゲーム。ギミックを解いたり困った人を助けたりすると手に入る“ナミダ”を集めることで新たなエピソードが楽しめるなど,できることが増えて行くのが特徴となっている。
 また,シナリオを野島一成氏,音楽を植松伸夫氏が担当しているというのも大きな魅力だ。

画像集#001のサムネイル/郷愁を誘う独特の雰囲気が魅力的な「サクラノート 〜いまにつながるみらい〜」開発者インタビュー

 本稿では,本作のゲームデザインを担当した上田 晃氏と,エグゼクティブプロデューサーの和田康宏氏へのインタビューをお届けしよう。


ただ「やりたいだけ」から始まった制作


4Gamer:
 本日はよろしくお願いいたします。
 まずは,サクラノートを開発するに至った経緯から教えてください。

画像集#002のサムネイル/郷愁を誘う独特の雰囲気が魅力的な「サクラノート 〜いまにつながるみらい〜」開発者インタビュー
上田氏:
 昔話になってしまうんですが,大丈夫ですか?

4Gamer:
 ええ,もちろん。

上田氏:
 私は1990年にスクウェアに入社したんですが,当時は「ファイナルファンタジーIV」の開発終盤で,デバッグをやっている時期だったんです。で,SEを担当する人間がいないということで,バンド経験のある僕に白羽の矢が立ちました。それをきっかけに,植松さんとちょこちょこお話するようになったんですよ。

4Gamer:
 そこでまず,植松さんとの関係が生まれたんですね。

上田氏:
 まあ,僕がFFを離れて「聖剣伝説」や「スーパーマリオRPG」に関わるようになってからは,仕事上の関係はほとんどなくて,昼食を一緒に行ってくだらないことを話したり,夜は飲みに行ったりといったお付き合いがほとんどだったんですけど(笑)。

4Gamer:
 仕事以外でのお付き合いばかりになっていたと。

上田氏:
 さらにその後,僕も植松さんもスクウェアを離れ,かつてほど密な関係ではなくなっていたんですが,今から2年ほど前に植松さんから「何やってんの? 飲みに来なよ」と誘われて,自由が丘の飲み屋に行ったんです。そこに,植松さんだけでなく野島さんと皆葉君もいたんですね。
 てっきり「同窓会的な飲みなのかな?」と思っていたら,乾杯した直後に「一緒にゲーム作らない?」という話になったんですよ。

4Gamer:
 それもまた唐突ですねぇ。

上田氏:
 てっきり決まった話があるんだろうと思ったんですが,実は「このメンツで何かやりたいだけ」という状況で,「晃,何かない?」なんて聞かれました(笑)。

4Gamer:
 同窓生が集まった飲み会で,「俺らで会社作っちゃわね?」みたいなノリですよね。

上田氏:
 本当にそんな感じでした(笑)。
 ただ,ゲーム業界のベテランがバンドみたいなノリでやってみるのもいいんじゃないかということになって,まずは漠然としたお話の内容や作品のカラー,雰囲気などを考えていったんです。
 ただ,これをどこから出してもらおうか? ということを考えたときに,真っ先に和田さんの顔が浮かんだんですよ。

和田氏:
 僕の場合,非常に防御力が低いので,お話を聞いてすぐにKOされました(笑)。

上田氏:
 まだ企画書にもなっていないような段階で,どんなことをやりたいか,というレベルまでしか固まっていなかったんですけど,和田さんが「面白そうだね」と言ってくださったので,そこから企画書を書き始めたんです。
 で,誰が何を担当するのかをしっかり決めていきました。そのうえで,一つのチームとしてセッションするような感じで,みんなでアイディアを出しながら企画書を作って,マーベラスさんに提出したんですよ。

4Gamer:
 何となくの印象なんですけど,マーベラスエンターテイメントから発売されるゲームって,本作に限らずどこか尖った作品が多いですよね。だからこそ,スタートがそういった形であっても受け止められたということでしょうか。

画像集#003のサムネイル/郷愁を誘う独特の雰囲気が魅力的な「サクラノート 〜いまにつながるみらい〜」開発者インタビュー
和田氏:
 パブリッシャはあくまで商売ですから,ゲームは作品であると同時に商品でもあるという側面はあります。でも,制作者みんなが売れるための文法に則って,商品を売るために作るということをやったら,同じようなものばかりになってしまいますよね。その中で売れるものと売れないものが出てくると,最終的にはゲームの市場が衰退していくと思うんですよ。
 とはいえ,自分で日本全国へ売り歩くわけにもいかないので,そういった分かりやすい切り口の商品も作っていく必要はありますから,難しいところではあるんですが。

4Gamer:
 ゲームって結局のところ,売れなきゃ遊んでもらえないし,次にもつながらないですからね。

和田氏:
 それでもやっぱり,自分達にしかできないことをやりたいと,ずっと思っているんです。成功したくないわけじゃないし,大成功を望んではいますけど,人と同じことをやってもしょうがないじゃないですか。
 誰もが考えつくようなことをやるのであれば,自分達がやる必要もないですし……。本当はもっとうまくやれればいいんでしょうが,不器用なところがあるんです。
 で,今回はたまたま上田さんと組んでやったら,こうなったと(笑)。

4Gamer:
 意識的にあえて尖った方向ばかりを向いているわけではないのに,たまたま……ということですね。


20年後に販売してもいけるぐらい,普遍的な作品になった


画像集#004のサムネイル/郷愁を誘う独特の雰囲気が魅力的な「サクラノート 〜いまにつながるみらい〜」開発者インタビュー
4Gamer:
 では,ゲームの内容,主にシステム面について聞かせて下さい。
 この作品に触れて真っ先に気になったのは,アドベンチャーゲームでありながら,箱庭の中を少年が走り回るというシステムです。

上田氏:
 まず私自身に,見下ろし型視点でキャラクターを動かすのが好きだというのが,一番にありますね。

和田氏:
 それによって,“その世界にいる感じ”が出ると思うんですよ。

4Gamer:
 確かに,マップ自体は決して広いものではありませんが,だからこそ子供視点での世界の広さみたいなものは感じられました。

和田氏:
 大人にとっては小さな町でも,子供にとってはそれが“世界”そのものなんですよね。そういった部分はきちんと表現できていると思います。

4Gamer:
 いわば小さな世界の中で,一つの,基本的に一本道のストーリーが展開していくというのが,本作の特徴ですよね。

和田氏:
 そうですね。シナリオをたくさん用意して,その分岐をプレイヤーが探して楽しむタイプではありません。というのも,物語を複雑に展開させることよりも,一本筋の通った話を楽しんでもらいたいという考えがあったんです。

上田氏:
 シナリオ自体,今までにあまりなかったタイプだと思います。
 これを,少なからずファミコンに触った経験のある世代に楽しんでもらいたくて,全体的なシステムや雰囲気もファミコンっぽさを意識しているんですよ。

4Gamer:
 懐かしい感じのシステムで,新しいタイプのストーリーを楽しませる……ということですか?

画像集#005のサムネイル/郷愁を誘う独特の雰囲気が魅力的な「サクラノート 〜いまにつながるみらい〜」開発者インタビュー
上田氏:
 ええ,システムまで新しいものにしてしまうと,何を表現したいのかがぼやけてしまうと考えたんですよ。ある種の取っつきにくさも生まれてしまうでしょうし。
 なのでストーリーも,ただ大量のテキストを読ませるということではなく,2〜3行ずつウィンドウに表示させて進行するという形にしています。

和田氏:
 テキストアドベンチャーのように,何でも文字と絵だけで演出するのであれば,ゲームというメディアを選ぶ必然性が薄くなってしまうんじゃないかとも考えたんです。そういう意味で,今回は想像の余地を残す方向を選んでいます。
 ファミコンの頃って,ハードウェアが貧弱だったことも一因ですが,記号的なキャラクターと短いテキストを掛け合わせて,自分の思い出と照らし合わせながら遊んだりしましたよね。それを狙っているんです。

4Gamer:
 だから,こんなに小さくて可愛らしいキャラクターが,ちょっとドロドロした感じの人間模様を演じているんですね。

上田氏:
 チビキャラなのに,生々しくてドロドロしているというのは,やってみたかったことなんです。今までにあまりないと思いますし。

4Gamer:
 チビキャラで人間模様を描いている作品はありますけど,確かにこういう,夫婦間の諍いみたいなものが表現されているものって,あんまり記憶にはありません。昼ドラ的というか。
 でも,ファンタジーっぽい要素も入っているし,ゲームとしての体裁はとれているというのが新鮮ですね。

上田氏:
 そうですね,こういうストーリーにしながら,ゲーム業界の外の人にとっての「ゲームってこういうものだよね」といったイメージを体現しようともしました。

4Gamer:
 正直,このゲームから最初に受けた印象って,「ぼくのなつやすみ」とか,ああいうノスタルジーに浸れるものなのかなというものだったんです。でも遊んでみると,ただノスタルジックな感傷だけじゃなくて,大人になったからこそ分かる痛みみたいなものが盛りだくさんなんですよね。

上田氏:
 そう言っていただけると非常にありがたいんですが,正直,売りにくさはあるんですよね(笑)。
 でもこの内容なら,20年後に販売してもいけるんじゃないかという自信はあります。それだけ普遍的な作品になっていると思いますし。

4Gamer:
 最近のゲームには,こういうシステムでストーリーを重視するタイプってあまりないですよね。ストーリーだけを見せるゲームなら,もちろんいっぱいありますけど。

和田氏:
 シナリオライターというのは,基本的に監督とかプロデュースする人からオーダーを受けて書くことが多いと思いますが,今回は,素の野島さんを見てみたいなという思いがあったんです。なのでサクラノートは,野島さんが一番書きたいように書いている作品だと思います。

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上田氏:
 かなりさらけ出していますね。
 野島さんもノリノリだったんですよ。当初は,もうちょっと軽い物を予定していたんですが,ガッツリしたシナリオを頂いてしまって。「よっしゃ! じゃあこれで」という感じで(笑)。
 そうなったらなったで,野島さんは「本当にこんなに突っ走っていいの?」みたいに不安がっていたんですが,「大丈夫です。行っちゃいましょう」と。
 本当に野島さんのシナリオで,“世界ができた”と思うんですよ。

4Gamer:
 そういうギャップが,サクラノートにもあるわけですね。
 ところでメインストーリーだけを遊んだ場合,クリアまでの総プレイ時間はどの程度と想定していますか?

上田氏:
 ものすごい連打プレイなら……最短で5時間もかからないと思います。まあ,最弱状態であってもバトルでなんとか勝つことはできますが,さすがにそれはちょっと難しいかもしれません。


犬や猫,「ぼくの行く末システム」は洋ゲー的な自由さを目指した


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4Gamer:
 メインストーリー以外にも,本作は犬や猫の視点で楽しめるエピソードが用意されています。同じストーリーを,多重的に楽しめる仕掛けですが,「ナミダ」を集めないと見ることはできないですよね。この仕組みは,凄くゲームっぽいと感じました。

上田氏:
 必ず見なければいけないものではないですが,犬や猫のエピソードを見ることでもナミダを集められたりと,システムに還元するサイクルの遊びになっていると思います。
 エピソードを見たいという原動力が,攻略のためにも役立つという意味で,押しつけがましくない形になったかなと。

4Gamer:
 プレイヤーが自由にプレイスタイルを選べる形ですよね。
 ある種,洋ゲーっぽいというか。

上田氏:
 ええ,なんとかして洋ゲー的な自由さを出せないかなとはずっと思っていましたから。
 ただ,第1章の序盤とかは,チュートリアルの側面が強いので,どうしても自由さが出せなかったんですが。

4Gamer:
 ナミダを集めるうえでは「ぼくの行く末システム」で,さまざまなイベントにおいてとるべき行動を選ばなければならない局面がありますよね。
 メインストーリーには影響しないとはいえ,例えば序盤には,ジュースを買うべきかどうか凄く悩みました。素直に買うか,それとも自販機を蹴るかで。ゲーム的には蹴ったほうがいいんだけど,道義的には買わなきゃダメだよなぁ……と。

和田氏:
 そういうことを考えてもらいたいというのが,このシステムの狙いなんです。

上田氏:
 攻略としてではなく,ただ選択権を与えているんですよ。
 「なんでこれ選ばなきゃいけないの?」って気持ちになるだけでも,十分楽しんでもらえると思いますし。

和田氏:
 いろいろと悩みはしたんですけど,最終的にはAボタンを押すとポジティブな行動,Bボタンを押すとネガティブな行動で,その選択によって相手の行動が変わるようにしようと。

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上田氏:
 元々AとBは文字情報すら使わずに,アイコンだけでやろうとしていたんですよ。「Fable」というゲームが,何かに近づいたときにA/B/X/Yのアイコンが表示されて,どれを押すとどうなるか分からないみたいな感じなんですが,そういうノリでいいんじゃないかなと。
 でも,やることが限られているのであれば,それぞれ文字情報による選択肢を用意しておくほうが楽しいかなと考えて,こうなりました。「やる,やらない」ではなく,「どっち選んだらいいんだろうな」と考えてもらいたいんです。

和田氏:
 ただそれだけだと,遊んでいる手応えを表現しにくい部分もあったんです。オチを作ると,ゲーム的な正解が決まってしまうので,正解と不正解の二つを用意しなければならなくなりますし,そうなればプレイヤーは常に正解を選びたくなると思うんです。でも,正解だけを楽しんでもらいたいわけではないですし……。

4Gamer:
 ゲームに慣れすぎてるからだと思うんですが,どうしてもナミダが多く出る結果……つまり正解にたどり着きたくて,何度もセーブをしてやり直したんですよ。それはちょっと疲れちゃいました(笑)。
 でも,そういうことを考えないで直感で選択していくのが,遊び方として正しいということですね。

和田氏:
 そうですね。考えちゃダメです。

4Gamer:
 どういう結果でもそれを受け入れよう,と。

上田氏:
 Aの答えもBの答えも見たくなるとは思うんです。なので,ぜひ1度クリアしてから,別のパターンを見てみようぐらいの軽い気持ちで遊んでください。ナミダを集めるだけでなく,分岐コンプリートの要素もあるので,クリア後のやり込みにちょうどいいぐらいの数を揃えていますし。

4Gamer:
 ゲームをより楽しむための,“遊び”要素ということですね。
 そうそう,このシステムでは,さまざまな選択肢を選んでいくうちに,主人公の個性がなんとなく形になっていく部分があるのも楽しめました。

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和田氏:
 プレイヤー自身が望む行動をすれば,プレイヤーの分身になっていきますし,ゲームの主人公だったらこうするだろうという選択をしていけば,ゲームの主人公っぽくなっていきますね。

上田氏:
 RPGやアドベンチャーでは,選択肢は出るんだけどその後の一言やリアクションだけが違って,進行は全く一緒というパターンがありますよね。でも,その選択肢があるだけで,なんとなくお得な感じがあって嬉しいなという,そんな感じも楽しんでもらいたいです。


犬や猫の視点は,和田さんの猫になりたい願望のたまもの


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4Gamer:
 ところで,犬のラインホルトと猫のトロイメライの視点で楽しめるエピソードがありますが,あれはどこから生まれた発想なんですか?

和田氏:
 それはですね,猫になりたいという気持ちがあったんです(笑)。

上田氏:
 和田さんの願望です(笑)。

和田氏:
 最初は,これを売りにするつもりだったんですよ。「犬や猫になれるゲームだよ」と。犬や猫になって人間の世界を覗いてみると面白いんじゃないかなと思って。
 あと,いつも寝てばかりの猫はいいなと(笑)。

上田氏:
 割と初期段階の話ですよね。

和田氏:
 犬の視点,猫の視点,人間の視点,もっと言うと敵キャラの視点でも物語に関われるようにしたら,ほかのゲームと違うものになるんじゃないかという話をしていました。

上田氏:
 開発初期のシステムが固まる前には,もっといろいろな話もしていましたね。これも和田さんの案ですが,「ツボを持ち上げたい」「草を引っこ抜きたい」とかいう話を(笑)。

和田氏:
 ええ(笑)。

上田氏:
 その度に「ごめんなさい。それはちょっとムリです」と断っていたんですが,和田さんとミーティングしたときに,「じゃ犬と猫になる要素だけは入れて」と言われまして……。最終的にはお互いに「これで行きましょう!」となりました。

和田氏:
 でも,4Gamerさんのレビューで書かれてしまいましたけど,序盤ちょっとイマイチみたいな……。ごめんなさい,僕のせいです。

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4Gamer:
 す,すみません。
 新しいエピソードが出る都度,そっちを見に行っちゃうと,流れが切れちゃうんですよね。本編を一通り遊んでから,脇道も楽しむような感じで遊べば良かったとは思うんですが。

上田氏:
 第1章はとくに,何が起こったのかを説明するパートになっていますからね。

4Gamer:
 序盤で犬や猫に切り替えまくって挫折してしまう人がいたら,ちょっともったいないとは思いました。
 後半になると,もう犬や猫が大活躍で……とくにトロイメライ(猫)がどんどん好きになっていくんですよ。出てくるキャラクターの中で一番大人ですし。

上田氏:
 ありがとうございます。
 実はキャラクターを描いているスタッフも猫を飼っているんですが,ちょうどトロイメライみたいな猫なんです。その分,思い入れが込められていて,猫のほうがパターン数が多いかもしれませんね。
 一方,犬はバカっぽく「七海さん七海さん」って感じなんですけど(笑)。

4Gamer:
 あれはあれでいいですね。ちょっと気が弱いのも含めて。
 そうそう,犬や猫とは別に,“ナスカイザー”というオリジナルのヒーローのお話も聞きたかったんですが,あれはどこから来たものなんでしょう?

上田氏:
 実は僕も野島さんからは,「ナスカイザーはナスカイザーなんです」としか聞かされていないんですよ。だから,「ああ,ナスカイザーなんだぁ」って(笑)。

4Gamer:
 序盤からけっこう気になる出方をしているので,てっきり重要な伏線なのかと思いきや,あれ? やっぱり違うのかな……? という。

上田氏:
 何でしょうね(笑)。そこはお楽しみということで。
 あと一つ言えるのは,ナスカイザーって,カナメがオタクであるということを裏付ける,一つのシンボルみたいなものなんですよ。

4Gamer:
 部屋で一人,変身ポーズしちゃうぐらいですからね。
 個人的にはカナメがらみのお話も好きでした。大人なのにダメで,人間くさくて。

上田氏:
 あれをフルCGを使ってリアルなお父さんにしたら,遊んだ人はきっと引いちゃいますよね。その点,ドットの可愛さでうまくごまかせているというか(笑)。
 僕は「ザ・シンプソンズ」が大好きなんですけど,あれもときどき,泣かせる方向にいったり,かなりシリアスなことやりますよね。でも,キャラはアホっぽいまんまっていうのが好きなんです。

4Gamer:
 普段とのギャップがあるから,人物像が立体的に浮かび上がるんですよね。

上田氏:
 シナリオ自体,どんどん変えたり,作り込んでいったりしたんですけど,作り込めば作り込むほど,カナメがどんどん安野モヨコさんの「監督不行届」に出てくるカントクに似てきたんですよね。普段はダメなんだけど,好きなことに関しては凄い力を発揮するような感じで。
 だから息子さんがいるお父さんには,一緒に遊んでほしいですね。「お父さん,実はけっこうダメなんだよ」みたいに。

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4Gamer:
 お父さんにそんな完璧を期待しないで! と(笑)。

上田氏:
 所詮,人間だものみたいな。
 お父さんだって,力を抜きたいときは抜きたい,サボりたいときはサボりたいっていう生々しさが伝わるといいですね。こんなでもいいじゃんみたいな。

和田氏:
 そういう意味では,優しいゲームというか,優しいお話です。生々しい部分もありますけど,プレイし終わったときに癒されることが多いような気がします。笑えるというか。


濃いお話といい音楽を,遊びやすい仕組みで提供したい


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4Gamer:
 一方では,主人公の成長要素という,凄くゲーム的なシステムも採用されています。

和田氏:
 実は当初,成長要素に関して今回はいらないという話だったんです。でも,「新しい経験」がクエスト的なものなので,これをクリアしたときのご褒美として,軽く楽しめるものを入れてみようと。イメージ的には,Xbox 360やPlayStation 3の実績解除のような感じです。
 かといってあまり露骨なヒントは用意せず,探す楽しみがあるようにしています。そのサイクルを結びつけたという意味では,これもゲームらしい部分ですね。

4Gamer:
 実際,新しい経験を全部拾って主人公をマックスまで成長させようとすると,けっこうなボリュームがありますよね。
 とはいえ,素通りしてもなんとかなるという感じで,そのあたりのバランスは絶妙だと思います。

上田氏:
 確かに,本気でコンプリートを目指そうとするとしんどいかもしれませんね(笑)。
 一本道がありつつも,その間に隠れたものがいっぱいあって,それをコンプリートするために同じ章を繰り返し遊んだり,パワーアップした状態で同じボスにまた挑んだりっていう遊び方ができるようにしたかったんです。

4Gamer:
 そういう点は,凄くゲーム的ですね。

和田氏:
 僕自身がゲーマーなので,開発途中の段階ではもっとゲームっぽくしてほしくて,そういう要望を取り入れてもらったんです。それが新しい経験や,ボスとの戦闘なんですね。
 ただ最終的には,上田さんを中心に「大人が楽に遊べるゲーム」にしたいという意向があって,今のような形に収まっています。あんまり複雑になってしまうと,本当に感じてほしいところがないがしろになってしまうだろうと。

上田氏:
 開発途中では,アクションRPG的な遊びを深くしていこうともしたんですが,結局,開発期間や物理的な理由もあって,こういう形になりました。結果論ですが,それらを全部盛り込めていたとしても,ちょっとぼやけてしまったかもしれません。
 もう,アドベンチャーじゃなくてもいいんじゃないかということになりかねないですし。

和田氏:
 結局,濃いお話といい音楽,それを遊びやすい仕組みで提供するというのが,サクラノートなんですよ。そこを一番楽しんでほしいんです。

4Gamer:
 グラフィックスも,凄く凝っていますよね。ぱっと見,8〜16bit機っぽい絵でありながら,凄く細かく描かれていますし。

上田氏:
 実は今回,初めて現場にいながら自分を一歩引いて見たんですよ。今までは,マウスを握ってキーボードを打って,とにかく夢中になって作ることしかできなくて,経営者にも向いていなくて……。
 でも今回は,シナリオや柱となる世界観を作ってくれる野島さんがいて,音楽には植松さんがいて,じゃあそれをどう生かすか? となったとき,自分の持ち味って,昔ながらのスタイルのゲームにしていくことだと思ったんですね。

和田氏:
 みんな濃いしね(笑)。

上田氏:
 で,その自分の濃さみたいなものをどう表現していこうかとなったとき,自分で背景のグラフィックスを打ち込んだんですよ。さすがに全部はできませんでしたが,スタッフに担当してもらった部分も,レタッチや修正は僕がやりました。
 そこでこだわったのが,絵的な部分で明るいところはバシッと明るく,暗いところは暗く,“光と影”を表現することだったんです。

4Gamer:
 ああ,あのグラフィックスは,上田さんだからこそ……ということなんですね。

上田氏:
 その結果,木陰に入るとキャラクターが暗くなるような表現が,実現できましたね。これは,割と初期からやってみたかったことなんですが。

和田氏:
 マップなんかも,かなり独特なんですよ。
 明るいところは,飛びかねないぐらいハイライトがかかっていて,南国っぽいんです。でも,下町っぽいところもきっちりあって。

画像集#014のサムネイル/郷愁を誘う独特の雰囲気が魅力的な「サクラノート 〜いまにつながるみらい〜」開発者インタビュー
上田氏:
 Xbox 360やPlayStation 3用のハイエンドゲームって,光の表現の幅や,レンダリングが凄いですよね。暗いところに入ると,カメラが一瞬暗くなって,そこから明度上げていくという,目の錯覚みたいなこともやっていますし。
 これって,ハードウェアのパワーが成せる技なんですが,写真を取り込んでしまえば解像度は違っても,ニンテンドーDSでも映すことはできるんです。

4Gamer:
 なるほど。

上田氏:
 光と影も光源とかは全然使っていないですし,ただの1枚絵ですけど……そういう意味では画質的に携帯機だからといってゲームゲームしたものじゃなくて,ポップでありながらリアルな空気感を表現するというのは,目指していたところですね。ジオラマの上で,人形が動いているみたいな感じで。

4Gamer:
 実際,遊んでいるときにサクラの樹の裏に入ったら,周辺の気温が下がるような気がしました。

和田氏:
 涼しい気がするんですよね。あのあたりは,テストプレイをしながら,本当にいいなぁと思いました。

上田氏:
 一度暗すぎるっていわれて修正したんですけどね。PVを撮るときに映りませんって言われて(笑)。
 でも,その光のレンジの広さなんかは,かなり挑戦的にやってみましたよ。

4Gamer:
 レトロさすら感じさせるようなオーソドックスなゲームシステムで,グラフィックス自体も懐かしい感じなのに,やっていることは割と今っぽいんですね。

上田氏:
 ええ,次世代機並みの。
 グリグリ回転はしないですけど(笑)。

4Gamer:
 先ほども少し話に出ましたが,背景グラフィックスだけでなく,ドットで描かれたキャラクターも,小さいのに芝居が細かいのが可愛らしいです。

画像集#015のサムネイル/郷愁を誘う独特の雰囲気が魅力的な「サクラノート 〜いまにつながるみらい〜」開発者インタビュー
上田氏:
 うちの黒川というスタッフが,こういうドット絵を得意としているんですよ。細かくグラデーションを描いたり,1ドット1ドット時間をかけて描いたりするより,こういう形でアニメーションの枚数を多くしたり,表情豊かにしたりするのが。
 だからサクラノートも,本来はこんなにモーションは必要なかったんですけど,「一個一個作る」と言って,1回しか出ないモーションなんかも用意してました。枚数は本当に多いですよ。

4Gamer:
 1回しか出ないのに,やたら記憶に残るモーションがありました。猫が伸びるところとか(笑)。

上田氏:
 猫を抱っこするときにしても,いきなり絵が変わるんじゃなくて,人間が持ち上げたときにどういう風に猫を支えるかといった部分にはこだわってるんです。犬好き猫好きの方にも喜んでもらえるといいですね。


音楽のコンセプトは“スーファミ”


4Gamer:
 植松さんがBGMを担当されたということもあって,サウンド面もなかなか独特ですよね。メロディだけじゃなくて,音からして懐かしいという。

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上田氏:
 コンセプトはスーファミです(笑)。
 BGMもSEも,細かい指定はしておらず,基本的にわりとお任せなところがあります。

和田氏:
 ニンテンドーDSって,サウンドに関するスペックも意外と高いんですよ。だから大げさな話,オーケストラっぽい音も流せるんですけど,あえてスーファミっぽくしています。

上田氏:
 ROMの容量制限もあるので,全曲をストリームでフルオーケストラを流すわけにもいきませんし。そういったこともあって,スーファミっぽくと。
 ただ,ドラムの音やストリングスをシーケンスで流したりもできるので,スーファミよりも音数は増えているんですけどね。

4Gamer:
 決してチープではないですもんね。

上田氏:
 ええ。それに個人的には植松さんの曲って,スーファミの頃というか,内蔵音源で鳴らしたほうが独特な味が出ると思うんです。ゲーム向きというか,ゲーム機が演奏している感じの音との相性がいいんですよ。

4Gamer:
 ああ,分かります。

上田氏:
 実は,植松さんにいやがられるのを覚悟のうえで,「バトル曲をスーファミのアレみたいな感じで」という風にお願いしてみたら,ノリノリで作っていただけたんですよ。
 それが最初のボスの音楽なんですけど,「ああ,ここまでやってくれたんだなぁ」って嬉しかったです(笑)。

和田氏:
 植松さんの音楽をスーファミっぽく鳴らしたら,いい感じになるだろうと考えて実行してみたら,ターゲットである30〜40代の方のストライクゾーンに,きっちりはまった感じですね。

上田氏:
 あとは植松さんの方向性として,今回はちょっとミニマル系の音楽をやってみたいということだったので,人の声とか下駄の音とかを楽器として使いました。これも,ゲームの世界観とすごく合ったものになっています。

4Gamer:
 人の声が入った曲ってなんか怖いんですよね。子供の頃に暗闇を見たときに感じた怖さに近いというか。

上田氏:
 妖怪のなんとも言えない怖さというか,不気味さというか。

和田氏:
 何かが居るというような感じですね。

4Gamer:
 でも出てくる妖怪は,なんだか愛嬌があるんですよね。そんなに悪そうには見えません。

上田氏:
 妖怪って,そもそも教訓的なものを持っているものなんですよね。

画像集#017のサムネイル/郷愁を誘う独特の雰囲気が魅力的な「サクラノート 〜いまにつながるみらい〜」開発者インタビュー
和田氏:
 人間の目から見ると,妖怪ってよく分からないし怖いものなので,悪者だと思いがちなんですが,妖怪目線でいったら人間に対して同じように感じていると思うんですよ。善悪に絶対的な一律の価値はないと思うんですが,妖怪はそういうものの象徴ですし。
 まさに“暗闇に何が居るかわからない”という不安やドキドキを表現したいというのは,植松さんもしきりにおっしゃっていました。

4Gamer:
 そのあたりが,いわゆるホラーとは違うところですよね。日本の妖怪ものって。

上田氏:
 基本的にいたずらとか悪さはするけれども,妖怪には妖怪の生活があって,人間にそれを脅かされたから……とか,そういう言い分があるんですよね。

4Gamer:
 そのあたりは,サクラノートにも息づいていますね。


寝る前に文庫本を読むような感じで,気負わず遊んでほしい


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4Gamer:
 このサクラノート,どんな人に遊んでもらいたいと思っていますか?

上田氏:
 まずは,30〜40代の人に遊んでほしいですね。でも,大人限定というわけではないので,“心にグッとくるものがある”というテーマと本質を受け入れてさえくれれば……,もうちょっと広い年齢層の方達に楽しんでいただけるかと。例えば,実生活にこの主人公と同じ年代のお子さんがいるような方でしたら,また違った視点で遊んでもらえると思いますし。
 そういう意味で,現実にフィードバックするという点では,僕の過去作である「MOON」や「コンタクト」にも“現実とその先の融合感”がありました。そこでも今回,僕の役割が果たせたかなと思います。

和田氏:
 “毎日がファンタジーだった”というキャッチコピーの割には,けっこう生々しいものがあるんですよね。エピソードが良くも悪くも,心が動くということに繋がっているんじゃないかと思うんです。
 妖怪が出てきたりとか,色々なことがあるんだけど,完全な絵空事というわけではなくて,物との関わり合いとか,人と人との心の繋がり方がすごく生々しいんです。「結局みんな子供じゃん」みたいな。

上田氏:
 実際,ある程度出来上がったときにじっくりと家でプレイして初めて気が付いたんですけど,実は女性のツボにも入るんじゃないかなという気もしました。うちの女性スタッフからも,「これ女性にウケるかもよ」なんて言われたりしましたし。
 とくにハルカのように,女でありつつお母さんであるみたいな,生々しいところは,女性に共感していただけるかもしれません。

4Gamer:
 ハルカはお母さんの役割だけじゃないですし。

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上田氏:
 先ほどおっしゃっていただけましたが,昼ドラ的なところもあると思うんです。ですから,女性やお母さん達にも遊んでいただいて,感想を頂きたいなというのが素直な気持ちです。
 やって感動するというよりも,心が痛んだというか耳が痛いというか,そういう何か感じてくれたらいいかなぁと。

4Gamer:
 普段,あまりゲームで遊んでいない人であっても,それこそ女性であっても遊びやすいゲームじゃないかなとは思いました。

上田氏:
 バトルに関しても,そんなに難しくはしていませんし。
 実は,野島さんが難しいゲームを苦手としているんで,野島さんでもクリアできるようなバランスを目指しています(笑)。

4Gamer:
 野島さんが物差しだったんですね。

上田氏:
 僕やプログラマーは難しいゲームにも慣れているので,どうしても弾幕のようなものを張りがちなんです。でも,どうしてもエンディングまで見てもらいたいので,そのために易しく易しくしていきました。

和田氏:
 今の世の中,エンターテイメントや娯楽の選択肢が凄く増えてきていて,一つの娯楽に割く時間っていうのは少なくなってきているはずなんです。だからこの作品は,仕事やほかの娯楽で忙しい人でも,それこそテレビを見ながらでも構わないので,のんびり遊んでほしいんですよ。

4Gamer:
 確かに,何かの片手間にも遊べるボリュームですよね。

画像集#020のサムネイル/郷愁を誘う独特の雰囲気が魅力的な「サクラノート 〜いまにつながるみらい〜」開発者インタビュー
和田氏:
 何も気負うことなく,このゲームの絵柄や世界観がちょっとでも気になった人に,気軽に触れてもらいたいです。
 昔流行った映画を見て,「おっ,意外と面白いな」と思うような,そういう感じ方をしてほしいですね。

上田氏:
 静かめの映画を見たり,本を読みながら晩酌するときってあるじゃないですか。サクラノートも一人で飲みつつ,寝る前にプレイするような,そういう娯楽としてとらえてほしいですね。

和田氏:
 文庫本的なね。

上田氏:
 そう,文庫本的な感じですね。マンガでもいいですし。
 まったりと時間を過ごしたいときにちょっと遊んで,休んで,また遊んで……みたいな楽しみ方をしていただくといいかなぁと思います。決して,気負わずに。

4Gamer:
 今日中にクリアするぞ! みたいな感じでもなく。

和田氏:
 そういう意味では,口コミで広がって行ったらいいなぁという希望は持っています。好きだと思ってくれる人は絶対にいるはずなので,「なんとかそこに届け!」と。

4Gamer:
 それでは,最後にあらためて一言ずつゲームのアピールをお願いします。

上田氏:
 ハマる人は絶対ハマります。

和田氏:
 けっこう,感じることは多いと思いますよ。

4Gamer:
 ありがとうございました。


画像集#022のサムネイル/郷愁を誘う独特の雰囲気が魅力的な「サクラノート 〜いまにつながるみらい〜」開発者インタビュー
シナリオ担当 野島一成氏からのコメント
「誰も止めなかったので好き放題に書いてしまったストーリーです。小さな家族の小さな冒険の物語。「うん、そうそう!」と頷きながら遊んで頂けるとうれしいです!」
画像集#021のサムネイル/郷愁を誘う独特の雰囲気が魅力的な「サクラノート 〜いまにつながるみらい〜」開発者インタビュー
ビジュアル担当 皆葉英夫氏からのコメント
「どこにも存在しないけれど、だれの心にも持っている情景。そんなイメージを創りました。ご堪能ください」
画像集#024のサムネイル/郷愁を誘う独特の雰囲気が魅力的な「サクラノート 〜いまにつながるみらい〜」開発者インタビュー
音楽担当 植松伸夫氏からのコメント
「子供の頃、自分と大人とを分け隔てて考えていました。子供と大人とは別物だ。蛹が蝶になるように僕もいつの日か大人になるのだ! ところが50歳になった今もまだ僕には羽化の時が訪れません。もうそろそろ気づかねばなりませんね。大人とは歳をとった子供のことをいうのですね。このゲームを全ての年齢の子供たちに楽しんでいただければと思います」


 マーベラスエンターテイメントの和田氏が,本作について「売りにくさ」があると語っていたのが印象的だった。確かに本作は,「こういうゲームです!」と一言で表せるようなものではない。かといって,システムが入り組んでいて難しいというわけでもない。
 ストーリーや世界観がしっかり作り込まれていて,それを楽しませるためにゲーム的な記号がちりばめられた作品だと言っても,決して間違いではないのだろうが,それだけでは伝えきれない魅力を持っているのだ。
 その伝えきれない魅力の,ほんの少しでもこのインタビューから感じ取れたなら,ぜひ実際に遊んでみてそれを確認してほしい。

「サクラノート 〜いまにつながるみらい〜」公式サイト

  • 関連タイトル:

    サクラノート 〜いまにつながるみらい〜

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