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小さな町,狭い人間関係が世界のすべてだった頃を思い出させてくれる「サクラノート 〜いまにつながるみらい〜」
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印刷2009/10/31 11:00

レビュー

小さな町,狭い人間関係が世界のすべてだった頃を思い出させてくれる「サクラノート 〜いまにつながるみらい〜」

画像集#001のサムネイル/小さな町,狭い人間関係が世界のすべてだった頃を思い出させてくれる「サクラノート 〜いまにつながるみらい〜」
 マーベラスエンターテイメントは,11月5日(木)にニンテンドーDS用アドベンチャーゲーム,「サクラノート 〜いまにつながるみらい〜」を発売する予定だ。
 アドベンチャーゲームという特性上,最初から最後までストーリーを説明するようなことはしないが,本稿では,主なゲームシステムやちょっとしたプレイフィールなどを中心に紹介していきたい。


 本作の舞台となるのは,小さな町,咲谷町。
 この町の神社にある桜の古木が,春を過ぎても花を咲かせ続けていた。この桜の木から枝を分けたもう一本の桜の木,いわば子桜が離れた町(桐谷町)にあり,その子桜が急に枯れ始めてしまったため,親木は子桜に向けて「気」を送るべく,花を咲かせ続けているのだ。
 しかし,二本の桜の気の通り道にある高台に,高層マンションが建築されてしまった。そのため,親木が送る気は,マンションにぶつかって飛散。それまで鳴りを潜めていた妖怪達は,その気を吸って目覚め,人々が気付かないところで悪さを始めている。
 そんな町に住む小学5年生の少年,クロサワトオル(名前変更可能)が,本作の主人公でありプレイヤーキャラクターでもある。

 三連休を翌日に控えたある日の放課後のこと。トオルが親友のガンタやキイチと教室で連休の約束をしていると,一人の少女,吉田七海が転校の手続きのためにやってくる。
 やがてトオルは七海と出会い,そこから不可思議な出来事へと巻き込まれていく。なぜなら七海という少女は,どういうわけだか妖怪に狙われる存在だったのである。
 そして二本の桜と,謎の多い少女。この二つを軸に本作の物語は全4章の構成で進行していくのだ。

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飼い犬や飼い猫の視点から,ストーリーを多重的に楽しませてくれる


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 さて,ここからは軽くゲームシステムを説明していこう。
 基本的には,トオルを操って町の中を走り回り,ほかの登場人物と話し,ときには頼まれごとをこなしていくことで,ストーリーが進展していくというもの。
 その過程で,二者択一の行動選択(僕の行末システム)や,妖怪との戦闘を強いられるアクションゲームっぽいシーンがあるのだが,ストーリー自体は一本道だ。

 ただし,ストーリーの進展に応じて,新たなエピソードが登場する。このエピソードは,行動選択時や,妖怪を倒すことで手に入る“ナミダ”を集めていくことで,楽しめるようになる。
 こうして登場するエピソードは,それまでのストーリーの流れを,トオルの家の飼い猫であるトロイメライ(名前変更可能)か,七海の家の飼い犬であるラインホルト(名前変更可能)の視点で描いたもの。つまり,メインストーリー自体は一本道だが,そのストーリーを複数の視点で楽しめるのである。
 例えばトオルの視点でゲームを進行しているとき,トロイメライが「にゃあ」と鳴いたとしよう。しかしこの「にゃあ」が,トロイメライ視点で遊んでいるときには,ちゃんとした言葉に置き換えられている。
 ゲームの中に登場する人間達のほとんどは,動物の言葉を理解することなどできないのだが,プレイヤーだけは動物達の思いを知ることができ,それによってメインストーリーの味わいが,よりいっそう深くなるという仕組みなのだ。

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「新しい経験」を通じて成長していく少年


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 また先ほど,妖怪との戦闘がアクションゲームっぽいと述べたが,戦闘自体は,十字キーで移動しつつ,Aボタンで「勇気の行動」(殴る,蹴る),Bボタンで「無敵の逃避」(防御。ただしこれを使うと勝利時に得られるナミダの量が減っていく)という簡単なもの。
 アクションゲームに慣れた人であれば,ボスの行動パターンを読みつつヒット&アウェーを繰り返すことで,そう苦戦することなく倒せるだろう。
 とはいえ,アクションゲームが苦手な人も世の中には多くいるわけで,ひょっとしたらボスに苦戦してしまうケースもあるはず。負けたらその場でゲームオーバーとなり,最後のセーブポイントからのやり直しを強いられてしまうので,ここでつまってしまうと,ストーリーを楽しむこともできなくなってしまう。

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 ここで重要なのが,トオルの体力,攻撃力,すばやさ,足の速さといったパラメータである。これらの能力は,妖怪を倒したときにパワーアップするだけでなく,ゲーム内に登場する「新しい経験」を満たしていくことでも伸びていくのだ。

 新しい経験は,特定のイベントを見たり,隠されたアイテムを発見したりすることで達成されるのだが,各章ごとに16個用意されており,それらが四つずつのセットになっている。各セットに含まれる四つの新しい経験を達成すれば,そのセットにひも付いた能力値が成長するという仕組みになっている。
 つまり,これらの能力を伸ばしていくことで,妖怪との戦闘がどんどん楽になるというわけである。

 また,新しい経験のコンプリートを目指そうとすると,いったんクリアした章を再プレイしなければならないことも多々あるだろう。そういう意味で,新しい経験は本作におけるやり込み要素の一つとも言える。

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少年の冒険物語だけでなく,大人の不完全さも描いた作品


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 アドベンチャーゲームという特性上,ストーリーをくまなく紹介することはできないが,最後までプレイして感じたことをざっと書き連ねていこう。

 前述のとおり,本作では同じシーンを複数の視点から見ることができる。例えば,トオルの父であるカナメと母ハルカのやりとりを,トロイメライ視点で見せていくシーン,七海の母タカコの苦悩をラインホルト視点で見せていくシーンは必見ものだ。
 大人達がどんなことを考え,どんな思いを経て,こういう行動に出ているのか? ペット達の視点を通して描かれているこうしたシーンは,かつて子供だった……そして今はそこそこ大人になった人ならば,納得も共感もできるはず。
 そして同時に,自身が子供の頃に思い描いていたほど,大人というものは完璧ではなく,大人だって子供と同じように(あるいは,もっと深く)悩んだり,葛藤したりするという事実に,あらためて気付かされるかもしれない。

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 ただ一方,とくにゲームの前半において,この視点を変えて同じシーンを楽しめるシステムが,ゲームのテンポの足を少し引っ張っている印象を受けたのも事実だ。
 ひたすらトオル視点だけでストーリーを進めていくという遊び方なら,そう気にはならないのだが,やはり新エピソードが出現すれば,それを少しでも早く見たいと思うもの。
 その場合,ちょっと前に見たものと同じシーンを短時間の間に繰り返し見なければならないようなこともあるのが,少し残念だった。中盤から後半,そしてクライマックスにはストーリー展開のスピード感も増すため,そういったところも気にならなくはなる。
 そう考えると,遊び方としては,まずトオル視点で最後まで楽しんだほうが,余計なストレスを感じずに済むということだろうか。

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 また,本作は全編を通して,懐かしさを感じさせる作りになっている。グラフィックスや効果音が,スーパーファミコンや初代PlayStationのころを思い出させるテイストでまとめられているほか,植松伸夫氏による優しく,ときに不気味なBGMは,否応なしに郷愁を誘う。
 そして小さな町という舞台やストーリーそのものが,自分の住む町,家族,友達だけが,この世のすべてだった頃を思い出させてくれる。
 だからこそ,クリアしたときに主題歌「きみと走ると僕は泣く」が流れてきたときには達成感だけでなく,鬼ごっこだけで一日中楽しめたような日々の記憶が蘇り,不思議な感慨に浸ってしまったのだろう。
 そんな体験をしてみたい人は,ぜひ本作を手にとってみてほしい。

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「サクラノート 〜いまにつながるみらい〜」公式サイト

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