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君はD&Dを知っているか? HobbyJapan公認連載「『ダンジョンズ&ドラゴンズ』で遊ぼう」,第1回はマフィア梶田がTRPGのキャラメイクに挑む
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印刷2011/03/30 00:00

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君はD&Dを知っているか? HobbyJapan公認連載「『ダンジョンズ&ドラゴンズ』で遊ぼう」,第1回はマフィア梶田がTRPGのキャラメイクに挑む

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 1974年にアメリカで発売され,あらゆるロールプレイングゲーム(RPG)の礎石となった世界初のテーブルトークRPG(以下,TRPG)「ダンジョンズ&ドラゴンズ」(以下,D&D)。冒険者達がパーティを組んで地下洞窟に潜り,ゴブリンやドラゴンを倒して宝物を手に入れる……ファンタジー世界を舞台とする,そんなゲームスタイルを生み出した作品こそが,このダンジョンズ&ドラゴンズだ。

“旧”赤箱。6面ダイスを握りしめてキャラクターを作り,魔法使いバーグルの棲むダンジョンに踏み込み,入口前の戸板をめくって大変な目に遭った人もたくさんいるはずだ
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「ダンジョンズ&ドラゴンズ」日本語版公式サイト


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 TRPGは,基本的にサイコロと鉛筆,ときにはミニチュアやカードなどのガジェットを使って進めていく,アナログなロールプレイングゲームだ。プレイヤーは,自身の分身となるキャラクターを操り,仲間のプレイヤーと協力してモンスターを倒し,お金を稼いで,レベルを上げる。ここまでならば,昨今のMMORPGなどと,なんら変わらないように思えるかもしれない。だが一番違いは,なんといっても「ゲームマスター」の存在だろう。
 TRPGにおけるゲームマスターは,プレイヤーの目の前に広がる世界の情景を語り,プレイヤーが担当する以外の登場人物や,モンスターすべてを操って,ルールの裁定をする人のこと。ビデオゲームのRPGにおいて,コンピュータがこなす大半の役割――シナリオ,グラフィックスから,ゲームエンジン,レベルデザインまでを仕切って,プレイヤーを待ち受ける。MMORPGにもゲームマスターという役職は存在するが,TRPGのゲームマスターは,それとはまったく別のものだ。
 そしてそれ故に,TRPGのプレイヤーは,ゲームマスターが許す限りの,自由な行動が選択できる。

 この記事はそんなTRPG,そしてD&Dの魅力をお伝えしていこうという試みである。「ダンジョンズ&ドラゴンズ 日本語版」の製作・販売元であるHobbyJapanの協力のもと,今週から4回にわたってお届けする予定なので,ぜひ期待してほしい。昔ちょっとかじったんだけど,最近はすっかりご無沙汰というオールドアナログゲーマーから,ネットゲームはプレイするし,D&Dも名前は聞いたことあるんだけど……という若いゲーマーまで,ぜひご一読いただきたい。

 まずはD&D日本語版翻訳チームのメンバーにして,古今東西のTRPGに詳しい翻訳家の桂 令夫氏に,D&Dの歴史と,D&Dが世界のゲームにもたらした影響について語っていただこう。


[コラム]TRPGとD&D――その歴史と現在


文:桂 令夫(D&D日本語版翻訳チーム)

※2011年4月9日追記:コラムの一部に加筆・修正を行いました。

TRPGの誕生=D&Dの誕生


「チェインメイル 第3版」(画像はWikipediaより転載)
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 元々RPGは,シミュレーションゲーム/ウォーゲームから派生し,生まれたものです。1970年代,アメリカ合衆国では各種ウォーゲームが流行していました。ここでいうウォーゲームとは,もちろんコンピュータゲームではなく,紙の盤上で紙のコマを使って遊ぶボード・ウォーゲームや,立体コマを使って遊ぶミニチュア・ウォーゲームです。この種のゲームの原型は19世紀から存在し,各国の士官訓練にも用いられていました。1910年代にはイギリスで最初の商業用ミニチュア・ウォーゲームのルールが出版され,1950年代にはアメリカで最初の商業用ボード・ウォーゲームが誕生して,しだいに隆盛となります。
 題材は第二次大戦やナポレオン時代,南北戦争等が人気でしたが,その一方で新しい題材の開拓も求められていました。当時はウォーゲームを手がける大小さまざまな会社があり,その1つがタクティカル・スタディーズ・ルールズ(以下,TSR)でした。

 このTSRが1971年,ゲイリー・ガイギャックスというデザイナーを中心にして「チェインメイル」という中世ヨーロッパもののミニチュア・ウォーゲームをリリースします。そしてこれには,オマケとしてファンタジー設定版サプリメントが付いていたのです(新たな題材の開拓というやつです)。
 ところがこのオマケ部分が,本編の中世ヨーロッパ設定をしのぐ大ウケとなります。この「チェインメイル」のファンタジー・ルールに,(当初は)TSR社員ではなく,一プレイヤーであったデイヴ・アーンソンをはじめとした多くの人々が,勝手に手を加えて面白く遊びました。
 そうして,いつの間にか,1人のダンジョン・マスター(進行役兼審判役)と複数のプレイヤー(それぞれ1人のキャラクターを動かす)で遊ぶ,“RPG”という形式ができあがっていったのです。
 この改変版「チェインメイル」が1974年,「ダンジョンズ&ドラゴンズ」(D&D)という名前でTSRから発売されます。つまりD&Dは,ある意味「チェインメイル」のMODという位置づけになります。TSRはウォーゲームの新たな題材の開拓だけでなく,RPGという新たな概念の開拓にまで成功したことになりました。

TRPGとコンピュータRPG


「ウルティマ オンライン」
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 そして,D&Dは売れました。無名の零細企業TSRはあれよあれよという間に物凄い発展をとげ,同社をはじめ他社からも,SFもの,現代スパイものなど,さまざまなジャンルのRPGが発売されました。けれど一番の売れ筋はやはりファンタジーものであり,なかでもD&D(およびその発展形であるAD&D=アドバンスト・ダンジョンズ&ドラゴンズ)は,その筆頭にあげられるほどでした。
 D&Dはアメリカの草創期のコンピュータゲーム業界にも甚大な影響を与え,多くの「なんだかD&DっぽいコンピュータRPG」が生まれました。「ウィザードリィ」しかり「ウルティマ」しかり「マイト&マジック」しかり。いずれもシリーズ化され,多くの紆余曲折を経ながら何らかの形で今日まで続いています。「ウルティマ」は「ウルティマ オンライン」などの形で根強い人気を誇り,「ウィザードリィ」は日本,「マイト&マジック」はロシアで,今も外伝が作られ続けているという具合です。

 時代は少し戻って1985年,D&Dは日本でも新和から翻訳版が発売され,ファンタジーRPGブームを巻き起こします。日本のRPGについて特筆すべきは,アメリカと違い「D&Dと,D&Dに影響を受けたコンピュータゲーム」が,ほぼ同時に入ってきたこと。そしてあまり間をおかずにファミリーコンピュータと「ドラゴンクエスト」が市場を席捲したことでしょうか。ファミコンの名作「ドラゴンクエスト」は,「ウルティマ」をメインに「ウィザードリィ」もちょっと混ぜ,ゲームシステムを踏襲した上に,バランスを“まとも”にしたことで,不朽の名作となったのです。
 この状況下にあってただ「RPG」と言ったのでは,日本ではコンピュータRPGと受け取られてしまいます。そこで明確化のための言い換えが模索された結果,TRPGという呼称が,日本で生まれたのです。

「マイト&マジック 9」
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D&Dの現在


「マジック:ザ・ギャザリング」の生みの親,ガーフィールド博士
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 さて話はD&Dに戻って,その後TSRは世紀の変わり目ごろに,「マジック:ザ・ギャザリング」(以下,M:tG)でひとヤマ当てたウィザーズ・オブ・ザ・コースト(以下,WotC)に買収されます。むろんWotCにしてもこのドル箱を放っておくはずがない。2000年には,AD&Dの流れを汲みつつ,ルールを整理したD&D第3版,2008年にはさらにシステムをシンプル化することを目指した最新の第4版が出版され,日本ではいずれもHobbyJapanから出版され,好評を博しています。
 その舞台は剣と魔法の世界であり,プレイヤー・キャラクターは経験を積むことで強く,より強く成長します。そしてファイター(戦士)やウィザード(魔法使い)といった違う「クラス」のキャラクター同士が力を合わせることで,二倍,三倍の力を発揮するのです。彼らは力を合わせて暗い迷宮(ダンジョン)に挑み,竜(ドラゴン)や巨人といった恐ろしい怪物を倒して莫大な財宝を手にします。

 さて,D&Dは時代時代に合わせて「その時々のはやりもの」のエッセンスを取り込みつつ変化を続けてきました。第4版は幾分かMMORPGの,幾分か「M:tG以降のカードゲーム」の,幾分か「今日のボードゲーム」の要素を取り込んでできています。
 つまりはMMOのように各キャラクターの役割――敵にダメージを与えたり(Attacker),仲間の傷を治したり(Healer),味方を強化したり(buffer)する役割などが明確化され,あるいはM:tG以降のカードゲームのように,各キャラクターの多彩な技の使用タイミングが明確化され(新「赤箱」では実際にカード化され)……といった具合に。そしてバトル・グリッド(四角いマス目で区切られたゲームボード)とコマを使って遊ぶ仕組みになっているのです。

2010年12月4日に発売された日本語版“新”赤箱。箱のサイズが少し大きいとはいえ,見かけはよく似ている。だが,中身にはいろいろなものが追加されている
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赤箱が現代に復活


 1985年に日本で発売された赤い箱を見覚えている人も多いことだろう。通称「赤箱」と呼ばれた,「ダンジョンズ&ドラゴンズ セット:1 ベーシックルールセット」だ。
 この赤箱が,そのままの外見で現代に帰ってきた! しかし,これは復刻版ではない。当時の赤箱をもっとも古いルールとすると,D&Dの最新版である第4版のルールで新しく作られた,D&D入門者用キットなのだ。この「ダンジョンズ&ドラゴンズ 第4版 スターター・セット」は,かつての赤箱にならって「新赤箱」と呼ばれている。さっそく箱を開け,それぞれの中身を比べてみよう。

旧「赤箱」


「プレイヤーズマニュアル×1冊」キャラクターを作るためのルールブック,表紙と中面
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「ダンジョンマスターズルールブック×1冊」ダンジョン・マスター用のシナリオつきルールブック,表紙と中面
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「キャラクター・シート」プレイヤーズマニュアルの裏表紙に,キャラクターのデータを書くためのシートがついている
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「サイコロ1セット(20面,12面,10面,8面,6面,4面×1個)」D&Dでは各種のサイコロを使う。(※写真では6面のみ紛失)

新「赤箱」


「プレイヤーの書×1冊」キャラクターを作るためのルールブック,表紙と中面
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「ダンジョン・マスターの書×1冊(シナリオつき)」ダンジョン・マスター用のシナリオつきルールブック,表紙と中面
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「キャラクター・シート×4枚」別刷りの書き込み用キャラクター・シートが4枚付属
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「サイコロ1セット(20面,12面,10面,8面,6面,4面×1個)」カラフルな各種のサイコロ一式
「ポスターマップ×両面1枚」両面が使えるポスターサイズのマップ。マス目が書いてあるこのマップ上でコマを動かしてゲームを進める
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「キャラクターとモンスターのコマ×56枚」キャラクターの位置を示すのに使う厚紙のコマと,それを切り離したところ。番号が付いているのは,同じモンスターがたくさん出てきたときに区別するため
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「パワーカード×63枚」キャラクターが使えるパワー(攻撃の技や呪文など)を表すカードと,それを切り離してカード用スリーブに入れたもの
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 このように,新しい赤箱ではルールブックがオールカラーになっているほか,マップやコマ,キャラクターの必殺技を示すパワーカードなどが追加されているのが分かる。最新のルールではキャラクターの配置や移動がより重視され,技を組み合わせて戦うという,ボードゲームのような戦闘システムになっているのが反映されているのだ。


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まずキャラクターを作ってみる


 それではこの最新の赤箱を使い,2011年のD&Dがどんなふうになっているのか体験してみよう。プレイヤー用のルールブックはゲームブック形式になっていて,一人で選択肢を選びながら読むだけでキャラクターが作れるようになっている。が,せっかくなのでダンジョン・マスターが書いてある選択肢を読みあげ,プレイヤーと会話をしながら作ってみることにした。

 キャラクター作成に臨むのは,4Gamerではおなじみのこの人!

マフィア梶田(TRPG初心者ライター)
4Gamer契約ライター。しゃべりの素人なのに,なぜかラジオのレギュラーを2本も持っているという奇跡の男。古今東西のゲームをよく知っているように見えて,実はD&Dを遊ぶのは今回が初めてだという
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※ダンジョン・マスターは筆者が担当。一般にTRPGでは取り仕切る係をゲームマスターと言うが,D&Dでは「ダンジョン・マスター」と呼ぶのがならわし。


旅の始まりは襲撃から


ダンジョン・マスター(以下,DM):
 (本を読みあげる)あなたは駆け出しの冒険者で,馬車で旅をしている。乗っている荷馬車はトレウスというドワーフの商人のもので,御者台でラバを操っている彼は,おしゃべりをするよりもこの先の道行きのほうを気にかけているようだ。そんなとき突然,矢の放たれる音が道端の暗がりでしたと思うと,トレウスの肩に矢が突き刺さった!

マフィア梶田:
 おー,いきなりっスねぇ。

DM:
 ゴブリンの群れが武器を振りかざして馬車に駆け寄ってきた。奴らは君達と商人を殺して馬車の荷物を奪おうとしているのだ! さあ,ここでヒーローのあなたはどうするか? 剣を抜き,馬車から飛び降りてゴブリンと戦うか? 魔法の呪文を唱えてゴブリンどもをまとめて吹き飛ばすか? 馬車の陰に隠れてこっそり1匹ずつゴブリンを倒そうとするか? それとも信仰の魔法でまずトレウスの傷を治そうとするか? あるいは,馬車の後ろに隠れて戦闘が終わるまで何もしないで待つか?(笑)

20面ダイスのほか12面ダイスや8面ダイスなど,珍しい形のサイコロをいくつか手元に用意する必要がある
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マフィア梶田:
 3つ目の“馬車の陰からこっそり倒す”ですかね。一番安全っぽいし。

DM:
 はい。この選択によってあなたのクラス(職業)が決まります。真正面から敵の中に飛び込んでいくのは馬鹿げていると考えたあなたは,ローグ(盗賊)に向いていますね。敵の裏をかいたり,アクション映画のような身のこなしで活躍したりできます。

マフィア梶田:
 ローグでいきましょう。ちなみに,さっきの“隠れっぱなし”の選択肢を選ぶとどうなるんですか?

DM:
 “英雄たるもの,そんなカッコ悪いことすべきじゃない!”って書いてあって,戻って選び直せって説教されますね。

マフィア梶田:
 ドラクエで“いいえ”が選べないパターンだ(笑)。

DM:
 クラスが決まったら,次は種族を選びます。汎用性に優れた人間,妖精の末裔である優雅なエルフ,頑健で細工ものなども得意なドワーフ,すばしっこくてタフな小人のハーフリングが選べます。

マフィア梶田:
 うーん。まぁ,人間かなぁ。

DM:
 それでは,あなたはダガーを抜いてゴブリンの背後に忍び寄りました。ダガーを振るって攻撃してみましょう。あなたの能力値だと,ダガーの攻撃に+7の修正がもらえますので,20面ダイスを振って,7を足してください。高い目を出せばゴブリンに攻撃が当たります。

マフィア梶田が振った,記念すべき初20面ダイスの出目は18!
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DM:
 すごい! それなら見事にゴブリンの頸動脈を切り裂きました。


商人に頼まれて


 ……という感じで,戦闘しながら選択肢を選び,それによってキャラクターの能力値・ヒットポイント・得意な技能などを決めていく。戦闘のやり方,技能判定の仕方といった基本的なルールも順を追って理解できるようになっている。

本の解説に従って,キャラクター・シートを埋めていくマフィア梶田
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 ゴブリン1体を倒したマフィア梶田改め,冒険者“マフィア”は,群がってきた別のゴブリンに反撃されるが,当たらない。かえす刀で攻撃し,またまた18の目を出して2体目もあっさり片付けると,ゴブリン達は恐れをなして逃げて行った。

DM:
 ゴブリンを無事追い払ったあとで,商人トレウスが「ありがとう,だがもう1つ頼まれてくれんかのう。大事な箱がゴブリンに盗まれてしまったので,取り返してほしいんじゃ」と頼んできた。あなたはどんなふうに答える?

マフィア:
 いくら出すか聞きたいけど,その箱に何が入ってるかが気になります。

DM:
 いくら出すかを聞くと「そうじゃな……取り戻してくれたら金貨30枚払おう」と言います。「盗まれたのは鍵のかかった小さな箱なんだが……中に入っているのは個人的なもので……」と,ちょっと恥ずかしそうな顔。

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マフィア:
 それは開けたくなるなあ(笑)。……まてよ,それって今,トレウスは金貨30枚か,それ以上持ってるってことですよね(ニヤリ)

DM:
 ドキ(汗) これから町に行って,箱を取り返してくれたら払うと言ってるんで,今お金を持ってるかどうかは分かりませんよ?

マフィア:
 誰も見てないし……ってちょっと思ったんだけど。荷馬車の荷物も一人占めできるし。でもここは,お金くれるならやるよってことで,引き受けましょう。


 実はここはキャラクターの属性(=キャラクターの道徳観の指針)が決まるシーン。わざわざ人を傷つけたりはしないけど,報酬もないのに命がけで人を助けたりもしないマフィアは「無属性」に決まった。もしトレウスを襲ってしまったら,「悪」になってしまったところだ。

徐々にデータが埋まっていくキャラクター・シート
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というわけで,できあがったキャラクターはこんな感じ!


キャラクター解説:
 動きを邪魔しないように軽い鎧を着ているため,防御力はあまり高くない。ヒットポイントもそんなにないので,敵に囲まれて集中攻撃を食らうと死にやすいが,移動力を高めるパワーがいろいろあるので,戦場を動き回って攻撃をよけながら反撃するのが得意だ。また,もっとも大事なのが急所攻撃という特殊能力。先手を取ったり,敵を挟み撃ちしたり転ばせたりして「戦術的優位」を得ると,ダメージが大幅に増える。味方とうまく協力して敵を挟むのがポイントだ
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 こうして誕生した冒険者“マフィア”は,今回のもう一人の参加プレイヤーであるイラストレーター,hounoriさんのキャラクター“ナツメグ”と合流。共にゴブリンの住処へ向かうことになった。ちなみに住処の場所は,さっき倒したゴブリンを,マフィアの<威圧>スキルで締め上げて吐かせたもの。ダイスロールで見事20の目を叩き出したマフィアの<威圧>に,ゴブリンはブルブル震えながら,洗いざらい白状したというわけだ。……本当は〈知覚〉〈運動〉〈持久力〉技能などを駆使して,足跡をたどる場面なのだが。

キャラクター解説:
 今回マフィア梶田と共に,D&Dに初挑戦するイラストレーター・hounoriさんのキャラクター。種族はイラスト映えも考えて,エルフの女性ファイターに決定。「エルフだけど荒っぽいのに憧れて冒険者になった」ということで,武器は剣ではなくダメージの大きい斧を使うことにし,知力が低めに設定してある
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<威圧>を試みたマフィアの出目は会心の20! なんとも嬉しそう
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新米冒険者2人が,ゴブリンとの初バトルに挑む


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 そんなわけでとくに時間を無駄にすることなく,ゴブリンの住処にたどり着いたマフィアとナツメグ。マフィアに怯えて情報をペラペラとしゃべったゴブリンの話によれば,どうやらゴブリン達はマラレスという魔法使いの男に従っているらしい。ここはボスらしき魔法使いに気づかれる前に,奇襲して一気に片付けてしまいたい。というわけで初めての戦闘に挑戦することになった。


キャラクターのイメージに合ったミニチュアを選んでいるところ
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 D&Dの戦闘にはマス目が書かれたマップとミニチュアを使用する。洞窟入り口の地図が広げられ,油断している見張りの雑魚ゴブリンが5体,中に配置される。2か所ある洞窟の出入口の一方から,忍び寄ったマフィアが不意打ちをかけるも,ちょうど反対の出口から出てきた3体のゴブリンに挟まれそうになる。それを食い止めるためナツメグがこの3体を相手取り,2か所で戦闘が展開されることに。

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 相手を挟み撃ちすることで,大幅な優位を得ることができるD&Dでは,実はこれはあまり良くない形。ナツメグもなかなか攻撃が当たらず苦戦して,重傷(ヒットポイントが残り半分を切ること)になってしまうものの,マフィアが目の前に立ちふさがる敵を倒して走り抜け,ファイターと戦っているゴブリン達の背後に回ったことで形勢は逆転。初の戦闘は無事勝利に終わった。だが,洞窟全体を2人だけで攻略するのは無謀と知ったマフィア一味は,いったん町に戻って手伝ってくれる冒険者を探し,再挑戦しようということになったのだった。

手前でマフィア(ミニチュア,似てるでしょ?)がゴブリンと交戦中。奥にいるのがナツメグ達
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次回,旅立ち!


 次回はいよいよ,4人パーティを組んで本格的なダンジョン探検に出発。新たにハーフリングのウィザード(魔法使い)とドワーフのクレリック(僧侶)を加え,波乱万丈の冒険が始まる!


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 今回紹介している「新赤箱」こと「ダンジョンズ&ドラゴンズ 第4版 スターター・セット」(5040円,税込)は,最寄りのゲームショップ,または通信販売などで購入できる。

商品情報は「こちら」
D&D日本語版の取扱ショップ一覧は「こちら」


「D&D 第4版 スターター・セット」をAmazonで購入

「D&D 第4版 スターター・セット」をHobbyJapan OnlienShopで購入



「月刊ゲームジャパン」2011年5月号,本日発売!


「月刊ゲームジャパン」2011年5月号
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「月刊ゲームジャパン」2011年5月号をAmazonで購入


巻頭特集:デュエル・マスターズ
第2特集:ファイナルファンタジー・トレーディングカードゲーム


カードゲームの魅力を追求するゲーム雑誌・ゲームジャパン2011年5月号では、『デュエル・マスターズ』と『ファイナルファンタジー・トレーディングカードゲーム』を本誌限定のプロモーションカードつきで大特集! 『ファイナルファンタジー・トレーディングカードゲーム』については、すぐに使えるデッキ情報満載の特製小冊子も付録になって大ボリュームでその魅力に迫ります!

特別付録(1):『デュエル・マスターズ』本誌限定プロモーションカード《ストリーミング・チューター》
特別付録(2)&(3):『ファイナルファンタジー・トレーディングカードゲーム』本誌限定プロモーションカード《ヴィンセント》&特製小冊子


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『デュエル・マスターズ』本誌限定プロモーションカード《ストリーミング・チューター》
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『ファイナルファンタジー・トレーディングカードゲーム』本誌限定プロモーションカード《ヴィンセント》


掲載内容:

●特集
デュエル・マスターズ
ファイナルファンタジー・トレーディングカードゲーム

●トレーディングカードゲーム
カードファイト!! ヴァンガード
ヴァイスシュヴァルツ
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石井ぜんじを右に! 〜アーケードゲーム年代記〜
月刊はがき戦国
読者参加ゲーム『魔王國年代記』

●コミック
すずなあたっく!

発売日:2011年3月30日(水)
特別定価:980円(本体933円)
雑誌コード:13421-05
判型:AB判

ゲームジャパン公式ホームページ
http://hobbyjapan.co.jp/gamejapan/

「ダンジョンズ&ドラゴンズ」日本語版公式サイト

  • 関連タイトル:

    ダンジョンズ&ドラゴンズ 第4版

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