このイベントは,シューティングゲームの世界で活躍したコンポーザが多数出演するクラブイベント。DJプレイやミニライブだけでなく,豪華出演陣によるトークショーや物販エリアの展開も行われた。
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出演者は,2月に発売された“架空のゲーム”のサウンドトラック「GALAXY VOYAGER」(関連記事)への楽曲提供者を中心とした面々。シューティングゲーム好きなら以下のリストを見て分かるだろうが,いずれも大御所クラスだ。
- 与猶啓至 (ヨナオケイシ) 代表作:星霜鋼機ストラニア,ニューラルギア,メタルサイト
- TECHNOuchi (ex. コナミ矩形波倶楽部) 代表作:スペースマンボウ,ゲームボーイ版NEMESIS
- 中潟憲雄 (AQUA POLIS/ex. namco / KAZe) 代表作:暴れん坊天狗,サンダーセプター,無頼ファイター
- TAMAYO (BETTA FLASH / ex. ZUNTATA) 代表作:レイストーム,レイクライシス
- Cyua (BETTA FLASH) 歌手。機動戦士ガンダムUC
- 川田宏行 (ex. namco) 代表作:ソルバルウ,ギャラガ'88,スターラスター
- 並木学 代表作:怒首領蜂シリーズ,ケツイ 〜絆地獄たち〜,デススマイルズ,哭牙 KOKUGA,バトルガレッガ
- 石田雅彦 (ex. IREM) 代表作:MR.HELIの大冒険,イメージファイト,ドラゴンブリード,R-TYPE2,エックスマルチプライ
- 梶原正裕 (PMD Programer) 代表作:トリガーハート エグゼリカ
- むらさきひろふみ (ex. SEGA) 代表作:Juju伝説(メガドライブ)
- 小塩広和 (COSIO / ex. ZUNTATA) 代表作:ダライアスバースト,スペースインベーダー エクストリーム,スペースインベーダー インフィニティジーン,サイバーダイバー,アリス・ギア・アイギス
- 古川典裕 (なかやまらいでん / ex. ZUNTATA) 代表作:グリッドシーカー,スペースガン
- 渡部恭久 (Yack. / ex. ZUNTATA) 代表作:メタルブラック
- 細井聡司 (ex. VIDEO SYSTEM) 代表作:ソニックウィングスシリーズ
- 佐藤豪 (ex. セイブ開発) 代表作:雷電シリーズ
- 松本大輔 代表作:ゴシックは魔法乙女 〜さっさと契約しなさい!〜,ピンクスゥイーツ 〜鋳薔薇それから〜,むちむちポーク!
- イケダミノロック 高田馬場ゲーセンミカド店長,HEAVYMETAL RAIDEN
- hally(VORC) 「チップチューンのすべて」著者,ゲーム音楽史/ゲーム史研究家
また,詳細は後述するが次回「THE SHOOTING!! #2」の開催がすでに決定しており,チケットの販売も開始されている(関連記事)。
主催の与猶啓至氏は,昨今では「星霜鋼機ストラニア」や「Dies irae」シリーズなどの作曲者として知られるが,MSXやX68000の全盛期からゲーム音楽を手掛けてきたベテランの1人。その与猶氏と親交の深い梶原正裕氏をはじめ,「R-TYPE II」の石田雅彦氏や「雷電」シリーズの佐藤 豪氏,元ZUNTATAメンバーのCOSIO(小塩広和)氏やなかやまらいでん(古川典裕)氏,Yack.(渡部恭久)氏,TAMAYO(河本圭代)氏,元KONAMI矩形波倶楽部のTECHNOuchi氏や元ナムコの中潟憲雄氏と川田宏行氏,メガドライブ時代から活躍する元セガのむらさきひろふみ氏,筆者をアーケードでさんざん苦しめた「怒首領蜂大往生」や「バトルガレッガ」の並木 学氏など,名立たる面々がずらりと並ぶ。
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16:00からCOSIO氏によるDJがスタート。「さすがに(他の参加者で)Ambientを作る人はいないだろうと思ったので,あえて作った」というGALAXY VOYAGER提供曲「PLANET-ICE」から始まり,今年Steam版がリリースになった「SPACE INVADERS EXTREME」の楽曲や,自主制作CD「STRS」に収録した元気ロケッツ「Heavenly Star」のカバー版,自身がプロデュースするコテアニ(小寺可南子さん&アネモネ・モーニアンさんのユニット)の「Galaxy Journey」といった楽曲を交えながら,最後は並木氏のGALAXY VOYGER提供曲「Preparation 【空中戦】」をremixしたものを初披露した。
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並木氏は小塩氏のremixに対して「こんなにカッコいい4つ打ちにしていただいて感無量です」と冒頭MCで述べ,DJプレイをスタート。「虫姫さま」の「森のずっと奥の方」や「ケツイ〜絆地獄たち〜」の「INTERCEPTION - 喧騒の街」などが,ゲーム画面を用いたVJプレイをバックに演奏された。
終盤には「ボス行きますか!」の言葉から,ボスBGMをメドレーでプレイ。「タイジ」から始まり「嬌声ニ彩ラレタ血ト狂気ノ宴」や「緋蜂」,「NO REMORSE TrueLastBoss」など,そして「バトルガレッガ Rev.2016」(PS4 / Xbox One)より「Stab and Stomp!」に「Erupter」と,怒涛のラスボスラッシュでフロアを沸かせていた。
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そして2016年に仲野順也氏との共同制作による架空戦車ゲームのCD「POLYPHONET COMMENDATORE」,2017年に中潟憲雄氏や川田宏行氏なども交えた架空忍者アクションゲームのCD「Mystic Ninja」を経て制作されたのが,「GALAXY VOYAGER」となる。
「GALAXY VOYAGER」の制作にあたって,誰がどのステージを担当するかは自己申告制で,舞台設定とステージ名以外は特に指定せずに,それぞれが制作を行ったという。これに対しhally氏は「特に“ああしろ,こうしろ”と言わなくても統一感のある音楽が出来上がっていくのは,シューティングゲームの持つマジカルな魅力なのではないか」と語った。
また,シューティングゲーム黎明期から活躍していた中潟氏と川田氏に対して,「シューティングの音楽が固まる前の模索段階では,どういった思いで制作を行っていたか」という質問がhally氏から投げかけられた。例に挙げられた「スターラスター」に対し,川田氏は「スターラスターにBGMがあるかと言われると,一部のシーンにしかないのですが(笑)。でもそれも“宇宙空間にポツンと独りで行く”という寂しさを音で表現するという意図がありました。私自身の制作は,とにかく前例のないことを毎回しようと思っています」と回答。中潟氏は,同様にBGMがないもののエンディングではメロディアスな楽曲が流れる「バラデューク」を例に挙げて「川田さん同様,必ず新しい要素は一つでも入れようとしていましたね。今回の作品でもポリリズムというか,3拍子のリフと5.5.2のドラムなど,異なるリズムが共存する楽曲を作っています」と答えた。
両氏のコメントを受けて,TECHNOuchi氏は「それぞれのメーカーの人達が作品が歴史になって,その会社のゲーム音楽のカラーを作っていくのだろう」と語っていた。なお自身はKONAMI入社直後,当時は古川もとあき氏の人気が高かったため,自身の得意とするテクノポップを一旦封じて,KONAMIらしいフュージョンを手掛けていたこともあったという。
中潟氏からはさらに,「GALAXY VOYAGER」の楽曲を使用したゲームを作る提案がされた。これを紹介するため,マインドウェア代表取締役の市川幹人氏も登壇。このゲームは,もともとはマインドウェアが2014年に試作していたもので,それに中潟氏が「GALAXY VOYAGER」の音楽や世界観をつけてはどうかと持ちかけたことから,改めて開発が進められているものであるという。
会場では,そのプロトタイプのお披露目が行われた。ゲームシステムは,パズルゲーム「GUNPEY」に似た斜線状のパネルと敵キャラクターが画面上から降りてくるので,それに画面下の自機からビームを撃ち,パネルでのビーム反射を活用して敵やパネルを破壊していくというもの。市川氏いわく「アクション性を排除して,ターン制のデザインにしたシューティングゲーム」とのことだ。
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会場からの質問に答えるコーナーでは,なぜかステージ上の川田氏から「皆さん曲を作る時はどうやっているんですか?」という質問が。これに対し中潟氏は「僕はビジュアルありきで作ります。絵なりテキストなりイメージできるものがあれば,それでメロディが降りてくる感じです」と回答し,TECHNOuchi氏もこれに同調した。また,ゲーム音楽を参考にしてゲーム音楽を作るのではなく,いろいろなジャンルの音楽をインプットしたうえで制作に臨むべきという見解がまとまり,中潟氏も「“ゲーム音楽とは何か?”を自分の中に問い掛けるような所作が必要なのかも知れません」と語った。
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続いてはTAMAYO氏とCyua氏のユニット・BETTA FLASHによる演奏がスタート。TAMAYO氏のキーボードとCyuaさんの透き通るような歌声で,オンボーカル版「.BLUE -地球に棲む日-」や,新曲の「Romance with Ancient View」が披露された。TAMAYO氏とCyua氏の絶妙なテンポ感のMCの後,後半部ではオリジナル曲の「WATER LILY」や「レイストーム」EDの「CERAMIC HEART」,「レイフォース」EDの「Q.E.P.D」が演奏された。
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また,なかやま氏の「その時代に使っていた音源はPSG(Programmable Sound Generator)ですか?」という疑問に対しては,佐藤氏が自身のセイブ開発入社当時を例として,「『雷電II(1990年)』では当初YM3812(OPL2),その後YM2151(OPM)で音楽を制作,その後はOPX(YMF271-F)と呼ばれる,PCMも使えるFM音源を用いていました」と即座に回答。そこからFM音源談義に花が咲き,メガドライブの仕様などにも話がおよんだ。
続いての議題は「自分のスタイル(作風)が固まったのはどの作品から?」というもの。佐藤氏は「バイパーフェイズ1」を,自身のやりたかったサウンドが始めて結実した作品として挙げた。なかやま氏は,「グリッドシーカー」は代表作として挙げられることが多いものの,それではなく,もう少し後の何かのクイズゲームではないかと語る。
なかやま氏はさらに,「グリッドシーカー」を担当した当時は,ハイハットは常時使うものだとは認識していなかったと告白。佐藤氏も「確かに,容量が厳しかった当時,パート的に一番削りやすかったのはハイハットかも知れない。雷電IIも実はハイハットが入っていません」と語った。代わりに16分音符で再生されるシーケンスなどでリズム感を補ったり,メガドライブ時代は16分音符ごとに音色を切り替えてアレンジを豪華に見せたりといった「制限の中での工夫」が多く,こうした数々の試みがシューティングのサウンドを形作っていったという。
トークショーの終わりにはヨナオ氏が再び登場し,「THE SHOOTING!! #2」を8月19日に開催すると発表した。実のところ,開場間もない時点で入場規制が掛かっていたほどの盛況で,入場できなかった来場者も少なからずいた様子だった。後日公開された詳細によると,#2の会場はZirco Tokyoで,メインフロアの面積は#1と比べて3倍以上となる。ヨナオ氏は「もっと多くの方に来ていただけるように」と,ゲスト面のさらなる充実も含めて準備をしていくとのことで,観客からは大きな期待の込められた強い拍手が贈られた。
続く石田雅彦氏のDJプレイでは「YouWillBe」「Glowing Cells」「Romance With Ancient View」などGALAXY VOYAGER楽曲のremixのほか,「旋光の輪舞2」(PC / PS4)でリリースされた「重装機兵ヴァルケン」コラボDLC用のアレンジBGMなどが演奏された。その後は「Mr.HELIの大冒険」の「THEME」や,「R-Type II」の「COUNTER ATTACK」と続け,自作曲で締め括った。
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大トリを務めたのは渡部恭久氏。冒頭では「めちゃくちゃ緊張してます!」と言いながらも,「メタルブラック」の「Born to be Free」をはじめ,「ボーダーダウン」や「旋光の輪舞2」,「等身大美少女兵装 ヴォイド・ギア」などの楽曲で会場に大いに沸かせた。また途中で渡部氏のお蔵入り楽曲を含むZUNTATA30周年アルバム「reZonance world」(関連記事)や,渡部氏の書き下ろし新曲を含む「グルーヴコースター オリジナルサウンドトラック2018 Vol.1 “DREAM”」(関連記事),セルフアレンジ盤「旋光の輪舞 フルアレンジアルバム -Reassemble-」(関連記事)の宣伝も行われた。
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とにかく観客とアーティストの距離の近さが魅力的だった本イベント。2018年8月19日の第2回も,シューティングファンなら予定は空けておくべきだろう。
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