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得体の知れない疫病があらゆる魂を蝕み,誰もが絶望の前にひざまずく。
だがその侵食も,一人の幼い子どもには及ばなかった。
辺獄に放り出された小さな存在は,終わりの先にある答えを求めて,見知らぬ世界を歩きはじめる。
本日は,J's Labratoryが手掛ける「Before I Go」(PC / PS5 / Xbox Series X|S / Nintendo Switch)を紹介しよう。
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本作は辺獄(リンボ)を舞台にしたメトロイドヴァニアで,プレイヤーは辺獄に放り出された無垢な魂を操り,死の受容に至る寓話的な旅路を進んでいく。
敵として立ちはだかるのは,虫のようなフォルムをした寄生生物たち。不気味に蠢くその姿は,この世界を蝕む疫病そのものを体現しているかのようである。
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このゲームの特徴は,パルスによる遠距離攻撃を軸にした戦闘と,精密なプラットフォームアクションの組み合わせにある。
パルスはチャージで威力を高めることもでき,敵との間合いを保ちながら撃ち分ける感覚が心地よい。
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探索を進めると壁ジャンプやダッシュオーブといった能力が手に入り,行動の幅がどんどん広がっていく。新たな能力を手にするたびに見える景色が変わる,メトロイドヴァニアとして堅実な作りだ。
理不尽さのないプラットフォーム設計
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メトロイドヴァニアといえば戦闘の印象が強いジャンルだが,本作はプラットフォームアクションにかなりの比重を置いている。
プレイした印象として,戦闘4に対してプラットフォームアクション6といった感じで,トゲの隙間を縫って足場を渡るオーソドックスなものから,制限時間内に装置へ触れてエネルギーを補給するもの,レーザーを避けながら進むものまで,バリエーションに富んでいる。
壁ジャンプを習得してからは要求される精度がぐっと上がるが,力技でごり押しできない代わりに,どのルートで攻略するかを考える余地がつねにある。
何度もトライすればきちんと突破できる調整がなされており,クリアしたときの達成感は格別だ。操作のレスポンスも良好で,空中での移動制御が直感的に行えるため,高い精度を要求されるシーンでも操作がストレスになりにくい。
HPとエネルギーが生むリソースの駆け引き
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主人公にはHPとエネルギーという2つのリソースがある。エネルギーは特殊スキルに使用するもので,たとえば序盤で覚える「ステイシス」は周囲の時間を止める能力だ。戦闘で敵の動きを封じるのはもちろん,探索中のギミック突破にも役立つ。
一方でHPは,プラットフォーミングのミスや被弾で削られていくが,ほとんどの敵が回復オーブを落とすため,うまく倒せば回復できる。
つまり,プラットフォーミングでHPを削られ,敵を倒して回復を稼ぐという流れが自然にできあがる。
さらに,特殊なリソースを使えば壊れたチェックポイントを修復できるが,そのリソースは貴重であり,ここで使うべきかどうかという判断も迫られる。
一貫したトーンで描かれる辺獄の世界
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ビジュアルは3Dモデルで描かれる2.5Dの画面構成で,色調はビビッドさを排した冷たく落ち着いたトーンに統一されている。
エリアごとに雰囲気ががらりと変わるのではなく,辺獄という舞台設定に沿った一貫した空気感が全編を包んでいるのが印象に残る。
BGMも同様で,重く沈んだ音が世界に溶け込むように鳴っており,主張しすぎない。物語はNPCとの会話テキストを通じて語られるが,その内容は寓話的で読み解きがいがある。
派手な演出で感情を揺さぶるのではなく,静かに染み入るような世界のつくりだ。
「Before I Go」は,遠距離戦闘とプラットフォームアクションを軸にした骨太なメトロイドヴァニアである。
力任せでは越えられない場面を,ルートの選択とリソースの判断で切り抜けていく手応えは,このジャンルを愛するプレイヤーにとってたまらないものがあるだろう。
辺獄という世界を一貫したトーンで描き切る美術と音の設計も,作品としての説得力を高めている。
死をテーマにした寓話的な物語と,歯応えのあるアクションの両方を味わいたい人に,ぜひ手に取ってほしい一作だ。

























