HP，薄型のゲーマー向けノートPC「OMEN」発売。GTX 860M搭載で「同じGPUを搭載した他社のPCより1割速い」

HP OMEN 15-5000

　2014年12月17日，Hewlett-Packardの日本法人である日本ヒューレット・パッカード（以下，HP）は，ゲーマー向けノートPC「HP OMEN 15-5000」（以下，OMEN 15）を同社直販サイト「HP Directplus」で発売した。レーシングカーをモチーフとしたという独特のデザインを持つ薄型ボディが特徴で，GPUには「GeForce GTX 860M」を搭載している。
　製品ラインナップは，メインメモリ容量8GBモデル（8GB×1）と16GBモデル（8GB×2）の製品。価格は8GBモデルが19万9800円，16GBモデルが22万4800円（いずれも税別）とされているので，単純計算した税込価格は順に，21万5784円，24万2784円となる。

HP OMEN 15-5000

独特なデザインが第一の魅力

写真の機材は英語キーボードモデルだが，国内販売される製品は日本語キーボードを採用している

　OMEN 15の特徴であるデザインから見ていこう。天面と底面がフラットな形状のノートPCは珍しくないが，前面側と左右側面が，斜めにするどくカットされたような変わった形状は他にないデザインといえよう。天面と底面には小さな三角形の模様が規則的に配置されていて，これもまた独特の雰囲気を醸し出している。

OMEN 15の天面（左）と側面（左）。天面には小さな三角形が並んでおり，メッシュのようにも見えて印象的である。なお，天面の素材はアルミ合金とのこと。側面は前側と左右を裁ち落としたような形状をしている

OMEN 15の底面。こちらも小さな三角形が規則的に並んでいる。底面を縁取っているのは大きなゴム足で，これによって底面後側にある吸気孔と床面の間に隙間を作り，エアフローを確保している

背面左右には排気口があり，その上にある円柱状のヒンジカバーは，熱で焼かれたような処理を施されている

本体の薄さが分かるOMEN 15の背面。USB 3.0（Type-A）×4やHDMI，mini DisplayPortといったインタフェース類はすべて背面にまとめられている

オーソドックスな日本語配列をした85個のキーと，左脇に並ぶ6個のプログラマブルキーで構成されたキーボード。大きな横長タッチパッドは，HP製ノートPCの多くで採用されているものだ

　ディスプレイ部分と本体をつなぐヒンジ部分には円柱状の金属パーツが使われているのだが，その左右端には高温で焼かれたような処理まで施しているという凝り様だ。形状も含めてデザインは極めて個性的といえるだろう。

　15.6インチサイズの液晶パネルを備える本体は，サイズが383（W）×251（D）×15.5〜19.9（H）mm（ゴム足除く）となっている。ゲーマー向けノートPCとしてはかなり薄いボディを採用しているのも注目に値するだろう。なお，重量は約2.15kgだ。

　カスタマイズ可能な6個の「プログラマブルキー」を装備しているのも特徴の1つ。日本語配列のメインキー左側に並ぶ［P1］〜［P6］と書かれた6個のキーがそれで，付属ソフト「HP OMEN Control」を使って，任意のキー操作を割り当てることが可能だ。ただ，割り当てられるのはメインキー2〜3個の同時押し程度で，複雑なマクロを設定する機能はないようだった。
　なお，キーの同時押しやロールオーバー，アンチゴーストの仕様は公開されておらず，本稿執筆時点では確認できなかった。

HP OMEN Controlを使うと，プログラマブルキーに任意のキー入力を割り当てられる（左）。プログラマブルキーと［Shift］［Ctrl］［Alt］キーの同時押しに対して，別のキー操作を割り当てることも可能だ。また，HP OMEN Controlには，［Windows］キーや「Caps Lock」キーを無効化したり，タッチパネルやタッチパッドを無効化する機能もある（右）

HP OMEN Controlのバックライト設定画面。個々のキーやスピーカーに対して任意の色を割り当てられる

　キーボードと，本体の左右に装備されたステレオスピーカーには，カラーLEDによるバックライトが内蔵されており，HP OMEN Controlでの設定によって1キーごとに任意の色で光らせられる。さらに，スピーカーのバックライトを再生するサウンドに合わせて光を明滅させることも可能だ。ゲームの効果音に合わせて明滅させたりすると面白いかもしれない。

スピーカーのバックライトも発光色を設定できる

OMEN 15のGTX 860Mは「他社より1割速い」？

冷却の工夫でGPU性能を引き出す

　冒頭でも触れたとおり，OMEN 15が搭載するGPUはGeForce GTX 860Mである。第2世代Maxwellアーキテクチャを採用する「GeForce GTX 980M」「GeFroce GTX 970M」が登場した今となっては，見劣りする面は否めない。
　その代わりというわけではないだろうが，HPはOMEN 15にGeForce GTX 860Mを採用するに当たり，放熱機構の工夫によってGPUの発熱を抑えることで，GPUが高クロックでも動作し続けやすくするという方針をとった。

　本体内に2基のファンを内蔵し，本体底面から給気した空気を背面に排気するという構造を採用しており，放熱機構の効果によってGPUの動作温度を最大でも69℃程度に抑えることが可能になっているとのことだ。これにより，HPの説明員曰く，「他社のGeForce GTX 860M（採用PC）よりも1割速い」性能を実現しているという。
　また，室温27℃の環境で「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」を連続4時間動作させ続けた場合でも，キーボードやパームレストの温度は，最も高温な部分でも37℃程度に抑えられているそうだ。

　GPU以外のスペックも見てみよう。CPUには「Core i7-4710HQ」を採用し，メインメモリ容量は8GBまたは16GB，ストレージにはM.2接続の256GB SSDを採用している。光学ドライブは搭載しない。一部繰り返しになるが，液晶パネルは15.6インチサイズで解像度1920×1080ドットのIPS液晶パネルを採用している。10点タッチ操作に対応したタッチパネル機能も備えているのだが，光沢のあるグレアパネルであるため，やや外光の反射が目立つのは気になるところだ。
　そのほかに，IEEE 802.11ac対応無線LAN機能とBluetooth 4.0を搭載。有線LAN端子は備えていないが，10/100BASE-TX対応のUSB-LANアダプタが付属している。

　他社の同GPU採用PCより1割速いというその実力は未知数ではあるものの，個性的なデザインとゲーマー向けノートPCとしては薄く軽いボディは，今までのノートPCとは違った魅力がある。このデザインに惹かれる人ならば，選択肢に含める価値がある製品といえそうだ。

●HP OMEN 15-5000の主なスペック

• CPU：Core i7-4710HQ（定格2.5GHz，最大3.5GHz，4C8T，共有L3キャッシュ容量6MB，TDP47W）
• メインメモリ：PC3L-12800 DDR3 SDRAM 8GB×1，または8GB×2
• GPU：GeForce GTX 860M（グラフィックスメモリ容量4GB）
• ストレージ：SSD（容量256GB）
• 光学ドライブ：なし
• サウンド：オンボード
• 有線LAN：100BASE-T（付属のUSB-LANアダプタによる）
• 無線LAN：IEEE 802.11ac（Bluetooth 4.0対応）
• 液晶パネル：15.6インチワイド，IPS，解像度1920×1080ドット，グレア（光沢）
• 本体サイズ：383（W）×251（D）×15.5〜19.9（H）mm
• 重量：約2.15kg
• OS：64bit版Windows 8.1
• 保証：1年間
• 価格：8GBモデル 19万9800円，16GBモデル 22万4800円（税別）

GTX 980を選択可能になったハイエンドデスクトップPC

HP ENVY Phoenix 810-480jp/CT

HP ENVY Phoenix 810-480jp/CT

　同日，HPはゲーマー向けデスクトップPC「HP ENVY Phoenix 810-480jp/CT」（以下，Phoenix 810）をHP Directplusで発売した。ミニタワー型の筐体を採用した同社製ゲーマー向けデスクトップPCのハイエンドモデルで，グラフィックスカードに「GeForce GTX 980」，CPUには簡易液冷クーラーを装着した「Core i7-4790K」を選択可能であることが特徴だ。
　GPUに「GeForce GTX 760」，CPUに「Core i7-4790」を採用する最小構成のBTO標準構成価格は14万9800円（税別）。GeForce GTX 980を選択した場合は，最小構成価格に4〜5万円弱が上乗せされるとのこと。GeForce GTX 980搭載カードの実勢価格を考えると，割安感がある価格といってもいいだろう。

側面パネルを開けた状態。内部はかなりコンパクトで，グラフィックスカードは「グラフィックスサポートバー」と呼ばれる金属部品で支えられていた。赤く光っているのは，液冷クーラー内蔵のイルミネーションだ

本体前面で光る赤いLEDの下にあるパネルをずらすと，メディアカードリーダーとUSB 2.0（Type-A）×4つが現れる。本体前面側にはほかにも，本体上部にUSB 3.0（Type-A）×2と3.5mmミニピンのヘッドフォン端子とマイク端子が用意されている

　なお，HPでは同製品の発売を記念して，同社コールセンター（※0120-111-238）からの注文に限り，搭載GPUを無料でGeForce GTX 980にアップグレードできるキャンペーンを48台限定で行うと発表した。
　このキャンペーンを利用すると，GeForce GTX 770を搭載して16万4800円（税別）の構成を，価格据え置きのままGeForce GTX 980にアップグレードできることになる。台数が少ないので，購入を検討している人は急いだほうがいいかもしれない。

●HP ENVY Phoenix 810-480jp/CT最廉価モデルのBTO標準構成における主なスペック

• CPU：Core i7-4790（定格3.6GHz，最大4GHz，4C8T，共有L3キャッシュ容量8MB，TDP84W）
• メインメモリ：PC3-12800 DDR3 SDRAM 8GB×1
• GPU：GeForce GTX 760（グラフィックスメモリ容量1.5GB）
• ストレージ：HDD（容量1TB）
• 光学ドライブ：DVDスーパーマルチドライブ
• サウンド：オンボード
• 有線LAN：1000BASE-T
• 無線LAN：なし
• OS：64bit版Windows 8.1
• 保証：1年間
• BTO標準構成価格：14万9800円（税別）

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