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[TGS2022]“歩いて稼ぐ”ブロックチェーンゲーム「STEPN」の躍進。今後の展望をインフルエンサー視点で語る,YGG Japanステージ
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印刷2022/09/20 20:07

イベント

[TGS2022]“歩いて稼ぐ”ブロックチェーンゲーム「STEPN」の躍進。今後の展望をインフルエンサー視点で語る,YGG Japanステージ

 東京ゲームショウ2022の最終日(2022年9月18日),YGG Japanブースで行われた,ステージイベント「STEPNが日本のWeb3シーンにもたらした激震 〜これまでの実態と今後のSTEPNをトップインフルエンサー陣が語る〜」の配信模様をレポートしていく。

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 本イベントでは,ブロックチェーンゲーム(Web3ゲーム)「STEPN」がなぜ日本でヒットしたのかなどについて,ゲストのインフルエンサー陣が議論を交わした。登壇したのは,以下の4名である。

・DeFitterジョン(モデレーター)
 YGG Japan PR担当

・ハッシー橋本
 漫画家

・あき
 LCA Game Guild

・yurisa(オンライン登壇)
 ソーシャルメディアインフルエンサー

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 イベントの冒頭では,STEPNがどういったゲームなのかが紹介された。簡単に説明すると,ユーザーが現実世界を「歩く」または「走る」ことにより,仮想通貨を獲得できる仕組みのゲームである。

「STEPN」の始め方を解説した橋本さんの漫画。日本でのブームの後押しとなった
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2022年5月,「STEPN」のDAUは50万人を突破してピークを迎える
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同年5月,“STEPN”という検索キーワードが“NFT”を超える事態に
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一方,アメリカにおいては“STEPN”はほとんど検索されていない?
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日本ではやったが,アメリカでは無風状態?


 最初の議題は「STEPNがどのように盛り上がったか」について。

 橋本さんは2022年2月ごろ,ブロックチェーンゲームに親しむ知人がSTEPNをプレイしているのを見て,自身も始めたと語る。そこから2か月,あっという間にユーザー数が増加していったことが印象深いという。
 また,その期間にユーザーコミュニティが続々と形成され,STEPNをきっかけに出会った人の数が増えていったそうだ。

 続くあきさんは,親戚から「知人3人がSTEPNを始めた」という報告を受けたことや,家や事業を手放して,STEPNの収益だけで日本全国を今なお旅しているユーザーがいることが挙げられた。
 また,本作のユーザーコミュニティは全国に存在しており,たびたびオフ会が開かれているところが,ほかのブロックチェーンゲームではあまり見られないSTEPNならではの特徴であるとした。

 一方でロサンゼルス在住のyurisaさんは,アメリカではSTEPNがまったく盛り上がっていないとし,その理由を「情報が足りない。やり方を丁寧に解説した動画などがない」と語る。しかし,それらの導線を用意することで,ロサンゼルスでもSTEPNが流行する可能性があるとも述べる。
 そこには,ロサンゼルス住民の多くが身体を動かすことや,コミュニティを形成することを好み,しかもSTEPNならお金を稼げるという利点が合致するとした。1年中,気候が穏やかで安定している地域とあって,ウォーキングやジョギングなどの“ながら”に最適というわけだ。

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 日本でSTEPNがブームになった理由の一つは,ロサンゼルスとは逆に「情報があったから」だと橋本さんが指摘する。
 日本においてはSTEPNの始め方に関して,利用者たるインフルエンサーが解説動画を配信したり,イベント冒頭の紹介にあったように橋本さんが漫画を描いたりといった導線が用意されていたためだ。

 橋本さんも漫画を描くとき「仮想通貨を現金に換金する方法」など,初心者がつまずきそうな部分を丁寧に解説することを心がけたという。
 これにより,オーストラリアにいるSTEPNチームから直々の依頼で漫画を英語化して公開したところ,海外ユーザーから「分かりやすい」と多数の評価をもらったという。しかし橋本さんが「もっとアメコミ風(の絵柄)にしたほうが海外で受け入れられやすいのでは?」と提案したところ,日本の漫画のファンであるチームから却下されたそうな。

 あきさんの推測は,STEPNの“歩いて稼ぐ”というシンプルでキャッチーな内容が多くの人にとって分かりやすかったのではないかというもの。また,STEPNユーザーにヒアリングしたところ,分かりやすさゆえに口コミで広がっていったという印象を受けたそうだ。
 そこに橋本さんが「STEPNはアプリ自体にブロックチェーンウォレットの機能が入っている」と付け加えて,本作が参入障壁の段階を下げたことが功を奏したのだろうとも補足した。

 その反面,yurisaさんはロサンゼルスでSTEPNがはやらない理由の一因として,「(運動好きでも日々の生活において)クルマ社会で住民がほとんど歩く機会がない」と語る。実際,現地ではショッピングモールですら広すぎて,クルマ移動するほどだという。
 逆に,日本では運動などの趣味嗜好とは別に,コンビニまで歩く,通勤・通学で駅まで歩くといったライフスタイルが一般的であり,ついでに起動すれば即座にゲームをスタートできるSTEPNは,日本人の生活習慣に即していたのではないかと見解を述べた。

 そうしたyurisaさんの見解から,話題は「Move to Earn」へ。
 Move to Earnとは“日常生活を資産化する試み”を指し,STEPNの歩いて稼ぐ,すなわち「Walk to Earn」もまさしくその一つだ。最近では眠って稼ぐ,すなわち「Sleep to Earn」を標榜するプロジェクトすらも登場しており,一部で注目を集めていることが紹介された。


ユーザーコミュニティの存在で
「STEPN」は継続していく


 STEPNには女性ユーザーが多く,SNSでは“STEPN女子”と呼ばれる女性インフルエンサーが散見されることも特徴だという。
 ゲームを遊ぶこともお金を稼ぐことも,一般的な観念で言えば男性のほうが好むといった印象が強いらしいが,STEPNではそれらの印象とは異なる動向が見られたとのこと。

 あきさんはここで再び,「(ゲーム好きではなくとも伝わる)分かりやすさが参入障壁を下げた」とあらためて指摘した。
 さらに,女性ユーザーがSTEPNをプレイするために町中を歩くと,キレイな風景や美味しそうなスイーツなど,写真映えするものをついでに撮影してSNSに投稿する動きが活発化し,そこに男性が「いいね!」するという経済圏が形成されたのではないか,との推論も披露する。

 そこにyurisaさんも乗っかり,多くの女性は「たまごっち」や「ポケモンGO」のように“何かをしたら,こうなった”と,他者に行動の結果を示せるようなわかりやすさを備えるゲームが好きであるとし,STEPNもそうしたゲームに分別されたのでは語る。
 それを受けてあきさんも「歩くという行為に対する自己肯定感や,身体にいいことをしている感を,みんなに見てもらって“いいね!”してもらいたいという気持ちがある。それをお互いにやり合うことで友達感覚が築かれ,オフ会につながっていく」と見解を補った。

 そうした女性ユーザーらは,2022年5月のピークを過ぎた今でもSTEPNを続けており,オフ会を開いている。その事実が今後のブロックチェーンゲーム開発のヒントになるのではと,ジョン氏が口をはさんだ。
 既存のブロックチェーンゲームの多くは,従来のゲームデザインに「ブロックチェーン技術を応用しているだけ」のため,どうしてもゲームとしてのクオリティやパフォーマンスが落ちてしまいがち。しかしSTEPNのようにソーシャル面を打ち出すのであれば,品質が気になるポイントではなくなり,新たな遊びを生み出せるかもしれないとした。

 話題はオフ会の規模にも及んだ。過去に行われたイベントについては,2022年4月に100人規模,8月に200人規模で開かれたという。
 また9月後半には,全国20か所で10人前後の小規模イベントを開催し,それらをネット配信でつなぐ企画を予定しているとのこと。

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 こうした状況での今後について,橋本さんは「STEPNはコミュニティがしっかりしている。たとえゲームのサービスが終了しても,一度形成されたコミュニティのつながりが消えることはない。今後もSTEPNは続いていくと思うし,Move to Earnにも新たなアイデアが生まれて,STEPNのような盛り上がりを見られることに期待している」とコメントした。

 あきさんも「STEPNは続いていく」とし,理由として全国のコミュニティが自主的にオフ会を開催していることに言及。「皆さんとお話すると,STEPNが本当に大好きだということや,STEPNがブロックチェーンゲームを変えると本気で信じていることが伝わってくる」「仮にSTEPNのサービスが終了しても,自分たちでなにかを始められる段階にきている。今の私たちが想像していないようなことが,今後のブロックチェーンゲームやMove to Earnで起きる可能性がある」と期待を述べた。

 yurisaさんは「なにか起爆剤があれば,アメリカでもSTEPNが爆発的にヒットするかも」と予想する。(日本のように)お金稼ぎとはべつに,STEPN自体を盛り上げようとする人が現れ,増えていくことに期待しているようだ。また今後はインフルエンサーの1人として,STEPNのようなMove to Earnタイトルの普及に貢献してきたいと話した。

 イベントの最後に,ジョン氏が「今なら自信を持ってSTEPNを勧められる」と発言した。STEPNが仮想通貨を扱うコンテンツであることから,ブームが過熱していた時期はむしろ強く注意喚起していたそうだが,こうしてブームが去り,簡単にはお金を稼げなくなっても,ファンが根強く存在し,彼らがしっかりしたコミュニティを形成している今なら,比較的安心してプレイできるという論旨である。
 そのうえでジョン氏は「ブロックチェーンゲームである以上,投資という側面はあるので十分な注意を払ってほしい」と呼びかけた。

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