「DUST 514」をベースにしたPC向けMMOFPS「Project Legion」などが発表された「EVE FANFEST 2014」のトピックをまとめてレポート

EVE FANFEST 2014の会場となったイベントホールHARPA

　CCP Gamesは，アイスランドの首都 レイキャビクにあるイベントホールHARPAにて，現地時間の2014年5月1日から3日まで「EVE FANFEST 2014」を開催した。すでにマルチプレイシューティングゲーム「EVE: Valkyrie」の情報などをお伝え済みだが，本稿では5月2日と3日のトピックをまとめて紹介しよう。

DUST 514をPC用ゲームとして再構築するProject Legionとは

　開催2日目となった5月2日最大のトピックは，PlayStation 3用マルチプレイFPS「DUST 514」をPC用ゲームとして再構築する「Project Legion」の発表だ。EVE FANFEST 2014でも詳細については発表されなかったが，クリエイティブディレクターを務めるAtli Mar Sveinsson氏に聞いて分かったことをお伝えしよう。

CCP GamesのAtli Mar Sveinsson氏

　Sveinsson氏がもっとも強調していたのは，Project LegionはDUST 514をPCに移植したものではないということだ。EVE Onlineの世界観をベースにしているのは共通だが，DUST 514の開発と運営で学んだことを活かして新たに作られているのだという。従ってマッチメイキングの方法やマーケットの探し方などは完全に異なる。例えばDUST 514ではボタンを押せば自動でマッチメイクされるが，Project Legionには，誰が敵なのかも分からないような冒険の要素を盛り込み，MMORPG色を強めているそうだ。

　もちろんPvPを完全に無くしてしまうわけではない。それは残しつつ，どこかの惑星に降り立ってドローン（NPC）と戦って得たアイテムや資源などをマーケットに出し，PvPをメインに戦うプレイヤーに売るといった遊び方もできるようにするのだ。普通のMMORPGにあるようなミッション的なものも用意され，プレイヤーはそれをクリアしていくことで自分自身のスキルを高め，キャラクターを成長させ，PvPも楽しめるようになる。

Project Legionの開発中画面

　Project Legionは，EVE Onlineとの連携も含めてアイデアを煮詰めている段階にあるそうで，さらに詳しい情報は追って発表するとのこと。ちなみに，DUST 514のエグゼクティブ プロデューサーであるJean-Charles Gaudechon氏は，DUST 514からのデータ引き継ぎに対応する旨を発表している。

アップデートの間隔を短くし，よりフレキシブルに対応するEVE Online

　「EVE Online」（PC/Mac）では，大型のアップデートが年に2回行われてきたが，今後はその間隔を短くすることが，5月2日に開催されたプレゼンテーション「EVE Keynote」で発表された。2014年6月3日に実装されるKronosを筆頭に，2015年4月までのアップデート名と日時は以下のとおり。

EVE Onlineのロードマップ。2015年4月に実施されるアップデートの名前も決まっている

・2014年
6月3日　Kronos
8月19日　Crius
9月23日　Hyperion
11月4日　Oceanus
12月9日　Phoebe

・2015年
1月20日　Rhea
2月7日　Tethys
3月17日　Theia
4月4日　Themis


　EVE OnlineのシニアプロデューサーAndie Nordgren氏によると，アップデートの実装間隔を短くする理由は，プレイヤーの声などによりフレキシブルに対応できるようにするためだという。もちろん各アップデートの規模は半年に1度のものよりも小さくなるが，プレイヤーの要望に沿った調整などが加えやすくなるのだろう。

　また，EVE KeynoteではKronosの詳細も発表された。大きな変更としては製造関連が挙げられる。これまでの製造はベテランプレイヤーでも理解が難しい，複雑なものだったが，根本的な仕組み，ユーザーインタフェースなどを作りかえ，初心者でも取り組みやすくなるという。これまでは複雑な計算が必要な要素があったが，ブループリントをセットすれば，初心者でもなにをすればいいのかが分かるように改良されるのだ。

EVE Onlineのリードゲームデザイナー Petur Orn Thorarinsson氏

　このほか，時期は確定していないが，チュートリアルを変更する予定があることをEVE Onlineのリードゲームデザイナー Petur Orn Thorarinsson氏が語ってくれた。Thorarinsson氏によると，現状のチュートリアルはかなり分かりづらく，プレイヤーの評判もあまり良くないため，完全に別物を用意するのだという。現状のチュートリアルは流れに沿ったミッションのような形式が採られているが，それは明確なストーリーがないEVE Onlineに合ったものではないため，プレイヤーがやりたいことを補助するような形のものを考えているそうだ。

Kronosではタイフーンのデザインやワープエフェクトも変わる

さらなる広がりを見せるEVEユニバース。EVE: Valkyrieのコミックも登場

　EVE FANFEST 2014の最終日となった5月3日には，EVE OnlineのIPを使った関連商品が発表された。なかでも注目を集めたのは，EVE: Valkyrieのコミック化で，Dark Horse Comicsから2015年に刊行される予定だ。このコミックでは，ValkyrieのパイロットであるRan Kavikの物語が描かれるという。Dark Horse Comicsといえば，EVE Onlineでプレイヤーが体験したエピソードを複数の作家によるオムニバス形式にまとめた「True Stories」も手がけているが，今回は1人の作家によるオリジナルの物語が展開されるようだ。
　このほか，「EVE Universe: The Art of New Eden」というアートブックが発売されることや，EVE Onlineに登場する宇宙船の模型についても紹介された。

EVE: Valkyrieのコミックは，デジタル配信も行われる予定だ

EVE Online，DUST 514，EVE: Valkyrieの3タイトルに同じキャラクターでログインできるようになるという構想も紹介された

　CCP GamesはEVE OnlineのIPを使った商品展開を積極的に推し進めており，2013年にはテレビドラマ化も発表されている。このドラマは，プレイヤーからゲームのエピソードを募集したコンテスト企画「True Stories」の応募作がベースとなるということだが，FANFEST 2014でその進捗が公開されることはなかった。True Storiesのコミックはすでに発売されているだけに，早く続報を聞きたいところだ。

　また，日本人プレイヤーには直接関係ないが，EVE Onlineがフランス語をサポートすることも発表された。実施時期は2014年9月。50万以上の登録者数を誇るEVE Onlineだが，新たな言語がサポートされることで，さらなる拡大が予想される。サービス開始から10年経ってもプレイヤーを増やす大がかりな施策を打ち出せるあたりに，EVE Onlineの強さがうかがえる。Project LegionやEVE:Valkyrieなど，さらなる広がり見せるEVE Online。2015年も例年どおり3日間のFANFESTを開催することも発表されており，勢いが弱まる気配はない。

フランス語のサポートが発表されたときは，来場者全員でフランス国旗を振るパフォーマンスも行われた

2015年のEVE FANFESTは3月19日から21日まで開催される予定だ