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[GC 2005#17]「Black & White 2」も(ついに)プレイアブルに
奇才と呼ばれるゲームデザイナー,ピーター・モリニュー氏の手による作品「Black & White 2」(邦題 ブラック&ホワイト2。以下,B&W2)は,その内容をひと言で表すのが難しいが,なんとかかいつまんで説明してみよう。
プレイヤーはゲーム中では"神"となり,島に住む人々に助力したり,あるいはその発展を妨害したりすることが可能だ。プレイヤーは人々を"手の形のカーソル"でつかんで移動させたり,資源をつかみ取って建築物を造ってあげたりできるが,基本的に彼らから見られることはない。
直接彼らとふれあうのはプレイヤーのしもべ,つまり"神の使い"ともいえる巨大なクリーチャー達である。ただしクリーチャーはAIで行動するため,プレイヤーは彼らを直接操作できない。しかし首についた紐を引っ張って移動させたり,誉めたり叱ったりすることはできる。つまりプレイヤーは,クリーチャーに対して"しつけ"を行えるのだ。
人々を大切にすることを教えられたクリーチャーは,そのうち言われなくても人々の役に立ったり,彼らに喜ばれたりする行動をとるようになる。自分のクリーチャーが町の守護神のような存在になれば,人々の自分(=神)に対する信心も高まっていく。信心が集まれば神はさらなる力を得て,より多くのことができるようになっていく。
逆にクリーチャーに人々を怖がらせるようなしつけを施した場合,クリーチャーは守護神ではなく,人々の畏怖の対象となっていくはずだ。そうなったらそうなったで,人々の中には"恐ろしい神"を崇め敬う心が育てられていき,やはりプレイヤーは力を得ていく。このように良い神として振る舞うのか,それとも悪い神となるのかを自分で選べるところが本作のポイントだ。
最終的には優しい心,あるいは悪しき心をもって人々を導き,ステージとなる島全体を自分に属する人々達で満たすことがゲームプレイの目標となる。
その作業において中心的な役割を果たしたのが,Ron Miller(ロン・ミラー)氏だ。Blizzard Entertainmentで「StarCraft」や「Warcraft」といったセールス的に成功した作品を手がけた経験を持つミラー氏は,分かりにくさ解消のために,まずいわゆるメニューやインタフェースの導入を提案した。モリニュー氏自身はコンピュータ然としたメニューやボタンの類がゲーム画面上に溢れることを嫌っていたのだが,作品をより良いものにするためにこのアイデアを採用した。
さらにミラー氏のアイデアによって,「善と悪の対立」「人々を増やし,町を発展させ,敵対勢力と戦う」といった要素がより分かりやすいように強調された。必然的に戦闘の重要度は増すので,その周辺に要素を追加した結果,本作はストラテジーと呼べるようなゲームへとブラッシュアップされていったのだ。
このようにしていよいよ完成へと近づいていったB&W2だが,E3においても,EAのプライベートショウであるHot Summer Night 2005においてさえも,プレイアブルな出展は行われなかった。しかし今回のGCではいきなり解禁状態! EAブースに何台も置いてあるだけでなく,Intelなどの大きな試遊コーナーに10台以上が並んでいるという状態だったのだ。
比較的難しい,玄人好みのゲームであるはずのB&W2なのだが,会場ではティーンエイジャー達がプレイする姿を多く見かけた。しかも一度席に着いたら,多くの人がなかなか立ち上がらずにプレイを続けている(なんとこの場で30分以上EAスタッフと会話していたのだが,その間,1席も空かなかった)。これが分かりやすさを求めて改良を行った成果なのかもしれないと考えると,とても興味深い。
それ以外には,人々の陣形を指定するようなアイコンも目についた。フォーメーションはまず戦闘をする場合に重要で,それ以外の部分でも陣形によって人々の作業の効率が上がったり,何かアドバンテージを得られることがあるとのことだ。神の力で地震を起こしたり,火山を噴火させたりといった,いかにも"ゴッドシム"といった要素ももちろん健在。マウスジェスチャーによる操作も可能だという。
個人的には視点を島の全景を見渡せるほど高いところから,人々の表情が見えるくらい低いところまで自在に移動させられるという仕様にあらためて独特の気持ちよさを感じた。これはB&W1の頃からの仕様だが,4年前に比べれば飛躍的に品質が向上したグラフィックスで同じことをやってのけられると,また感慨が深かった。
ともあれ,ここまでオープンにされているのであれば,我々が再び"神"としてブラック&ホワイトの世界に降り立てる日は間近だろう。(ライター:星原昭典)
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