インタビュー
世界の開拓から歴史の開拓へ──「2nd Age」で新たなるステージへと突入する「大航海時代 Online」の開発者インタビューを掲載
2nd Ageについては2月に行われたコーエーテクモゲームスのオフラインイベント「ネットエンターテインメント フェスタ in 秋葉原」で,その名称と概略が発表されているが,その内容は“時間を動かして海の歴史を変える”という漠然としたものに留まった(関連記事)。
2nd Ageの実装で,大航海時代 Onlineはどういう進化をするのか。今回,この発表から数か月が経過しリリースが迫ってきたところで,アップデートの中核となる「ワールドクロック」システムを中心に,2nd Ageで実装される新要素の中身を,本作の開発プロデューサー竹田智一氏,運営ディレクター木部高広氏から話を聞いてみることにした。
「大航海時代 Online」公式サイト
時間の流れを司るワールドクロックシステムにより時代を移動する
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。新しい拡張パック「2nd Age」が2月に発表されましたが,改めて概要を教えてください。
はい。これまでの拡張パックでは世界を広げ,新しい土地を開拓する楽しみを提供してきました。今回は世界的な広がりではなく,時間というパラメータによる冒険の広がりがテーマとなり,「大航海時代 Online」は新たなステージに突入します。拡張パックのタイトルを「2nd Age」にしたのも,そういった意味合いからです。
木部高広氏(以下,木部氏):
これまでが1st Ageという位置づけで,次の拡張パックで2nd Ageに突入というイメージです。大航海時代 Onlineは歴史ゲームとも言えるタイトルですので,時間を,歴史を変えていくのがポイントになってきます。
4Gamer:
時間による奥行きを広げるという発表には,正直驚きました。確かに7年のサービス期間を経て,海洋という面においては世界が開かれきった印象がありますし,なるほどとも思えますが。ところで,この時間という要素で重要になるのが,「ワールドクロック」システムになるわけですね。
竹田氏:
そうです。ワールドクロックのコンセプトについてお話しますと,「プレイヤーの行動により時間の流れが変動し,それにより歴史が変わっていく」ことがキーとなります。
4Gamer:
これまでにも歴史を追っていくという形のクエストがありましたが,それとは違うわけですか。
竹田氏:
歴史そのものにプレイヤーが介入していくというイメージです。史実どおりに歴史が進むこともあれば,ifの歴史が開始されることもある。それをプレイヤー自身が作っていくことになります。
木部氏:
時間は,現在から未来にしか歴史は流れないと思われるかもしれませんが,過去にも行けるようになるのがワールドクロックの特徴です。ただワールドクロックの実装で,これまでの大航海時代 Onlineの遊び方が根本的に変わるというわけではありません。あくまで遊び方に幅を持たせて,より楽しくするためのシステムになります。
4Gamer:
過去にも行けるんですか。なるほど……というには,まだ漠然としていますね。具体的に,ワールドクロックでは,どうやって時間を動かすのでしょうか。
竹田氏:
ワールドクロックは「世界の時間を司る時計」,いわば概念的なものになります。そもそも大航海時代 Onlineは,15〜18世紀という広い年代の国々が混在した世界ですが,ワールドクロックによって,いまが何世紀の何年なのか,という時間が設定されます。
4Gamer:
今までゲーム内は,大航海時代という時代(時間)がいろいろと凝縮された世界,ごった煮といった状態でした。でも,時間が設定されるということで,例えばクエストなどはどうなるのか気になります。
竹田氏:
広い年代の国々が混在している点については変わりませんし,既存のクエストなどにも影響を与えません。2nd Ageでは,世界が現在は何年であるというパラメータを持つようになり,それにリンクして新しい要素が関わってくると捉えていただけると,分かりやすいかもしれません。
例えば,何か大きな歴史的事件があるとします。プレイヤーは,史実どおりに進むか,史実に逆らうようなifの方向に進むかの二派に分かれて介入することになります。事件が史実どおりの結末なら,そのまま未来へ。史実とは違う結末になると,過去にさかのぼります。
4Gamer:
つまり,プレイヤーの一人一人の行動が,ワールドクロックに影響を及ぼすということですね?
竹田氏:
そうです。プレイヤーの皆さんの行動が蓄積されて,時間が動くことになります。これは歴史的事件の発生で大きく動くのですが,普段の行動からも少しずつ蓄積されているんですよ。
大航海時代の分岐点になった「アルマダの海戦」を例に説明すると,史実では,この海戦でイスパニア(スペイン)がイングランドに負け,覇権が大英帝国に移っていきます。ゲーム内で起こるこの海戦で,イングランドが勝てばイングランドやオランダが力をつけていく史実どおりの未来へ。逆にイスパニアが勝つとスペインの黄金時代へさかのぼるといった感じです。プレイヤーキャラクターの国籍によっては,その時代によって多少の有利不利が出てくるかもしれません。
ちなみに歴史的事件の発生条件については,この港をこの国が持っていたら,といった条件があったりします。
4Gamer:
いわゆるクエストを受けるわけではないんですね。なんとなく,Liveイベントに近い感じがします。
竹田氏:
ええ,永続的に続くイベントといった方がわかり易いかもしれません。未来に進むのか過去に戻るのか。また,それぞれ何年時間が動くのかといった要素のトリガーになるのが,プレイヤーの行動の蓄積になります。
4Gamer:
聞いていると,「時間が動く」というのはプレイヤーがというよりも,ワールド(サーバー)がという感じなんですね。
木部氏:
そのとおりです。ですので,ワールドによって世界(の歴史)が違うものになる可能性があります。ちなみに,これはシステム的に動かすイベントとなっていて,例えば運営側で歴史を動かすといったことはないので,世界がどのような状況になるのか,私達も楽しみにしています。
4Gamer:
歴史的事件の発生が,時間が動くトリガーということですが,例えば,同時に条件を満たして,二つ以上の事件が同時進行する可能性はあるんですか?
竹田氏:
いえ,歴史的事件が同時多発的に起こることはないように,最低限の制御は行っています。ですから,プレイヤーの皆さんには,現在起こっている事件に積極的に参加していただければなと思います。
4Gamer:
では,歴史的事件への参加条件などはありますか。また,年代が動くとき,どのくらいの幅で動くのでしょうか。
木部氏:
例えば海戦が関わる場合は,海戦に参加できることが条件といった具合に,最低限の条件はありますが,基本的には誰でも参加できます。
竹田氏:
時間の振り幅については,15〜18世紀のいわゆる大航海時代ですが,この先はどうなるか分かりません(笑)。最初は限られた歴史の幅の中から始めて,少しずつ広げていければと考えています。
冒険者/商人/軍人の3職業向けの新システムを導入
4Gamer:
ワールドクロックで時間を動かせる,というのは分かりました。そうすると,「時代が動くと何が変わるのか」という疑問が生まれます。
先にも言いましたが,歴史が変わったからといって,既存のクエストが行えないということはありません。今までのコンテンツは従来通り遊べます。ただ,その時代に行くことで,2nd Ageで新しく加わる要素に変化が起こります。
4Gamer:
どんなものなのか,さっそく教えてください。
竹田氏:
冒険者/商人/軍人の3つの職業に対して,それぞれ時代と密接に絡んだ新規システムが導入されます。
まず,冒険者用のコンテンツとして「トレジャーハント」が登場します。今まではクエストでの発見がありましたが,基本的に史実のものだったり,現存する遺物だったりと歴史的なものを見つけることが目的でした。トレジャーハントでは,その時代に空想されていたようなものが主な発見対象になります。
4Gamer:
エクスカリバーなど伝説の遺物は登場していましたが,それらとは違うんですか?
竹田氏:
トレジャーハントで発見できるものは,あったかどうかすら分からないものなんですよ。そうした空想上の何かを,謎を解き明かすことで発見できるようになります。ただ,既存の発見物の一部がハントの対象として登場することはありえます。
4Gamer:
謎を解き明かすためには,どのような過程が必要になるんでしょうか。
竹田氏:
発見クエストはギルドで依頼を受けて,何かを探しに行くという形がほとんどですが,トレジャーハントは依頼を受けるという形ではなく,世界中に散らばった情報の破片を集めてお宝を探します。この情報の破片のことを我々は「レリックピース」と呼んでいます。
4Gamer:
なんとなく「沈没船の地図」みたいですね。
竹田氏:
ええ,似ています。プレイヤーは酒場の噂話を耳にするように「世界のどこかにお宝の眠る場所があるらしい」という大きなテーマを聞き,それに対してさまざまな場所でレリックピースを集めることになります。そうして集めていくうちに「これは○○なんじゃないか?」と閃くんです。例えば,集めたレリックピースの組み合わせによって,新しい情報や手がかりを得て,さらに集めていくと「エルドラド伝説」に突き当たるといった感じです。
ただ,プレイの仕方によっては,エルドラド伝説にはならず,別のお宝伝説に辿り着くかもしれません。従来のクエストは一本道でしたが,トレジャーハントでは結末が変わるのが大きな違いですね。
木部氏:
加えて,時代によってプレイヤーが受け取れるテーマは変化します。そのため,各ワールドで発見できるものは変わるかもしれません。
竹田氏:
トレジャーハントで新たに発見した場所はその時だけしか行けなくて,その場所があったことを示すのは手に入れたお宝だけになります。しかも人によって行ける場所が違うことがある。これがトレジャーハントの面白い部分ですね。
4Gamer:
なるほど。そこにたどり着いた! こんなものがあった! という,それらしい証拠だけしか持ち帰れない,まさに伝説の発見なんですね。ほかの人にはたどり着けるかどうか,あるのかさえ分からない。
木部氏:
そんな感じです(笑)。それに同じ伝説の場所でも,年代や発見の仕方によって姿が変わっていることもあるんですよ。
4Gamer:
なるほど。そうすると,全貌が見えてくるには,長い時間が必要そうですね。続いて時代と商人の関わりを教えてください。
竹田氏:
はい。商人は莫大な資産を持っていますが,その資産を使った新しいシステムとして,NPC国家“神聖ローマ帝国”が追加されます。かつて神聖ローマ帝国では,選帝侯による皇帝選挙が行われていました。その選挙に,商人は資産を使って介入できるようになるのが,新システムの「皇帝選挙」です。
4Gamer:
皇帝選挙の内容を教えてもらう前に,どうしても気になることがあるんですが,プレイヤーは神聖ローマ帝国に所属できますか?
竹田氏:
いえ,それはできません(笑)。神聖ローマ帝国はプレイヤーに対してニュートラルな立ち位置にある,NPC国家という扱いになっています。
木部氏:
なお,皇帝選挙が行われる場所として,新しくフランクフルトという都市が登場します。
4Gamer:
新しい街もあるんですね。では,皇帝選挙のことを教えてください。
竹田氏:
神聖ローマ帝国はヨーロッパの中央にあって,皇帝は情勢に多大なる影響を与えます。皇帝が誰になるかでプレイヤーに有利不利が生じるので,自分が望む皇帝を支援するという仕組みです。
4Gamer:
例えば,どんな有利不利が出てくるのでしょうか。
竹田氏:
戦争を好む人が皇帝になれば軍事面で優遇されるでしょうし,文化を振興する皇帝であれば冒険者側に有利な政策が行われます。また,選挙に多大なる貢献をしたプレイヤーには,宮廷の顧問になれるといった特典もあります。
4Gamer:
宮廷顧問になると,どういったメリットが?
竹田氏:
そのあたりは追々公開していきますので,もうしばらくお待ちください。
4Gamer:
分かりました。では,選挙は定期的に行われるのでしょうか。
竹田氏:
時代が動くと,皇帝の任期が切れて皇帝選挙が行われます。当然,その時代に合わせた史実の皇帝候補が出てきます。史実のイメージに沿って候補ごとに特色ある政策を公言しますので,プレイヤーの皆さんはどの候補が自身のプレイに有利に働くか考えて,誰を支援するかを決めていただきます。
4Gamer:
なるほど,ここではワールドクロックが皇帝の任期に影響しているんですね。一風変わっていますが,これもまた歴史介入ですね。では,軍人はどうでしょうか。
竹田氏:
軍人向けの新要素は,強敵と戦うPvEシステムになります。その時代に名を馳せた軍人だったり海賊だったりが,「ガナドール」として登場し,プレイヤーは彼らと戦うことができます。ガナドールは反則なくらい強くて,ものすごい数の手下を従えているので,それをプレイヤー達が艦隊を組んで倒しにいく形になります。
4Gamer:
どんな強敵が登場するんですか?
木部氏:
これは時代によって変わっていて,例えばオスマン帝国全盛の時代ならオスマン提督が登場します。
4Gamer:
ガナドールとの戦いは,既存の海戦とは違うものになるのでしょうか。
竹田氏:
基本的には変わらず,艦隊同士の戦いになります。ただ,ガナドールの配下として最大100隻がマップ上に存在していて,味方は一艦隊なので,かなり厳しい戦いになることが予想されます。戦略的にはボス格の艦隊にいきなり突っ込んで倒すこともできるのですが,マップによっては細長い道に手下格が配置されていたりするので,一筋縄ではいかない感じですね。
4Gamer:
複数の艦隊で協力してガナドールを倒すこともできるのでしょうか。
味方は一艦隊,つまり最大5隻ということになります。また,ガナドールに挑戦するには特定のアイテムを消費する必要があります。
4Gamer:
かなり歯ごたえはありそうですね。レベルが低いと大変そうですが。
竹田氏:
名の知れたガナドールは相当強いですよ。ただ,下級のガナドールも存在していますので,幅広いレベル層で楽しめるコンテンツになっています。
4Gamer:
なるほど。ちなみにガナドールがそこまで強いということは,味方が全滅しても敵のHPは減ったままで,何度も戦うことで倒すようなものだったりするんですか?
竹田氏:
いえ,ガナドールとの戦いは一発勝負です。全滅してしまったら,次に戦う時はガナドールも全快しています。ただ困難な分,報酬も豪華なのでがんばって打倒していたただければと思います。軍人用コンテンツですので,船に関する報酬が期待できます。
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