NVIDIA，「本邦初公開」のGeForce GRID実動デモを披露。サーバー製品は日本でも2013年初頭に発売へ

橋本和幸氏（Sr.Director, Entertainment Technology, NVIDIA）。スクウェア（現：スクウェア・エニックス）やElectronic Arts，Avatar Realityなどを経て現職。3Dグラフィックス業界の超大物である

　2012年7月26日，NVIDIAは，GPUコンピューティング関連の技術系イベント「GTC Japan 2012」を開催した。米国で年に1度開催される「GPU Technology Conference」（以下，GTC）のローカル版として，世界各国で持ち回り開催されるイベントの日本版だ。
　その基調講演や技術セッションの詳細は追ってお伝えしたいと思うが，NVIDIAの橋本和幸氏がスピーカーとして登壇したセッション「クラウドゲームを経済的に実現するGeForce GRID」では，本邦初公開とされる「GeForce GRID」の実動デモが披露されたので，今回はその直撮りビデオを速報としてお届けしたいと思う。

　下に示したのは，シリコンスタジオ製ポストエフェクトライブラリ「YEBIS 2」ベースの技術デモをGeForce GRIDサーバーで実行し，GeForce GRIDサーバー上でビデオストリームへエンコードして，セッション会場へライブ配信しているものだ。ビデオの途中で，橋本氏が実際に操作しているあたりとそれ以降が最大の見どころとなる。

デモの基本情報。フレームレートは写真だときっかり30fpsだが，実際には29〜31fps程度だった。ムービーにテアリング（ティアリング）が生じているのはVSyncが無効化されているためだろう

GeForce GRIDサーバーは2013年初旬に国内発売の見込みという

　デモ自体はわずか10日の突貫作業で作ったものとのことだが，「GK107コアを搭載した，1チップ仕様のGeForce GRIDカード」（橋本氏）で，720pの3Dデモを2ストリーム，30fpsで配信できていることが分かる。

　北米で5月に開催されたGTCメイン大会でNVIDIAは，GK104コアのGPUを2基積んだGeForce GRIDカードでデモを行っていたが，橋本氏いわく，これは「北米ではFPSがメインターゲットとなるため」。「国内ではむしろMMO系を重視すべきで，そうなると，採算へ載せるためには，1サーバーで30クライアント程度をさばく必要があるだろう。GPU 1基で2ストリームなら，1サーバーに16基搭載すればクリアできる計算で，これなら行けそうだ」と氏は述べていた。

　なお，氏によると，GeForce GRIDサーバーは，（世界市場では年内に間に合う可能性があるものの）国内だと2013年初頭にサーバーメーカーから出荷される見込み。2013年には，GeForce GRIDベースのクラウドゲームサービスが始まるかもしれない。

NVIDIAのGeForce GRID製品情報ページ

GTC Japan 2012公式ページ