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[G★2007#63]ゲームポットの植田修平代表取締役社長が,オンラインゲームにおけるコミュニティの重要さを講演
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印刷2007/11/11 23:51

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[G★2007#63]ゲームポットの植田修平代表取締役社長が,オンラインゲームにおけるコミュニティの重要さを講演

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ゲームポットの植田修平代表取締役社長
 G★2007と同時に開催された「KGC2007」(Korea Game Conference 2007)では,11月9日にゲームポットの植田修平代表取締役社長が,「Japanese Online Game Communities and Their Impacts on Business」と題した講演を行った。

 実は植田社長は,2007年2月に日本で行われた「Asia Online Game Conference 2007 Tokyo」において「ゲームポットの事業戦略におけるコミュニティの活用法」という講演を行っており(関連記事),今回の講演はこれのアップデート版といったもの。要するに,オンラインゲームのプレイヤーが作るコミュニティをうまくサポートすることで,長期的にそのゲームで遊んでもらいやすい環境を作り,ビジネスを成功させてきた……というお話である。
 そのため,AOGC2007の講演を聴講した人や,そのレポート記事を読んだ人にとっては,それほど目新しい内容はないだろう。とはいえ,日本で成果を上げているゲームポットの社長が,ゲームの供給元の一つでもある韓国でこのような講演をしたのは意義深い。

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 冒頭,植田社長はゲームポットが現在手がけている10タイトル(サービス前のものも含む)と,日本市場の特性(日本人が好むキャラクターデザインは,アニメっぽい2Dのもの)を簡単に紹介。人気のあるオンラインゲームは,強固なコミュニティに支えられており,コミュニティが強固なタイトルほど長期間サービスが続いているというデータを示した。
 そのうえで,コミュニティを重視することこそが,オンラインゲームを日本で成功させるための秘訣であると断言。「デベロッパではなく,パブリッシャとして,どのように(プレイヤーの)コミュニティを形成し,ビジネスに活用してきたか」について,三つの事例を元に説明するのが,本講演の内容であると語った。

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「ファンタジーアース ゼロ」専用SNSの事例


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 AOGC2007の講演ではMMORPG「君主 online」を題材に,コミュニティが自発的に発展し続けるために,ユーザーによる自治を促したという事例が語られていたが,今回はこれを割愛。代わりに,MMOアクションRPG「ファンタジーアース ゼロ」(以下,FEZ)を題材に,FEZプレイヤー専用SNSでコミュニティを活性化させた事例が語られた。

 FEZのSNSは,ゲームのデータベースと連動することで,ニックネームや性別,レベル,ギルド,ランキングなどをプロフィールとして公開しあえる仕組みを採用している。SNSが開設されたのは2007年7月10日のことだが,それから約4か月を経た現在,1日あたりのユニークユーザーは1万人,コメント数は1日あたり2000件以上,そして月間1600万PVを記録しているとのことだ。
 少しでも長くFEZで遊び続けてもらうため,SNSを導入したのだそうだが,ゲーム内のコミュニケーションツールでは語り尽くせないようなこと,伝えきれないことなどをやりとりする場として活用されているとのこと。
 フレンドリストや足あと機能によってコミュニティが活性化し(これはFEZのSNSのみならず,SNS全般に言えることだが),同時にFEZのプレイヤーしかいないSNSであるために,最初から共通の話題があるわけで,コミュニケーションを図りやすい環境が出来ているのも見逃せない。
 SNSの開設は,ユニークユーザーの28%増,公式サイト滞在時間の30%増と,FEZ自体にも好影響を与えたとのことだ。

 FEZの事例紹介のあとは,MMORPG「CABAL ONLINE」とオンラインゴルフゲーム「スカッとゴルフ パンヤ」が取り上げられたが,こちらの内容はAOGC2007とほぼ同じで,SNSやブログ,同人誌などを活用してきたというものだった。


質疑応答はちぐはぐに。それでも植田社長の熱意は伝わった……か


 こうしてすべての事例が語られたあと,質疑応答の時間が設けられたのだが,ここで韓国でゲームのコミュニティサイトを運営しているという人から「ゲームの開発会社と連携した動きをとると,『それは広告ではないのか?』と,ゲームの純粋性についての議論が発生することが,韓国ではたびたびあります。日本ではこういうことはないのですか?」「ゲームの不具合や運営の不備に対し,韓国では大勢のプレイヤーが一斉にクレームを入れて,運営システムをマヒさせるようなことがあります。ゲームポットでも,こういったタイプのクレームを受けたことはありますか? ひょっとしたら,良い回避方法を知っているのですか?」という質問が投げかけられた。
 これに対する植田社長の回答は,「ユーザーが開いたコミュニティサイトが,“さくら”と思われるようなことはありません。実際,会社が運営しているサイトよりも,ユーザーが運営するサイトのほうが,より本音で語れることも多く,そちらにユーザーが集まることも多いです。こういったことに対して,ほかのユーザーからの批判はあまりありません」「細かいクレームやトラブルはしょっちゅうありますが,サイトを閉鎖しなければいけないなど,収集がつかなくなるようなことはありません。とくにゲームのデータベースと連動したSNSの場合,基本的にそのゲームを大好きな人が集まっているので,悪意を持ってゲームをやっている人は少ないので,健全に運営されていると思います」というもの。
 通訳が間に入ったことにより,少々質問内容が端折られてしまった可能性が高く,質疑応答が非常にちぐはぐなものになってしまったのは残念なところだが,それを差し引いても,植田社長の考え方が,性善説に深く根ざしているような印象を受けた。質問者が懸念しているような傾向は,日本でもネット上を中心に散見される。その矛先がゲームポットに向いたとき,植田社長はどのような手腕を見せてくれるのだろうか。そんな手腕を振るわざるを得ない事態を引き起こさないのがベストではあるが,少々気になるところではある。

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 なお講演終了後に,植田社長から今回の感想を聞いてみたところ,オンラインゲームに関しては日本よりも長く深い歴史を持つ韓国で,今回のような講演をすること自体に大きなプレッシャーを感じていたそうだ。それでも,「パブリッシャは開発元ではなくても,ゲームの調理方法によって数字をいくらでも変化させられる」ということを,伝えたかったのだと語ってくれた。
 ゲームポットがこれまで,パブリッシャ一本でやってきたことにプライドを持っているからこそ,パブリッシャの立場でもオンラインゲームに人を集める工夫ができるということを,昨今,パブリッシャが開発スタジオを持つことの多い韓国で,強く訴えたかったようだ。
  • 関連タイトル:

    ファンタジーアース ゼロ

  • 関連タイトル:

    スカッとゴルフ パンヤ

  • 関連タイトル:

    CABAL ONLINE

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