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「三國志 Online」プロデューサー上野氏に聞く,公開合戦テストの成果と第二次クローズドβテスト以降の課題
6月末に2日間の「公開合戦テスト」が行われ,7月6日には第二次クローズドβテストの日程が発表されるなど,このところ話題の多い本作。4Gamerでは,三國志 Onlineの開発チームが置かれるKOEI Entertainment Singapore Pte. Ltd.でシニアマネージャーを務める上野彰三氏にインタビューする機会を得た。三度目となる今回のインタビューでは,プロデューサーの目から見た公開合戦テストの様子や感想に加え,第二次クローズドβテストで初めて実装される地域や仕様についても話を聞くことができた。本作に興味を持つ人はぜひ目を通してほしい。
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4Gamer:
本日はお忙しい中,お時間を割いていただきありがとうございます。合戦テストが終わったばかりですが,2日間行ってみての感想を聞かせてください。
当初の目的であった“クライアントとサーバー間の通信状況”であるとか,“技能の使われ方”などのデータがとれました。テストとしては2日間と短いものでしたが,ほぼ期待どおりのことができました。
4Gamer:
公開合戦テストには参加していたんですが,最終戦ではサーバーが落ちてましたよね。
上野氏:
いえ,あれはサーバーが落ちたのではなく,ワンサイドゲームになってしまったので,こちらの判断で終了させていただきました。技術的な問題ではありません。第一次クローズドβテスト後半の時点で,サーバーが落ちるようなことはほぼなくなったので,サーバーの安定性についてはある程度の確証を持っていました。
4Gamer:
では,“技能の使われ方”を見たかったのがメインだったんですか?
上野氏:
そうですね。公開合戦テストでは,キャラクター全員をレベル40に設定して,そのレベルで身に着けている技能を参加者の皆さんに使っていただきました。注目していたのは範囲技能や蘇生技能です。第一次クローズドβテストではなかった,蘇生技能を入れたことによる戦術的な変化がどのくらい起きるのかとテストさせていただきました。
実際に,やはり蘇生技能が入った影響は小さくなくて,練丹系のキャラクターを軸として前線が移動していく場面が結構見られました。練丹系でプレイしているテスターの方々も,すぐにその重要性に気が付いたみたいで,蘇生を使った立ち回りにすばやく対応されていました。
4Gamer:
蘇生は自分のところにも飛んできました。「あ,今回はコレがあるんだ」って思いました。
上野氏:
復活までの時間の問題も,蘇生があるかないかでかなり変わってくると思います。たとえば,敵のど真ん中に突っ込んで死んでしまったようなときに蘇生してもらうのは難しいですが,前線が押し合いへし合いしているような状態であれば,押しているときに練丹系のキャラクター達が助けてくれて,それで風向きが変わるようなことは十分ありえます。
4Gamer:
練丹系のキャラがいると,その場の安心感が違いますね。範囲効果の回復術を使える人が味方にいると心強いです。
上野氏:
そうですね。また練丹系に限らず,ほかの戦闘スタイルでもいろいろなスキルが使いやすく,効果的になっていたはずです。
4Gamer:
具体的には,どんなスキルが挙がりますか?
投射(弓)系の技能に「釘付け」というものがあります。敵を足止めする技能です。よく考えて使えば,かなり有用なスキルかなと合戦前から考えてはいたのですが,やはりうまく使われている方がいいらっしゃいました。たとえば,蘇生技能を使用中の練丹系キャラクターというのは,やはり敵に狙われやすくなります。そんなときに,やってくる敵の動きを「釘付け」で止める,みたいな使い方です。
4Gamer:
蘇生技能は詠唱時間が長いんですか?
上野氏:
長いです。詠唱が長くて,届く距離も短いです。前線の兵士を蘇生したければ,自分も前線ギリギリまで前進する必要があります。
4Gamer:
個人的には,妖術系が使う炎の範囲魔法が目について印象的でした。
上野氏:
火炎柱ですね。あれはDoT※の効果があって,しばらくキャラクターに火がついたままになるので目立ちますよね。あのようなDoTの効果をうち消す技能が練丹系にはあります。加えて回復という重要な仕事もあるので,今後,勢力全体における練丹系キャラの人数を調節する必要が出てくるかもしれません。
※damage over timeまたはdamage on time。一定時間継続してダメージを受ける,の意
4Gamer:
なるほど。現実的には勢力全体の意志を統一するのは難しそうですね。話し合いをするのも大変そうです。
上野氏:
勢力全体が難しければ,連合の中で調節するだけでもだいぶ違うと思います。
4Gamer:
連合は重要ですね。“陣形”や“戦法”といった連合でなければ使えない能力もありますし。
上野氏:
陣形は合戦/部曲戦でしか使えませんから,ここぞとばかりに使っていただきたいです。
4Gamer:
三國志Onlineでは,とても簡単に連合に参加できますが,それもそういう意図なんですね。気軽に募集や参加要請ができるので,どんどん連合を作ってください,と。
上野氏:
まさにそのとおりです。
■ゲームの中で本物の軍師が誕生する?
4Gamer:
陣形や戦法については,事前に想定していたような使われ方をしていましたか?
上野氏:
いや,想定以上の使われ方をしていましたね。合戦を10回20回経験されているのなら分かるのですが,たった3回の合戦の中で,あそこまでうまく使っていただけるとは思っていませんでした。陣形の使い方などといった情報がうまく伝達されている勢力は,やはりそれなりの戦果をあげているようでしたね。
4Gamer:
情報のやりとりが重要だと言うことですね。そういえば,合戦場では大量のチャットが飛び交っていましたよね。
上野氏:
あのような集団の戦いでは,声を上げられるかというのは大きいです。声を出してくれる人が,勢力にどれくらいいるかで強さは違ってきます。
例えば,今回初めて参加した方は,まず戦い方がよく分からなかったと思います。ターゲットの効率よい切り替え方などが分からない。それを受けて今回,定期的に大声で「こういう風にするといいよ」というのを流している方がいらっしゃいました。これは味方戦力の底上げにすごく役だっていたはずです。あと重要なのは,「北側には敵が何人くらいいます」といった戦況報告です。これを積極的に行う人達を抱える勢力というのは,けっこう粘り強く戦えていますね。
4Gamer:
私が合戦に一兵士として参加していると,「果たしてその情報は合っているのか」とつい思ってしまうんです。戦術を提案している人がいるけど,それって本当に的を射たものなのだろうかと。どうでしょう,上野さんから見てああいう提案って合っているんですか?
上野氏:
それはケースバイケースですね。ただ三國志Onlineのように,同勢力に属したメンバーで何回も合戦を続けていくと,声を出す人がだいたい決まってくると思います。さらに回数を重ねていくうちに,「あの人の言うことはちょっと時間差がある」とか「あの人は先を読んでるから提案が早い」とか「あの人はピンチにならないと言わない」とか,そのプレイヤー達の個性も分かってくるでしょう。それが把握できるようになれば,状況は変わってくるのではないでしょうか。
今回は合戦が3回しかなくて,そのようなところまでは至れませんでしたが,長く戦いを続けていけば,それこそ「三国志」らしく軍師のような働きをする方が出てきてもおかしくはないですね。
4Gamer:
合戦の戦術を組み立てるうえで,何が重要になるんでしょうか?
大事なのは,まず「遊兵を作らない」ことですね。“兵士あまり”を少なくすることで,人数差からくる不利を小さくすることは可能です。そしてもう一つ,「ある程度目的を持った集団,つまり部曲や連合でまとまって動くこと」も大切です。まとまって動くだけでも結構戦力アップになります。さらに二つの部曲/連合が連係して動いたりしたら,これは相手にとってはかなりの脅威といえます。
4Gamer:
うまく戦えば,人数が少なくても勝てるんでしょうか?
上野氏:
合戦は人数の多いところが勝つのが必然なのですが,ゲームとしては少ないなら少ないなりにがんばれるようにサポートしていきたいです。でも,少なくても絶対勝てますというのでは,またゲームにならない。難しいところです。
今回見ている限りでは,人数が少ないほうが押し潰されてしまったケースと,少なくても頑張り抜いて勝利したケースと,両方ありました。合戦に参加されていたのであれば,少数で勝ちを守りきることもできるんだと,まさに肌で実感していただいたんじゃないでしょうか(笑)。
4Gamer:
はい。あれはすごくエキサイティングでした。戦いながら,つい「これは人数差による補正みたいなものが入っているのかな」と思ってしまったのですが,そういうものはなかったんですね。
上野氏:
人数から得点やキャラクター能力に補正が加わることはありません。あるのは,死亡時の復活時間への戦果比による補正ですね。
4Gamer:
ああ,じゃあ一緒に戦っていたプレイヤー達はホントに頑張っていたんですね(笑)。
上野氏:
そうですね(笑)。私も合戦を見ていましたが,あの合戦場では,戦い方が非常によくまとまっていましたね。
■合戦の基本にして最重要事項は,敵プレイヤーを倒すこと
4Gamer:
合戦において,勝敗を決める“得点”はどうやって算出されるのか,戦いながらすごく気になったんですが。
上野氏:
基本的には対プレイヤー戦に勝つことです。例えば,NPCを倒しても戦果は入りません。敵プレイヤーキャラクターを倒すこと。これが最も重要です。
4Gamer:
城の門を壊したら何点とか,敵陣に入ったら何点とかはないんですね。今回はマップ上に砦が三か所ありましたけど,あれを占領する/しないというのも,得点へはあまり影響がないのですか?
上野氏:
砦を占領すること自体よりも,砦を占拠できるとそこを新たな復活ポイントとして指定できるということが大きいです。
4Gamer:
あ,あそこは復活ポイントになるんですか。気が付きませんでした。
上野氏:
その部分は運営スタッフから,もっと告知したほうがよかったですね。砦を掌握すると中に味方NPCが出現します。そのNPCに話しかけて復活場所として指定すると,次回からそこで復活できるようになります。復活してから戦場に行くまでの時間が短縮できるので,その点でかなり有利です。また,砦の周囲では,攻城兵器の建設も可能になります。
4Gamer:
ギリギリの戦いになったときに,「果たして今どうするのが一番いいのか?」と悩んでしまいました。
現状の対人カウントだけだと,ポイントで優勢になったら,あとは引きこもってしまう,という作戦もできなくはないので,そこは手を入れることになるでしょう。
合戦の勝利条件は,現時点のもので確定というわけではありません。プレイヤーの皆さんのやり方を見ながら変更していこうと思っています。以前にもお話しましたが,合戦は戦績を重ねていき,最終的にはそのシーズンの優勝勢力を決める,という形にします。1シーズン中にルールを変更することはありませんが,次のシーズンでは変更されるかもしれません。例えば,F1ではシーズンごとにレギュレーションが変更されることはあっても,シーズン中にレギュレーションが変更されることはありませんよね。
■“聖獣”や“武将の招聘(しょうへい)”は次の段階で実装予定
4Gamer:
本作の合戦では“聖獣”を呼び出せるという話でしたが,今回の合戦テストではまだ使えませんでしたね。このあたりは現在どうなっていますか?
上野氏:
聖獣は,現状の合戦のシステムがある程度出来上がったら,次の段階として入れる予定です。とくに聖獣は影響力が大きいので,慎重に導入しないとかなりカオスな状態になってしまうことが予想されます。少なくとも第二次クローズドβテストの段階では入りません。
4Gamer:
聖獣と並んで気になる要素である“武将の招聘(しょうへい)”はどうですか?
上野氏:
武将は聖獣に比べれば影響力が小さいですが,こちらもまだ実装はしません。聖獣は大局的な影響を与えるものですが,武将の影響はもう少し局地的なものになります。実装の順番としてはおそらく武将が先で,最後に聖獣になるでしょう。
4Gamer:
その二つは結構性質が違うものなんですね。
上野氏:
聖獣は画面からはみ出すほど大きいです。見上げなければならないほどですね。
4Gamer:
では敵に呼び出されたりするともう大変ですね。
上野氏:
いえ,聖獣は基本的にプレイヤーが操作できないものとして考えているので,敵に呼ばれたからもう負けそう,という性質のものではありません。感想としては「あー,呼べるヤツがいたんだー,すごいなー」っていうものになるでしょう。
4Gamer:
どういうことでしょう? 具体的には聖獣にはどんな効果があるんですか?
上野氏:
やっぱりそこはまだお話しできません(笑)。
4Gamer:
実装されてのお楽しみ,というわけですね。残念ですが,期待して公開を待つことにします。
■第二次CBTでは“竹簡システム”と“アイテム強化”を追加
4Gamer:
今回のテストでは確認できなかった,第二次クローズドβテストの追加要素について教えてください。第一次クローズドβテストからはどのように変わりましたか?
追加要素としては,竹簡(ちくかん)のシステムがあります。第二次クローズドβテストからは,技能を覚えるのに竹簡というアイテムを使うことになります。技能は覚えられる数の上限が決まっているので,それを超える場合,いらない技能を竹簡に戻します。その竹簡はプレイヤー間で取引が可能です。
4Gamer:
第一次クローズドβテストでは,すべての技能を師範から教わっていましたよね。
上野氏:
第二次クローズドβテストでも,すべての技能が竹簡になるのではなく,師範から教わるものもあります。それ以外のものは,どこかから入手する必要があります。入手方法は敵から手に入れたり,人からもらったりとさまざまです。
4Gamer:
技能数の上限はどれくらいに設定されますか?
上野氏:
まだはっきりとは決めていませんが,10とか20とか,あまりにも低い値にはしません。
例えば,「強撃・壱」と「強撃・弐」は別々の技能として存在するのですが,上限があると“両方とも覚えておく”ことにするか,あるいは“強いほうだけを覚えておく”か,取捨選択の必要が出てきます。その取捨選択の仕方で,キャラクターの個性が出てきます。それが上限を設ける理由です。上限の数をどれぐらいにするかは,バランスを慎重に考えて決めていきます。少なすぎても苦しいですし,多すぎると上限に意味がなくなりますので,慎重に決めたいと思います。
4Gamer:
となると,入手が難しい竹簡もあったりするんですか?
上野氏:
“なかなか入手できないのに必須の技能”があるとストレスになってしまうので,それは考えていません。お遊び風の技能であれば,そういうのがあってもいいのではと思います。
4Gamer:
竹簡は生産できるアイテムですか?
上野氏:
いえ,生産には関わりません。
4Gamer:
生産以外の方法で入手するんですね。そういえば,生産関係の状況はどうなっていますか?
上野氏:
第一次クローズドβテスト時は,「とりあえず生産できます」という段階でした。第二次クローズドβテストでは,生産してそれを人に売るところまでを体験できます。生産のシステム自体に大きな変更はありませんが,レシピなど細かい部分ではいろいろと調整を加えてあります。
4Gamer:
生産したものを売る仕組みが用意されるということですか?
上野氏:
はい。まずはシンプルなものを用意します。自分が売りたいものを表示して,ほかの人からそれが見えるようにするという,基本的なものです。売り買いの仕組み自体は,もう少し先に大きく手を入れたいと思っているのですが,現状では,普通に売ったり買ったりできるというレベルのものを実装します。
4Gamer:
自分がそこにいなくても売買できる,露店のような仕組みはありますか?
上野氏:
当初は実装しません。選択肢を探りながら,いろいろな方向性で考えていきます。
4Gamer:
追加で生産できるようになったものとかありますか?
上野氏:
アイテムの性能拡張の基本段階を入れます。いきなりすべてを入れるのではなく,様子を見ながら追加していく感じですね。第二次クローズドβテストでは,その関連アイテムが生産可能になります。最終的には,アイテムカスタマイズシステムはしっかりした面白いものになります。
4Gamer:
生産されたアイテムで武器や防具を強化できるんですね。
上野氏:
生産されたアイテムを装備品に付けることで強化する形にしていきます。
■新要素である“軍略”と武将の“親密度”とは?
4Gamer:
武将についてお聞きします。第一次クローズドβテストでは,武将にほとんど会えなかったのですが,第二次クローズドβテストで会えるようになっているんでしょうか?
上野氏:
第二次クローズドβテストでは武将に会えます。実は今回の合戦テストのクライアントには,武将に関連するものがすでに入っていて,気づいた方もいらっしゃると思うのですが……。
4Gamer:
あ! 親密度のインタフェースですか?
上野氏:
そうです。公開合戦テストでは,インタフェースだけで誰にも会えませんでした。第二次クローズドβテストでは,武将との日常的な交流ができて,さらに新しい仕様もからんでいます。
4Gamer:
新しい仕様とはどんなものでしょう?
上野氏:
軍略です。これは複数の徒党で構成された集団である「連合」で挑む,時間制限があるシナリオ達成型ミッションです。この内容が武将と大きく関わったものになります。
4Gamer:
おお,それは味方武将と肩を並べて戦ったり,あるいは敵武将を倒したりできるんですか?
そうです。軍略は味方武将から依頼されるもので,その中には敵武将が登場するものもあります。軍略をこなしていくことで,自分自身の勢力の中での地位も上がります。
4Gamer:
それは繰り返し遊べて,レベリングにも使えるようなものですか?
上野氏:
軍略については,かなり繰り返し遊んでもらえる形になると思います。内容については,三国志なのでいろいろな武将ドラマがありますよね。味方の武将と敵の武将の組み合わせだけで「おお,あれだ!」と思い出せる方もいらっしゃるのではと思います。
4Gamer:
それは三国志ファンにはかなり楽しみな要素ですね。「まずその武将と仲良くならないと,その武将関連の軍略はもらえない」みたいな制限はあるんですか?
上野氏:
それはありません。気軽に楽しんでいただけるようにします。一つの軍略を達成するのに4時間も5時間もかかると,準備にも時間がかかります。そうそう頻繁にはプレイできなくなってしまいますので,それほど長いものにはしません。
4Gamer:
プレイ時間の目安があるとうれしいですね。今日は二時間ほど遊べるから,小さめの軍略を二つやろうかな? みたいな感じで。
上野氏:
そのためにもバリエーションが欲しいので,軍略はレベル帯や人数帯などで分けて作っていくことを考えています。
4Gamer:
軍略はパブリックなゾーンでやるものなのですか? それともその連合専用のクローズドな場所が用意されるのでしょうか?
上野氏:
その徒党/連合専用のインスタンスになります。その点は部曲戦と似ているかと思います。軍略を受けると,専用インスタンスのスタート地点に参加キャラクターがパッと移動して,すぐに開始となります。
4Gamer:
軍略の内容は,怪物退治とかがメインになるのでしょうか?
上野氏:“軍略”だけに,いまのところ怪物退治は考えていません。内容は,三国志世界の国同士の争いに関わるものです。怪物とか幻想的なものは,ダンジョンなどで体験できますので,軍略では,もっと「リアル」なところを表現していきます。三国志の世界には,軍略エピソードのネタが本当に豊富にありますから。
4Gamer:
具体的なパターンとして,どんなものがありますか?
上野氏:
誰かを倒してこいとか,誰かを守り抜けなどがあります。守り抜けというのは,警護対象に向かって敵が押し寄せてくるので,それを迎え撃って対象を守る,といったものです。ある場所を攻略する,というものもあります。砦があって,そこに兵士が配置されているインスタンスで,敵軍を破りながら進軍していく形です。
プレイヤーの皆さんからの要望で,「武将と戦いたい」というものがあったのですけれども,有名武将が,フィールドなどでほかの敵同様エンカウントしてしまっては,ちょっとおかしなことになってしまいます。そこで軍略での出番となるわけです。
これならば,まさに戦っているというシチュエーションに移動して,そこで武将と戦えます。敵武将をその状況下で倒したり,撤退させたりはできますが,殺すことはないでしょう。
4Gamer:
ゲームに三国志ならではの要素を追加していくのが,今後の課題の一つだということでしたが,この軍略はまさにそれなんですね。
■新たに冒険可能になる“地域”と,改良された“依頼”
4Gamer:
ゾーンについてはいかがでしょう? どれくらい増えますか?
上野氏:
第二次クローズドβテストでは,第一次クローズドβテストにあった地域(荊州・司隷・長安)に加えて,各勢力の本拠地までたどり着けるようになります。本拠地となる都市に加えて,その周囲のフィールドゾーンも実装されます。
4Gamer:
レベル帯は荊州が1〜10まで,司隷が10〜20までという雰囲気でしたが,新たなゾーンはその上の冒険ゾーンということになるのでしょうか?
上野氏:
だいたいそうです。レベル20から上の敵がいるゾーンです。
4Gamer:
ダンジョンはどうでしょう。どれくらい実装されますか?
上野氏:
低レベルから高レベルまで,それぞれのレベル帯に対応したものが入っています。高レベル用だけではないです。第一次クローズドβテストのときは,ダンジョン「石林」が一つあっただけで,しかも司隷からひょいと飛んでいけるようになっていましたからね。
4Gamer:
ダンジョンは低いレベルから楽しめるんですね。石林以外にはどんなダンジョンがありますか?
上野氏:
「吐糸洞」というダンジョンがあります。名前から想像すると,蜘蛛系の怪物がいるかも知れませんね。あと「呪われた陵墓」というダンジョンがありますが,こちらはお墓ならではの怪物をご期待ください。
4Gamer:
石林は屋根のない場所でしたが,この二つはいかにもダンジョンらしくなりそうですね。やはりダンジョンは,いいアイテムがドロップされるのでしょうか?
上野氏:
そうですね。ぜひ実際に倒して確かめてください。ダンジョンではボスに限らず普通の敵からもいいアイテムがドロップされます。
4Gamer:
これらダンジョンはすべてパブリックなエリアですか?
そうです。ただ,将来的にはプライベートなダンジョンも用意したいと思っています。レベル帯によって変えていくかもしれません。低レベルなダンジョンはパブリックなほうがいいと思っています。敵に囲まれても助けてもらえたりして,出会いが生まれますので。
4Gamer:
合戦テストでは依頼のインタフェースが変わっているのに気が付いたんですが,依頼関連はどうでしょう?
上野氏:
依頼関連はけっこう変えました。インタフェースの見た目もそうですし,ヒントの出し方なども改良しました。
4Gamer:
第一次クローズドβテストでは,割と難度の高い依頼がありましたよね。
上野氏:
場所の指定は少し分かりやすくしました。漠然と「どこらへん」というのではなくて,もっとはっきりと教えてもらえます。さらに進行を補佐するような機能も追加されています。
4Gamer:
それは例えば,マップ上に依頼の目的地が表示されるようなものですか?
上野氏:
そうですね。話しかけるNPCの場所程度は分かっても問題ないと思います。でも何かを探しなさいという依頼で,いきなり場所が分かってしまうというのは,どうかなと思うところもあります。第一次クローズドβテストでは,「依頼の目的地をピンポイントで教えてほしい」という意見と「それをしたら面白くないじゃないか」という意見をいただきました。多分これは,ある程度年代によっても分かれているのではないかな,と思います。
4Gamer:
どこを基準にするかは難しいところですね。
上野氏:
ピンポイントで教えてもらうにしても,強制的に教えられてしまうのではなくて,能動的に知ろうと思わなければ,そのヒントは出ないような仕組みにしています。「ヒントなんかいらない!」という人は,ヒントを見ずにプレイできます。その瞬間に答えが分かっちゃダメだろうというお叱りも出てくると思うので,そこは工夫しました。
4Gamer:
基本的には,依頼をこなしていくことでレベルを上げていくのでしょうか?
上野氏:
プレイ開始直後はそうですが,プレイを続けてレベルが上がってくると,軍略とかダンジョン攻略とか,プレイスタイルが増えていきます。依頼からそちらにプレイスタイルの中心が移るので,低レベル/中レベルのほうが,依頼のボリュームを厚くしています。高レベルでは,ダンジョンなどにプレイスタイルが自然と広がっていくように,うまくデザインしていきたいですね。
4Gamer:
ということは,高レベル用の依頼はあまり用意していないということですか?
上野氏:
高レベルでは,軍略がそれに相当していくことを狙っています。
■適度な時間でプレイに区切りをつけられるゲームを目指す
4Gamer:
軍略に竹簡にダンジョン,アイテム強化,各勢力の都市にゾーンも追加とあって,だいぶ正式サービスに近づいたといっていいのでしょうか?
かなり近いです。あとはそれぞれのブラッシュアップですね。
4Gamer:
となると,オープンβテストや正式サービスも近そうですね。年内にはサービスインしそうですか?
上野氏:
私もそれが希望です(笑)。
4Gamer:
課金方式などもそろそろ決まりそうですか?
上野氏:
今のところ未定です。社内的にもこれから確定させていくことになります。
4Gamer:
あらためてお聞きしたいのですが,このゲームがターゲットとしているプレイヤー層を教えてください。
上野氏:
忙しいサラリーマンでも遊べるMMORPGにしたいと思っています。比較的時間のとれる高校生・大学生の方だけでなく,20代・30代の方,そしてもっと上の世代の方,シミュレーションの三國志をやっていただいている方々にもプレイしていただきたいですね。
4Gamer:
仕事を持っている方々ですね。
上野氏:
そうですね。だからこそ,軍略や合戦などが比較的短い時間で区切りがつくことにはこだわります。サラリーマンにとって,平日2時間のプレイというのは,結構キツイのではないでしょうか。そして2時間まるまる遊べるかというとそんなことはなくて,いろいろ事情があって,実際に遊べるのはもっと短いと思います。そのうえゲーム内での準備に手間がかかると,それだけで遊ぶのがつらくなってしまうでしょう。
なので,簡単に始められて,ちゃんと区切りがつくコンテンツを用意します。合戦の時間が45分というのも“テレビドラマと同じくらいの時間”を意識しています。最も短い軍略なら45分未満で終わります。前と後の準備やチャットする時間なども含めて,二つやってもきっと2時間で収まると思います。ただ軍略には,短い時間で終わる小規模なものだけでなく,じっくりプレイできる大規模なものも用意します。平日用と週末用,というイメージでしょうか。
4Gamer:
そういった配慮があるのであれば,プレイヤーとしては,途中で息切れすることなく,長くゲームを続けていけそうな気がします。
上野氏:
加えて,「武器の持ち替えで能力や役割を変化させられる」という,三国志 Onlineの基本的なコンセプトは,グループメイクの煩わしさを減らしてくれるはずです。連合や徒党も組みやすくしてありますし,いろいろな面で,なるべくコンテンツを楽しむ以外の時間を省けるようにしたつもりです。
4Gamer:
なるほど。第二次クローズドβテストでそれらを実際に体験するのが楽しみです。それでは,最後に読者に向けてメッセージをお願いします。
上野氏:
第二次クローズドβテストでは,いままでにはなかった地域やダンジョン,技能,システムなどが追加されます。テスターの皆さんにそれらを遊び尽くしていただき,いろいろな意見をうかがうことで,次へとつなげていきたいと思います。完成度は日増しに上がってきています。どうぞご期待ください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
先日報じたとおり,三國志 Onlineの第二次クローズドβテストは,7月27日〜8月5日の日程で行われることが決定した。公開合戦テスト終了後,ほとんど間を置かずに発表されたこと,日程発表からテスト開始までの期間が短いことなど,開発ペースが順調であることがうかがえる。
世には数多くのMMORPGがあふれているが,その多くは韓国や台湾で作られたもので,国産のタイトルは多くない。そのメーカーのフラッグシップとなりえるような大型タイトルとなるとなおさらだ。そんな中で,開発スタジオこそシンガポールにあるが,「三國志 Online」は数少ない国産ビッグタイトルの一つといえる。さらにいえば,現在サービスが行われている「ファイナルファンタジーXI」や「信長の野望 Online」といった国産大型MMORPGは,すでに発売から何年も経過しており,基本的な枠組みの部分で,MMORPGの世代的には一つ前のものであるという見方もできる。
つまり「三國志 Online」は,「現行世代の国産大型MMORPG」の代表として,旧世代の作品にはない面白さを期待されているタイトルといっていいのではないだろうか。その期待に対してどのように応えてくれるのか。それが確認できる日は,そう遠くなさそうである。(ライター:星原昭典)
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