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[GDC07#17]「Alan Wake」のプロジェクトリーダーが,開発チームを語る
フィンランドに拠点を置き,Max Payneシリーズでアクションアドベンチャーゲームのトップブランドに躍り出た彼らだが,実は多くの北欧のデベロッパ同様,こじんまりとした規模のチームである。
その姿が,「The Future of Innovative Studios: Team and Tools Behind Alan Wake」(革命的なゲームスタジオの未来:Alan Wakeの裏にある開発チームとそのツール)と題して講演を行ったLasse Sappanen(ラッセ・サッパネン)氏の口から語られた。
Remedy Entertainmentは,「Max Payne」「Max Payne 2」の開発元として有名だ。ゲームのアクション中にスローモーション技法を使った演出を盛り込む「バレットタイム」の採用や,劇画的なカット割りでドラマを進めていくなど,革新的な作風で知られる。
Max Payneシリーズはヒットを記録したが,どうやらRemedy Entertainmentにもたらされた利益は,そう多くはなかった様子。というのも,彼らを見出した3D Realmsがプロデューサー的な立場となり,アメリカのパブリッシャであるGathering of Developersとの仲介をしていたからだ。実際,Max Payneシリーズの版権もGathering of Developersを買収した2K Gamesに帰属しているとのことで,サッパネン氏によると「我々とMax Payneは,もう何の関係もないので,あまり込み入った話はしない」とのことだった。
一方,現在開発中のAlan Wakeは,Microsoft Game Studiosから「Games for Windows」の主力作品としてリリースされる予定になっているうえ,版権も握ったままであるという。Max Payneシリーズの実績があるからこそ,なのだろうが,ようやく安定した条件を手に入れたわけである。
・ゲームデザイン部門 5人
・ヴィジュアル・アーティスト 11人
・プログラミング(ツール開発) 9人
・プロジェクト・マネージメント 2人
・IT&テクノロジーサポート 2人
・ビジネス 2人
となっている。
ツールも自社で開発するため,プログラマーの比重が高いのが特徴のようだ。ちなみに,レベルエディタを一人募集中である以外は,Max Payneを開発していた頃と大きく変わらない陣容で,今後も人数を大幅に増やす予定はないという。つまり,1チーム1プロジェクト体制を,継続していくということなのだろう。
こうした組織の中で,プロジェクトリーダーというポジションにあるサッパネン氏は,「仕事がない人に仕事を割り当てるのが私の役目」であるという。「プログラマでもテクスチャの素材集めをしたり,時間の余っている人は互いに助け合うような社風が出来上がっている」そうなので,これをマネージメントする役割を担っているのだろう。
気になるAlan Wakeの開発方針については,「一つのプロジェクトでたくさんのことをする必要はありません。我々がAlan Wakeで目指すのは,“光”をゲームプレイに取り入れることなのです」と,サッパネン氏は語っていた。それゆえ,スタッフを増員して開発目標を散漫にさせたりしないためにも,マルチプレイヤーモードなどの要素は初期から考慮していなかったそうだ。この潔さは,創造しようとしているものに,いささかのブレもないことの裏返しであるといえるだろう。
ただ,そのデモによると,最初にゲームの舞台となる湖を囲んだ街や,山々の地形を制作しておき,それをゾーンのように区分けして,個々の担当のデザイナーがオブジェクトやトリガーを設置するといった,分担作業が採用されていることが分かった。
また,物理エンジン「Havok」のようなミドルウェアは,「中小の開発チームが独自開発するよりも,遥かに高い技術やノウハウを持っている」とのことで,かなり積極的に利用しているという。同じく,自動車などのオブジェクトのモデリングやテクスチャも,インドにアウトソーシングしたようだ。サッパネン氏によると,「ライセンス料を支払って,資金を浪費した」のではなく,「時間を節約すれば,金銭的な節約ができる」という姿勢なのだそうだ。
サッパネン氏はほかにも,「車のモデリングに凝るのは悪いことではないが,それに時間をかけるくらいなら,ウチのモデラーには老婆の顔の皺までを完璧にしてほしい」という話もしていた。小さい開発チームならではの小回りの利きを生かし,得意分野を追求していく方向性を,重視しているようである。
Alan Wakeは,2007年末にXbox 360およびWindows Vista向けにリリースされる予定。サッパネン氏は,言葉の端々に自信をにじませており,どうやら期待どおりの作品に仕上がりつつある模様。続報も楽しみである。(ライター:奥谷海人)
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アラン ウェイク 日本語版
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