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海外ゲーム四天王 / 第18回:「Section 8」
第8装甲歩兵部隊。通称,はっつぁん。違った,通称“Section 8”。超高空から落下傘もなしに敵の真っ直中に降下して戦うという,考えたヤツ誰だ? と聞きたくなるほどの危険な任務を遂行する戦闘部隊だ。今回の海外ゲーム四天王は,そんな「Section 8」(PC/Xbox 360)の大雑把な概略をあますところなくお伝えしようという趣向である。今回はPC版ね。
SFテーマのマルチプレイFPSといえば,だいたいスポーツ系と相場が決まっているが,本作もそれ系。空気摩擦で火の玉のようになりながら敵の背後に降下し,目もくらむようなスピードで走り回るという爽快感重視の一本になっているのだ。
そんな本作を,まさに“萌える男”じゃなくて“燃える男”,朝倉哲也氏が紹介しよう。
地球を遠く離れた植民惑星“New Madrid”で起きた大規模な反乱。Arm of Orionと呼ばれる反乱軍の勢いは日ましに強くなり,事態を重く見た地球政府は,第8装甲歩兵部隊,通称“Section 8”を鎮圧のために派遣する。プレイヤーは,そのSection 8の一員となり,反乱軍との戦いが繰り広げられる地獄の最前線へと赴くのだ。
シングルプレイキャンペーンではSection 8の一員となったプレイヤーが反乱軍に占領された基地の奪還や,敵の襲撃から輸送隊を守るといったシナリオを通じ,New Madridで発生した反乱軍との戦闘をこなしていくことになる。
シングルプレイでは,敵に倒されても,すぐにリスポーンして続きを行え,どちらかといえば,マルチプレイのためのチュートリアルといった雰囲気が強い。ストーリーの盛り上がりがやや乏しいかなといったところもあり,プレイしていて楽しくはあるが,やはり本作のメインがマルチプレイにあることに間違いはないだろう。
マルチプレイでは最大32人のプレイヤーをサポートしており,ゲームを開始するとプレイヤーは「8th Army Infantry」か「Arm of Orion」のどちらかに振り分けられる(あらかじめ選択しておくことも可能)。両勢力の武装はまったく同一なので,勢力による有利,不利はない。
プレイヤーキャラクターのクラスには,「Assault」「Infiltrator」「Recon」「Guardian」「Artillery」の5種類があり,それぞれ攻撃性に優れていたり,壊れた施設の修理ができたりなどの特徴が設定されている。また,武装,装備,装甲などをカスタマイズできるので,防御力を削って攻撃力を上げるなど,プレイスタイルに合わせたオリジナルクラスを作ることが可能だ。こうして作り上げたオリジナルクラスは複数セーブでき,リスポーン時に戦況や気分に応じて好きなものへ変更もできるようになっている。
戦いは「バーン・イン」(Burn In)という大気圏突入シーンからスタートするのだが,これがこのゲームの目玉の一つで,実際,火の玉のようになって落ちていく様子はなかなかカッコイイ。降下地点は自由に設定でき,現在どこで戦闘が起きているかも簡単に分かるので,いきなり敵の背後にバーン・インするのも可能だ。
みるみる迫ってくる地面を見ながら,いつ制動をかけるかはプレイヤーに委ねられている。早めに制動をかければ,ある程度だが着地ポイントをずらすことも可能だ。
戦闘は,マップ上にいくつかある基地のコントロールポイントを奪って得点を稼ぐシステムだ。コントロールポイントをいくつ,どの程度の時間保有したかに応じたポイントが獲得できるほか,コンピュータが操作する“ジェネラル”というAIキャラクターの護衛や,情報の入ったケースを基地まで持ち帰るなどのイベントミッションも発生し,これらをコンプリートすることでもポイントが獲得できる。
プレイヤーが着用しているパワードスーツにはジャンプ用ロケットが装備されており,5〜6秒程度しか持たないが,かなり高所までジャンプできる。基地を取り囲む壁を一気に飛び越えたり,戦闘中に大きくジャンプして敵の背後をとったりなど,このロケットによって戦略の幅が広がっており,このへんが「Tribes」の再来といわれる所以だ。
本文でチラっと書いた「Tribes」について,ここで知らない人のために簡単に紹介しておこう。耳の穴をかっぽじってよく読むように。
Tribesの正式タイトルは「Starsiege: Tribes」で,今はなきパブリッシャのSierra Onlineより1998年にリリースされたFPSだ。開発は(これまた閉鎖されてしまった)Dynamix。
マルチプレイのチーム戦がメインで,40世紀というはるかな未来,植民惑星で発生した戦闘に参加するSFテーマの作品だ。アーマードスーツに身を固めたプレイヤーは,背中のジェットパックを噴射すると数十メートルの高さまで一気に飛び上がれる。このロケットジャンプが大きな特徴で,ダイナミックな上下移動の感覚を取り入れて人気を博した。Tribesと聞くと,なんだか上がったり下がったりするシーンをぼんやり思い出す人も多いだろう。
現在はフリーゲームとなっており,FilePlanetの「こちら」からクライアントをダウンロードできる。気になる人は,自己責任でお試しを。
そしてもう一つ,Section 8ならではの機能が超高速走行モードだ。本作ではダッシュキーを長押ししていると,通常より速く走るダッシュ状態から,もう一段階速い超高速モードへ移行する。
これはマジにスーパースピードであり,このモードに入ると画面が三人称視点に切り替わり,周囲の風景がボヤけるほどの猛スピードで走り出す。しかもそれが,かなり長い時間続くので,敵の集団がいきなり遠方にバーン・インしてきても,素早く対応できる。
つまり,マップ上のどこにでも自由にバーン・インできるという迎撃側にとって不利な状況が,スーパースピードモードによって相殺されており,同時に,これがほかのFPSとの違いを作り出しているわけで,勲章もののナイスアイデアといえる。
日本で正式に発売はされていないが,Steamによる購入が可能なので手に入れやすい。スポーツ系FPSゲームのマルチプレイが好きならば,購入の選択肢の一つとして考慮に入れる価値は高いだろう。
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