テストレポート
PhysX with Mirror’s Edge(前編)〜プレイムービーで比較するPhysXの効果
さて,コンシューマ機と比べて後発となったPC版Mirror's Edgeだが,PC版のみの特徴として,物理シミュレーションエンジン「NVIDIA PhysX」(以下,PhysX)に対応したタイトルになっていることが挙げられる。
Mirror's EdgeのPhysXで実現されるのは,いわゆる「効果物理」と呼ばれるもので,言ってしまえば,物理シミュレーションを生かしたエフェクト。ゲームの進行に影響を与えるようなものではなく(※もしそんなものを実装したら,コンシューマ機版とゲーム内容が変わってしまう),ガラスの破壊(Glass Destruction)や布(Cloth),煙(Smoke),そして物理的に発生した風の再現(Physically Simulated Wind)といったところに,PhysXは用いられている。
なお,プレイに用いたPCの詳細なスペックは,ベンチマークテスト結果をお伝えする後編できちんと紹介する予定だが,簡単にまとめておくと,搭載するCPUは「Core 2 Extreme QX9650/3GHz」で,メインメモリ容量は4GB。GPUはStreaming Processor 216基版「GeForce GTX 260」で,OSは64bit版Windows Vista Ultimateとなっている。
→PhysX with Mirror’s Edge(後編)〜ベンチマークテストで明らかにするGeForce PhysXのパフォーマンス
チャプター1「フライト」でPhysXありなしを比較
このほか,特徴的な部分もムービーでチェック
さて,今回は,チャプター1「フライト」を,一通りプレイすることにした。なるべく短時間で一つのチャプター全体を見てもらうため,クリアタイムを競うゲームモード「スピードラン」を選択し,基本的に,ひたすら走り続けている。
その結果を録画したのが下のムービー2点で,上がPhysX無効,下がPhysX有効のものだ。同じチャプターをXbox 360版でプレイしたムービーは,2008年12月17日の記事で「Xbox 360版プレイムービー『スピードラン』」として紹介しているので,コンシューマ機版との比較もしてみたい人は,併せてどうぞ。
※タイムアタックモードということもあり,特殊なコース取りをしている例がムービーには含まれています。「ネタバレ勘弁」という人は気をつけてください
分かりやすい部分,そうでない部分が混在しているので,順にチェックしていこう。
■ガラスの破壊(Glass Destruction)
また,プレイヤーの周辺に銃弾が当たったとき,銃弾によって破壊されたオブジェクトが視界を横切るのも,臨場感を高めている。
下に示したのは,別のチャプターから,「ガラスのシャンデリアを,銃撃により破壊し,シャンデリアの下にいる敵を倒す」というもの。PhysX有効時にのみ使える攻撃方法というわけで,(実用性はさておき)なかなか面白い。
■布(Cloth)
これは,効果物理のデモでよく見られるものなので,見覚えのある人も多いだろう。弾の当たったところ,殴ったところだけ部分的に破れたりするのだ。むしろ「ちぎれていく」という表現のほうが,本質に近いかもしれない。
チャプター1「フライト」だと,PhysX無効時にはなかったビニールシートや布が,PhysXを有効にすると追加されているのが分かる。このほかにも,ゲーム中には,現実社会の工事現場でよく見られるような,埃(ほこり)や金属片などが散乱しないように取り付けられるカバーシートがPhysX有効時には再現され,やはり銃撃や物理攻撃で破れたりちぎれたりする。
下に示したのは,別のチャプターから,布の表現がよく分かるシーン3点だ。一つめは,駅を通過する電車によって,構内に吊り下げられた布がゆらゆらとはためくというもの。二つめは,プレイヤーの行動によって,ビニールが“らしく”動くところ,三つめは,銃撃などによって布やビニールの裂けるところが,それぞれ見どころだ。
■煙(Smoke)
最初に驚いたのが,下に示したムービーの部分。PhysX効果なしだと,単なる「濡れた地面」なのだが,PhysXを有効にすると,地面から立ち上がった湯気で靄(もや)がかかり,見るからにジメジメとした場所に生まれ変わる。しかも,(この次に述べる風のエフェクトと連動しており)大きなドアを開けると,「ドアの外からやってきた風」によって,靄が動くところまで再現されている。
さらによく見ると,「Faith(※フェイス,主人公の名前)が移動することによって空気の対流が起こり,靄が動いているのだ。これはすごい。
靄といえば,水路を滑り降りたときの表現もなかなかのものだ。これもぜひ,ムービーでPhysX無効時と有効時の違いをチェックしてほしい。
また,これはスクリーンショットでの比較になるが,「ガラス張りの部屋にある大型コンピュータを破壊する」シーンで,PhysX無効時はただ煙が上がるだけのところ,PhysXを有効にすると,煙がもくもくと立ち上り,ガラスの壁に沿って部屋の中へと広がっていく。もちろん,煙がガラスを突き抜けたりすることはなく,当たり前のように,ガラス張りの室内に漂っているのだ。今まで,こんな表現が自然に処理された市販タイトルには,お目にかかったことがない。
■物理的に発生した風の再現(Physically Simulated Wind)
また,埃っぽい地下の工事現場で,照明器具が薄暗い通路を照らし出しているシーンがあるのだが,PhysX無効だと,単にオレンジ色の光で照らし出されているだけなのに対し,PhysXを有効化すると,空気中に漂う塵(ちり)が再現される。日常生活でも,暗い部屋に太陽の光が差し込むと,空気中の塵が見えるが,あれが再現されているわけだ。室内の埃っぽさを,どちらがより強く感じられるかは,言うまでもないだろう。
実に“地味なところ”で活躍し
ゲーム世界の説得力を高めるPhysX
以上,Mirror's EdgeにおけるPhysXの効果を駆け足でチェックしてきたわけだが,全体として感じたのは,PhysXが,地味なところでこそ活躍するものであるということだ。少なくともMirror's Edgeにおいては,PhysX物理シミュレーションによって,ゲーム性そのものが変わったりはしない。しかし,PhysXに対応したグラフィックスカードを利用すると,細かな部分でゲームがリアリティを増し,目の前に広がる世界が説得力を強めていくのである。
ところで,PhysXシミュレーションはどれだけ“重い”のか,気になる人も多いと思う。このあたりは,後編で明らかにしたいと思うので,お楽しみに。
→PhysX with Mirror’s Edge(後編)〜ベンチマークテストで明らかにするGeForce PhysXのパフォーマンス
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