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[CJ 09]「ボヤージュ センチュリー オンライン」をサービスするSnail Game。今後の日本展開はどうなってるの? 気になるところを聞いてみた
今回,ChinaJoy 2009を取材するにあたり,こういった日本サービスの現状や今後の動向について,Snail Gameの総経理He Yixi氏とLi YongZhi氏に話を聞いてみた。
Li YongZhi氏 |
He Yixi氏 |
日本版「ボヤージュ センチュリー オンライン」に
何があったのか
ゲーム内では地名や動物名など,プレイに支障をきたすような翻訳の間違いも多く,プレイヤー数は徐々に減少。プレイヤーに向けて日本語訳の協力を呼びかけるなどの手が打たれたが,多くのプレイヤーは日本版から離れてしまい,アメリカ版に移ってプレイを続ける人も出ているというのが現状だ。
致命的な誤訳を引き起こしてしまった原因の一つに,本作の翻訳を中国の翻訳会社に一任したことがあるようだ。中国で作ったゲームの日本語化を中国人が行い,翻訳精度の確認もまた中国人が行っているのでは,日本語の微妙なニュアンスは,到底把握しきれなかったであろうことが容易に想像できる。
また正式サービス開始において,決済方法に「PayPal」を採用したことも,プレイヤーから不安の声が上がったという。日本でも徐々に知られてきたとはいえ,PayPalの認知度はまださほど高くない。お金に関わる話だけに,慎重になるプレイヤーも当然いたことだろう。
Snailでは以上のことを反省点として踏まえ,今後は日本おける新作タイトルの展開については,日本のパブリッシャを探すことを考えているという。やはり,日本人によるローカライズが重要なポイントだということだろう。また決済方法についても,日本で知られているプリペイド決済システムの利用を考えていきたいと話していた。
「ストリートダンス」日本運営はどうなったのか
Li氏によると,先述したように,日本ではSnailが独自に運営するのではなく,まずは良いパブリッシャを見つけたいとの考えだ。しかし,本作には日本で始めるにあたり,いくつかの壁があるという。
その一つが,楽曲の版権の問題だ。中国での版権に関する意識はまだ高いとはいえず,ゲーム内ではさまざまな国の人気曲が,どうやら無許可で利用されている。もちろん,日本でサービスしようと考えれば,先に権利問題を何らかの形でクリアしなければならないわけだ。
かつて,ハンビットユビキタスエンターテインメントの「X-BEAT(エクスビート)」で,アニメ曲などを入れようとしたときも同様の問題が発生し,結局BGMではなくストリーミングとして処理することで,なんとか対応したという。日本でのサービスに関しては,いろいろと苦労があったようだ。
もう一つ,ダンスゲーム部分の仕様が,ほかのタイトルと類似している点も,日本でのパブリッシャ探しの過程で指摘されたとLi氏は語る。どちらも,中国なら許されるが日本では許されない類の問題だろう。本作は,仮想世界である特徴を前面に押し出し,さまざまなファッションが楽しめるという独特のゲーム性が魅力的なタイトルだけに,諸々の問題を前向きに解決して,ぜひ日本での展開にこぎつけてほしいところである。
日本サービスを検討中のタイトルは多数
なお,今後日本でサービスしたいタイトルとして,「こちら」で紹介したMMORPG「九陰真経Online」および「天子」に加え,日本で勢いを増しつつあるブラウザゲームのオンラインストラテジーから2タイトル,「英雄之城 CASTLE OF HERO」と「帝国文明 CIVILIZATION OF EMPIRES」を考えているという。ブラウザゲームはやはり注目度が高いのか,この2タイトルについては日本からの問い合わせもすでにあったとのこと。
九陰真経Online |
天子 |
英雄之城 CASTLE OF HERO |
コンセプトは,実在するショップや観光地を仮想空間上に作り,現実世界で実際に旅行したり買い物をしたりする前に,まず仮想空間で試すことができるというものだ。
旅行先として気に入った場所を見つけてみたり,自分のアバターに対して服の組み合わせを試してみたり,化粧品の色を見てみたりと,家にいながらウィンドウショッピングや試着,試用ができるわけである。もちろん試したあとは,そのまま購入もできる。
すでに「Second Life」などでは,一部で同様のビジネス利用も行われているのだが,いわゆる仮想空間系の作品では,できることが多すぎてプレイヤーの目的意識が定まらないことが多く(それも特徴の一つなのは間違いないのだが……),なんとなく見にきた人は,なんとなく広告的なものを見せられているといった感じを受けることも少なくない。
しかし,本作では最初から“その商品を見にいく”という意識があるため,広告として「見る側」「見せる側」の意図が合致しており,案外広く受け入れられるかもしれない。3Dのみではなく,ムービーなどインタラクティブコンテンツとのリンクも可能で,マルチメディアとしての完成度はかなり高いものに仕上がっている印象だ。
すでに世界35か国のパブリッシャを通して世界規模でコンテンツを配信しているSnailだが,日本と韓国への進出は難航しているという。良きパートナーが見つかることに期待したい。
- 関連タイトル:
ボヤージュ センチュリー オンライン
- 関連タイトル:
ストリートダンス
- 関連タイトル:
The 1st Virtual Business
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