業界動向
Access Accepted第813回:2025年注目の海外産ゲームタイトルは,これだ!(前編)
オープンワールドクライムアクションの最新作や,デッキ構築型ローグライクの始祖とも言える名作の続編など,いくつもの話題作の登場が予告されている2025年だが,ほかにもさまざまな期待作が発売を控えている。例年は,欧米産ゲームタイトルに限定していたが,今年は海外産ゲームタイトルにまで範囲を広げて,それら話題作を紹介していこう。
数々のインディーに加えて,あの人気シリーズ新作が登場予定の今年
任天堂が次世代のNintendo Switchをリリースするのではないかと言われる2025年。欧米のゲーム業界では,ここ数年リストラが相次いだが,“コロナ禍後のゲームビジネスの再編”が見えてきたようにも思える。
ビッグプロジェクトの開発遅延や運営中止のケースが増え,大金を投じたからといって必ずしも成功しなくなり始めているというのは,当連載の「第811回:インディーゲームはAAAゲームより面白くなったのか?」でも論じたとおりだ。
一方で,2024年には「The Triple-i Initiative」という,“スーパーインディー”たちによるショーケースイベントも始まり,パブリッシャに頼ることなく自立しようという動きもある(関連記事)。
個人や少数精鋭の開発者にとって,プラットフォームホルダーとのやり取りや広報活動は大きな時間を割く“面倒臭い”作業ではあるが,情報の共有もさらに進み,消費物としてのAAAとインディーの差は,一層なくなっていくことだろう。2025年はこれまで以上にスーパーなインディー作品のリリースが増える見込みだ。
さて,もう1つの大きな特徴としては,2024年に大きな成功を収めた「黒神話:悟空」のように,アジア圏のタイトルで成熟したものが増えてきているということだ。日本初のタイトルが欧米のゲーム市場で大きく認められるケースは珍しくないが,ここに中国や韓国,そして東南アジアのタイトルが加わるようになってきている。
もはや,その勢いは無視できないものであるし,筆者もゲームイベントではアジア発の新作も頻繁に取材するようになった。そんな事情もあり,本記事も昨年までの「欧米産ゲームタイトルは,これだ!」から「海外産ゲームタイトルは,これだ!」に変更している。
なお,Valveがアナウンスした「Best of Steam 2024」によると,2024年に最も販売されたタイトルとして“プラチナ”のカテゴリに入った12作には,「Counter-Strike 2」や「Apex Legends」などの常連に加えて,4作の同年度リリース作品が含まれている。
販売本数や同時アクセス数など,プラチナタイトルを決定する具体的なマトリクスについては公表されていないものの,ゴールド,シルバー,ブロンズを含む4つのカテゴリの中にはあまり聞き慣れないものがいくつも入っていて面白いので,ゲーマーが今なにをプレイしているのか気になる人は,チェックしておくといいだろう。
2025年の一発目となる本連載では,恒例のとおり前編と後編の2回に分けて,2025年に海外からリリースされる予定の25本分の新作を紹介していく。もちろん,今年は“あのシリーズ最新作”が控えており,ゲーム市場にとっては激動の1年になることが予想されるが,それにしてもプレイしたい作品で溢れていることにお気づきになるはずだ。
Hyper Light Breaker
開発元:Heart Machine
販売元:Arc Games
発売予定日:2025年1月15日 (アーリーアクセス)
プラットフォーム:PC
ローグライクなゲームシステムを採用したシリーズ最新作
2025年の1つめの期待作は,アクションRPG「Hyper Light Drifter」の続編となる「Hyper Light Breaker」だ。新たなる大地オーバーグロースに踏み込んだ“ブレイカー”となって,アビースキングと,各地域を支配する配下の中ボスであるクラウンズたちの打倒を目指す。
前作のような2Dハック&スラッシュなゲームプレイではなく,オープンワールドで描かれた3Dワールドは,ランダムに生成されるローグライクなシステムが採用されている。
壁走りやホバーボード,グライダーなどの多種多様なアビリティによる自由度の高いアクションを駆使して,さまざまな武器やアイテム,アップグレードをアンロックしながら敵に立ち向かっていこう。
Eternal Strands
開発元:Yellow Brick Games
販売元:Yellow Brick Games
発売予定日:2025年1月29日
プラットフォーム:PC / PS5 / Xbox Series X|S
魔術を操る織師になって,巨大な敵から故郷を取り戻せ
「Eternal Strands」は,「ドラゴンエイジ」シリーズのオリジナル開発チームが独立後に開発するアクションアドベンチャーだ。舞台となるのは,大気から魔力の糸を紡ぎ出す“織師”(ウィーバー)と呼ばれる魔術師たちが,かつて支配していた世界エンクレイブ。厄災によって巨大クリーチャーたちに占領されてしまった故郷を取り戻すため,織師の残されたメンバーである主人公のブリンとその仲間たちが奔走することとなる。
ブリンは火炎,氷結,テレキネシスの魔力を操り,その異なるスキルを組み合わせたコンボ技を使って道中で徘徊するミニオンたちと戦っていく。巨大でパワフルなボスキャラクターに対し,よじ登って弱点を探し出して攻略していくという,「ワンダと巨像」を彷彿とさせるゲームシステムも気になるところだ。
The Stone of Madness
開発元:The Game Kitchen
販売元:Tripwire Presents
発売予定日:2025年1月29日
プラットフォーム:PC
5人のキャラクターを操作するリアルタイム戦略ステルスゲーム
“リアルタイム戦略ステルスアクション”を謳う「The Stone of Madness」は,ピレネー山脈の奥深くで精神病院や異端審問用の牢獄として利用されている,18世紀のイエズス修道院が舞台となる。
狂女レオノーラ,老魔女アグネス,異端教の僧アルフレード,巨人エドゥアルド,窃盗常習者の少女アメリアという5人のキャラクターを順番に操作し,それぞれの能力を活用しながら衛兵たちと戦ったり,パズルを解き明かしたりし,脱出を図ることになる。
面白いのは,5人のキャラクターにはそれぞれトラウマや恐怖症があり,暗がりや火に怯える,亡霊などの妄想で動けなくなる,といったようにウィークポイントが用意されている。アイソメトリックなカメラ視点ながらも,18世紀の画家フランシコ・デ・ゴヤにインスパイアされたというアートスタイルは独特で,ユニークなゲームプレイが楽しめそうだ。
Citizen Sleeper 2: Starward Vector
開発元:Jump Over The Age
販売元:Fellow Traveller
発売予定日:2025年2月1日
プラットフォーム:PC / PS5 / Switch / Xbox Series X|S
仲間を雇って宇宙船をうまく運用しなが逃げ延びろ
「Citizen Sleeper 2: Starward Vector」は,ソロデベロッパであるガレス・ダミアン・マーティン氏と,コミックアーティストのギヨーム・シンジェリン氏,そして作曲家であるアモス・ロディ氏がチームを組んで開発する,2022年作品の続編。テーブルトークRPGに深く傾倒したテキストベースのゲームプレイが光るタイトルだ。
新しいサイクルが始まるたびに1セットのダイスを振り,その出目をさまざまなアクションに振り分けていくゲームシステムに,新しいゲームメカニクスが加えられているという。
主人公は,自分のシステムを書き換えたことで自由を得たアンドロイドで,その代償に賞金首となってへリオン星系の辺境で隠れながら生きている。
追手から逃げ切るためには宇宙船を維持しつつ,改良していく必要があり,さらに運用するためには仲間となる乗組員の雇用も必要となる。この辺境の地では仕事を探すアウトローも多く,トラブルもすぐに発生するため,チームを束ねるために苦労を重ねていく。
Kingdom Come: Deliverance II
開発元:Warhorse Studios
販売元:Deep Silver
発売予定日:2025年2月5日
プラットフォーム:PC / PS5 / Xbox Series X|S
リアルな15世紀ボヘミア世界はマップもゲームプレイも2倍に
「Kingdom Come: Deliverance II」は,“ドラゴンも魔法もない中世ヨーロッパ”をリアルに描き上げアクションRPGとして高い評価を得た前作のナンバリング続編となる。鍛冶屋の息子から勇敢な戦士へと成長した主人公のヘンリーが,戦乱の中で盟友となったハンス卿の外交ミッションの護衛を行うために旅に出るというストーリーが展開される。
従来のような剣や斧,弓などの武器に加えて,新たにクロスボウやマッチロック式銃などが登場し,想定されるゲームプレイ時間も前作の倍となる80〜100時間となり,遊び応えのありそうな作品に仕上がりつつある。
スキルベースのアクションはそのままだが,本作では長旅に必要になりそうな干し肉やドライフルーツなどの精製や,修理工房のない郊外地域において甲冑や武器の修理キットが必要になる。効果的にクラフティングを行うためのスキルも重要となりそうだ。
身なりも整えておくことが大切で,手や顔を洗うことで綺麗にしていると,説得や恐喝などの成功確率が向上する。例えば,滋養強壮のあるニンニクなどは摂取すると身体にいいが,口の匂いに影響が出てしまい,カリスマ性が下がってしまうとか。
シドマイヤーズ シヴィライゼーション VII
開発元:Firaxis Games
販売元:2K Games
発売予定日:2025年2月12日
プラットフォーム:PC / PS5 / PS4 / Switch / Xbox Series X|S / Xbox One / Mac
もう1ターン,もう1ターンだけの悪夢がすぐそこに……
巨匠シド・マイヤー氏の名を冠したストラテジーシリーズの最高峰にして,8年ぶりの新作となる「シドマイヤーズ シヴィライゼーション VII」が,2月12日に発売される。
プレイヤーは,歴史に名を残す指導者となって,都市や偉大な世界遺産を建設して領土を拡大したり,技術革新で文明を発達させたり,ライバル文明を征服あるいは同盟を結んだりしつつ,国家を反映させ,勝利に導いていく。ターン制のゲームプレイは中毒性が高く,「もう1ターン,もう1ターンだけ……」と気付けば朝を迎えるゲーマーが続出することでも知られている。
本作からの変化として,労働者がいなくなったこと,大きな河川であれば交通に使えるようになったこと,軍隊を1つのユニットにまとめて操作できるようになったことが挙げられる。なお,ローンチ時点で日本を含む31文明が登場するという。さらにジオラマ感が増した美しいグラフィクスにも要注目だ。
Avowed
開発元:Obsidian Entertainment
販売元:Xbox Game Studios
発売予定日:2025年2月19日
プラットフォーム:PC / Xbox Series X
古参デベロッパによるオープンワールド型アクションRPG新作
「バルダーズ・ゲート」シリーズを生んだ古参デベロッパで構成されるObsidian Entertainmentの最新作「Avowed」は,2015年にリリースされた「Pillars of Eternity」と同じ世界観を共有した,一人称視点のファンタジーRPGだ。
辺境にある島リビングランズに蔓延しているとウワサされる疫病の調査を行うため,王国の使者として送られたプレイヤーが,自らと現地の歴史とのつながりを見出し,難しい選択を迫られながら脅威となる勢力と戦い,古代の秘密を解き明かしていく。
盾で相手を殴りつけるといった,細かいリアリズムにもこだわるコンバットシステムだが,そのキモとなるのがスペルの活用であり,プレイヤーはさまざまな武器と紐づけした魔法の書を手にすることで,より強力なスペルを発動できるという。
凍らせたり,炎に包み込んだり,地面から突き出る蔦にからめとったりといった,多彩なスペルが存在し,経験を積むことでより強力なアビリティをアンロックできる。スキルの異なるコンパニオンたちとオープンワールドを自由に旅してみよう。
スプリット・フィクション
開発元:Hazelight Studios
販売元:Electronic Arts
発売予定日:2025年3月7日
プラットフォーム:PC / PS5 / Xbox Series X|S
2人でプレイするゲームだからこそ楽しめるアドベンチャー
「Brothers: A Tale of Two Sons」を生み出し,独立してからは「A Way Out」や「It Takes Two」など,“2人でしか遊べない”という究極の協力専用ゲームにこだわるジョセフ・ファレス氏率いるHazelight Studiosの新作は,さらにその限界を押し広げたようなアクションゲームに仕上がっている。
SFワールドを得意とするミオ,ハイファンタジー専門のゾーイという2人の若き脚本家が,創造的なアイデアを奪い取るマシンによって,自分たちが作り出した世界に閉じ込められてしまう。そこから脱出する手立ては1つ。お互いに協力して信頼し合い,さまざまな難関を突破していくことだ。
「スプリット・フィクション」は,オンラインもしくはローカル協力プレイに対応し,ときにドラゴンを手懐けて大空を舞ったり,ときにサイバーニンジャになって激しく立ち回り,ときにモンキーたちとダンスバトルを繰り広げたりと,それぞれのステージが多彩で特徴的だ。
フレンドパスに対応し,1人のプレイヤーがゲームを保有していれば,オンライン上でゲームをシェアできるのもうれしい。
アサシン クリード シャドウズ
開発元:Ubisoft Entertainment
販売元:Ubisoft Entertainment
発売予定日:2025年3月20日
プラットフォーム:PC / PS5 / Xbox Series X
ニンジャとサムライの2人を操作しながら戦国日本の行く末を決める
古代から裏の世界で繰り広げられてきたアサシン教団とテンプル騎士団の戦いが描かれる「アサシン クリード」の最新作「アサシン クリード シャドウズ」は,ついに日本の戦国時代が舞台に。アフリカから日本に渡り,織田信長に仕えることになった強靭な体躯を持つ“弥助”と,伊賀忍者の血を引く“奈緒江”の2人を1つの物語で操作しながら,近畿地方を中心に拠点を作り,その陰謀を解き明かしていくことになる。
弥助は,シリーズ初のアサシンではないキャラクターであるとされ,刀やこん棒,鉄砲を武器にして力技で戦ったり,敵地に正面突破したりしていく。生粋の忍びでヒドゥンブレードも持つ奈緒江は,鎖鎌や手裏剣などで戦い,城壁や建物をスラスラ登っていけるという。
最新鋭のAnvil Engineによって春夏秋冬まで表現された美しいグラフィックスは,ゲームプレイにも影響するとのことで,光を発する提灯や行灯をどう処理するかで行動が変化し,庭池も夏には沈み込んで隠れ,冬には近道として利用できるようになるという。さらに本拠地となる忍びの里を自らデザインできるのも気になるところだ。
inZOI
開発元:inZOI Studio
販売元:KRAFTON
発売予定日:2025年3月28日
プラットフォーム:PC
バーチャルキャラクターたちの住む,良い環境を作るライフシム
「inZOI」は,「PUBG」で知られる韓国のKRAFTONが開発するライフシムだ。プレイヤーは,自分のアバターとなるキャラクターを作成し,さまざまなアイテムをクラフティングしつつ,自分の住む町を開発していく。
ソウルをイメージしたDowon,ロサンゼルス風のBliss Bay,インドネシアのリゾートのようなCahayaといった,オープンワールドのマルチ専用エリアにアクセスしてほかのプレイヤーと交流する,高いソーシャル性も特徴となっている。
プレイヤーは,ゾイと呼ばれるバーチャルキャラクターたちが,住みやすいコミュニティを作るARカンパニーでインターンとして働き始めたという役どころであり,生成AIによって家具やアイテムを作成するツールが完備している。
エリアに300人も住んでいるゾイたちには,空腹,清潔感,尿意,快楽,社交,元気,睡眠,認知欲求というパラメータが存在するだけでなく,年齢を重ねていくというリアルなシステムも搭載されている。
Killing Floor 3
開発元:Tripwire Interactive
販売元:Tripwire Interactive
発売予定日:2025年3月中
プラットフォーム:PC / PS5 / Xbox Series X|S
残された仲間たちとゼッドたちを切り刻んで地球の未来を救え
近未来の巨大バイオテック企業ホージンによって作られた人工生物兵器・ゼッドたちとの戦いを描いたシリーズ最新作となる「Killing Floor 3」は,完全にゼッドに掌握されてしまった2091年の世界で,反乱軍・ナイトフォールのメンバーとして狂暴な敵と戦っていくCo-op型FPSだ。
ソロでもプレイできるが,最大6人のプレイヤーたちが団結すれば,より壮絶なアクションを満喫できるという。シリーズの特徴である細かく敵の肉体が切り刻まれていく「MEAT System」も健在で,さらにグレードアップされている。
ゼッドを倒せばドッシュというゲーム内通貨を獲得でき,それによって30種を超えるスキルのアンロックや,武器のカスタマイズが可能だ。プレイヤーはコマンドーやフォスター,ファイアバグといったスペシャリストからキャラクターを選択でき,さらにレベルアップを通じて運用バジェットが増えるという新システムも楽しめる。スタート時点でカスタム武器が扱えるようになったりと,新しいメカニクスも満載とのことだ。
Judas
開発元:Ghost Story Games
販売元:Ghost Story Games
発売予定日:2025年3月中
プラットフォーム:PC / PS5 / Xbox Series X|S
人類の運命を託されたのは,複製人間とAIたち
一人称視点のアクションアドベンチャー「Judas」は,「バイオショック」シリーズで名声を得たケン・レヴィン氏が独立して率いるGhost Story Gamesの処女作。その世界観はバイオショックさながらの未来的ながらも懐古的なアートスタイルが目を引く。
物語の舞台は,地球が崩壊したあと,その英知を残すためにさまざまな物品や資料を搭載したまま,惑星Proxima Centauriに向かっているメイフラワー号。そこで目を覚ました主人公のジュダスは,3Dプリンターで複製された人間ともわからない生命体で,メイフラワー号に存在するリーダーたち――ビッグスリーも人間ではなくAIだという。
ビッグスリーたちは,それぞれに異なる目標を持ってせめぎ合っているが,どの勢力に加担するかはプレイヤー次第で,ときに寝返るなど駆け引きも楽しめるとのこと。キルされても複製されて蘇るローグライクなシステムを搭載しており,予想のつかない展開のストーリーが楽しめそうだ。
なお,1年ほど前に欧米の一部メディア向けに5時間ほどのプレイアブルデモが公開されたそうだが,本当に3月中にリリースされるかどうかはいまだ不明だ。
Kingmakers
開発元:Redemption Road
販売元:tinyBuild
発売予定日:2025年第1四半期 (アーリーアクセス)
プラットフォーム:PC
無数の中世騎士たちをマシンガンや戦闘ヘリで打ち負かす
第1四半期中にアーリーアクセスが開始する予定の「Kingmakers」は,戦争で荒廃した中世イングランドにタイムスリップした現代の兵士を主人公とするストラテジー型のアクションゲームだ。
自分がいた世界で食い止めることができない黙示録を阻止するために,歴史の天秤を傾けるべく,新しい歴史を作り出そうと奔走する主人公は,さまざまな現代兵器を手にして戦場を無双する。
それぞれの戦場で描かれる兵士たちは,行動からアニメーションまでAIで制御されており,数千人規模で大乱闘を繰り広げている。アサルトライフル,ショットガン,グレネードランチャー,さらには装甲車や攻撃ヘリを駆使できるが,無数のAIが相手となるだけにかなり手強そう。
三人称視点のカメラだけでなく,指揮モードに切り替えて自分の軍勢を鳥瞰視点でストラテジックに動かしていくこともできるという。また,複数人でのマルチ協力プレイにも対応している。
The Alters
開発元:11 bit studios
販売元:11 bit studios
発売予定日:2025年第1四半期
プラットフォーム:PC
スキルや過去の違う自分の分身を作って生き延びろ
「This War of Mine」など,硬派な社会的メッセージを盛り込んだゲーム作りを得意としてきた11 bit studiosの最新作は,アドベンチャー,サバイバルシム,ベースビルディングといった異なるジャンルをミックスさせた「The Alters」だ。
数日ごとに強いX線により地上が破壊し尽くされる未知の惑星で唯一生き残ってしまった作業員のヤン・ドルスキーが,自分を複製することで新しい仲間,アルターたちを手に入れ,その知力や技術を利用して移動型の基地を動かしながらサバイバルを続けていく。
アルターたちは,自分のDNAにある記憶のターニングポイントを活用して生まれてくるので,,ある程度の記憶――生い立ちや母の作ったスープの味などは共有しつつも,途中でまったく異なる生活を送り始めるという。
「もし,あの時にアルコール中毒の父に逆らっていたら?」「大学を中退せずに勉強していれば?」といった分岐を選ぶことにより,科学者や植物学者の自分を作り出せるが,彼らもまた異なる性格で異なるトラウマを抱えている。複雑な過去が現在の状況に絡み合って展開していく物語も見どころとなりそうだ。
Koira
開発元:Studio Tolima
販売元:DON'T NOD
発売予定日:2025年4月18日
プラットフォーム:PC / PS5
セリフもテキストもないハートウォーミングなアドベンチャー
DON'T NODがパブリッシングする「Koira」は,ベルギーのStudio TOLIMAが開発するハートウォーミングな2Dアドベンチャーゲームだ。ストーリーは,森の精霊であるコイラが山中で迷子になってしまった子犬を見つけ,一緒に帰る場所を探していくというシンプルなもので,コイラと子犬はそれぞれのスキルを使って,途中で出会う猟師たちから隠れたり,道中のパズルを解いたりしていくことになる。
影絵や切り絵のようなシルエットだけのキャラクターもキュートに描かれているが,特徴的なのは音声やテキストによる会話がないということ。細かなキャラクターの動作と単純なイコノグラフ,そして音楽によってストーリーが語られていく。
神秘的な石碑を蘇らせて荒んだ森を復活させるだけでなく,途中で出会うイノシシ親子やユキウサギを助けたり,子犬に餌をあげて仲良くなったりと,全体的にほっこりとした時間が楽しめそうだ。
リベンジ・オブ・ザ・サベージプラネット
開発元:Raccoon Logic Studios
販売元:Raccoon Logic Studios
発売予定日:2025年5月中
プラットフォーム:PC / PS5 / Xbox Series X|S / Xbox One
未知なる惑星を開拓し尽くしてブラック企業を見返そう
「リベンジ・オブ・ザ・サベージプラネット」は,2020年にリリースされた「Journey to the Savage Planet」の後継にあたるSFアドベンチャーで,コミカルでカラフルな世界観をそのまま踏襲した正統派続編だ。
デベロッパである新興のRacoon Logic Studiosは,「アサシンクリード III」や「ファークライ 4」でクリエイティブ・ディレクターとして活躍したアレックス・ハッチンソン氏らオリジナル開発チームのメンバーで構成されている。
前作では,未知の惑星に強制出張させられたブラック企業に勤める主人公のサバイバルが描かれたが,今回は会社をクビになって帰る手段さえ失われてしまうという絶体絶命のピンチから始まる。
めげない主人公の目的は,取り残された仲間たちと共に惑星の開拓を成功させ,エイリアン生物を手懐け,植物を採取し,近隣の4つの惑星を掌握してブラック企業を見返してやることだ。Co-opが圧倒的に楽しそうな作品だけに,今から仲間を募っておくのもいいだろう。
Nivalis
開発元:ION LANDS
販売元:505 Games
発売予定日:2025年春
プラットフォーム:PC
サイバーパンクな世界で水商売を成功させよう
2020年の「Cloudpunk」が高い評価を得たION LANDSの新作「Nivalis」は,そのスピンオフタイトルとなるライフシムだ。舞台となるサイバーパンクなディストピアの都市ニヴァリスは,プレイヤーの内臓を奪おうと襲ってくるギャングもいれば,息をするだけで徴税してくる悪徳役人もいるという。
プレイヤーは,ラーメン屋や売店,さらにはバーやナイトクラブなどを手広く展開していく経営者として,夜の街を支配していく。
ボクセルで描かれたニヴァリスの街並みがとにかくアートフルだが,天候や昼夜のサイクルなどもシミュレートされており,3Dキャラクターたちもモーションキャプチャでアニメーションが取り込まれている。実に本格的だ。
ライフシムらしく,食材は購入するだけでなく,自ら農地で育てられるし,自分の部屋をデコレーションすることもできる。街で知り合った人と懇意にすることで,やがて恋に発展することもあるとか。
Ghost of Yōtei
開発元:Sucker Punch Productions
販売元:Sony Interactive Entertainment
発売予定日:2025年内
プラットフォーム:PS5
羊蹄山で冥人になる女剣士のストーリー
このあたりから発売時期が年内のものが増えていく。PlayStationファンが大きく期待しているのが,Sucker Punch ProductionsのアクションADVシリーズ第2弾である「Ghost of Yōtei」だ。
何らかの罪で賞金首となってしまった女武芸者の篤は,落ち延びた蝦夷地にある羊蹄山で追手と戦いながら,いつしかゴースト(冥人/くろうど)の異名を獲得していくことになる。
これまであまり情報が露出していない「Ghost of Yōtei」だが,クリエイティブ・ディレクターのジェイソン・コネル氏が,何度も北海道を訪れているうちに,蝦夷富士とも呼ばれる羊蹄山の美しさに惚れ込んだということで,環境音は知床国立公園に足を運んで収録している力の入れようだ。
ストーリーについては,前作以上にプレイヤーの選択が成り行きに反映していくそうで,高い評価を得た「Ghost of Tsushima」を超える作品になることに期待したい。
REANIMAL
開発元:Tarsier Studios
販売元:THQ Nordic
発売予定日:2025年内
プラットフォーム:PC / PS5 / Xbox Series X|S
どこかかわいらしくも不気味なビジュアルに注目
「リトルナイトメア」シリーズのオリジナル開発チームであるスウェーデンのTarsier Studiosによる新作「REANIMAL」は,やはりどこか不気味ながらもミニチュア感漂う可愛らしい,“大きな世界にいる小さな存在”に特化したホラーアドベンチャーになりそうだ。
何らかの異変によって引き裂かれてしまった孤島に建てられた孤児院で育った兄妹が,行方不明になっているほかの孤児の友達たちを探していくストーリーが展開される。
麻袋のようなものを被った兄と,キツネ面の妹(どちらが年長なのか,血でつながった兄妹なのかは不明)は,壮絶な過去があったらしく,モンスターの造形デザインは過去の思い出に起因しており,ゲームをプレイしていくことで徐々に明らかになっていく。
シングルプレイはもちろん,ローカルやオンラインでの協力プレイにも対応しており,自動調整するダイレクトカメラが緊迫感や恐怖を演出し,共有できるようになっているとのことだ。
33 Immortals
開発元:Thunder Lotus Games
販売元:Thunder Lotus Games
発売予定日: 2025年内 (アーリーアクセス)
プラットフォーム:PC / Xbox Series X|S
最大33人のマルチプレイに対応したローグライクアクション
年内にアーリーアクセスを開始予定のThunder Lotus Gamesによる新作「33 Immortals」は,自分を貶めた神に復讐するために,地獄界,煉獄界,天界の3つのエリアをプレイヤーが戦い進んでいくという,トップダウン型のローグライク2Dアクションゲームだ。
その最大の特徴は,最大33人の協力プレイに対応していることで,MMORPGのレイドセッションのように,1回につき25分程度のランを楽しめる。
武器は剣や弓など14種類が用意されており,それぞれが7つの大罪と7つの罪を表現しているとのこと。それぞれの武器に何らかのコンボ効果であるCo-opパワーがあてられており,仲間たちと協力することで相手に多大なダメージを与えられる。
誰かがキルされても,時間内であれば再生できるのもうれしいところで,オンラインでつながっていれば好きなときに,短いセッションを楽しめるのは大きな魅力になるはずだ。
Slay the Spire 2
開発元:Mega Crit
販売元:Mega Crit
発売予定日:2025年内 (アーリーアクセス)
プラットフォーム:PC
デッキ構築型ローグライクストラテジーの金字塔に続編が登場!
2025年内にアーリーアクセスがスタートする期待のインディー作品と言えば,デッキ構築型ローグライクストラテジーの金字塔の続編である「Slay the Spire 2」だ。
天界に続く巨塔スパイアへの扉が開き,独自のカードセットやメカニクス,特性を携えた新たなスレイヤーたちが,敵や友たちと対峙して再び高みへと上り詰めていくことになる。
現時点で公開されている情報は少ないが,スパイアの内部世界は大きく様変わりしている様子で,新しい敵やイベント,宝物が散りばめられており,もちろんプレイのたびに内容や位置は変化していく。
ハイリスクなビルドに挑戦するのもいいし,少しでも長く生き残るために慎重にプレイしてもいい。プレイヤー独自の戦術とアイデアで,各章に待ち受けるボスの打倒を目指そう。新しいゲームエンジンを採用しており,ビジュアルも一新されているほか,MODによるカスタマイズ性も向上するという。
South of Midnight
開発元:Compulsion Games
販売元:Xbox Game Studios
発売予定日:2025年内
プラットフォーム:PC / Xbox Series X|S
アメリカ南部で巻き起こるゴシックファンタジー
「We Happy Few」で知られるCompulsion Gamesにとっては7年ぶりの新作となる「South of Midnight」は,ディープサウスなどと呼ばれるアメリカ南部をファンタジー化した世界に生きる,若き女性ヘイゼルを主人公とするアクションADVだ。ヘイゼルはさまざまな敵と戦いながら,自分の家系の謎を解き明かし,自らの故郷と呼べる場所を目指して旅を続けていく。
ヘイゼルは,ウィーバーと呼ばれる気を操作する魔術師であり,ダブルジャンプや気のパラシュートを使うことで長い距離を飛行でき,鉤縄のように扱い,樹木や屋根を渡り移動できる。
もちろん武器を使った戦闘も可能で,両手に持つ小さな斧に加えて,背中に背負った杖も扱えそうだ。Compulsion Gamesらしいクセの強いアートスタイルも特徴的で,湿地帯を移動するコンパニオンの大ナマズや,ヘイゼルをつけ狙う背中が島になったような巨大アリゲーターの存在も気になるところだ。
Dune: Awakening
開発元:Funcom
販売元:Funcom
発売予定日:2025年内
プラットフォーム:PC / PS5 / Xbox Series X
砂の惑星でサバイバルするMMORPGの決定版
「Dune: Awakening」は,「Conan Exiles」や「Secret World Legends」など手堅いMMORPGを作り続けるFuncomが,Legendary Entertainmentとの提携により,フランク・ハーバート氏のSF小説「砂の惑星」の正式ライセンスを受けて制作するMMORPGだ。
キャラクリエイトでは,アトレイデス公爵家のほか,光の届かない惑星出身であるために白い肌を持つハルコンネン男爵家,さらには日焼けした砂漠の民フレメンといったボディタイプやその出自を選び,リアルな砂の世界で大勢の仲間たちとサバイバルを続けていく。
とにかく美しいグラフィックスが目を引く「Dune: Awakening」だが,太陽光に晒されると熱射病になってしまうため,日陰を伝っての移動や水分の補給が重要なサバイバル要素になるという。
当面は日陰に生える草を食むことでも水分は摂取できるが,ゆくゆくは倒した敵の血を採取して蒸留するという機械を作成しなければならない。そのため,基地作りは大きなゲームメカニクスの1つであり,サンドバイクやオーニソプター,タンクなどを乗り回してPvPに挑む必要も出てくるようだ。
The Outer Worlds 2
開発元:Obsidian Entertainment
販売元:Xbox Game Studios
発売予定日:2025年内
プラットフォーム:PC / Xbox Series X|S
遠い銀河の辺境に送り込まれた主人公の冒険譚
Obsidian EntertainmentによるアクションRPG続編「The Outer Worlds 2」では,開拓団を送り込む巨大企業のあいだで戦争が勃発していたアルカディア星系に発生した空間の裂け目の原因を探るべく,地球議会から派遣されたエージェントが主人公となる。
クラシカルな会話選択システムは存在するが,前作以上にアクションにフォーカスしたゲームシステムとなり,走り回ってジャンプし,障害物でカバーしながら銃撃戦を繰り広げることになるようだ。
ゲーム世界は前作から2倍ほどになり,新たなコンパニオンも多数登場する。プレイヤーが彼らの要望を手助けしても,自身の目的のために手を貸してもらっても,それぞれのキャラクターとの関係性や親密度は微妙に変化し,ストーリーに影響していく。さまざまな勢力と戦いながら,破滅に向かうアルカディアの運命を形作っていこう。
グランド・セフト・オートVI
開発元:Rockstar Games
販売元:Rockstar Games
発売予定日:2025年第3/4四半期
プラットフォーム:PS5 / Xbox Series X|S
2人の男女が織りなす犯罪活劇は陽気なフロリダ風世界が舞台に
2025年のゲーム業界は「グランド・セフト・オートVI」に大きく左右されることになるのは間違いない。2018年に「レッド・デッド・リデンプション 2」がリリースされて以降,Rockstar Gamesが全力を尽くして開発を続けてきた本作については,何度も何度もリーク情報が公開されてしまっている(関連記事)。
フロリダを模した地域が舞台になることや,男女の主人公が描かれることなど,過去の正式発表の内容はほぼリークどおりだった。最近では失敗できないプレッシャーから2026年に発売がズレ込むというウワサも出てきているが,売り上げ本数2億本という前作以上の成功を収めることはできるのだろうか。続報が楽しみでならないというゲーマーも多いことだろう。
著者紹介:奥谷海人
4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
※次週1月20日の「奥谷海人のAccess Accepted」は筆者取材のため休載します。次回の掲載は1月27日を予定しています。
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