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  • 発表日:2007/11/19
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AMD,3GHz動作する「Phenom FX」の実動デモを披露。新製品「Athlon 64 X2 6400+」の存在も公開
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印刷2007/08/13 12:48

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AMD,3GHz動作する「Phenom FX」の実動デモを披露。新製品「Athlon 64 X2 6400+」の存在も公開

緑色の浴衣で登場した土居憲太郎氏
 2007年8月12日,AMDの日本法人である日本AMDは東京の秋葉原でエンドユーザー向けイベント「兄貴だ!Phenomだ!3.0GHzだ!」を開催した。
 イベント名にもあるとおり,次世代CPU「Phenom」,正確にはシングルCPUソケット向けとなるクアッドコアCPU「Phenom FX」がエンドユーザーに向けて世界初公開されるということもあり,会場は尋常ならざる熱気に。溢れて入りきらない人達が,会場となったカフェソラーレのテラスに設けられた“街頭モニター”に群がるほどだった。
 いうまでもないが世間はお盆休み期間中。そのなかでこれほどの人が集まったあたり,Phenom FXへの期待はかなり高いということなのだろう。

AMDのパートナーによるセッションでも人はぎっしり。合間合間には「Microsoft Halo 2 for Windows」の試遊台で4人対戦が実施されていた


■「三つの日本初公開」を披露した兄貴
■Phenom FXのデモでは「証拠」まで見せるサービスも


デモ機の構成
 4:00PMから始まったAMDのセッションでは,いまや日本AMDの顔といえる“兄貴”こと土居憲太郎氏が登場。「三つの日本初公開」があるとした。
 もちろんその一つはPhenom FXのデモ。「世界に2台しかないうちの1台」(土居氏)が会場に持ち込まれて,動作デモが行われた。

 使用されたシステムは,2007年7月28日に北米で開催された投資&報道関係者向け発表会「Analyst Day」で用いられたものそのものとのこと。最終的に3GHzというラインナップ(SKU)がPhenom FXのデビューに合わせて登場することを約束するものではないとしつつも,「この時点で3GHz動作していることに意義がある」と胸を張る。
 自信の表れか,本当に1個のクアッドコアが動作していることをアピールすべく,セッションではケース内部も公開。さらに,システムのプロパティも表示させ,実際に3.0GHz動作していることも確認し,Phenomファミリーの開発が順調であることをアピールしていた。

公開されたPhenom FXのデモ機


Phenom FX周辺。Phenom FXはAMD 790Xリファレンスボード上で動作していた
 もっとも,CPUもエンジニアリングサンプル。用いられているマザーボードも(土居氏によればCOMPUTEX TAIPEI 2007の時点からリビジョンアップしているそうだが)開発途上版の「AMD 790X」(開発コードネームRD790)チップセット搭載製品を用いていることもあって,具体的なベンチマークスコアの提示はなく,同社のアピールする「Mega Tasking」(メガタスキング)的な使用法を想定したデモンストレーションとなった。
 具体的には,「Call of Juarez」のベンチマークと「Google Earth」,そして仮装マシンソフト「VMWare」が2個実行され,VMWare上ではいずれもWindows XPが動作。片方ではコマ落ちすることなくWindows Media Playerから動画再生を行い,もう片方ではWebブラウズを行うという内容で,この状態でもCPU使用率は60%弱ほど。Call of Juarezのベンチマークや動画再生にもコマ落ちなどはなく,かなりさくさくと動いているように見えた。

VMWareの現行バージョンでは仮想マシン下で2個のCPUコアがサポートされることもあり,仮想マシン下のWindows XPが2個のCPUを認識して動作している様子も確認できた


 ただ,Phenom FXの最大の売りは土井氏も強調していたように「真のクアッドコアCPU」である点だ。換言すれば,4コアで容量2MBのL3キャッシュを持つことが大きな特徴である。その点,Mega Taskingでは関連性のないタスクが個別に動作するだけなので,せっかくの共有キャッシュもあまり有効には用いられない。むしろ,マルチコアに最適化されたゲームタイトルを動作させてくれたほうが,ライバルとの差を明らかにできたと思われるが,さまざまな経緯もあり,今回の時点ではMega Taskingが限界だったのだろう。

Windows Vista上で動作クロックとエクスペリエンス インデックスを表示させた土居氏。CPUは「AMD Engineering Sample 3.00GHz」となっていた


■最後のAthlon 64 X2「6400+」をサプライズ公表
■8月20日に正式発表&販売開始予定


Athlon 64 X2 6400+の8月20日正式発表を予告。Athlon 64 X2 6000+より5%高速とされる
 二つめの初公開は,なんと未発表の新CPU,「Athlon 64 X2 6400+ Black Edition」登場予告だった。全世界での発表と販売開始は2007年8月20日が予定されており,日本AMDによる公式なフライングということになる。

 Athlon 64 X2 6400+は,現行のシリーズ最上位「Athlon 64 X2 6000+/3.0GHz」をベースに,クロックを200MHz引き上げた製品。そのほかの仕様はAthlon 64 X2 6000+から変わらず,90nm SOIで製造されるTDP(熱設計消費電力)125W仕様である点や,L2キャッシュ容量がコア当たり1MBとなっている点など,基本的なスペックはまったく同じだ。ただし,デスクトップ向けのリテールボックス品にしては珍しく,CPUクーラーが付属しないという。
 なお,Black Editionとあるのは製品ボックスが黒くなるからで,それ以上の意味はとくにない気配。Athlon 64 X2 6400+が最後の製品とは断言されていないものの,この数か月日本AMDは「Athlon 64 X2のラインナップにあと一つ追加する」と言い続けてきたので,おそらくこれが最後だろう。Black Editionは,「Athlon 64」の名を冠した製品としては最後になることを記念したものと思われる。

 Phenomファミリーのリリースがそう遠い将来ではないだけに,微妙な製品となるかもしれないが,低価格で登場するなら,それまでの“つなぎ”としてはアリかもしれない。

来場者アンケートに答えるともらえた団扇には「AMD Athlon 64 X2 Coming Soon…」と書かれていたが,突然の公表となった。メモリアルなボックスだけに,AMDファンの注目を集めるのは必至(?)


■Analyst Dayの内容を簡単にまとめ
■早期のPhenom FX登場に期待


 最後の一つは,先に紹介したAnalyst Dayの内容を“兄貴なりに”まとめたもの。デスクトップPCとノートPC向けCPUのロードマップに絞って説明が行われた。海外のPCサイトなどで報じられているから,目にした人も多いだろうが,せっかくなので簡単に紹介しておこう。

兄貴謹製のAMD製CPUロードマップ
 まずデスクトップPC向けだが,こちらは2007年中にPhenomファミリーがリリースされる予定だ。マイクロアーキテクチャは現行のAthlon 64 X2を拡張したもので,浮動小数点演算の高速化などが図られるとされている。65nmプロセスで製造され,デュアルコアの「Phenom X2」,クアッドコアの「Phenom X4」,そしてシングルCPU版およびデュアルCPU用のクアッドコアが可能なものの2種類がリリースされる最上位クアッドコアCPUとして,前出のPhenom FXが(すべて2007年中に間に合うかはともかく)登場の予定だ。

 また,2008年には製造プロセスが45nmへ移行し,集積度の向上を利用してL3キャッシュ容量がデビュー当初の2MBから6MBに増強されるほか,Hyper Transportの次世代バージョン(バージョン3.0)が搭載されることなどが明らかにされている。メモリコントローラはDDR2のままの予定だが,「DDR3の価格などの動向を見て,この世代でDDR3をサポートすることもありえる」(土居氏)とのこと。
 そして2009年の新CPUとしてAnalyst Dayで発表されたのが,開発コードネーム「Bulldozer」(ブルドーザー,開発コードネーム)である。開発コードネームが建機シリーズとなるこの世代では,マイクロアーキテクチャが一新され,ネイティブオクタルコア(8コア)になるとされているが,詳細はまだはっきりしない。

FusionがデスクトップPCの一部にももたらされる
 一方,ノートPC用としては,2007年5月18日の記事でその名をお伝えしている「Griffin」(グリフィン,開発コードネーム)が登場予定。土居氏のセッションでは詳しい説明がなかったが,ノートPCに向けて,消費電力の低減にフォーカスしたカスタマイズが行われるようである。
 そして2009年,グラフィックス表示機能を統合した「Fusion」(フュージョン,開発コードネーム)が登場する。このFusionは,ローエンドデスクトップの一部にも導入される計画だ。もっとも,AMDのロードマップは比較的頻繁に改定されるため,2009年の予定は,まだまだ未定の部分が多いと思っていて間違いないだろう。

 ……以上が,Phenom FXのデモに関連したAMDによるセッションの概要だ。今回の動作デモだけでPhenomファミリーの実力を窺い知るのは難しいが,土居氏が日本AMD社内でざっと試してみたところ,「3GHz動作のPhenom FXとQuad FXシステム(※詳細不明)をCINEBENCHで比較したら,Phenom FXのほうがかなり速かった」そうで,いよいよ楽しみになってきた。
 また,百人近い来場者がすし詰めとなり,まるで冷房の効いていなかった会場にあって,デモ中に破綻を一切起こすこともなく重量級のMega Taskingをこなしていたあたり,現時点でもかなりの安定性はありそうだ。

 8月10日の記事でお伝えしたとおり,ライバルのIntelは一足早く,2007年中にも45nmプロセスで製造される「Penryn」(ペンリン,開発コードネーム)ファミリーをリリース予定で,AMDにとってPhenomファミリーの遅れは許されない状況だ。AMDが順調にPhenomファミリをリリースし,真のクアッドコアの威力を確かめる機会が一日でも早く訪れることを期待したい。

■ATI Radeon HD 2900 Proは9月に249ドルで登場へ
■メモリインタフェース256bitでGeForce 8600 GTSの“上”に


 ところで,AMDといえばGPU周りも気になるところだが,先に2007年8月の投入が関係者の口から予告されていた“ATI Radeon HD 2900シリーズの下位モデル”がどうなったのかについて続報が得られたので,最後にレポートしておこう。

(一部で報じられている)統合型シェーダ削減版は「ATI Radeon HD 2900 GT」として,2007年10月頃,Sapphire TechnologyやTulといった特定のパートナーから登場することになるという
 まず製品名は最終的に「ATI Radeon HD 2900 Pro」となったようだ。同GPUについては,一部で統合型シェーダの削減があると報じられていたが,AMD関係者はこの報道を否定。「ATI Radeon HD 2900 XTと同じ,320基になる」と断言する。
 では何が削減されているかというと,それはメモリ周り。連載「西川善司の3Dゲームエクスタシー」のバックナンバー「『ATI Radeon HD 2000』シリーズのGPUアーキテクチャ徹底解説」で説明しているように,ATI Radeon HD 2900 XTは左回り256bit×2,右回り256bit×2で計512bit×2のリングバス(Ring Bus)メモリアーキテクチャを採用するのが大きな特徴だが,ATI Radeon HD 2900 Proでは,リングバスのまま256bitインタフェース(256bit×1)になるという。ただし,グラフィックスメモリ容量は変わらず512MBに据え置かれる。

 出荷スケジュールは遅延なく8月中だが,これはカードメーカーに対してのものであり,エンドユーザーが入手できるのは2007年9月になるとのこと。最終的な想定売価は249ドルとなり,「GeForce 8600 GTSと同程度の価格で,パフォーマンスでは上に行く」あたりがターゲットになるそうだ。
 早くも“ハイエンドGPUの機能を削減してミドルレンジ上位として投入する作戦”が取られるわけで,これは興味深い。ライバルがこれを黙って見ているとも思えず,秋口はミドルハイクラスGPU戦線が熱くなるかもしれない。(ライター:米田 聡)


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