レビュー
今度のNFSは割と真面目(?)なレース路線
ニード・フォー・スピード プロストリート
その方向性を変えた
ニード・フォー・スピードシリーズの最新作が登場
念のため書くのだが,本作は完全日本語版なのでゲーム中のテキストはすべて日本語化されている。メニューの中には一部,英語のままのものも見られるが,難しい単語はまったく出てこないので問題なし(とはいえ,少々統一感が薄いのも事実)。ゲーム中の音声まですべて日本語の吹き替えなので,日本語以外には拒絶反応を示す人(何度も書いているような気がするが,筆者のことだ)も安心してほしい。
本作では一段と細かいカスタマイズが可能。やっぱり,ペタペタに車高を落として,ディープリムのホイール,扁平率の低いタイヤを履かせると格好いいよなぁ |
基本的に,レースイベントに参加していくスタイルでゲームが進む。MCがうるさいくらいにしゃべりまくり,その場の雰囲気を盛り上げるのは非常にグッド |
打倒ショウダウン・キング
「リョウ・ワタナベ」を目指すキャリアモード
本作のメインとなるのが「キャリアモード」。プレイヤーは主人公であるライアン・クーパーとなり,さまざまなバトルイベント(レース)に参加して勝利を収め,最終的に現在“ナンバー1 ストリートレーサー”として君臨するショウダウン・キング,「リョウ・ワタナベ」を打ち破るという物語だ。
バトルイベントは,「グリップ」「スピードチャレンジ」「ドラッグ」「ドリフト」の四つのレースモードによって構成される。個々のモードで勝利しても賞金が得られるものの,すべてのモードでライバルに勝ったときにもらえる圧勝ボーナスは,金額がすばらしい。何かとお金がかかるゲームなので,必ず圧勝を狙っていきたい。
キャリアモードのほかに,あらかじめ用意されたバトルイベントや,レースモードの構成を自分で考えたバトルイベントを使ってコンピュータ相手のレースやオンライン対戦が楽しめる,「フリーバトル」。すぐに参加できるオンラインバトルを検索して参加できる「クイックバトル」が用意されている。なお,オンラインプレイも試してみたが,いまのところ,まだまだ元気のある状況ではない印象だ。日本語版発売となった今日の夜あたりから,日本人プレイヤーの数も増えてくるだろう。
箱庭の中を走り回るのではなく,イベントマップからバトルイベントに参加するシステム。まさにレースオンリーな作りになっている |
フリーバトルでは,オリジナルのものや設定済みのバトルイベントでソロまたはオンライン対戦ができる。接続中の人数(四角いバー)は,まだ少なめ |
----- 以下,レースモードの簡単な説明
◎グリップモード
◎スピードチャレンジ
◎ドラッグ
◎ドリフト
自分好みの車を作れる
強化されたセッティング&カスタマイズ機能
さて,ここらで車の挙動について触れておこう,発売前のニュース記事などで「シミュレーション寄りになった」というのを見かけたが,実際にプレイしてみると,まだまだアーケード色が強い。それでも荷重移動やセッティング調整による挙動変化などがうまく再現されており,全体的には悪くない。ニード・フォー・スピード カーボンよりも挙動自体は良くなっている印象だ。マニアだけが楽しむドライブシムと違って,ゲームパッドで十分操作できるゲームなので,このくらいの挙動バランスのほうが多くの人が楽しめるだろう。
筆者が好きなポルシェ カイマンS。たぶん一生買えない車だが,本作でならイヤというほど乗り回せるし,カスタマイズまで可能。これで満足しておくことにした |
NFSシリーズ初となるベストライン(画面の緑色の矢印)表示。コーナーで速度が速すぎるとそれが赤くなるので,ビギナーでもレースを存分に楽しめるはずだ |
従来作では足回りやエアロパーツなど,わずかしかなかったセッティング/カスタマイズだが,本作では項目も増え,それぞれに細かい調整が可能となっている。ちなみにエアロパーツは風洞で空気の流れを見ながら調整するのだが,空気の流れが変化したりして,見ていて面白い。
エンジンや足回りなどのカスタマイズについて,どのパーツを組み込んだらいいのか分からないという人も割といるかと思うが,そうした場合,各部のパーツがセットになったクイックアップグレードを組み込むことで簡単に車を速くできる仕掛けだ。
また,ド派手なカラーリングの車が登場する本作だけに,ビジュアル系のカスタマイズも可能であり,ボディカラーの変更だけでなく,バイナルやステッカーを貼り付けられる。とはいえ,ボンネット,右ドア,フェンダーなど部位ごとに配置するせいか,ちょっと作業がしにくいのが残念なところだ。ちなみに本作では所有する車1台につき三つまで,組み込みパーツ,セッティング,ビジュアルをブループリント(カスタマイズの記録)として保存しておける。これは,同じ車をレースに合わせて使い分けるときなどに便利だ。
エンジン,足回り,過給器などの細かいセッティングが可能だ。いつでも初期値に戻せるので,思い切りいじってベストセッティングを見つけよう |
エアロパーツのセッティングは風洞で行う。スライドバーで部分的な形状変更ができ,ダウンフォースとトップスピードを見ながら調整を行う |
リアルに反映されるダメージ再現は一見の価値あり
また,ダメージによる挙動変化は,明確には感じられないものの,大きなダメージを受けると最高速が伸びなくなったり,加速が鈍るといった症状が出ることは確認できた。ちなみに致命的なダメージを受けると,その時点でリタイヤ扱いになってしまう。
さて,100%のパフォーマンスでレースに参加するには車の修理も重要になるだろう。キャッシュで修理代を払っても構わないのだが,バトルイベントに優勝すると挑戦できる「くじ引き」で,修理に利用できる「リペアマーカー」,あるいは完全に壊れた車を修理できる「トータルリペアマーカー」がもらえるときがある。これらをうまく使えば出費を最小限に抑えられるはずだ。運次第だけど。
ここで忘れてならないのが,日産自動車から発売されたばかりの「NISSAN GT-R」をチューンナップし,しかも壊せるゲームというのは(本原稿の執筆時点で)本作だけということだろう。これは重要である。とはいえ,まだキャリアモードがあまり進んでいないため,プロトタイプを含めてNISSAN GT-Rには乗れていない筆者だが,早く乗り回したくてウズウズしている。ちなみに「こちら」に掲載した本作の体験版でNISSAN GT-Rが乗り回せるので,まだプレイしていないという人はまず体験版をプレイし,挙動やダメージ再現を確認してほしい。
道路脇にあった立木に真正面から激突したが,なんというかなかなかリアルなダメージ再現度。もちろん,一発廃車クラスのダメージなので,即リタイア。がっくし |
発売されたばかりの「NISSAN GT-R」。多くのメーカーさんは嫌うところだが,きっちりボコボコにできちゃったりする。思う存分,ボコボコにしようって,無理にとは言いませんけど |
今は優勝しまくって鼻息荒いが
今後は勝つのが厳しくなりそうな予感
ゲームを進めるにつれて気になってきた部分もある。キャリアモードの途中でムービーシーンを織り交ぜることでストーリー性を持たせてあるものの,登場人物の描写がやや薄く,チューンナップ&カスタマイズをしてバトルイベントを繰り返すという単調な流れになりそうな雰囲気がある。こうした点は,さらにゲームを続けていかなければ分からないので,少し踏み込んだことについては,予定しているレビュー記事でお届けしたい。
というわけで,筆者は本作をプレイし始めたばかり。まだキャリアモードの序盤という段階なので,今回はとりあえずファーストインプレッションとしたわけだが,全体として,気軽にプレイできるドライブゲームとして面白く仕上がっていると思う。
今のところライバルは遅く,楽勝続きだが,ゲームが進むにつれて速い車もチラホラ現れてきた。フリーバトルでハイパワーな車を使った場合,コントロールできずクラッシュばかりとシャレにならないことになっているので,これからバトルイベントに勝つのもどんどん厳しくなりそうな今日この頃で,不安である。
リプレイがないのが残念だが写真撮影は可能。走行中にポーズを押す必要があるため,狙ったアングルで撮れないことも多い |
ドリフト時やドラッグレースでのバーンアウトの際には派手にタイヤスモークが上がる。ゴムの焼け焦げた匂いが漂ってきそうな煙は必見 |
バトルイベントをメニュー画面で放置しておくとイベント会場を見渡すアングルに変わる。キャンギャルのお姉さまにカメラを向ける人なども忠実に再現だ |
ルーキーであるライアン・クーパーの走りをみて,ムカついているショウダウン・キング「リョウ・ワタナベ」。キングならもっと余裕を持ったほうがいいです |
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