男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ / 第44回：「さえない中年男の憂鬱」

著者近影

　35歳さえない独身男……泣ける。泣けるわ。この設定だけでシンパシーを感じずにはいられない。「いろづきチンクルの恋のバルーントリップ」の話なんだけれども。私32歳。チンクル35歳。ヤバい。
　「ろくでなしブルース」の前田太尊の年齢を抜いたときも少なからずショックだったけど，さえない男の象徴としてチョイスされたチンクルの35歳という年齢。これに私も近づいていることを実感させられてショック。っていうか，32歳は中年ですよねー……。
　というわけで，いろづきチンクルを買ったはいいけど，あんまりプレイできていないのよ。30代のお腹が出た中年がろくに働かず変なコスチューム着て人前で盛って……っていうチンクルのことがどうしても他人事に思えなくて。
　ゲイム自体は，凄く面白いの。さすが任天堂って感じで。タッチペンをイヤミにならない感じで使わせてくれるし，キャラは立ってるし，謎解きも難しいわけではないし。でも，これをプレイし続けるのはあまりにも自虐的過ぎるのよ！
　なので，チンクルはちょっとギブアップ。任天堂は悪くない。むしろ32歳さえない中年独身ゲイプロレスラーである私が悪いの。チンクルがやってることと，私がやってることに大きな差が見えないんだもの。でも面白いのは確かだから，もう少し人間的に余裕ができたらあらためてプレイするつもりよ。

　さて，ちょっとブルーになったところで，流れを変えるべく「おかえり！ちびロボ！ ハッピーリッチー大そうじ！」もプレイ！　まあ，本当のことをいうと，一番変えなきゃならん流れは私の人生なんだがな……。って，またブルーになってどうする私！

　で，ちびロボなんだけど，相当面白い！　さすが任天堂。正直，おかえり！　って言われてもなぁ……，名前は知っていたけど前作は遊んでなかったから，「おかえり！」なんて気分にはとうていなれないし。なんて思っていたのよね。
　でも，そんな不安はまったくの杞憂に終わったわ。とにかくちびロボを思い通りに操作するのが楽しいったらないのよ。これはWiiの「スーパーマリオギャラクシー」でマリオを自由自在に動かせたときの感動に匹敵するわね。

　ちょっと話はずれるけど，人間って誰しも努力したら報われたいじゃない？　でも，努力しても報われないときがある。っていうかむしろ報われない努力のほうが多いくらい（人にもよるだろうけど）。
　例えば，職場の掃除をしたとするじゃない。そこにはまあ，達成感や爽快感はあるんだけど，その努力が報われたと思えるときって，やっぱり誰かが気付いてくれたとき。やって良かったなぁって。でも，実際には往々にして誰も気付かない。ある種，報われない努力よね。まあ，個人的には努力は気付かれないからこそするべきであって，逆に誰かに気付かれたくてする努力は薄いと思ってるんだけどね。

　話を戻すわ。
　努力と結果の関係をゲイムに置き換えてみると，ゲイムに関してプレイヤーが重ねた努力は，基本的に結果として反映されてほしいわけ。人生で報われてないんだから，ゲイムでぐらい報われたいもの。かといって，プレイヤーを甘やかしすぎるゲイムって，すぐに飽きてしまいがち。そこのバランスをいかにしてとるのか。そこがいわゆる，ゲイムバランスの妙だと私は解釈しているのね。
　その点，任天堂のタイトルはおおむねゲイムバランスが素晴らしいの。それはエンターテインメントに従事する身からしてみると，本当に驚嘆に値するほど。だって，どのゲイムもそれなりに面白いでしょ？　その“それなり”アベレージの高さが抜きん出てるのよ。

　さて，ようやくちびロボの話に戻るんだけど，このちびロボときたら，努力と結果のバランスがもう，完璧。ちびロボって，要するに小さい身体で家の掃除をするっていうゲイムなんだけど，汚れたものがキレイになっていくこと，それ自体が，こんなに楽しいなんて知らなかったわ。これなら誰かに気付いてもらえなくても構わない。
　しかしあれね，現実の世界のどうってことない行動だって，ゲイムになるものなのね。いやはや勉強になるわ。だから私はゲイムが好きなのよ。……なんて御託を並べたけれども，何も考えずプレイしても，単純に面白いわよ。久しぶりに万人にオススメしたいゲイム。是非。

　ついでにもう一つ紹介しとくわ「Jリーグウイニングイレブン2009 クラブチャンピオンシップ」。
　やっぱJリーグのウイイレはファンタジスタモードに尽きるわ！　作品を重ねるごとにちょこっとづつパワーアップはしてるけれども，やっぱりデータが充実するとテンションが上がるわね。
　ただ惜しむらくは，今回も私が実際にやってきたGKをプレイできない点。まあ，どう考えてもゲイムとして地味になるからしょうがないんだけど。
　それにGKの醍醐味って，アクションでは表現しにくいだろうしね。っていうのも，GKの職務はボールをキャッチすることだけじゃなく，敵の位置を見て味方のポジショニングを指示したり，後ろから声を出して味方のテンションを上げてみたり（つまりドラクエで言うところの「おうえん」ね）と，案外幅広いのよ。
　見てる人には伝わりにくいけど，単純に技術だけでなく，こういう能力も必要なわけ。なのでGKをゲイムで再現するのは難しいと思う。
　でも，近い将来そういう部分を再現してくれたら嬉しいなあKONAMIさん！

　さて，ここまで機嫌よく原稿を書いてきたのですが，ここで緊急ニュースをお届けします。最近じゃもっぱら我が家のDVDプレイヤーとして活躍されてきたXbox 360さんが，昨日未明に意識不明の重態に陥りました。DVD-Videoを本体に入れたところ，電源ランプ部分が赤く点滅して止まってしまった模様。
　捜査本部では，自殺他殺両方の可能性から捜査を進めています。っていうか，ゲイム機としてそんなに活動しないまま止まるってどういうこと？　ま，DVDプレイヤーとしてはPLAYSTATION 3も使えるからさし当たってはいいんだけど。……いや，でもやっぱXbox 360で遊びたい日もあるわけで，動かないとなるとなんだか目から汗が……。

　そんなところで，また来週！