連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ / 第100回:「己の生き様について考える」
著者近影
私は一応プロレスラーなのね。
……この連載で,何度この出だしを使ったか分からないくらい酷使してきた,マイフェバリットフレーズなんだけど,ともかく私はプロレスラーなの。そして,たまたま私はプロレスラーなんだけど,世の中にはいろんなプロがいるわ。
スポーツとか文化人とか,そういう世の中に名前が出る仕事以外にも,家を建てるプロ,営業のプロ,物を販売するプロ……。色々なプロがいて,そのプロの仕事によって世の中は成り立っているの。
で,私が今回伝えたいのは,そのプロ……というか,こだわりの中で何が一番カッコいいのかって話なのよ。誤解のないように言っておくけど,どの職業が一番カッコイイかって話じゃないわよ。どういうプロ意識を持てば,自分の人生を一番カッコ良く思えるかって話。職業じゃなくて,趣味もそうよね。好きなことに打ち込む姿は文句なしにカッコイイ。だけど,どの部分に誇りを持つべきなのか,と。
……いや,そんな堅苦しい説教じみたことをいう気はないわ。最近,ゲイマーとしての生き様を,ゲイマーである私はカッコ良く思えているか? っていう自問自答をしてしまったわけ。
例えば好きな人を口説くときに,野球選手なら「君のためにホームランを打つよ」って言えるわけじゃない? サッカー選手なら「点を取るよ」って言える。じゃあプロレスはどうかとなると話はややこしくて,例えば同じ格闘技でもコレがボクサーだったら「君のために勝つ」って言えるんだけど,プロレスラーだったら「君のために相手の技を逃げずに受けるよ」っていうことになっちゃうのね。
私に言わせれば,プロレスラーのそういうところは滅茶苦茶カッコいいんだけど,いかんせん魅力としては分かりづらい。でもまあ,それでもまだハッキリと自分のやっていることに対するいい部分が言えるからいいわ。
で,ここからが本題なんだけど,これがゲイマーだったら,何をアピールすればいいのか。君のために何をすればいいのか。「君のためにグラディウスをコナミコマンドなしでクリアするよ」。「君のために熱血高校でくにおを使わないよ。大運動会の話ね」。「君のためにGK森崎君で世界ユースを制するよ。あ,キャプテン翼IIな」。あとは開き直って「君のために愛花の髪形を俺好みに変えるよ」。……どれもしっくりこないばかりか,場合によっては口説こうとしてすらいないわね。まあそれはそれでカッコイイとは思うけどな。
でも,しっくりこないってことは,ゲイマーとしての哲学をまだ私は持てていないわけよね。
…ってことを「クロヒョウ 龍が如く新章」をクリアしてみて考えたって話。っていうか,クロヒョウ面白いわね。先週も同じこと書いた気がするけど関係ないわ。面白いもんは面白い。
溜めるだけ溜めて出すと気持ちがいいのは何事も一緒で,クロヒョウをクリアして思ったのは,抑圧と解放のバランスが素晴らしいってこと。
というのも,2周目のプレイでは一度クリアしたデータのいくつかを持ち越せるのよ。2周目はレベルの上限が上がってるし。こういった要素によって,もう一度プレイしようって気にさせられるのね。
気にさせられるっていうか実際に私,しれっと2周目をプレイしてるわ。それでもまだ楽しさは持続できてる。これって浮気性の私にしては珍しいことなのよ。それほど面白いってこと。
色々と自分の生き様についても考えてしまうストーリーも含めて,ぜひ,多くの人にヤってほしいわねえ。
あと,生き様といえばこんなナゾがあるよ。っていうかナゾはないけど,こんなゲイムがあるよ。「ボクも世界を救いたい」。
これ,Wiiのダウンロード専用ゲイムなんだけど,地味に面白いのよ。要するに2年間で自由に色々なイベントをこなして勇者を作るっていうゲイム。
細かいことをいえば,イベントがワンパターンだったり,ボリュームが少し物足りなかったりはするんだけど,根本的な部分ではかなり面白いわ。
その面白さを比較的分かりやすくたとえるならば,パワプロのサクセスで選手を作る感覚に近いわね。一応RPGなんだけど,シミュレーション寄りの面白さっていうかなんというか。テキストにも嫌味がなくて,極めてコンパクトに面白さを詰め込むことに成功したゲイムといえるでしょうね。
でまた,何故か搭載されているシミュレーションモードってのが,いい意味で意味不明なのよ。簡単に説明すると,RPGモードで育てた勇者をシミュレーションモードでは世界に放り込んで,その生き様を鑑賞できるんだけど,プレイヤーができるのは見ることだけ。まったく世界や勇者に干渉できないの。文字通り放置プレイ。このモード,無いなら無いで寂しいんだけど,その微妙な立ち位置に味わいが生まれているのが不思議ね。
飯を抜いてでもヤレ! とまでは言わないけど,1000Wiiポイントで買えちゃうから,試しにプレイしてみてもいいかも。私は1000Wiiポイント分以上は確実に楽しめたわ。
ちなみに,このタイトルはポイソフトっていうメーカーから出ているんだけど,このメーカーって以前私が思わず面白そうでダウンロードしてしまった「王だぁ!」を作ったところでもあるみたい。
まるでアレなDVDをジャケットの写真で選んで買ったら,以前買ったのとまったく同じ人が出ているのが家にあって,自分の成長してなさに愕然としたっていう感じね。ポイソフトのゲイムコンセプトとかゲイムデザインは,どうやら私のツボにはまるみたい。なので,次回作にも心から期待するわ!
というわけで,今週はゲイムを通していろんな生き様を考える週間だったわ。そもそもゲイムをプレイして何かを考えるってこと自体,自分の人生を豊かにしているってことでもあるんじゃないかしら。
だから,今のところ私が思う正しいゲイマー的な口説き方は「君のためにっていうか,自分のためにゲイムをプレイするよ」かしらね。
そんなこと言われても……って話ではあるけれども。
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- 関連タイトル:
クロヒョウ 龍が如く新章
- 関連タイトル:
ボクも世界を救いたい
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