連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第189回「好きとか嫌いとか」
大学時代に「ときめきメモリアル」を一通りクリアして,エンディングの中のエンディングをテレビの音量を上げて堪能していたら,隣の部屋から「詩織ちゃんおるで! このマンションに詩織ちゃんおるで!」と聞こえてきて,何だかとってもやるせない気持ちになった男色ディーノ35歳です。
結局,隣の同志とは顔を合わせないままだったのが,今にして思えば悔やまれるわね。駆け抜けてゆく私のメモリアル。ちなみに,ドラマシリーズは「虹色の青春」を個人的に推したいわね。
さて,好きとか嫌いとか。それはとてもシンプルにして身も蓋もない,でもとても重要な人間の感情と言えるでしょうね。とくにエンターテイメントにおいて,避けては通れない要素ですよ。
客観的に見てどれだけ面白いものであっても,それを体感した人にとっての嫌いなもので成立しているような場合,その人からは悪い意見が出てきがち。逆に,どれだけ詰めの甘い催し物でも,根本的に携わっている人が好きなものであれば,良かったという意見が多くなる。全部のケースがそうではないけれども,こういう傾向は強く,確実にあるわ。
とくに今は娯楽の数も昔に比べて増え,一方で消費者は情報を集めて選ぶことが出来る時代よ。つまり,嫌いなものにはわざわざお金を落とさない時代になった……そう言うこともできるでしょうね。
では,一体どうやって自分の好きな娯楽を選ぶかというと,まず情報を集めて好き嫌いで振り分けるヤり方が一般的だと思うのね。調べたものが自分に引っ掛かるかどうか。いわゆる口コミを見てってやつ。
その行い自体は,財布の中身が限られている消費者にとって,非常に良いことだと思うの。せっかくお金出すんだから「無駄だった!」なんて思いたくないじゃない。だから,前情報でお金を出す出さないを決めるっていうこと自体,至極まっとうなことだと私は思うわ。で,いいものが勝ち残るのが自由競争だから。
ただ! 問題はその情報の中身。最近では携帯電話で何でも調べられるわけですよ。何を使うかはさておき,とにかくネットが情報収集のメインの場となっているわけ。実は,ここなんですよ。提供する側と消費する側の意識がかい離してしまうのは。
ネットはね,みんなのものなのよ,基本的に。みんなのものってことは,誰がどういう情報を流しても「俺の勝手だろ!」「ただの俺の意見だから」って言えちゃうの。ということは。情報を操作しても「俺の勝手だろ!」と言えちゃうってことでもあるのね。今のところ,ネットとはそういう場所なの。
だからこそ,情報を発信する側はモラルを持って発信しなければならないし,意図して情報が暴走しないようコントロールする必要があるわ。
話はちょっとそれるけど,私って情報が中立である必要はないと思っていて,実際,完全に中立な立場からの情報というもの自体,世の中にはそんなに多くないと考えているの。情報を発信する側の意図は,必ずある。
例えば,そろそろ甲子園シーズンだけども,テレビである高校に密着した場合,対戦相手は視聴者にとって敵のように映ってしまうわ。でも,実際にはどちらの高校も頑張っている。サッカー日本代表がアジア予選で頑張っている時は,裏を返せばほかの国も頑張っている。ニュースで「容疑者」と出た時点で,視聴者はその人が犯罪を起こしたのが確定したかのように見てしまう。そう見えてしまうこと自体は,仕方がない。
だから,完全に中立の情報というのはなかなか少ないのね。ただ,問題は報道の仕方であって,中立な情報を流すのは難しいとしても,無駄に視聴者を信じ込ませるような情報の流し方は私はちょっと違うのかな,と思っているわ。
……うわ! またしてもゲイムに関係ない話が長くなった! ので,ここら辺で戻すとして。報道機関が企業である以上,何だかんだいって会社に対してモラルを求められる。でも,それがネットのユーザーになると,もうモラルなんてものは求めづらくなってしまうわけ。なんなら匿名で誤情報を流すことだってできちゃうし。
だから,ゲイムを買う際の好き,嫌いの振り分けに関しては,よく吟味したほうがいいってことです。私が言いたいのは。ヤっても無いのに情報だけでヤった気になってませんか? と。最近じゃ,コンシューマゲイムでも無料体験版が配信されるケースが増えてきているんだし,好きか嫌いかを決めるのは,情報だけじゃなくて体験してからのほうが,きっと人生も豊かになると思うのよ。ヤってみて嫌いだったら,なぜ嫌いかを考えることだってできるわけで,そうやって考えたこともまた,一つの財産になると思うから。
というのもね,このゲイム,ドット絵なのよ。それを良しとするかしないかで,まず評価が分かれると思う。かつて,「ダービースタリオン」っていう競馬ゲイムがあったんだけど,それを思い出すわね。そりゃまあ,ダビスタもこのカルチョビットも,パリティビットが作っているから当然といえば当然だけど。ちなみにダビスタは,ドット絵がよく似合った。スーパーファミコン版の話ね。
で,そんなダビスタの生みの親であり,パリティビットの代表取締役である薗部博之氏が,かつて雑誌のインタビューで語っていたことが今も私の心に残っているの。氏曰く「これ以上ダビスタを複雑にしたくない,できれば馬のパラメータの項目も減らしたいくらいだ」って。
カルチョビットを遊んでいると,あのときの薗部氏の真意,もしくは真意に近いものが分かる気がするのよ。別のゲイムではあるけれども,現実に存在する競馬なりサッカーなりをゲイムに落とし込むときのあらゆる表現を,「複雑にしたくない」ってことだと思うのよね。
そういえば,ダビスタもレースシーンはスキップできなかったわ。昔は,それが煩わしく感じたこともあるんだけど,たぶん,あえてスキップできないようにしていたのね。カルチョビットも試合はスキップできない。
それはきっと,シンプルにしたかったからじゃないかしら。チームを育てて試合を見る。基本,この繰り返しのゲイムなの,ダビスタもカルチョビットも。育てた結果を見ること,それ自体が面白いゲイムなのよ。だからこそ,「見る」をいう行為を省くことはできない。できないというか,考えられないと思うの。そして,それをシンプルに表現するために選ばれたのが,ドット絵なんじゃないかと,私は想像しているわ。大間違いかもしれないけど。
でもね,ドット絵だからってバカに出来ないわよ,カルチョビット。相手のユニフォームを引っ張る表現があったり,ヘディングにも種類があったりと,ドット絵ながら細かい描写はいっぱい盛り込まれているの。
リアル系のサッカーゲイムが好きな人,代表戦ぐらいしかサッカーを見ない人には,ひょっとしたらカルチョビットって向いていないゲイムかもしれないわ。ただ,サッカーチームを育ててる気にはなれるから,サッカー部だった人や,サッカー経験者ならば,面白味を満喫できるんじゃないかと思う。私もその一人。
ま,ひとまずは体験版をプレイしてみれば,だいたい雰囲気はわかると思うので是非。
ハイ,こんな感じで今週はカルチョビットについて語ったわ。どうでもいいけど,私,今回の原稿を書くのに無駄に時間がかかったのよ。普段は書き始めるまでに時間がかかるだけで,いったん書き始めたらけっこうチュルルンと書けちゃう。チュルルンっていう擬態語はお通じをイメージしてもらえれば,どれだけチュルルンと書けてしまうか想像がつくと思うんだけど。
でも,今回はけっこうな便秘。なぜかといえば,カルチョビットの入力が上手くいかなかったから。何度変換しても素直に出ない。「カルトビッチョ」ならまだしも,「カルドセプチョ」になってカードゲイムとごっちゃになってしまったり,「軽ちょビッチょ」になって本当に軽そうな女の人っぽくなったり,「カルビチョット」になって,そんなに遠慮しないでもっと食えって気になったり。
その都度,ちょっとずつ語感が面白くなって集中力が欠けてしまうのね。でも,おかげでなんとかここまでたどり着けたわ。恐るべしカルチビッチョ。あれ? カルチョビッチェ? 広島? カル……カルチョビット? あってる? まあいいや。
そんな感じで,来週はカルチョコボックルと同時に買った「タイムトラベラーズ」を紹介いたします! また来週!
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 3:「アーシャのアトリエ〜黄昏の大地の錬金術士〜」
PlayStation Vita:「プロ野球スピリッツ2012」
PSP:「CONCEPTION 俺の子供を産んでくれ!」
Wii:「零 〜眞紅の蝶〜」
ニンテンドー3DS:「ポケットサッカーリーグ カルチョビット」
Xbox 360:「トロピコ4 日本語版」
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ポケットサッカーリーグ カルチョビット
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